グローバル連帯税フォーラム第8回総会・講演会報告(6月17日)

冒頭総会の報告を行おうと思いましたが、またまた世界がおかしな方向に向かおうとしているようですので、そのことから一言。つまり、朝鮮半島での戦争の危機が避けられたと思ったら、今度は貿易<世界戦争>がはじまりつつあり、世界経済の前途に暗雲が漂いはじめたようです。

 

【newsweek】世界に貿易戦争を挑むトランプ、中国に続きEUとも報復合戦

【日経新聞】米国株、ダウ反落し328ドル安 米中摩擦を懸念 ナスダック大幅安

 

トマ・ピケティは著書『21世紀の資本』(フランス語初版2013年)で、今日の富と所得の格差は大戦前のウルトラ格差に近づいており、こうした格差を解消できなければ、保護貿易や資本統制を行う国粋主義政権が誕生すると喝破しました。今そうした国粋主義政権(トランプ政権)が誕生し、保護貿易=貿易戦争に突っ走ろうとしています。

 

それはともあれ、グローバル連帯税フォーラムは6月17日第8回目の総会を開催し、2018年度の活動方針を決定しました。総会は以下の5つの議案を議論しましたが、どの議案も拍手で承認されました。

 

2018年度の活動の基調は、上記ピケティの言うように、グローバルな富や所得の格差是正のために、そして民主主義を取り戻すために、グローバル・タックスの実現を図っていくこと、です。

 

・第1号議案:2017年度活動報告

・第2号議案:2017年度決算報告

・第3号議案:2018年度活動方針

・第4号議案:2018年度予算

・第5号議案:2018-2019年度役員

 

総会後に、金子文夫先生の「多国籍企業とグローバル・タックス」をテーマとした講演会が行われましたが、20数人が参加し、熱心に議論を行いました。総会議案書と金子先生の資料を掲載しますので、どうぞご覧ください。

 

★グローバル連帯税フォーラム第8回総会の議案書を読む⇒ PDF

 

★金子文夫先生の「多国籍企業とグローバル・タックス」を読む⇒ PDF

【ご案内】7.26「SDGsのための国際貢献と国際連帯税を考えるシンポジウム」

来る7月26日、「グローバル連帯税フォーラム」と「国際連帯税創設を求める議員連盟」との共催で国際連帯税に関するシンポジウムを、下記の通り開催します。このシンポジウムは、日本での国際連帯税実現に向けての機運・世論の盛り上げを図るものですが、同時に来年大阪で開催されるG20サミットに向け新しい開発資金創設を呼びかけるものです。

 

              

◎日時:7月26日(木) 午後1時30分~4時30分

◎会場:衆議院第一議員会館国際会議室

◎共催・協力:

 ・共催:グローバル連帯税フォーラム、国際連帯税創設を求める議員連盟

 ・協力:(特活)日本リザルツ、(公財)日本国際交流センター、外務省

◎参加費:無料(必ず参加申込登録をお願いします)

◎申込み:次の申込みフォームから申込みください https://goo.gl/T8QSkx 

◎問合せ:グローバル連帯税フォーラム  電話090-3598-3251 

                    eメール: gtaxftt@gmail.com  

 

国際連帯税の産声は、2006年2月、93か国が集ったパリ国際会議で上がりました。日本では、2008年2月超党派の「国際連帯税創設を求める議員連盟」(以下、議員連盟)が設立されました。続いて、外務省は2010年度税制改正ではじめて国際連帯税の新設を要望し、これをNGOや議員連盟が支援してきました。しかし、9年たった今日、いまだ国際連帯税導入に至っていません。

 

一方、今日グローバル社会は「(地球上の)一人も取り残さない」というSDGs(持続可能な開発目標)達成の時代に入っています。ところが、その資金需要は途上国向けだけでも不足額が年間2.5兆ドル(約280兆円、UNCTAD)にも上り、これでは年間1500億ドル(1兆6000億円、2017年)程度の政府開発援助(ODA)では圧倒的に足りません。とくに貧困国や各国の貧困層への衣食住や水・衛生・健康・教育など社会の基本的サービスを保障するベーシック・ヒューマン・ニーズ(BHN)を満たすためには、公的資金が不可欠であり、ODAとは別の新しい公的資金源としての国際連帯税への期待が高まっています。

 

国際連帯税とは、経済のグローバル化から恩恵を受けている経済主体の、国境を越えて行う経済活動に広く薄く課税し、その税収を世界の貧困・感染症問題や気候変動問題など地球規模課題の対策に充てようとするものです。すでにフランスや韓国など14カ国が航空券連帯税を実施し、その税収を主に途上国の感染症対策に使われています。また、欧州では金融取引税の実施を議論しており、その税収の一部を地球規模課題に使おうという提案も出されています。

 

さて、来年6月には大阪でG20首脳会議(サミット)が開催されますが、他にも国際イベントが続きます。そういうなか、河野外務大臣は6月の議員連盟総会で、国際社会に対して「SDGs推進とその資金源としての国際連帯税は有効であり、導入に向け環境整備を図りたい」(要旨)と提案しております。まずはG20大阪サミットで議長国日本がSDGs推進と国際連帯税導入を世界に向けて発信していただくように要望していきたいと考えています。

 

シンポジウムには河野外務大臣も参加し発言していただくよう要請していますが、まず基調講演として金子文夫・横浜市立大学名誉教授が『国際連帯税の意義と未来』と題して行います。また、有識者・専門家、国際機関、NGO・市民社会、企業、労働組合、宗教団体、海外専門家(予定)など各界からコメントをいただき、最後に「国際連帯税導入に関する宣言文」を採択します。

 

みなさまの積極的なご参加をお待ちしております。また、ご関心のありそうなお知り合いの方々にも、ぜひご共有いただけますと幸いです。

 

プログラムと主なスピーカー

 

<プログラム>

・第1部:共催・協力者あいさつと基調講演

・第2部:各界からの支援・コメント

  有識者・専門家、国際機関、NGO・市民社会、企業、労働組合、海外専門家(予定)

・第3部:宣言文採択

                (シンポジウム終了後、懇親会を行います。18時30分まで)

 

<主なスピーカー>

・基調報告「国際連帯税の意義と未来」  金子 文夫(横浜市立大学名誉教授・元副学長)

・欧州金融取引税など最新情勢報告  津田久美子(北海道大学法学研究科博士課程 日本学術振興会特別研究員DC1)

・ごあいさつ  田中 徹二(グローバル連帯税フォーラム代表理事)            

        衛藤征士郎(国際連帯税創設を求める議員連盟会長衆議院議員)

        外務省(調整中)

・コメント   金子 宏(東京大学名誉教授)  要請中

        広中和歌子(元環境庁長官・参議院議員)

        寺島 実郎(日本総合研究所 会長、多摩大学学長)

                  稲場 雅紀(SDGs市民社会ネットワーク事務局長) ほか

・宣言文提案  白須 紀子(日本リザルツ代表)

 

★写真は、2006年2月28日「国際連帯税に関するパリ閣僚会議」のオープニングセレモニーで演説するシラク仏大統領(当時)。場所はエリゼ宮(大統領府)で、日本からもNGOのオルタモンドが招待された。

6.6国際連帯税議連総会報告:モメンタムが大事、今がその時!

 議連総会;石橋ブログ 

             【クリックすると拡大します】

 

昨日(6月6日)の昼時間、「国際連帯税創設を求める議員連盟」の今年度第1回総会が開催されました。今回は先のG20外相会合で国際連帯税を提起した河野太郎外務大臣、また毎年度の税制改正の権限を持つ宮沢洋一自民党税制調査会会長も出席するということで大いに注目された総会となりました。以下、メッセージや発言の要旨を送ります。

 

●河野外務大臣のメッセージ「 SDGs推進の機運と行動を盛り上げつつ」

(急きょ日米外相会合が入り、堀井巌外務大臣政務官が河野大臣のメッセージを代読することになった)

 

現在、持続可能な開発目標(SDGs)の実現向け、各国が取組みを強化している中、日本政府も総理が本部長、官房長官と私が副本部長を務めるSDGs推進本部が司令塔となり、推進している。一方で、国際社会はSDGs実現に必要な資金の不足に直面しており、先進国の援助疲れも指摘されているが、世界の開発需要に対応するためには、伝統的なODAだけでは資金量は十分ではない。従って、新たな資金調達方法として国際連帯税は有効な手段となるものであり、国際社会が知恵を寄せ合って取り組まなければならないと考え、去る5月21日のG20ブエノスアイレス外相会合では、こうした考えに基づき各国の外相に提起をした。

 

外務省としてもまずは本年8月の平成31年度税制改正要望に向け、課税方式、使途などについて幅広く検討を進める。来年のG20、TICAD VII、国連ハイレベル政治フォーラムなどの国際会議の機会をとらえて、SDGs推進の機運と行動を盛り上げながら、国際連帯税導入に向けた、一層の環境整備を図っていきたい。

 

●宮沢自民党税調会長の話「厳しいが国際的な機運を高めて」

 

…新しい政策ニーズといったものが出てきている。またそれに合わせてその関係者達が汗をかいて増税のスキームといったものを作っていく。国際連帯税について言えば、私自身も、SDGsというのは大変大事な政策目的だが、しかし予算が足りないということも事実なのだと思う。では、どういう財源があるかだ。これまで議論されてきた国際的な航空運賃に上乗せするという公式があったが、国際観光旅客税が創設されており合意を得るのは時間がかかりそうだ。

 

もう一つがいわゆる国際金融の取引に薄く負荷をかける税制、いわゆるトービン・タックスが昔から言われている。個人的にはトービン・タックスというのは必要だろうと思う。今の国際金融を見ていると過剰にお金が動き過ぎそれが金融不安を高めているという状況があるので、お金の流れに負荷をかけるのは必要だろう。ただ、問題はこれが一国だけではできないということだ。

 

ともあれ、河野大臣も(国際連帯税に)大変熱心だし、ここには国際的な場で活躍される先生方もたくさんいらっしゃるわけだから、国際的な機運を高めて行くということをぜひやっていただきたいというのが、税制をあずかるものとしての願いだ。

 

●モメンタムを!7.26「国際連帯税に関するシンポジウム」開催へ

 

この後、石橋通宏事務局長(参議院議員)から、2018年度役員体制と活動方針が提起されました(議連会員は68人となる)。

 

方針として石橋事務局長は、「外務大臣のイニシアチブも重要だが、国際連帯税が税の負担者と受益者が異なる税制度となることから世論の一層の盛り上がりが必要だ。7月26日に『国際連帯税に関するシンポジウム』を開催し、国際機関やNGO・市民社会、企業、有識者、在京欧州大使といった各界の代表者にお集まりいただき、最後に『国際連帯税を実現するための決議文(宣言文)』を採択し、それを河野外務大臣にその場で手渡し、来年度の税制改正要望につなげていく」、と提起し承認されました。

 

続いて、意見交換の場で、猪口邦子参議院議員から次のような発言がありました。「やはり新たな財源を実現するにはモメンタムというのがすごく影響するが、今こそ本当に重要なタイミングなのだ。というのは、来年G20ほか国際会議が目白押しだから、このモメンタムを大事にして国際連帯税を考えていくことが必要だ」。

 

最後に、来年6月大阪でのサミットを見据えつつ、議長国として日本がSDGsの実現に向けてリーダーシップを発揮する絶好の機会となることを踏まえ、外務大臣と議連との意見交換の機会を別途持っていくこと、このことを全体で確認し、総会は終了しました。

 

★ワイドな写真は、石橋事務所からお借りしました。

 

……インフォメーション……
【◆g-tax講演会「多国籍企業とグローバル・タックス」】
 ・日時:6月17日(日)午後2時30分~午後4時
 ・会場:東京医科歯科大学 歯科棟南【歯科外来事務棟】4F 演習室
 (キャンパスマップの6番の建物、JR・地下鉄「御茶ノ水駅」下車)

 ・講師:金子 文夫(横浜市立大学名誉教授)
 ・資料代:800円(会員、学生は無料)
 ・申込み:「g-tax講演会参加希望」とお書きのうえ、Eメールで申込みください。  

    Eメール:gtaxftt@gmail.com  

【明日注目!】国際連帯税議連総会に河野外相、宮沢自民税調会長が出席

国際連帯税創設を求める議員連盟(会長・衛藤征士郎衆議院議員)の2018年度第1回総会が下記のとおり開催されます。この総会には河野太郎外務大臣や宮沢洋一自民党税調会長も出席されます。

 

ご承知のように、先のG20ブエノスアイレス外相会合において、河野大臣は「SDGs達成のためには金融取引税を含む国際連帯税の活用も一案である」と発言されました。今総会では、どのような思いで提案されたのか直接お話を伺える機会となります。考えてみますと、2008年に議員連盟が創設されてから、現職の外務大臣が議連総会に参加されるのは、これが初めてのことです。

 

一方、毎年度の税制改正を決定する実力者の宮沢自民党税調会長からも国際連帯税に対する考えを聞くことになりました。同会長がぜひ国際連帯税に前向きとなり、調査会をリードしていただくことを期待したいと思います。

 

●今回の議員連盟総会は傍聴できませんが、ご注目を!

 

残念ながら、会場が議員専用の会議室ということもあり、市民側の一般傍聴はできません。後日総会のもようを報告しますので、ご注目くださるようお願いいたします。

 

          記
・日 時:2018年6月6日(水) 12:15~ 
・場 所:参議院議員会館特別会議室
・議 題:1.河野太郎外務大臣よりご挨拶
     2.宮沢洋一自民党税調会長よりご挨拶
     3. 2018年度役員体制、2018年活動方針等について、ほか

 

★写真は、2010年11月8日の総会のもよう。当時は日本政府が国際連帯税に関する(国際)リーディング・グループの議長国になるなど盛り上がりを見せていました。再び盛り上げていきたいですね。