『世界』11月号での寺島実郎氏の論考=米大統領選と金融取引税

世界11月号

 

米国大統領選挙も第3回目のテレビ討論会を終え、いよいよ2週間後に投票となりました。この大統領選挙のもつ今日的、あるいは時代的意義は何なのか? このことにつき月刊誌『世界』11月号(岩波書店)で、寺島実郎氏が「2016年米大統領選挙の深層課題―民主主義は資本主義を制御できるか」と題し、縦横無尽に語っています。

 

「格差と貧困」をもたらす「経済の金融化」をいかに制御するか―欧州金融取引税に注目

 

タイトルにもあるように、氏の論考は大統領選挙だけではなく今日の資本主義の本質的課題も展開しています。超簡単にまとめてみます。

 

「…この民主主義と資本主義の緊張関係のバランスが近現代史の主題であった」が、80年代から冷戦終焉以降、「新自由主義」の名のもとに、とくに金融資本が肥大化し、「…健全な経済社会へと制動をかける力(注:民主主義のこと)を失ったかに見える」。

 

ところが、「資本主義の総本山たる米国の大統領選挙」で両候補とも、今や「新自由主義からの決別を語っている」(TPP見直し・反対、グラス・スティーガル法の復活など)。両候補が「どこまで本気かは別にして」資本主義改革に触れざるをえないほど、資本主義の変質は顕著であり、これに対して米国の民主主義が機能するかどうか注目される。

 

「『経済の金融化』が進む21世紀資本主義の変質と民主政治に齟齬が生じ格差と貧困を増幅させていることは、欧州においても政治の中心課題に浮上しており、BREXIT後の英国を率いることになったメイ首相も…『資本主義改革』…を強調している」。

 

「今や実体経済の4倍を超すまでに肥大化した金融資産…、ICTで武装した金融工学の進化により制御不可能とさえ思われるマネーゲームの自己増殖をいかに人間社会のあるべき仕組みにおいてコントロールできるか、それこそが格差と貧困を克服する起点であり、新しい公正な政策科学が求められている。EU10カ国が進める金融取引税の導入など国際連帯税の動きが重要になる」。

 

「おそらく、この『資本主義改革』という世界的テーマがまったく自覚できていないのが日本であろう。…産業活動や家計消費など実体経済は動かず、(エスカレートする日銀の異次元金融緩和など)金融政策に過剰依存した経済政策が展開されているのである」。<以下、省略>

【ご案内】院内勉強会:国際的な税逃れの実態と対策を考える

来る10月27日、英国のタックス・ジャステス・ネットワーク代表のジョン・クリステンセン氏の来日を記念して、下記の通り国会議員向けの院内勉強会を開催します。これには市民も参加(傍聴)できますので、参加希望者は次の注意事項を確認の上ご連絡ください。

 

  ・15分前までに衆議院議員第一議員会館にお越しくださり、通行証を受け取り下さい。
  ・この勉強会は国会議員向けのものですので、発言の機会がない場合もあります。

 

●参加申込み:「院内勉強会参加希望」とお書きの上、info@isl-forum.jp から申込みください。

 

<院内勉強会の呼びかけ>

 

                      ジョン・クリステンセン氏来日記念・院内勉強会
           「パナマ文書問題~国際的な税逃れの実態と対策を考える」

 

日頃のご活躍に心より敬意を表します。

 

この間パナマ文書やバハマリークが流出し、世界の大企業や富裕層のみならず著名な政治家などが、タックスヘイブン(租税回避地)を利用して税金逃れや財産隠しをしている実態の一部が明らかにされました。

 

現在OECD(経済協力開発機構)やG20は、スターバックスやアップルなど世界的大企業の税逃れの発覚を機に取り組みを強め、BEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトなどの実施が始まっています(これらをOECD租税委員会議長としてけん引してきたのが浅川財務省財務官でした)。

 

一部大企業や富裕層が税逃れを図れば、もっぱら課税が一般市民に押し付けられることになり、著しい税の不公平を招くとともに公正であるべき税制を歪めてしまいます。同時に民主主義国家の根幹を崩すことになり、このような税逃れを決して許してはなりません。

 

この度、タックスヘイブン問題を先駆的に取り組んできた国際的な市民団体「タックス・ジャステス・ネットワーク」代表のジョン・クリステンセン氏が英国から来日されます。これを機会に是非とも国会議員のみなさまとともにタックスヘイブン問題についての勉強会を持ち、ともに考えていきたいと思います。ご多忙とは存じますがぜひご参加くださるよう願います。

 

【呼びかけ人】
    林  芳正(参議院議員・自民党)      古川 元久(衆議院議員・民進党)
    斉藤 鉄夫(衆議院議員・公明党)  大門実紀史(参議院議員・共産党)
    福島 瑞穂(参議院議員・社民党)  山本 太郎(参議院議員・自由党)

 

                                                  
日  時: 10月27日(木)17:00-18:00
場  所: 衆議院議員第一議員会館 第2会議室

 

共催:グローバル連帯税フォーラム、公正な税制を求める市民連絡会、PSI(国際公務労連)東京事務所 
           連絡先:090-8044-3873(担当:青葉)