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通常国会での河野外相の外交演説>革新的な資金調達メカニズム創設の訴え

昨日(1月28日)から第198回通常国会がはじまり、冒頭安倍首相の施政方針演説に続いて、河野太郎外務大臣の外交演説も行われました。演説内容は、内閣方針である6つの課題(日米関係、近隣諸国等との関係の強化、多角的貿易体制の堅持、地球規模課題の解決への貢献、対中東政策の強化、「自由で開かれたインド太平洋」の実現)についてと、もうひとつ「河野大臣の独自的課題」について、でした。

 

●全演説中内閣課題が31%、独自的課題が69%占める

 

ざっと演説を読みまして、ユニークなのは内閣方針より「河野大臣の独自的課題」ともいうべき内容の圧倒的多さでした。正確には「外務大臣としての河野氏の独自的課題」と言うべきでしょうが、「今回は、これら(注:6つの重点的課題)に加えて、いくつかのことを申し上げたいと思います」という部分ですね。

 

字数で言いますと、前者が2318文字、後者が5127文字で、それぞれ全演説中31%と69%を占めています(ただし、冒頭あいさつと最後の結びの部分は除く)。ちなみに、前回の第196回国会での外交演説(2018年1月22日)では、重点6課題を述べるのみで、独自的課題を述べてはいません。

 

●外交の基本、人間の安全保障を中心とするODAそして革新的な資金調達メカニズム

 

さて、独自的課題の部分を読みますと、まず外交の基本が次のように述べられています。「日本は、軍事力を背景とした外交を行うことはありません。一方、我が国外交の大きな柱であるODAはピークからほぼ半減しています。知恵と工夫による我が国の『裸の外交力』が試される時代になりました」。

 

またODAに関しては、「背伸びをせず、身の丈にあった、人間の安全保障を中心とする日本らしいODAを目指します」と述べています。

 

そしてさまざまな課題がある中で、SDGs達成のために次のように訴えています。【注:「革新的な資金調達メカニズムが必要です」⇒「国際連帯税など革新的な資金調達メカニズムが必要です」と述べてもらった方がより明示的でしたが…】

 

「今や世界的に難民、避難民の数は約7,000万人に達し、第2次世界大戦後最多となっています。気候変動の影響で台風や集中豪雨などの自然災害は激甚化することが予想されています。2030年までにSDGsを達成するためには、毎年2兆5000億ドルの資金ギャップを克服しなければならないと言われていますが、我が国を始め、先進国の多くは厳しい財政制約に直面しています。そのため、革新的な資金調達メカニズムが必要です。グローバリゼーションから利益を得た者が、その利益の一部を人道支援のために国際機関に提供することが求められます。国際的な取組みの進展状況等を踏まえつつ、グローバリゼーションがもたらす利益の一部を活用し、それを地球規模課題の対策に充てる国際的な資金調達の方法は議論を深める価値のある一つのアイデアです。日本は、こうした議論の先頭に立ってまいります。」

 

第198回国会における河野外務大臣の外交演説:全文
https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/pp/page3_002672.html

 

★写真は、昨年の第196通常国会で外交演説を行う河野外相(自由民主党のHPより)

諸富教授、金融取引課税などグローバルタックスを語る(朝日新聞)

Professor Moromi

 

25日の朝日新聞のオピニオン欄に「(耕論)誰でも10%なんて 慎結さん、冨田和成さん、諸富徹さん」と題し、消費税と税の公平化問題で3人に論考が載っていました。その中で、諸富徹・京大教授がグローバルな視点で考えたらどうかということで、国境を越える金融取引への課税などを議論すべきと提案していますので、紹介します。(記事をクリックすると大きくなります)

 

■仕組みの議論、世界全体で 諸富徹さん(京都大学大学院教授)

 

【引用 はじめ】

…前略…

 といって、消費税や社会保険料の比率を野放図に上げていくことはできません。所得の低い人、貧しい人も食料など生活必需品を買わねばならない。でも、税率を上げれば収入に占める生活必需品購入費の割合が高くなり、結果として高所得者より税の負担率が大きくなってしまう。逆進性という欠点があるのです。

 

 税の構造変化の中で、今、考えたいのがグローバルタックスという仕組みです。経済活動が国境を越え、税収が国際的な公共財を供給するための財源になっている、などの特徴がある税の一つです。

 

 (フランスの航空券連帯税等…省略)

 

 日本もグローバルタックスを外為取引や国境を越えて商われる金融商品の売買に取り入れ、消費税や社会保険料も負担できない国内の貧困者の支援の財源に充てることを検討してみたらどうでしょう。

 

 格差社会に苦しむ弱者や子どもたちの救済は、公共的な使命です。無論、様々な困難はありそうです。13年に欧州連合(EU)の有志国が金融取引などへの課税を導入しようと大枠では一致しましたが、反対する関係業界から激しいロビーイングを受けて、宙に浮いています。

 

 しかし税財源が不足し、公正さが損なわれる中、日本を含め世界で議論すべきです。

 【引用 おわり】

 

【朝日新聞】(耕論)誰でも10%なんて 慎結さん、冨田和成さん、諸富徹さん

今秋、消費税が上がる。誰でも同じ10%。低所得者ほど負担が重いのはなんだかいびつだ。とはいえお金持ちが多めに払うには限界があり、税逃れもある。税の公平性、どうすれば?

河野外相、革新的な資金調達に関するLGの議長国就任を報告

河野太郎外務大臣が昨日の記者会見で「(開発のための)革新的な資金調達に関するリーディンググループ」への議長国就任を記者のみなさんにご披露しました。が、これを報じているメディアはありませんね。ともあれ、会見を紹介します。

 

【河野外務大臣会見記録 平成31年1月18日】

  
◎冒頭発言
(1)新年挨拶
【河野外務大臣】あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。2019年,即位の礼,G20,TICAD,さらにラグビーのワールドカップ等,外国から多くの要人も来日される日程が目白押しでございますので,外務省としてもしっかりそうした機会を有効に活用して外交を進めてまいりたいと思います。
…中略…

 

◎今年の抱負
【NHK 奥住記者】今年1回目の会見ということで,今年の抱負を伺いたいのですが。特に日露交渉,日露平和条約交渉とか日韓関係,北朝鮮の諸問題について,どのように臨むのか。また最近,総裁候補としてよく名前が巷間あがりますけれども,そういったことも踏まえてどのような1年にしたいかお聞かせください。

 

【河野外務大臣】日露の平和条約交渉も始まりましたので,しっかりとまとめていけるように努力をしていきたいと思っております。日韓は様々,懸案が山積みでございますが,しっかりと両国関係を維持できるようにですね,早期にこの問題を解決してまいりたいと思います。
 北朝鮮に関しましては,国際社会としっかりと連携をして,非核化ならびにあらゆる射程のミサイルの廃棄,そして拉致問題の解決に向けての努力をしていきたいと思います。
 このたび革新的な資金調達に関するリーディンググループの議長に日本がなりましたので,このSDGsの達成のためのファンディング・ギャップを含め,こうした問題についてリーダーシップをしっかりととっていきたいというふうに思っております。
 総裁候補と言っていただくのは非常にありがたいと思いますし,これはいつかしっかりと総理総裁になって自分の目指す政策の実現をしたい,これは政治家誰しもが思うことだと思いますので,いつの日かしっかりとやってみたいと思いますが,当面は自分のやるべき仕事が山積みでございますので,しっかりと自分の仕事をやってまいりたいと思います。
…後略…

金子 宏先生(18年度文化勲章受章者)からの便り

国際連帯税の理論的な指針とも言える「国際人道税」を提唱した金子 宏先生(東京大学名誉教授 租税法学)が昨年度文化勲章を受章されました。それで、早速グローバル連帯税フォーラムからもお祝いの電報を打たせていただきました。

 

年が明けてから、先生より御礼の封書が寄せられまして、それに手書きで次のように書かれていましたので、ご紹介します。

 

『私も体調が回復するのをまってお手伝いしたいと思います』

 

先生は御年88歳になられていますが、なお人道税(連帯税)実現に向けて頑張ろうとしている姿勢に頭が下がります。先生! 体調が回復されましたら、ぜひご講演などをよろしくお願いします。

 

★先生の国際人道税等の資料はコチラから読むことができます。

『人道支援の税制創設を』(政府税制調査会・専門家委員会・国際課税小委員会 2010 年)

 

 

欧州10か国FTT(金融取引税)再起動か?>独仏で作業進行中!

ドイツのメルケル首相とフランスのマクロン大統領の政治的な求心力は低下していますが、昨年6月の両首脳会合で2021年以降中期のユーロ圏財政確立のための一手段として金融取引税導入も射程に入れ合意していました。しかし、その後準備が遅れていまして、ようやくここにきて「両国はユーロ圏を強化するための努力の一環として、7年以上もの間続いてきた税の交渉に弾みをつけようとし…新しいドラフトを作成した」(下記、ブルームバーグ)ようです。

 

内容は、現在フランスが実施している株式取引税をベースに制度設計を考えているようで、具体的には「時価総額が10億ユーロ(12億ドル)を超える企業の株式」取引(購入)に0.2%課税するというもの。また税収はFTT参加国で一定程度分配し、小規模国も利益を得るようにするようです。

 

【bloomberg】Germany, France Push for 0.2% Tax on European Stock Trades

 

昨年6月の独仏首脳案では、欧州改革の一環としてのユーロ圏財源確立のためのFTTでしたが、今回の新しい案ではまず2013年にFTTが合意された10か国(当初11か国)で実施していくというもののようです。

 

欧州委員会による欧州FTT提案は最初が2011年でしたから(*)、それから時間的に8年ほども経とうとしています。また、今回の案では、取引額が最も多く、したがって税収が最も上がるはずのデリバティブ取引が外されていますので、かなり小型のFTTになろうかと思います。またFTTによる税収は財源補填が主目的ですから、国際連帯税のような役割を負ってもらうまでにはいかないいようです(各国の開発大臣クラスからそういう要望も上がっていますが)。金融セクター、とくに欧州の大銀行はどこもデリバティブ取引が最大の収入源ですから、相当の抵抗があったと思われます。

 

(*)2011年欧州委員会提案とその後:全欧州規模で、株・債券・デリバティブ取引に課税するという内容。が、英国等の反対でとん挫してしまい、2013年「強化された協力」手続きを用いて11か国で先行実施するということになった。

 

ともあれ、まずは実施することを優先して低率の株式取引税から行っていくというのが独仏当局の考えのようです。小型FTTでも各国が課税主権の壁を越え、共通の税制を敷くことになれば(しかもその税収の一部をシェアし合う)、共通予算(財政)の第一歩になるということで税収以上に意義のあるシステムになるでしょう。注目していきましょう!

 

日本政府「革新的資金調達に関するLG」議長国に就任

国際連帯税創設に意欲的な河野太郎外務大臣のイニシアチブもあり、日本政府は2019年の「開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ」(以下、LGと略)の議長国に就任しました。昨日フランス・ナントで開催された「第5回日仏外務・防衛閣僚会合」の共同声明で、次のように謳われています。

 

18. 両国は,持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて機運を高めるべく協力していくことを改めて確認し,貧困からの脱却のために必要な経済成長及び持続可能な開発を支えるために,国際開発のための革新的資金調達を支援する必要性を確認した。この文脈で,フランスは,開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループの新議長国に日本が再び就任したことを歓迎した。フランスは,UNITAIDに対する資金拠出を行う日本の意図を好意的に受け止めた。

 

◎第5回日仏外務・防衛閣僚会合 共同声明 (2019年1月11日,ブレスト)

 

LGとは、2006年国際連帯税旗揚げパリ国際会議で、国際連帯税など革新的資金調達システムに関して前向きな政府の集まりとして創設され、最盛期には65か国を数えました。常設事務局はフランス外務省が担っており、年1~2回議長国の首都で総会が開催されてきました。

 

日本は2008年にLGに参加し、2010年後期に議長国となり、東京において第8回LG総会を開催しています。この総会には「56か国の代表と世界銀行,IMF,WHO,UNICEF等の20の国際機関,更には各国のNGO等18団体の代表や有識者が参加しました」。

 

◎開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ第8回総会(概要)

 

ということで、本年は6月G20サミット、8月TICAD7、9月国連SDGsのためのHLPF首脳会合が開催されるなど、たいへん盛りだくさんのイベントが行われますが、LG総会を成功させ、国際連帯税を実現していきたいと考えています。

 

●インフォメーション
「国際連帯税をG20大阪サミットで主要議題に」キャンペーンはじまっています! 
みなさまの賛同署名をお願いします署名は、 https://bit.ly/2DmxyVa から。
・詳細は、http://isl-forum.jp/archives/2517 をご覧ください。

 

★写真は、日仏2+2会合:外務省のHPより

東京新聞『本音のコラム』で三木学長登場>出国税から見えるもの

Miki Column

 

本日の東京新聞『本音のコラム』で三木義一青山学院大学学長が「出国税から見えるもの」と題して執筆していますので、紹介します。

 

◎要旨は次の通り

 

今月7日から国際観光旅客税(出国税)が施行され、これは税の原理からすれば不合理ではない。しかし、航空機の国際線には(一般消費税等がどの国も)課税できないためフランスなど独自の課税を行い【国際連帯税のことですね】、それをユニットエイド(UNITAID)という国際機関に拠出し途上国の感染症対策に使ってきた(国際的援助への貢献)。日本でも市民団体や外務省がこうした税制を要望してきたが、航空業界の大反対で実現できていない。ところが、同じ税制で税収を国内観光のために使うとなったら、一転して賛成に。こうした豹変は国交大臣が国際線路線等への許認可権を有していることに関係ありそうだ。

国際観光旅客税(出国税)を国際連帯税へ改組を>峰崎・元財務相副大臣

本日から、27年ぶりの新税である国際観光旅客税(通称「出国税」)の徴収が行われますが、この税制につき昨年は産経新聞から東京新聞まで全マスコミが批判するなど、たいへん評判の悪いものでした。新税施行にあたり今回も日経新聞は以下のように批判的に書いています。

 

「外国人旅行者の満足度を高めるために、ある程度の財政出動は必要だろう。しかし本来なら他の公共事業などをけずって、その分を振り向けるのが筋だ。新たな税を設け、しかも特定財源としたことで、観光振興という名目のもとで無駄遣いが生じやすくなったのは、否定できない」(日経新聞1月5日付社説「出国税の使い道を注視する」)

 

マスコミの出国税批判の主な論調は、特定財源化したことで無題遣いの温床になるのではないかというものです。もちろんそういう面は確固としてありますが、私たちはむしろ国境外の領域で徴収する税は、国内的課題に使うのではなく、国際的な課題に、すなわち国際連帯税として地球規模課題に使うべきということを主張してきました。

 

今回、以前にも紹介しましたが、峰崎直樹・元財務相副大臣が本日発行の『チャランケ通信』で「27年ぶりの新税「出国税」今日施行へ、「国際連帯税」へ改組を」と題して国内観光のための出国税を批判していますので、紹介します。

 

 

【「チャランケ通信」第253号 2019年1月7日より】

 

……

27年ぶりの新税「出国税」今日施行へ、「国際連帯税」へ改組を

 

今年は、消費税の引き上げが税制問題のメイン・イッシュウとなっている。

 

あまり知られていないが「出国税」という新税が、地価税以来27年ぶりに新設され、本日1月7日から適用される。「出国税」の正式名称は「国際観光旅客税」で、日本から出国する際に一人1,000円徴収される。昨年の税制改正で法案化され、今年から適用される目的税である。

 

政府は、訪日外国人の受け入れ環境を整備することに使うとしているが、厳密な意味での目的税ではなく、一般会計に繰り入れられる。来年のオリンピックもあり、観光施設の整備が急務となっている事も導入の理由にしているようだ。今や3,000万人を突破し4,000万人を目標とする外国人観光客や出国する日本人からも徴収するわけで、税収は平年度で500~600億円に達するものと予想されている。

 

国際社会の移動から徴収する税は、国際社会に還元すべきが筋

 

問題は、かつて民主党政権時代に「国際連帯税」の一環として「航空券連帯税」の導入を提唱した経過がある。ところが、関係業界からの反対もあり外務省もODA予算が削減されるのではないか、という疑心暗鬼もあってか消極的だったため、頓挫してしまった経過がある。こちらの方は、国際社会の抱える問題に支出するための財源であり、特にフランスから始まった制度でユニット・エイドを通じてエイズやマラリア対策などへの適用が2006年度から開始され、世界13カ国にまで拡大している。

 

いまも、国際連帯税を求める国会議員連盟が活動をしているのだが、一向に進まない。航空券連帯税は、国によって違いはあるものの、ファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラスで税額が異なり、累進制が採用されている。ただ、国と国の間の徴税権は誰のものでもないのが現実で、国際社会が徴収すべきものとされている。それだけに、国際連帯税は導入した国が過渡的に徴税し、国際的な支援活動をしているNGO等に資金拠出しているわけだ。

 

今からでも遅くはない、国際連帯税への改組を提案する

 

今回日本で導入される「入国税」は、アイディアとしては航空券連帯税を剽窃したものになっているわけで、民主党政権時代に反対した業界団体はどんな理由でこの税を受け容れたのであろうか。大変疑問である。出来れば、この「入国税」を「国際連帯税」として改組し、途上国支援の目的税にしていくことを提唱したい。なんと、こうした税を最初に考えられたのは、昨年文化勲章を受章された金子宏東京大学名誉教授であり、「国際人道税」というものであった。それを、最初に作り上げたのがフランスの「国際連帯税」だったわけだ。今からでも遅くはない。「入国税」を「国際連帯税」へと改組していくべきだ。

 

さらに、今問題になっているGAFAに対するデジタル課税等も、今後国と国との間の税制として導入を検討していく必要があろう。

寺島実郎氏、国際連帯税など世界の新ルールを語る>元旦NHKラジオ

   NHKラジオ

 

元旦のNHKラジオ第1で約100分にわたり“2019巻頭言「『平成』から新時代へ~グローバル経済と民主主義の未来~」”という番組が放送され、ジャーナリストの池上彰氏と3人の専門家の討論が行われました(*)。この度オンデマンド化されWebサイトに載りましたので、それをお知らせするとともに、この番組で寺島実郎氏が国際連帯税について語っていますので、その部分を紹介します。

 

●アーカイブ:2019巻頭言「『平成』から新時代~グローバル経済と民主主義の未来~」

(⇒試聴できます。「9時台」の38:40 -11:49辺りから )

 

●寺島実郎氏の国際連帯税に関しての発言

 

※「『平成』から新時代…」の構成は、1)平成という時代を振り返りつつ、2)平成に続く新しい時代にどう向き合うか、というもの。国際連帯税発言は、2)の「今後の課題」のひとつとしての「格差・分断について」のところで行われました。

 

【鎌倉アナウンサー】今後も問われている課題としては、私たちの社会の中で拡大する格差と分断についてです。…格差が拡大する中で、進むポピュリズムは戦後世界の基軸となってきた民主主義を脅かそうとしています。ではどうすれば民主主義がこのグローバル化経済をコントロールしていくことができるのでしょうか。

 

【田中均氏】 省略

 

【寺島実郎氏】僕はやはり格差と貧困を生み出した国境を越えたマネーゲームというやつに民主主義がどういう形で新しいルール形成ができるのか、ということがこれからの時代のすごい課題だと思っています。事実世界にはその種のことの芽が動きつつあります。やはりルール形成となるとモデルになってくるのは歴史的にも欧州なんですけれど、例えばフランスなんかを中心にして、僕自身実はそれにものすごく関心をもって、日本の(各種の)委員会にかかわっているのですが、国際連帯税構想というのがあります。

 

例えば、国境を越えたマネーゲームに対して、それで恩恵を被っている人たちは広く薄く(コストを払い)責任を共有してもらおうということで、それをアフリカの熱帯感染症対策とか地球環境対策の財源を賄う。つまり、為替取引に広く薄く税金をかけて国際機関がこれを徴収する。今は税金は国家が、つまり国民国家がやることになっているのだけれど、新しい仕組みを作ろうという動きも出てきている訳です。

 

僕は日本人はもっと目線を広げて世界の新しいルール形成の流れが出てきていること(を知らなければなりません)。例えばGAFAがあまりにも力をもって来れば、デジタル課税というものが欧州で先行的に出てきています。

 

民主主義は手をこまねいてしまい、グローバル経済が抱えている問題を制御はできないのだと諦めるのではなく、知恵比べなんだと。しかも、その中で先頭に出てやろうとしている例もいっぱいあるんだ、ということを私たちはもっともっと学ばなければならない。それが僕の方向感ですね。

 

※( )内は田中が挿入

 

 

(*)2019巻頭言「『平成』から新時代~グローバル経済と民主主義の未来~」

NHKラジオ第1  1月1日(火・祝) 午前8時05分~午前9時55分

 

<番組要旨>

2019年、「平成」が終わり、新しい時代が始まる。

この30年、私たちはどんな課題に向き合い、これから、どんな道を歩もうとしているのか?

1989年に始まった「平成」では、「ベルリンの壁」が崩壊して「東西冷戦」が終結し、日本では「バブル」がはじけた。「人・モノ・金」が国境を越えて行き来する「グローバル経済」が発展する一方、「リーマン・ショック」は、金融を肥大化させる世界経済に衝撃を与えた。

「冷戦後」の世界では、同時多発テロ、イラク戦争などが相次ぎ、「テロの脅威」に直面する。さらに、イギリスの「EU離脱」や、アメリカのトランプ政権など、台頭する「ポピュリズム」は「民主主義」の理念を揺るがしている。

番組では、激動する世界と日本の歩みを踏まえ、池上彰さんと専門家たちの議論を通して、新しい時代を展望する。

 

◎出演/寺島実郎(日本総合研究所会長)、田中均(日本総研国際戦略研究所理事長)、吉見俊哉(東京大学大学院教授)、池上彰(ジャーナリスト)、進行:鎌倉千秋アナウンサー

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国際連帯税を議論し、国際的なリーダーシップを取る>河野外相

12月26日付の毎日新聞朝刊のオピニオン欄に、河野太郎外相への「(論点) 途上国支援のあり方」と題したインタビュー記事が載っており、途上国支援のあり方やODA、SDGsや国際連帯税などについて縦横無尽に語っています。SDGsと国際連帯税についての部分を紹介します。

 

 

【毎日新聞】(論点) 途上国支援のあり方 インタビュー 河野太郎・外相

 

 世界経済が減速する一方、紛争地などで人道危機が拡大する中、先進国による途上国支援のあり方が問われている。外務省の有識者懇談会は先月末、政府開発援助(ODA)の効率化のために非政府組織(NGO)の活用を盛り込んだ提言をまとめた。日本の援助外交はどうあるべきか。河野太郎外相(55)に聞く。【聞き手・福島良典】

 

◎NGO参入後押し ODAに競争原理

 

……(中略)

―貧困や飢餓の撲滅などを目指して、2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)を目標期限の30年までに達成するには資金が足りません。来年6月には大阪で主要20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれ、SDGsも議題になる見通しです。

 

[河野外相] 先進国に「援助疲れ」が見え、日本のようにODAを増やす財政上の余地がない国も多い。SDGsの達成のためには毎年約2兆5000億㌦(約280兆円)もの資金が不足すると試算されている。難民・国内避難民は第二次世界大戦後で最多の約7000万人に達し、気候変動の影響もあって自然災害も増えている。難民・避難民、被災者への人道的支援には「瞬発力」が必要だ。今までとは違う「革新的な資金調達」を行わないといけないだろう。

 

 国連総会、アジア太平洋経済協力会議(APEC)などの席上、人道支援のための「国際連帯税」を議論しようと呼びかけ、前向きな反応を得ている。グローバリゼーションの恩恵を受け「光」が当たった人たちに、それを少し「影」に分けてもらうことをお願いしてもいいのではないか、という考えだ。具体的には、世界中で行われている巨額の為替取引に対して極めて薄い税率をかけ、徴収した資金を国際機関に投入して人道支援に直接使ってもらえるようにする―などだ。為替取引に限らず、国際社会が知恵を合わせ「革新的な資金調達」のメカニズムについてさまざまなアイデアを出し合おうと提案しており、日本として国際的な議論のリーダーシップを取っていきたい。

 

◎「情け」日本のため 国民の理解求める

……(後略)

 

★写真:「外務省のODA広報ポスターの前で、途上国支援について語る河野外相=東京都千代田区で20日、藤井太郎撮影」(毎日新聞より)

 

●インフォメーション

「国際連帯税をG20大阪サミットで主要議題に」キャンペーンはじまっています! 

⇒みなさまの賛同署名をお願いします。署名は、 https://bit.ly/2DmxyVa から。

・詳細は、http://isl-forum.jp/archives/2517 をご覧ください。