国際課税に関するタスクフォース>ウール政務参事官(仏大使館)に聞く

仏大使館と③    仏大使館と②

 

去る12月22日、COP28でフランスなどが立ち上げた「開発・気候のための国際課税に関するタスクフォース」(以下TF)について、国際連帯税創設を求める議員連盟(以下議連)事務局がフランス大使館のマリー・ウール政務参事官を招いてヒアリングを行いました。当フォーラムも参加させてもらいましたので、ヒアリングのもようを報告します。

 

◎議連事務局からは、石橋通宏幹事長(参議院議員)、田島麻衣子事務局長(参議院議員)が出席。

 

【マリー・ウール政務参事官からの報告(見出しは当フォーラム)

 

 ●2023年6月のパリサミットでTFが提案され、COP28の場で立ち上げられた

 

背景として、22年のCOP27での議論を踏まえ、途上国が開発と気候のために闘うにあたり、どちらかを選ばなければならない国があってはならないということで、本年6月パリで新グローバル金融協定サミットを開催し、より多くの資金を投入する金融刺激策を議論した。日本からは林芳正外相(当時)に参加してもらった。そこでは国際金融機関(IFIs)改革や民間資金の動員、そして国際課税について議論され、後者についてTF設置の必要性が提案された。

 

また、9月に開催された「第1回アフリカ気候サミット」(共催:アフリカ連合とケニア)でも上記内容が提案され、従って、フランスのマクロン大統領とケニアのルト大統領の両者によりTFの設立が呼びかけられた。

 

TFの目的と参加国

<目的>

 ①現在の公的資金に加え、新規で追加的な、かつ予測可能な財源を拡大する

 ②汚染者に価格シグナルを発し、温室効果ガスの排出量を抑制する

 ③国際連帯の精神に基づき、環境コストをより衡平に負担する

なお、国際金融機関(IFIs)の改革等はTFで議論せず(OECD内で推進)

 

<現在の参加予定国>

フランス、ケニヤ、スペイン、バルバドス、アンティグアバーブーダ、オブザーバーとしてアフリカ連合と欧州委員会

 

●TFの制度設計とタイムテーブル

<TFの機能>

 ①参加国の首脳級会合:年に1回開催

 ②運営委員会(参加国のシェルパ) :6週間に1回開催

 ③専門家諮問委員会

 ④事務局:欧州気候基金(ECF)とアフリカの機関

 

<タイムテーブル>

まず24年1月に第1回運営委員会を開催し、諮問委員会の専門家を指名する。詳細はこれからで、COP30を目途に内容を具体化し、実施については国際機関で協議する。

 

【質 疑】

*<議連>TF参加を各国政府に呼び掛けているのか?日本政府には?

⇒<ウール氏>日本を含めG7、G20政府には参加要請済み。日本政府からはまだ前向きの回答は得ていない。

 

*日本から専門家を推薦することは可能か?以前、2010年の仏クシュネル外相時、(国際連帯税のための)金融取引税に関する専門家委員会が組織され、日本からも当時千葉大学の上村雄彦さんが加わっている(注)。

⇒それは可能だ。

 

*議連として、上川外務大臣に「SDGs達成のための新しい資金調達を考える有識者懇談会」設置を要求することになっているが、併せて日本政府がTFに参加するよう強力に要請していきたい。

⇒それはたいへんありがたい。ぜひよろしくお願いしたい。

 

(注)「国際的な金融取引と開発に関するタスクフォース」専門家委員会報告書

 

◎TFの正式名: The Taskforce on International Taxation to Scale Up Development, Climate, and Nature Action  

 

◎TF設立に関する報道:

【ft】Climate finance: Perhaps the money is there, after all

 

【lemonde】COP28: Fossil fuel taxation at the heart of the battle to finance climate transition

 

【CHNews】France, Kenya set to launch Cop28 coalition for global taxes to fund climate action

 

グローバル連帯税フォーラムへの冬季資金支援のお願い  

年の瀬も押し迫ってまいりましたが、みなさまにおかれましてはお元気でお過ごしのことと存じます。今年も何かとたいへんな1年でしたが、グローバル連帯税フォーラムとしてはここ2年ほどの活動停滞を何とか打ち破り、飛躍の2024年を迎えようとしています。つきましては、来年の私たちの活動を支えていただけるよう、資金支援(カンパ)を訴えるものです。

 

本年の当フォーラムの活動ですが、先日「国際連帯税創設を求める議員連盟」の総会が2年8か月ぶりに開催され、今後の方針を決めることができました。やはり国会議員さんたちが動いてくれると官庁の対応が断然違います。当日外務省、財務省、国交省(観光庁)の方々が参加してくれました。

 

また、国際的にもフランスが軸となり、先のCOP28で「開発・気候・自然のための国際税タスクフォース」が立ち上がり、同 組織は他の政府等の参加を呼び掛けています。従って、日本政府もぜひ参加していただきたいと思うところですが、フランス政府としてそうした呼びかけを行っているのかどうかにつき、近々駐日フランス大使館側とのヒアリングを持つ予定です。

 

このようにようやく国際連帯税実現に向けての環境が整いつつあります。残念ながら今年は次年度の税制改正に結び付きませんが、来年にはフォーラムの活動をいっそ活発化させ、次々年度の税制改正にぜひとも結び付け、連帯税が実現できるよう頑張っていきたいと思います。そのための資金支援(カンパ)の方ぜひよろしくお願いします。なお、会員になっていただき会費を納入するという形でも結構です(会費は、個人一口3000円/年、団体一口10000円/年 となります)。

 

※資金支援、会費納入のお振り込み先は次の通りです。振り込みにあたっては、資金支援(カンパ)か会費かをお書きの上、gtaxftt@gmail.com までご一報くださると助かります。

 

【お振り込み先】

■銀行口座: みずほ銀行 築地支店(支店番号015)

       普通 2698313

■口座名義: 国際連帯税フォーラム

 

※写真は、ちょうど10年前のクリスチャン・マセ駐日フランス大使をお招きしての国際連帯税勉強会(2013年12月)

 

 

「結局資金はある」国際課税タスクフォースに関するFT記事

この間「開発・気候・自然のための国際課税タスクフォース(TF)」立ち上げをお知らせしていますが、これにつきフィナンシャル・タイムズ(FT)電子版がたいへん参考になる記事を配信していますので、紹介します。

 

­【FT電子版】気候変動資金:結局、資金はあるのだ

新組織は化石燃料や他のセクターへの課税を検討する

Simon Mundy and Patrick Temple-West DECEMBER 7 2023

 

ここドバイで開催されたCOP28で議論された、気候変動対策に必要な金額に関する数字の一部は、信じられないほど膨大であるように思えた。たとえば、発展途上国の気候変動への適応に必要な資金は、年間約3,000億ドルです。

 

しかし、他に大きなものがあることをご存知ですか? 石油・ガス業界の利益です。この金額は昨年4 兆ドルに達し、適応費用の10倍以上を賄うのに十分な額です。

 

以下に私が書いているように、化石燃料やその他の経済分野に的を絞った税金を利用して、気候変動資金のギャップを埋めるための潜在的に強力かつ洗練されたアプローチの機運が高まっています。

 

…中略…

 

2015年のパリ協定の主要な立案者であるフランスの経済学者、ローレンス・トゥビアナ氏は昨日、新たに「開発、気候、自然への取り組みを拡大するための国際課税に関するタスクフォース」立ち上げの記者会見を行いました。

 

トゥビアナ氏は、よりスマートな名称を検討中とのことだが、この新しい取り組みにはすでにアンティグア・バーブーダ、バルバドス、フランス、ケニア、スペインから正式な政府の承認が得られており、欧州委員会もオブザーバーとして参加している。

 

その目的は、発展途上国におけるグリーンで気候変動に強い投資に資金調達のために、対象を絞った国際課税を主張することです。このアジェンダは学者や活動家の間で長年渦巻いており、これまでのところ経済的影響は限定的です。

 

「これは完全なタブーだった議論を始めるというものです」とトゥビアナ氏は語った。彼女は、化石燃料補助金が年間7兆ドルに達し、石油・ガス産業の利益4兆ドルの利益を支えている一方で、気候変動によって「多くの国々で莫大な富と福祉が失われ、その(喪失を賄う)ための資金がない」という世界の不条理を強調しました。

 

この新しいイニシアティブでは、化石燃料会社、航空、金融取引など、さまざまな産業や経済活動に対する税金から気候変動資金を調達する可能性を検討します。これは、9 月にナイロビで開催されたアフリカ気候サミットでのアフリカの政府首脳による画期的な声明に続くもので、「化石燃料取引、海上輸送、航空に対する炭素税を含む世界的な炭素税体制、さらに世界的な金融取引税によって強化される可能性もある」と呼びかけています。

 

気候変動関連の国際援助への支出を増やそうとしている富裕国政府が直面する国内の政治的障害について考慮しなければなりません。直感的に言って、先進国の低・中所得者層は生活費の上昇に神経をとがらせており、新たな税金や国家予算への負担増を警戒しているからです。

 

一方、これらの国の比較的少数の人々は、富の不平等の大幅な拡大と歴史的基準から見て非常に低い税負担の恩恵を受けています。

 

­­­­­­­­­­…中略…

 

17世紀のフランスの政治家ジャン・バティスト・コルベールは、課税を、最小のシュー音で最大量の羽毛を確保するためにガチョウの羽をむしる技術(注:生きているガチョウを騒がせずに、その羽をできるだけ多くむしり採ること)と呼んだことで有名です。バルバドスのミア・モトリー首相の有力な財政特使であるAvinash Persaud氏は、この取り組みも同じ論理に従っていると述べました。

 

同氏は「経済活動に最も控えめなタッチができる場所を探す必要があります」と述べました。

検討されるべき選択肢のひとつは、国連事務総長のアントニオ・グテーレスがすでに要求しているように、一定水準以上の石油やガスの利益に対する棚ぼた税が検討されるべき選択肢のひとつです。もうひとつは、すべての石油バレルと単位量の化石ガスに課税する方法です。

 

「最も貧しく脆弱な人々が洪水や干ばつに見舞われる一方で、石油・ガス部門は4兆ドルの利益を上げているという二律背反は、グロテスクな二律背反である」とPersaud氏は言いました。

 

新組織は航空分野にも目を向けますが、年に一度休暇をとる家族ではなく、最も裕福な旅行者に焦点を当てています。ケニアのウィリアム・ルト大統領の気候変動特使であるアリ・モハメド氏は、企業や富裕層がビジネスクラスやファーストクラスの航空券に毎年巨額を費やしていることを指摘しました。

 

モハメド氏は、これらの航空券に控えめな税金を課しても、購入者にとっては「大きな違いにはならない」が、「ケニアのような発展途上国を支援するのに十分な資金を調達する絶好の機会になるだろう」と述べました。

 

アナリストたちはまた、プライベートジェットへの新たな課税や、毎年一定回数以上のフライトを利用する個人への課税も提案しています。

 

検討すべきその他の分野には、金融取引に対する新たな課税や、非常に高いレベルの富や所得に対する少額の課税が含まれます。また、6月に開催された注目の金融サミットでフランス政府が支持を集めようとした、海運からの炭素排出に対する課税もあります。

 

課税タスクフォースの背後にある指針は、これらの課税は主に経済的に余裕のある人々の負担で賄われ、先進国の低所得者や中所得者にはほとんど影響を及ぼさないというものです。しかし、巻き添え被害を警告する批評家に直面することは間違いありません。

 

石油会社は、自分たちの業界に新たな税金を課せば、家庭用エネルギー価格の上昇につながると主張するでしょう。そして、新たな金融取引税の影響は最も裕福な人々に不釣り合いにかかるだろうし、一般の労働者の年金受給額への打撃も避けるのは難しいと(主張するでしょう)。

 

しかし、かつてステート・ストリート銀行やJPモルガンの調査部門を率いていたPersaud氏は、この考えは思っているほど急進的なものではないと主張した。

 

「元銀行員として、以前の同僚から『ああ、これらのことは素晴らしいアイデアだけど、実行するのは不可能だ』とよく言われます」と彼は言う。

 

「そうですね、すでに金融取引税から毎年300億ドルが調達されていますが、私たちはそれらを広げる必要があります。米国議会はメタン漏洩税を可決しました。私たちはそれを世界規模にする必要があります。 [EU] には収益を増やす炭素国境調整メカニズムがすでにあります。私たちはこれらの収益を発展途上国に送金する必要があります...必要な数字を達成するために、活用できるポイントはたくさんあります。」

 

トゥビアナは、現在の政治環境において、このアジェンダは非現実的なものではないと付け加えました。

 

「プライベートジェット?さあ」と彼女は言いました。「かなりうまくいくと思いますよ。」

 

【原文】

Climate finance: Perhaps the money is there, after all

 

 

【info:求む、グローバル連帯税フォーラムの会員】

当フォーラムの活動は主に会員の会費で賄っています。個人会員は一口3,000円/年、団体会員は一口10,000円/年です。会員になってもよいという個人・団体は、お名前(団体名)と所属(役職)をお書きの上、gtaxftt@gmail.com まで連絡ください。よろしくお願いします。  

 

 

国際連帯税議員連盟の総会開催>外相への要請等今後の方針決める  

議員連盟総会 2023-12-07

  

 議連③

 

12月7日午前8時より参議院議員会館会議室において、国際連帯税創設を求める議員連盟の「2023年第1回総会」が開催され、今後の方針を決めました。出席した国会議員は5人と秘書の方々。市民側は10人を超えて参加がありました。

 

総会冒頭、議連の初代会長であった津島雄二先生のご逝去に対し黙とうを行いました。衛藤征士郎会長(自民、衆議院)のあいさつの後、早速議事に入りました。最初は、「2023年役員体制の確認」ということで、田島麻衣子(立憲、参議院)が事務局次長に就任されました。

 

会計報告の後、外務省国際協力局地球規模課題担当審議官の北村俊博さんから「令和6年度税制改正要望における国際連帯税の扱い」に関して報告。これまでの経緯と資金創出の現状についての説明はあったものの「令和6年度での国際連帯税要望をなぜ見送ったのか」という議連側の問いに対し十分納得する説明はありませんでした。コロナ禍に引き続くウクライナ戦争やインフレなどを挙げていまして、要するに日本経済が厳しいからというのが理由?のようです。次に、財務省、観光庁から国際観光旅客税の収支状況について報告がありました。

 

続いて、グローバル連帯税フォーラムの田中徹二氏から「国際連帯税をとりまく最新動向」について報告。①今日国際社会で二度目の国際連帯税創設の機運が高まっていること、②それはつい最近フランスやケニア等の参加による「開発・気候のための国際課税タスクフォース」が立ち上がったことに現れており、日本政府もこのタスクフォースに参加すべき、③2019年に設置された外務省「SDGs新資金を考える有識者会合」は当初の税制を検討するから民間資金検討に変質したので、2度目の有識者会議が必要、というもの(*)。

 

その後、一定の議論を行い、石橋通宏事務局長から以下の3点を今後の活動方針として提案され、承認されました。①上川外務大臣に対し国際連帯税に関する諮問委員会を作るよう申し入れを行うこと、②タスクフォースの動きもあるので駐日フランス大使館と意見交換を行うこと、③これまで議員立法の検討も進めてきたがこれを継続すること、です。最後に衛藤会長より、上川外務大臣への申し入れにつき早速行っていこうとの力強い言葉があり、緊急の議員連盟総会を終了しました。

 

(*)「国際連帯税をとりまく最新動向」

 

※写真左は、10人を超えて参加した市民側の人たち

開発・気候のための国際課税タスクフォース>COP28で立上がる

COP28モトリー

 

11月30日よりCOP28がはじまりましたが、当フォーラムが注目していた次の2つのテーマが開催間もなく決定に至りました。それは、1)「損失・損害基金」立上げが決議されたこと(規模や制度の詳細は今後になりますが)、2)マクロン大統領が公表していた「開発・気候のための国際課税タスクフォース」が開催3日目で発足したこと、です。以下、後者について報告します。

 

●国際課税タスクフォースの構成と役割

 

正式名:「開発、気候、自然の資金調達のための国際課税に関するタスクフォース」

参加国:フランス、ケニア、スペイン、バルバドス、アンティグア・バーブーダならびにアフリカ連合と欧州委員会(オブザーバー)

事務局:欧州気候財団と新パートナー

役割と目的:最も温室効果ガスを排出しつつも低税率の経済セクターへの課税、例えば炭素税、金融取引税、海上・航空輸送税などに基づく革新的な資金調達手段を特定する任務を負う。

この新しい世界税の目的は、開発、自然保護、気候の3つの課題に対応するための追加資金を動員すること

次のステップ

  ・2024年初めに専門家を特定

  ・COP29に作業内容を提示

  ・2025年のブラジルが議長の下のCOP30までに具体的な提案をまとめる  

 

●欧州気候財団CEOのローレンス・トゥビアナさんのコメント

 

事務局となる欧州気候財団(ECF)のCEOはローレンス・トゥビアナさんで、彼女はCOP21での議長国フランスの気候変動交渉担当大使を務め、歴史的な「パリ協定」の策定に主要な役割を果たした人です。そのトゥビアナさんがECFとして事務局を担うにあたり、次のようにコメントしています。

 

私は、フランス、ケニア、バルバドスその他の国々の指導者が「開発と気候変動対策を強化するための国際課税に関するタスクフォース」を立ち上げたことを心から歓迎します。気候変動と貧困との戦いを支援するために追加資金を調達するための大きな一歩です。

 

その目標は、包括的かつ公平な方法で追加的な資金を調達する可能性のある課税オプションを特定するために、力を合わせて取り組む意思のある国々を集めることです。開発途上国に負担を強いることなく、いかなる悪影響も緩和されるようにします。

 

欧州気候財団は事務局として、公平性と包括性を議論の中心に据え、解決策が最も脆弱な国のニーズを満たすことを保証します。私たちは事務局が多様性に富み、必要とされている専門知識に基づいて世界中のすべての地域を代表するよう努めます(以上、彼女の「X」投稿より)

 

なお、バルバドスのモトリー首相も12月1日のセッション、World Climate Action Summit – Transforming Climate Financeで国際課税について以下の通り発言しています。「石油とガスから 2,000 億ドル、国際海運から 700 億ドル、国際航空旅客からさらに 400 ~ 500 億ドル、そして金融取引税を徴収すると、私たちは損失・損害のためだけでなく、回復力を構築するための専用の資金源を手に入れることができます」(*)。

 

●(付録)「パリ平和フォーラム」でのトゥビアナさんのアピール

 

以下は、11月10-11日開催された「パリ平和フォーラム」の冒頭セッション、「『人と地球のためのパリ協定』の実現」でのトゥビアナさんのアピールを紹介します。

 

マクロン大統領:

数ヶ月前にパリで言及した国際課税(international taxation)へのコミットメントについてはナイロビ気候サミットでルト大統領によって取り上げられましたが、その意義についてトゥビアナさんから報告していただきます。

 

ローレンス・トゥビアナ:

大統領、発言の機会を与えていただきありがとうございます。私たちは気候変動に対する財源を劇的に増加させていく必要があります。それは発展途上国・貧弱国をサポートし、各国の二酸化炭素削減への移行、強靭な経済の実現のために、です。

 

この会場におられる各国のみなさまがともに「ロスアンドダメージ(損失と損害)」の問題を含め気候変動の弊害の問題に取り組む必要があり、そのためにはより多くの資金を要しますし、まさに喫緊の問題でもあります。

 

国際課税の話については、各国同士の連携や実施の難しさから、多くの国でタブーであるとされていますが、気候変動の対策資金として新しい税を実現すべきときなのです。国際課税は化石燃料の会社など最も環境を汚染している産業などにも対応し、(税のほかに産出を削減する効果もあり)気候変動に対する具体的な解決策となります。

 

フランスとケニアは気候変動の対策としての国際課税について、タスクフォースを始めました。これはきわめて前向きな解決策であり、多くの国々にとってよい機会となるでしょう。COP28は共同でこれらに取り組むことができるのではないでしょうか、これらは国際社会全体のグローバルシステムにいっそうの公平性もたらす策となります。

 

最後に、フロアのみなさまに訴えます。国際課税への理解を深め、国際課税に対するタブーの意識がなくしましょう!

 

マクロン大統領:

トゥビアナさん、報告ありがとうございました。加えて一言申し上げます。気候変動対策において、G20は改革とともにより具体的なアクションを続けていく必要があります。私が最も主張したいのは、今日会場に集まったようなNGOなどのLocal actor(地域のアクター)を支援することが重要であり、今後も続けていく必要があると思います。このことは、私たちが気候資金とともに取り組まなくてはいけないアジェンダなのです。

 

(*) https://youtu.be/dqUoK7WAwzc

(**)https://youtu.be/pr27my-uJvo 

 

※写真:左はパリ平和フォーラムのもよう、中は12月1日のCOP28での World Climate Action Summit – Transforming Climate Finance セッションのもよう(フランス・コロンビア・ケニア・ガーナの各大統領、バルバドス・英国の各首相が参加)