国際連帯税アドバイザリー・チーム立ち上がりました!>金子宏先生も激励

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昨日(25日)日本リザルツ会議室において、「国際連帯税アドバイザリー・チーム第1回会合」(以下、チームと略)が開催され、国際連帯税議員連盟(以下、議員連盟と略)、国際機関(*)、財団、学術関係者、NGO・市民団体、企業、労働組合、外務省など各セクターを越えて50人ほどが参加しました。

 

チーム設立は、昨年11月の議員連盟の総会で決められました。したがって、チームの役割は議員連盟の活動に対してアドバイス(助言、提言)を行うというものです。が、それにとどまらず様々なセクターの創意を結集し、国際連帯税を日本で実現していくため、独自活動も射程に入れ活動していくことをめざしています。

 

第1回会合の議事ですが、まず議員連盟から、石橋通宏事務局長(参議院議員)が出席しあいさつを行うとともに、チームの役割について、具体的には「趣意書」と「規約」について提案しました。チームの目的は次の通りです(縮めて表記)。

 

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 (1) 国際連帯税の実現に向け、提言、情報発信、世論喚起に尽力すること
 (2) 議連が主催/共催する会議等に出席し、勉強会等での講師を務めること
 (3) 当面チームは、議連のもとに活動し、近い将来議連と連携しつつ独自に活動を展開していくこと

 

続いて、田中徹二・グローバル連帯税フォーラム代表理事からチームの活動について提案しました。内容は、「シンポジウムや集会への賛同と支援」「事務局設置」「理論・制度部会の設置」です。

 

両提案に対して、それぞれ議論を行い、全体の拍手で承認されました。(詳細は、後日報告します)。

 

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続いて、外務省は甲木地球規模課題総括課長が出席し、河野大臣の思いと今後の課題について報告がされました。

 

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この会合のもうひとつの目的として、昨秋文化勲章を受章した金子宏先生からごあいさつをいただくことでした。先生は体調がすぐれていないにもかかわらず、みなさんに御礼をということでご出席くださいました。先生の持論である国際人道税誕生の経緯、フランス提唱の連帯税への感想などが述べられ、「今後とも及ばずながら国際連帯税実現に向けみなさんとともにがんばっていきたい」と表明されました。

 

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また、金子先生の朋友ともいえる津島雄二元厚生大臣(議員連盟初代会長)も出席され、ごあいさつされました。実はお二人とも1930年生まれでして、88~89歳というご高齢ですが、国際連帯税実現への思いは強く頭が下がります。

 

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ともあれ、チームはこれで発足しましたので、ご関心のある人はぜひチームにご参加ください。

 

(*)国際機関からはオブザーバーを含み、以下の方々が出席されました。
ユニセフ(UNICEF)、国連開発計画(UNDP)、国際労働機関(ILO)、国連世界食糧計画(WFP)、国連広報センター、国連UNHCR(難民高等弁務官事務所)協会、ユニットエイド(UITAID:国際医薬品購入ファシリティ)

「議長国として“国際連帯税”導入へ議論をリードしていきたい」河野外相

河野外務大臣は2月23日、日本青年会議所主催の「JCI(国際青年会議所)金沢会議」へ出席し基調講演を行いました。その内容についてNHKテレビや共同通信が報道していますので、紹介します。

 

講演の後段、次のように発言しました。「河野大臣は、ことし日本が開発のための資金調達の方法などについて話し合う国際会議の議長国になったことを紹介し、為替取引など国際的な経済活動に課税して温暖化対策などの財源に充てる『国際連帯税』の導入に向け、議論をリードしていきたいという考えを示しました」、と。ここでの「国際会議の議長国」とは、国際連帯税など革新的資金調達政策を率先して進めていこうという政府間のグループ、つまり「開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ」(2006年設立、常設事務局はフランス外務省)の議長国に日本がなった、ということです。

 

ともあれ、青年会議所に参加する全国の青年経営者は、SDGsと為替取引税など国際連帯税の必要性を心底理解してくれたらうれしいですね。

 

 

【NHK】河野外相 国連のSDGs達成に中小企業の協力呼びかけ

 

河野外務大臣は金沢市で講演し、世界の貧困や格差の撲滅などを目指す国連の「SDGs」=(エスディージーズ)「持続可能な開発目標」を達成するためには、政府だけの取り組みでは限界があるとして、中小企業や民間団体に協力を呼びかけました。

 

この中で河野外務大臣は、世界の貧困や格差の撲滅などを目指す国連の「SDGs」=「持続可能な開発目標」について「世界中の誰ひとり取り残すことなく発展しようというのがSDGsの考え方で、日本が提唱してきた考え方とぴったり合っている。だからこそ、日本がリーダーシップをとる価値がある」と述べました。

 

そのうえで、日本の中小企業が発展途上国で浄水ビジネスに取り組み現地の雇用も生み出している例などを挙げ、政府だけの取り組みでは限界があるとして、中小企業や民間団体にも協力を呼びかけました。

 

また、河野大臣は、ことし日本が開発のための資金調達の方法などについて話し合う国際会議の議長国になったことを紹介し、為替取引など国際的な経済活動に課税して温暖化対策などの財源に充てる「国際連帯税」の導入に向け、議論をリードしていきたいという考えを示しました。

 

【共同通信】SDGs実現へ呼び掛け JCI金沢会議、河野外相が講演

【外務省】河野外務大臣の日本青年会議所主催の「JCI金沢会議」への出席

 

★写真は、JCI金沢会議のもよう(外務省HPより)

 

金融取引税は近年になく現実的である可能性>米第116回議会で

米国では1月から第116回連邦議会が行われていますが、与野党の溝は深くて新たな経済法案を成立させることがとても難しくなっています。そういう中で与野党双方が歩み寄りやすい政策のひとつとして(老朽化が甚だしい)インフラストラクチャーへの投資がある、と指摘されています。

 

そのインフラ投資の財源に金融取引税(FTT)を充ててはどうか、という提案が出されています。FTTであれば共和、民主の両党も乗りやすく、したがってかなり現実性のある政策ではないか、というのです。提案者は、K&L Gatesという国際的な業務も行っている米国の法律事務所のメンバーです(東京にも事務所あり)。内容を見てみましょう。

 

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インフラ投資には1兆ドル程度の資金が必要だが、財政的には厳しいので、株式・債券取引への課税によって資金を作ることができ、その実現性はある(というのがまずもってK&L Gates側の見立て)。理由は以下の通り。

 

1)たいへん低いFTTレートでもすごく税収を上げることができること
 ⇒毎日大量の取引があり、広大なタックスベースがある。株式取引の0.5%、債券取引の0.1%、デリバティブ取引の0.005%という税率で、10年間に5000億ドル~1兆ドルの税収が見込まれる。

 

2)FTTは(税が取られても)見えにくいこと
 ⇒最初は取引を行う仲介者によって税が支払われるので、投資家はごく少額の請求には気づかないだろう。

 

3)FTTはユーザー料金と呼ぶことができること
 ⇒FTTを伝統的な税金ではなくユーザー料金(金融機関を使う利用料)として構想すると、そのような料金は共和党にとって受け入れやすくなる。FTTが適切に記述されていれば、FTTを超党派的に支援する機会ができる。

 

4)FTTはすでに米国でおよび世界中で存在していること
 ⇒米国は年間約15億ドルを証券取引委員会(SEC)に手数料として払っており(100万ドルあたり13ドル、0.0013%の課金)、オーストラリア、ドイツ、インド、韓国などの他の国でも存在している。

 

5)FTTはメインストリートを舗装するために(インフラ整備の意?)ウォールストリートに払わせる方法であること
 ⇒FTTの収益はインフラ開発などの超党派的政策を推進するためにも使用できる。両党もアメリカのインフラを活性化させることには興味を持っているが、それの資金提供の方法で違いがある。従って、FTTの収益をインフラに分配することは双方にとって非常に魅力的になる。

 

結論として、このように考えるとFTTがこの第116回議会で、近来になく現実的に使える可能性ある、ということです。

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原文:【JD Supra】Will a Financial Transaction Tax Be Used to Pay for Infrastructure?

 

【寸 評】
1)FTTについては、当然ウォールストリートからの猛烈な反発が出ると思うので、共和党がこれに耐えうるかは疑問なしとしませんので(ウォールストリートからの政治献金は民主党にも相当流れている)、実現性という点からいえばどうでしょうか。とはいえ、トランプ大統領の公約であるインフラ投資が財政難のため手を付けることができないでいるという点に着眼したのは面白いですね。

 

2)またFTT提案が、このような大手弁護士事務所から出されることも意義があると思います。

 

3)さらにこうした米国でのFTT議論の盛り上がりが、欧州のFTT計画にも跳ね返り少なくとも10か国での実施に弾みがつくこと、そしてそれが日本にも押し寄せ議論が高まることを期待します(日本では連帯税として)。