UNITAIDテラノバさん、議連訪問&ニュース第11号発行

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3月24日、UNITAID(ユニットエイド)顧問のヴァレリー・テラノバさんが国際連帯税議連の衛藤征士郎会長(自民)と石橋通宏事務局長(民主)を表敬訪問し、懇談を行いました。国際連帯税フォーラムからは田中が参加。

 

ご承知のように、UNITAIDとは10カ国で実施されている航空券連帯税を主な資金源とし、エイズ・結核・マラリアなど感染症への治療薬や診断薬を途上国の患者さんに提供しています。

 

この日の懇談では、まず衛藤会長から国際連帯税の導入に向けた昨年度の活動ついてと今後に向けての説明がありました。やはり航空業界の強い反対がネックになっていることで、今年度はそれをどう乗り越えていくかが課題である、とのことです。

 

一方、テラノバ顧問からはUNITAIDの最新動向について報告を受けました。特にUNITAIDは現在、航空券連帯税の影響評価について、第三者研究機関に調査研究依頼をしており、今年6月にはその結果が報告されること、などが紹介されました。

 

田中の方からは、成田航空会社(株)の最新「世界主要空港の空港利用料金比較(国際線:旅客1人当たり)」資料を提示し、日本での航空券連帯税導入の必要性と可能性につき明らかにしました。

 

最後に衛藤会長から、「年末に行われる来年度税制改正の議論に向けて、議連としても取り組みを強化していきたい。衛藤―石橋の最強コンビでがんばりたい」と決意を述べて懇談を終えました。

 

3月30日『ニュースレター国際連帯税・金融取引税』第11号を発行し、全国会議員に配布しました。主な内容は以下の通り。

 

世界の主要国では航空券(運賃)に対し、様々な税金を課している。が、日本では航空券への課税はなし。よって、日本に居住する人が国際線を利用して英国、ドイツ、フランス、米国(航空券税が高い順番)に旅する場合、もっぱらそれらの国に税を支払っていることになる。いわば取られっ放し状態。

 

従って、日本でも同税を国際連帯税として実施し、(世界の隅々までの短期間・大量の航空輸送により)今後拡大することが予想されるデング熱やその他の感染症対策の資金にすべきである。なお、急増している外国客に対して、もし日本で航空券連帯税が実施されていれば外国客から約160億円の税を徴収することが可能(2014年 フランス並みの定額税)。

 

◆写真は本文と関係ありませんが、3月30日の上野公園の桜並木の模様。たいへんな人出でした。

 

仏ジラルダン開発担当大臣が国際連帯税議連と意見交換会をもつ

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3月13日、「国際連帯税の創設をめざす議員連盟」の役員とフランスのアニック・ジラルダン開発担当大臣(以下、開発大臣)とが意見交換を行いました。開発大臣は仙台で開催される「国連防災世界会議」に出席のため来日し、この機会にぜひ国際連帯税連盟と意見交換をしたいとの申し出があり、この日の会合となりました。

 

議連側出席者は、衛藤征士郎会長(自民党衆議院議員)、藤田幸久会長代行(民主党参議院議員)、福島みずほ顧問(社民党参議院議員)、石橋通宏事務局長(民主党参議院議員)、でした。

 

ジラルダン開発大臣が再三強調されたのが、今年、2015年はいわゆる「革新的資金調達メカニズム(=伝統的な一般財源からのODA予算ではない、国際協力目的の新たな資金調達手段)」の構築にとって大変重要な年になるということでした。というのは、今年がMDGs(ミレニアム開発目標)の最終年で、かつ次のポストMDGs(2015開発アジェンダ)を策定する大事な国連サミットが行われること、さらに地球温暖化防止に向け新たな合意をとりまとめるCOP21が開催されること、そしてこの両者におけるさまざまな目標達成に向けて、またプロジェクトを実施する手段として「資金調達」が大きな課題となっているからです。

 

ジラルダン開発大臣は、特に航空券連帯税について、「フランスでも導入時にはさまざまな抵抗があったが、その影響を検証するとともに、税の使い途を国民にしっかり説明したことによって賛同を得てきた。日本でも、ぜひ透明性が確保される制度を設計して、国民の理解を得られるよう努力をしてほしい」と述べ、エールを送ってくれました。

 

議連側からも、衛藤会長が「皆で力を合わせ、国民世論を喚起しながら国際連帯税の導入に向けて一層努力していきたい」と決意を述べて、会を終了しました。短時間の会合でしたが、大変有意義な意見交換ができたようです。 【情報提供:石橋通宏事務所】

FTT国際電話会議:国連開発資金会議(FfD)プロセスについて

ご承知のように、本年2015年は国連において歴史的と言ってよい二つのイベントが開催されます。ひとつは、ポストMDGsである持続可能な開発目標(2015開発アジェンダ)が採択される年であり、もうひとつは2020年以降の世界の気候変動・温暖化対策の大枠を決める年です。

 

現在持続可能な開発目標の方は昨年中に17の目標が立てられ(下記「…オープン・ワーキング・グループの提案」参照)、今年に入って(1)9月の国連サミットで採択すべき目標についての政府間交渉、ならびに(2)上記目標を達成するための資金調達についての交渉、が並行的に行われています。

 

◎持続可能な開発目標に関するオープン・ワーキング・グループの提案(日本語)

 

この(2)の資金調達の交渉ですが、7月に第3回国連開発資金会議(FfD3)が開催され、そこで合意される成果文書作成に向けて、1月、4月、6月と準備会議が行われていきます。

 

さて、今回みなさまに送る「FTT国際電話会議:国連開発資金会議(FfD)プロセスについて」(2月25日)ですが、これは金融取引税(FTT)を求める国際的な市民グループがFfD3、並びに気候変動会合(COP21パリ会議)に向けて、現状分析と何をなすべきかについての議論の議事録です。

 

これまでFTTを主導してきた欧州の市民社会が欧州11カ国FTT実施に向けての活動に時間が取られ、FTTを含む革新的資金メカニズムを盛り込んでいく大きな機会である国連イベントへの対応が遅れていましたが、ようやく動き始めました。電話会議参加の顔ぶれをみますと、FTT推進グループをはじめ、財団、研究所、労働組合など幅広く参加しているようです。どうぞ議事録をお読みください。

 

◆「FTT国際電話会議:国連開発資金会議(FfD)プロセスについて」を読む⇒ PDF

 

議事録の方ですが、いろんな専門用語も飛び交っていますが、FTTや革新的資金メカニズムを求めている国際的な市民社会グループがどのような対応をしようとしているのか、全体のトーンを知っていただければと思います。

 

なお、この1~2年議論されてきたポスト2015開発アジェンダについて統合した国連事務総長の報告書が昨年12月に公表されています。これもぜひ目を通していただくと、今後の資金問題を含むSDGs/ポスト2015開発アジェンダ議論に役立つと思います。

 

◎事務総長統合報告書(The Road to Dignity by 2030)

「2030年、尊厳への道:貧困を終わらせ、全ての人々の生活を変革し、地球を守る」(日本語

 

◆写真は、第2回国連開発資金会議:「モンテレイ合意の実施を評価するための開発資金源に関するフォローアップ国際会議」(2008年11月ドーハ)に向け、開発資金のための金融取引税(当時は通貨取引税)を求める国際NGOワーキンググループ「開発資金のための通貨取引税キャンペーン」のロゴ。“DOHA2008:THE TIME IS RIPE!(機は熟した!) 0.7%ODA+0.005%CTT”

 

 

【速報】本日のドイツ紙に金融取引税の税収試算報道=450億ユーロ

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本日ドイツの有力な日刊紙である“Suddeutsche Zeitung”(南ドイツ新聞)にEU11カ国がFTT(金融取引税)を導入した場合の、ドイツの税収見込みの記事がトップページに載っています。

 

Finanzsteuer konnte 45 Milliarden Euro bringen

(金融税は450億ユーロの税収をもたらす)

 

この税収試算は、有力なシンクタンクであるドイツ経済研究所(DIW)が社会民主党により「EU11カ国のうち4大経済大国(ドイツ・フランス・イタリア・スペイン)にもたらされる税収見込みの調査」を委託され、その報告書によるものです。

 

ちなみに、記事の中に、2012年10月に国際連帯税フォーラムが主催した国際シンポジウムにスピーカーとして参加していただいたカーステン・ジーリング議員のコメントも載っています。

 

このDIWの報告書について、ドイツのNGOから連絡が来ていますので、詳細については後日報告します。

 

 

 

【ご案内】講演会:ピケティ『21世紀の資本』と資本主義の未来

トマ・ピケティ教授の来日と各メディアの紹介ぶりはまるで台風一過のようでしたが、やや落ち着いたところで本田浩邦先生を講師にお招きして下記の講演会を開催します。ふるってご参加ください。

 

                     講演会:「ピケティ『21世紀の資本』と資本主義の未来」

 

・日時:4月12日(日)14:30~16:30

・会場:自治労会館2F会議室

    アクセス:http://www.jichirokaikan.jp/access.html 

・参加費(資料代):500円

・定員:45人

・申込み:「講演会参加希望」ならびにお名前、所属(あれば)をお書きの上、次のアドレスから申込みください。     info@isl-forum.jp 

◎講演:本田浩邦・獨協大学経済学部教授

   *先生はNHKEテレで6回に渡り放映された「ピケティの白熱教室」に資料提供ということで参加されました

 

ピケティ『21世紀の資本』の特徴は、膨大な歴史的データで格差・不平等を検証していることです。その上に立って理論的根拠を示すとともに、格差是正のための政策提言を行っています。

 

前者が「r(資本収益率)>g(経済成長率)」理論であり、後者はグローバルな累進資本課税の提言です。今回は、主に「r>g」で表わされるピケティ理論の核心を本田先生に分かりやすく語っていただきます。

 

「r>g」を導くためには、次の2つの法則の理解が必要となります。

 ・資本主義の第一基本法則:

  α(国民所得に占める資本(収益)の割合)=r(資本収益率)×β(資本所得比率)

 ・同 第二基本法則:

  β(資本所得比率)=s(貯蓄率)/g(経済成長率)

 

ともあれ、「r>g」がさらに開き、格差・不平等が拡大するとどうなるでしょうか。「20世紀初頭の極端な不平等は…第一次世界大戦に結び付いた。今再びイスラムをめぐる問題や極右勢力の台頭などがクローズアップされているのは、偶然ではない」(週刊東洋経済、インタビュー)とピケティ教授は語っています。いわば資本主義の未来について予言しているわけですが、格差・不平等の拡大は何をもたらすのか、このことについても考えてみたいと思います。

 

なお、ピケティ教授のもうひとつの重要な提言である「グローバルな累進資本課税」の問題については次の機会に取り上げていきます。世界と日本の格差・不平等問題に関心のある方はぜひご参加ください。

 

 

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