「ワールドワイドFTTコール」イニシアチブ>金融取引に課税を!

汎アフリカ議会議長     ローレンス・津美穴

フォーチュン・チャルムビラ氏       ローレンス・トゥビアナ氏

 

●気候変動対策資金のため欧州・アフリカ等でFTT要求署名行われる

 

先にCOP27での「損失と被害(L&D)」など気候変動対策資金創設のため、ピエール・ラルートゥルー欧州議会議員、フォーチュン・チャルムビラ汎アフリカ議会議長、ローレンス・トゥビアナ欧州気候基金理事長などが金融取引税(FTT:Financial Transaction Tax)の創設を訴える書簡を仏紙『ルモンド』に発表したことをお知らせしました(注1)。

 

その後、前記の3人を含む10人による呼びかけで、「気候変動対策資金を調達するために、今こそ投機への課税を」という署名活動が行われました(注2 10人の名前は下記に)。この署名には、欧州連合11ヵ国の欧州議会議員ならびにアフリカ、アジア、ラテンアメリカの 20 カ国の国会議員の計65 人が名を連ねました。ほかに気候科学者、NGO、政治家、宗教者なども署名しています。宗教者と言えば、上智大学の副学長でもあったジャン=クロード・オロリッシュ枢機卿兼ルクセンブルク大司教も署名しています。

 

署名内容は次の通りです。

 *グローバル・サウス(南の国々)への気候変動による損失と     損害等に対処するために、圧倒的に足りない「お金」が問題の核心であること

 *その資金調達のために過剰なほどの水準にある金融取引への課税が有効であること

 *欧州レベルで0.1%という税率で570億ユーロの税収が得られ、その収益の大部分を欧州とアフリカにおける気候変動対策に直接振り向けること

 

●「ワールドワイドFTTコール」イニシアチブと6月パリ気候資金サミット

 

この署名活動は、ラルートゥルー議員を軸に始められましたが、同議員側は「ワールドワイドFTTコール」イニシアチブとして全欧州規模の取り組みにすべく、英Stamp Out Povertyのデービット・ヒルマン氏らの国際FTT会合グループと連絡を取りました。結果、同グループとしてもこのイニシアチブ(当面署名活動)を全力で推進していくことになりました。

 

次の目標は、6月仏マクロン大統領とバルバドスのミア・モトリー首相との共催によりパリで開催される「最も脆弱な国々への資金メカニズムのための気候サミット」(仮称)です。情報によれば、フランスは現在、収入源についての答えを持っておらず、マクロン大統領は資金調達方法を探しており、アイデアを受け入れる姿勢を見せているとのことで、FTTにとって重要な機会となることです。そして、同国はL&Dとエネルギー転換という課題に対応するために気候担当大使という新しい役職を設けたとのことです。

 

●トービン税をG20サミットの議題に(インドNGO)、当然G7広島サミットでも

 

今後のFTT(またはTobin Tax)実現の展望ですが、今日もっとも切実な地球規模課題としての気候変動やコロナ感染症の対策資金として国際社会が共同して拠出する仕組みを創設することが望まれます。ただその仕組みが各国の割当てで賄うというこれまでの方法では限界があります。

 

では、どうするか? 世界には手つかずの膨大なリソースが存在します。それは外国為替取引に使用されるお金で、「1日当たり」世界で7.5兆ドル(約1050兆円)もの資金が取引されています。この取引には付加価値税(所費税)が課せられていません。しかもこの取引の9割方はマネーゲーム(投機)のための取引と言われ、先日の超円安のようにヘッジファンド等の投機筋が暗躍しているのです。

 

この外国為替取引に課税するのがトービン(通貨取引)税です。私たちはまずG7広島サミットに向けて、欧州のFTTイニシアチブ運動と連携し、通貨取引税を軸とする国際連帯税の共同実施を求めて活動を強めていくことです。なお、先述した国際FTTグループには米国のパブリック・シチズンなどのNGOやシンクタンクも参加しているので、米国でも活動が展開していくことになるでしょう。

 

また9月にはインド・ニューデリーでG20サミットが開催されます。これに向けインドの有力なNGO等が気候L&D資金としての金融取引税(トービン税)をサミットの主要議題に上げよ、との主張がはじまりつつあります(注3)。

 

このように国際連帯税として金融取引税を求める声は文字通りワールドワイドで高まりつつあります。2023年を希望の年とするために、まずは一国規模で考えるのではなく、世界規模で人々の生活と命を守るために、気候変動や感染症対策のための資金創設のために奮闘していきましょう。

 

 

【10人の最初の署名者(呼びかけ人)】
 ・フォーチュン・チャルムビラ(Fortune CHARUMBIRA) – 汎アフリカ議会議長、ジンバブエ
 ・ジョゼ・ラモス=ホルタ(José Ramos-Horta) – 東ティモール民主共和国大統領
 ・ローレンス・トゥビアナ(Laurence TUBIANA) – 欧州気候基金理事長、パリ協定の交渉担当者
 ・ピエール・ラルートゥルー(Pierre LARROUTUROU) – 欧州議会議員、2021年EU予算に関する一般報告者
 ・ジャン・ジュゼル(Jean JOUZEL) – 気候学者、元IPCC副議長
 ・カコ・ヌブクポ (Kako NUBUKPO)- トーゴの元大臣、西アフリカ経済通貨同盟(WAEMU)農業・水資源・環境担当委員、トーゴ
 ・Dr. Sanjay JAISWAL – インド国会議員 (Lok Sabha)
 ・カリム・ダーウィッシュ(Karim DARWISH) – エジプト国会議員、外務委員会委員長
 ・バントゥーボンケ・ハリントン・ホロミサ(Bantu Bonke Harrington HOLOMISA I – 南アフリカ共和国国会議員、前ネルソン・マンデラ政府の大臣
 ・パトリック・テン・ブリンク(Patrick Ten BRINK) – 欧州環境局事務局長

 

(注1)欧州での金融取引税議論>「損失と被害」資金、欧州議会での「復興基金」財源

(注2)気候変動対策の資金を調達するために、今こそ投機への課税を行う時

(注3)気候「損失と被害」資金のためにトービン税を① 

 

グローバル連帯税フォーラム、Instagramを開設しました

このたび、新たにグローバル連帯税フォーラムのInstagramを開設しました。若者や連帯税を知らない一般の方々にも、当団体の活動や地球規模課題の深刻さ、グローバルタックスの重要性について知っていただきたく思います。 ぜひ、フォローをお願い致します。

 

リンク →  https://instagram.com/forumforglobaltax/

 

いんすらぐらむ

 

 

 

 

ラルートゥルー 議員の欧州議会での演説>金融投機への課税を訴える

ピエール

 

12月14日に開催された欧州議会での「2021-2027年の多年間財政枠組み[MFF]の改善(討論)」でのピエール・ラルートゥルー(Pierre Larrouturou)演説が彼のツイッターで報告されていますので、紹介します。

 

<ツイッター文章>

 

この冬、何百万人もの国民が暖房と食事のどちらかを選択しなければなりません。

インフレを抑えるために、米国は4000億ドルを投入しました。私たちはどうでしょうか?

昨日、私は欧州議会で演説をしました。

 

ヨーロッパはエネルギー危機と戦うためにどのような手段を持っているのでしょうか?

ヨーロッパは気候の危機と戦うためにどのような予算を持っているのでしょうか?

この2つの危機には、資金調達の必要性という共通点があります。

 

社会と気候の混乱を避けるために、今こそ金融市場が戦いに参加する時です。

金融投機に課税すれば毎年570億ユーロが自由に使えるようになります。

これは最初の一歩に過ぎませんが、極めて重要な一歩です。なのに、私たちはなぜ待っている必要があるのでしょうか?

 

※演説の全文については、欧州議会のWebサイトに掲載されています。

 

ピエール2

林外相に開発協力大綱改定とG7サミットでの国際連帯税提案を要請

外務省①冒頭写真

 

12月15日、グローバル連帯税フォーラムの金子文夫・田中徹二両代表理事、日本リザルツの白須紀子理事長と園田開インターン、国際連帯税創設を求める議員連盟の石橋通宏事務局長(参議院議員)、津島雄二初代議員連盟会長の代理・橋本岳議員(衆議院議員)とともに、6名で外務省に林芳正外務大臣を訪問しました。

 

記念撮影の後、林外務大臣に対して、「開発協力大綱改定並びにG7サミットでの国際連帯税導入のお願い」と題する要請書を提出。6名を代表して田中代表理事が、SDGs達成のためにはODAを補う国際連帯税が必要であり、その導入に向けて林大臣の国内外での指導性発揮を求めると発言しました。

 

 外務省②田中&白須

 

要請書の要点は、①近く改定される開発協力大綱に国際連帯税を盛り込むこと、②G7広島サミットに合わせて外務大臣会合で国際連帯税に取り組む提案をすること、③特に外国為替取引への課税をメインとすること、④新デジタル課税に連帯税を付加すること、⑤税収は国際機関管理という5項目でした。(※要請書全文はこちらから

 

●林大臣、為替取引への課税や有識者懇談会について言及

 

林外務大臣は議員連盟の前会長であったため、連帯税の意義、これまでの国内外での取組みについては十分な理解を有していました。連帯税の税目に関しては、航空券税には否定的であり、その一方、為替取引への課税についてはかねてから関心をもってみており、実需とは関係のない投機的な為替取引への課税には、それほど強い反対はないのではないか、ただし国際社会で連携して実施することがむずかしいといった発言がありました。

 

外務省③大臣&金子

 

また、過日外務省に設置された革新的資金調達に関する有識者懇談会(SDGs達成のための新たな資金を考える有識者懇談会)について、その再開を検討するかのような言及もなされました。

 

外務省④全景

 

今回の外務大臣要請をきっかけにして、コロナ禍で動きが鈍くなっていた日本での国際連帯税運動について新たな局面を切り拓いていきたいと思います。欧州でも先月エジプトで開催されたCOP27等を機に金融取引税(欧州版国際連帯税)への活動が高まってきました。国境を超えた運動として進めていきたいと考えています。