2021Summer:国際連帯税アンケートにご協力願います

グローバル連帯税フォーラム事務局では今回、国際連帯税に対する初めてのアンケート調査を行うことになりました。私たちは国際連帯税実現に向け、議員連盟も創設され、10年以上取り組んでおりますが、未だ実現には遠い状況にあります。

 

課税という行為がとりわけ国家主権と強く結びついていることが、実現を難しくする一つの要因です。現在私たちが置かれているのは、国境をいとも簡単に超えるコロナ禍の状況とその対策に要する資金の圧倒的な不足、そして同じく国境を軽々超える気候変動を始めとした課題に必要とされる莫大な資金の捻出が突きつけられているという状況です。しかし、各国がバラバラに課税主権の枠内で資金調達を行う現在のあり方では、とうていグローバルな課題に対処できないという現実があります。

 

一方、今月行われたG20でのデジタル課税などの「国際課税に関する歴史的合意(予定)」が日本メディアでも大きく取り上げられました。この背景にあるタックスヘイブンの問題やグローバル経済における課税の不公正さはまさに私たちが問題として掲げ、その是正に取り組んできたことでもあります。今このような世界的な「課税」問題に対し、未だかつて無いほど世論が大きく盛り上がっているタイミングではないかと考えております。

 

こうした中で、今日本でもとりわけ関心の高いSDGsや開発の資金に直結する、この「国際連帯税」というアイデアを、上記の国際課税ルールとともに今一度考えるべき一つのモメンタムに来ていると思い、今回のアンケートを行うことになりました。

 

このアンケートは国際連帯税というアイデアに対し、皆様が実際にはどのように考えていらっしゃるのか、率直な声を聴きたいというのが第一の目的です。

 

国際連帯税の簡単な定義も含めて、以下のアンケートリンクに掲載していますので、是非お力を貸して頂ければ、大変ありがたく存じます。

 

アンケート はこちらから ⇒https://questant.jp/q/0IGHEPZK

G20財務相等会議から(1)>法人課税の国際ルール改革、大枠合意したが

7月9-10日開催されたG20財務相・中央銀行総裁会合で、法人課税の国際的な改革(①デジタル<グローバル企業>課税、②国際的最低税率)について大枠合意しました。何よりも、現行課税ルールである、市場国=消費国に物理的拠点がないと課税できないという1国課税主義がグローバル化・デジタル化で機能していない中で、IT企業などグローバル企業に市場国も課税することができるルールが適用できるということで、「歴史的」出来事といっても過言ではありません。

 

とにかく、これまではGAFAなど巨大IT企業を筆頭にグローバル企業が好きなように税逃れをしてきました。例えば、アマゾンドットコムは日本国内に巨大な配送センターをいくつも有し、2兆円も売り上げながら、(工場や支店など物理的拠点がないということで)これまでほとんど法人税を払ってきませんでした(さすがに近年は一部払うようになったが)。上記、①②が最終合意されれば、グローバル企業の税逃れにもブレーキがかかると思います。

 

しかし、この大枠合意には様々な限界もあるようです。フィナンシャルタイムス(*)の記事から見てみましょう。次のようなものです。

 

1)対象となるグローバル企業があまりにも少ないこと(年商200億ユーロ超、利益率10%超が基準になりそうだが、これに該当する企業はたった78社しかない)

 

2)ほとんどの企業利益は従来通り物理的な拠点がある国で課税されること(利益率10%を超える利潤の20~30%が市場国の売上げに応じて分配するという制度設計のようなので、市場国の税収は圧倒的に少なくなる)

 

3)最低課税率が「少なくとも15%」とあまり高く設定できなかったため、そうした税率を採用する国に利益を移すインセンティブが残り続けること

 

4)銀行と資源会社が対象とされたこと(とくに銀行が除外とならなければ課税対象利益は2倍に膨れ上がるとの試算も)

 

(*)[FT]課税合意 多国籍企業へ網 簡素化に失敗、税逃れの道残す

 

ところで、FTでは指摘されていないが、今回の大枠合意には130か国・地域が参加しているが、グローバル企業を有しない途上国からすれば、上記2)からして国際課税改革の果実はほとんどないに等しいと言えます。中国を除く新興国にしても然りでしょう。多分途上国等から不満が出ていると思いますが、既存のメディアではほとんど報告されていません。

 

インドやインドネシア、トルコで実施中・実施予定のGAFAの売上高に課税するデジタルサービス税(DST)であれば、きわめてシンプルな制度であり、かつ公平に税収を得ることができますが、米国は国際ルールが合意されたのちにはDSTを取り下げるよう要望しています。

 

国際課税ルール改革は途上国に利益をもたらさず、金融取引税でカバーすべき

 

今回の大枠合意で税収を得るのは、順に「巨大IT企業の本社がある米国>グローバル企業の本社がある先進国と中国>中国を除く新興国>途上国」、となりますでしょうか。とするならば、別の税制改革でコロナ禍(ワクチンなど医療体制、債務問題など経済社会安定化)に苦しむ途上国を支援しなければなりません。それは「途上国支援のための金融取引税(国際連帯税)」についてまず金融市場が大きいのG7で共同実施することからはじめるべきです。もうひとつの国際課税ルール改革として。

【速報】G20への金融取引税要請レター、英仏メディアで報道

本日からベネチアでG20財務相・中央銀行総裁会合が開催されますが、これに向けFTT(金融取引税、国際連帯税の一種でもある)を要求する世界のNGOが「途上国支援のための金融取引税実施を要求する国際エコノミスト・専門家署名」活動を行い、G20当局に提出しました。

 

このことについて、7月8日付英ガーディアン紙が「Covid(コロナ)の回復に貢献する金融取引に課税を、G20に報告」と題し報道しました。米国の開発経済の第一人者のジェフリー・サックス氏や、タックスヘイブンの専門家であるフランスのガブリエル・ズックマン氏など、124名のエコノミストが署名しています。

 

日本からも諸富徹京大教授や上村雄彦横浜市大教授など10人のエコノミスト・専門家が署名しています。

 

報道全文はこちらから(要旨は下記参照)
Tax financial transactions to help Covid recovery, G20 told

 

また仏ルモンド紙には署名者の全リストとともに手紙が掲載されました。

 Fiscalité : « Une taxe sur les transactions financières pour générer des investissements publics d’urgence »(有料)

 

124人の署名者はこちらをご覧ください

 

なお、取組み期間がたいへん短かったので、締め切り後に署名された方が結構おられたようです(日本でも)。今後10月末開催のG20首脳会合に向けて様々な取組みを行っていくと思いますので、引き続きご協力をお願いします。

 

 

【ガーディアンの報道・要旨】
…前略…
発展途上国は、先月コーンウォールで開催されたG7サミットの結果に失望しており、今回のG20では、ワクチンプログラム、医療能力への投資、ゼロカーボン経済への移行に対する追加的な財政支援を求める機会になると考えています。

 

エコノミストたちの手紙によると、株式、債券、デリバティブ、外国為替は「かなり過少課税」になっており、今こそ富裕層が困窮している人々のために、より大きな貢献をするべき時だとしています。

 

「このような形でFTTを導入することは、法人税の最低税率を導入するという最近の合意を補完し、さらに発展させるものです。パンデミックにもかかわらず、金融セクターは好調に推移し、さらには繁栄を続けており、このような追加的な税負担を行う余裕があります」と述べています。
…後略…

 

※写真は、南アフリカの遠隔地に医療支援を行うTransnet-Phelophepa ヘルスケアトレイン(ガーディアン紙より)

 

途上国支援のための金融取引税を要求する国際エコノミスト・専門家署名活動

来る7月9~10日G20財務大臣・中央銀行総裁会議が伊ベネチアで開催されますが、これに対し途上国支援のための金融取引税実施に関する国際エコノミスト・専門家署名活動が提起されています。ご賛同される専門家等のみなさんはぜひ署名してくださるよう要請します。

 

*署名方法:Title(Prof/Dr/Directorなど)、Name Surname、Profession/Organisation、Country をお書きください。

 

例)10年前のG20カンヌ・サミット時の専門家署名活動での上村雄彦・横浜市大准教授(当時)の場合
Ass Prof/Takehiko Uemura/Associate Professor, International College of Arts and Sciences, Yokohama City University/Japan

 

*締切り:7月6日(火)午後9時まで gtaxftt@gmail.com にお送りください。

 
●途上国支援のための金融取引税を要求する国際エコノミスト・専門家署名活動
【タイトル】
「金融取引税を直ちに導入し、経済の安定性を向上させるとともに、特に発展途上国において、医療、雇用、気候変動の影響に要する費用への公共投資支援を要請する」

 

【本文要旨】
今回のCOVID-19危機では、富裕層の国々でも大きな困難を経験したが、貧困層の国々の多くは、健康危機が発生する以前から深刻な債務不履行に陥っていました。そして現在はいっそう危機的な経済状況にあり、債務の返済と国民への医療提供の間で生死を分ける選択を迫られています。

 

このような切実な状況に対応するため、私たちは、世界で最も裕福なセクターに目を向け、これまで十分に課税されてこなかった株式、債券、デリバティブ、外国為替などの金融取引に対して包括的な課税を行い、追加の歳入を確保することを強く求めます。

 

G20諸国のうち9カ国(アルゼンチン、ブラジル、中国、フランス、インド、イタリア、南アフリカ、英国、米国)では、すでに限定的なFTT(金融取引税)が導入されており、主に株式取引に対して非常に低い税率が設定されています。

 

我々は、FTT を導入していない国は直ちに導入し、FTT を導入している国は税率を上げ、課税対象を他の資産にまで拡大することを提案します。そうすることで、年間1,000億ドル規模の追加収入を得ることができます。そのうちの少なくとも50%は、発展途上国の保健、教育、将来のパンデミックへの備えの強化に充て、残りの50%は、国内で最も困っている人々、特に雇用の保護と提供のための支援に充てるべきです。
……
全文は、こちらを参照ください(英文)

第11回総会報告:議員立法で、各国NGOとの連携で連帯税実現を!

7月2日の日経新聞一面に「法人課税 大枠で国際合意」と大きな記事。そうです。国際連帯税もこのように国際合意されればワクチンほかの途上国支援資金を得ることができます。

 

前河野太郎外務大臣は「SDGs達成のために国際連帯税を国際連携で取り組もう」と呼びかけてきましたが、まさにワクチン接種で途上国・貧困国が取り残されている現状から、その必要性がいっそう高まっています(コロナ終焉のためには世界で110億回分のワクチンが必要だが、先のG7サミットではわずか8.7億回分の支援しか打ち出せなかった)。

 

さて、去る6月20日グローバル連帯税フォーラム(以下、フォーラムと略)第11回総会が開催され、21年度の運動方針などを決めました。総会の特徴を簡単に報告します。

 

1、20年度活動の振り返り

 

1)国際連帯税を取りまく状況のトピック:
外務省が10年連続して税制改正として要望していた国際連帯税実施を断念。一方、国際連帯税創設を求める議員連盟は議員立法の形で実現をめざすことを確認し、フォーラムもそれを支援しともに活動していくことになりました。

 

2)国際的なワクチン格差と国際連帯税の必要性:
コロナ感染に対処する有力なツールのひとつがワクチン。が、先進国などがワクチン囲い込み競争に走り、途上国が取り残さる「ワクチン格差」状況が露呈。その要因の一つが途上国支援のための資金の圧倒的不足があり、その面からも国際連帯税に必要性が明らかになりました。

 

2、21年度の活動方針

 

1)国際連帯税に関する議員立法への取組み
秋の臨時国会は、衆議院選挙があるため短期間開催が予想されるので、議員立法の準備に入り、来年の通常国会での実現を図るように体制を構築していきます。

 

2)G20サミットに向けて、国際署名や国際法人税改革問題の院内集会などを実施
議案書には「欧米の運動と連携し活動を強化」と一般的な提起しか述べていませんが、途上国支援や国内の貧困問題解決のための金融取引税を求める欧州や米国のNGOやシンクタンク、そして欧州の労働組合などが国際署名活動などを提起していますので、これに連動して活動していきます。

 

さらに国際法人税改革問題(デジタル課税や最低法人税率)につき、タックス・ジャステス・ネットワーク・ジャパンと連携して院内集会を持てるようにしていきます。

 

3) 連続オンラインセミナーの実施
総会の後に開催された諸富京大教授の「グローバル・タックス」問題のセミナーはじめ、国際連帯税に関係してくる金融や税制の問題のセミナーを開催していきます。

 

以下、詳細は議案書を参照ください。

 

 

【会員を募集しています】
フォーラムの運営は会員による会費によって成り立っています。ぜひ会員になっていただき国際連帯税実現に向けてともに歩んでいきましょう。個人会員になるには、1口3000円の年会費を納入していただきます。団体会員は1口10000円です。
※振り込んだ方は、その旨を gtaxftt@gmail.com までお知らせください。

 

<会費振込先>
■銀行口座: みずほ銀行 築地支店(支店番号015)
        普通 2698313
■口座名義: 国際連帯税フォーラム