「『出国税』国際貢献に生かせ」>上村雄彦横浜市大教授の提言

18年度税制改正において唐突に決まってしまった感のある「出国税(国際観光旅客税)」ですが、上村雄彦横浜市大教授が「『出国税』国際貢献に生かせ」と題した論考を、113日付の北海道新聞に掲載しましたので、紹介します。

 

ところで、出国税(国際観光旅客税)は201917日から実施され(331日までで60億円の税収見込み)、本格実施は19年度から(1941日~20331日)となり400億円の税収を見込んでいます。この本格実施での使途は(基本方針はあるとはいえ)具体的に決まっていません。従って、本格実施に至る過程で、(税収の半分あるいは一部を)国際連帯税的要素へと使途を変更・修正することは十分可能です。

 

■国際観光旅客税(仮称)の使途に関する基本方針等について

(平成291222観光立国推進閣僚会議決定

 

 

 

「出国税」上村①

「出国税」上村②

 

 

 

どっこい欧州金融取引税死なず:ドイツ大連立交渉合意にFTTも

大連立に向け協議が続いていたドイツのメルケル首相側(CDU・CSU)とシュルツ党首側(SPD)とがようやく12日に「大連立政権継続のため政権協定交渉入りを目指す方針で合意」(13日付毎日新聞)しました。まだ下記のようにSPD側の組織上の理由により本格的な「政権協定交渉入り」ができるかどうかは流動的ですが。

 

ともあれ、(本格交渉入り前の)合意内容のハイライトがブルームバーグ電子版に載っていますので紹介します。米系インターネット企業への「公正な課税」を求めることや、実質的な欧州金融取引税(FTT)の導入を目指すこと等、実に興味あり、ですね。

 

欧州FTTについては、昨年9月のマクロン仏大統領の「欧州FTT再起動発言」や同12月の仏4閣僚による「気候変動対策のための資金調達として欧州FTT発言」にもあるように、FTT議論は欧州ではまだまだ健在です。1日も早い独仏連携による欧州(または10カ国)FTTの実施に向けて再度具体的に動き出すことが望まれています。

 

Agreement Highlights(合意されたうちのハイライト部分)

 

 ・Pledges not to increase overall tax burden on citizens
 (市民全体の税負担を増やさないことを約束する)

 

 ・Prepared to contribute more to EU budget
 (EUの予算にもっと貢献することを準備する)

 

 ・Calls for “fair taxation” for Internet companies such as Google,Apple and Amazon
 (グーグル、アップル、アマゾンなどのインターネット企業への「公正な課税」を求める)

 

 ・Targets introduction of substantial European financial transaction tax
 (実質的な欧州金融取引税の導入を目指す)

 

 ・Wants building of nationwide Gigabit network by 2025
 (2025年までに全国規模のギガビットネットワークの構築を望む)

 

 ・May increase clean power share to 65% from 38%
 (クリーンな電力シェアを38%から65%に増やすことができる)

 

 ・Plans to subsidize construction of 1.5 million new apartments
 (150万戸の新規アパート建設を補助する計画を立てる)

 

【bloomberg】Merkel’s Bid to End German Gridlock Hangs on Key SPD Vote

 

とはいえ、SPD(社民党)内では、党青年部や左派の大連立反対論が強く、今後政権協定交渉入りが承認されるか、されたとしても実際政権参加するかどうか、まだまだ紆余曲折がありそうな気配です。

【ご紹介】12.3シンポジウム報告:二つのメディアから

Japan Journalist Conference 

 

 昨年123日に開催されたシンポジウム「「税と正義/パラダイス文書、グローバル・タックス、税制改正」について、日本ジャーナリスト会議の機関紙や社会新報に掲載されましたので紹介します。

 

◎日本ジャーナリスト会議 「コラム 編集長EYE タックスヘイブン三つの問題点」(171225日)

⇒上の記事をクリックすると拡大してご覧いただけます。

 

◎社会新報 「グローバル・タックスは新しいガバナンス」(1811日)

 

なお、シンポジウム全体の文字起こしをしておりますが、まだたいして進んでいません。もうしばらくお待ちください。