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【ご案内】7.26「SDGsのための国際貢献と国際連帯税を考えるシンポジウム」

来る7月26日、「グローバル連帯税フォーラム」と「国際連帯税創設を求める議員連盟」との共催で国際連帯税に関するシンポジウムを、下記の通り開催します。このシンポジウムは、日本での国際連帯税実現に向けての機運・世論の盛り上げを図るものですが、同時に来年大阪で開催されるG20サミットに向け新しい開発資金創設を呼びかけるものです。

 

              

◎日時:7月26日(木) 午後1時30分~4時30分

◎会場:衆議院第一議員会館国際会議室

◎共催・協力:

 ・共催:グローバル連帯税フォーラム、国際連帯税創設を求める議員連盟

 ・協力:(特活)日本リザルツ、(公財)日本国際交流センター、外務省

◎参加費:無料(必ず参加申込登録をお願いします)

◎申込み:次の申込みフォームから申込みください https://goo.gl/T8QSkx 

◎問合せ:グローバル連帯税フォーラム  電話090-3598-3251 

                    eメール: gtaxftt@gmail.com  

 

国際連帯税の産声は、2006年2月、93か国が集ったパリ国際会議で上がりました。日本では、2008年2月超党派の「国際連帯税創設を求める議員連盟」(以下、議員連盟)が設立されました。続いて、外務省は2010年度税制改正ではじめて国際連帯税の新設を要望し、これをNGOや議員連盟が支援してきました。しかし、9年たった今日、いまだ国際連帯税導入に至っていません。

 

一方、今日グローバル社会は「(地球上の)一人も取り残さない」というSDGs(持続可能な開発目標)達成の時代に入っています。ところが、その資金需要は途上国向けだけでも不足額が年間2.5兆ドル(約280兆円、UNCTAD)にも上り、これでは年間1500億ドル(1兆6000億円、2017年)程度の政府開発援助(ODA)では圧倒的に足りません。とくに貧困国や各国の貧困層への衣食住や水・衛生・健康・教育など社会の基本的サービスを保障するベーシック・ヒューマン・ニーズ(BHN)を満たすためには、公的資金が不可欠であり、ODAとは別の新しい公的資金源としての国際連帯税への期待が高まっています。

 

国際連帯税とは、経済のグローバル化から恩恵を受けている経済主体の、国境を越えて行う経済活動に広く薄く課税し、その税収を世界の貧困・感染症問題や気候変動問題など地球規模課題の対策に充てようとするものです。すでにフランスや韓国など14カ国が航空券連帯税を実施し、その税収を主に途上国の感染症対策に使われています。また、欧州では金融取引税の実施を議論しており、その税収の一部を地球規模課題に使おうという提案も出されています。

 

さて、来年6月には大阪でG20首脳会議(サミット)が開催されますが、他にも国際イベントが続きます。そういうなか、河野外務大臣は6月の議員連盟総会で、国際社会に対して「SDGs推進とその資金源としての国際連帯税は有効であり、導入に向け環境整備を図りたい」(要旨)と提案しております。まずはG20大阪サミットで議長国日本がSDGs推進と国際連帯税導入を世界に向けて発信していただくように要望していきたいと考えています。

 

シンポジウムには河野外務大臣も参加し発言していただくよう要請していますが、まず基調講演として金子文夫・横浜市立大学名誉教授が『国際連帯税の意義と未来』と題して行います。また、有識者・専門家、国際機関、NGO・市民社会、企業、労働組合、宗教団体、海外専門家(予定)など各界からコメントをいただき、最後に「国際連帯税導入に関する宣言文」を採択します。

 

みなさまの積極的なご参加をお待ちしております。また、ご関心のありそうなお知り合いの方々にも、ぜひご共有いただけますと幸いです。

 

プログラムと主なスピーカー

 

<プログラム>

・第1部:共催・協力者あいさつと基調講演

・第2部:各界からの支援・コメント

  有識者・専門家、国際機関、NGO・市民社会、企業、労働組合、海外専門家(予定)

・第3部:宣言文採択

                (シンポジウム終了後、懇親会を行います。18時30分まで)

 

<主なスピーカー>

・基調報告「国際連帯税の意義と未来」  金子 文夫(横浜市立大学名誉教授・元副学長)

・欧州金融取引税など最新情勢報告  津田久美子(北海道大学法学研究科博士課程 日本学術振興会特別研究員DC1)

・ごあいさつ  田中 徹二(グローバル連帯税フォーラム代表理事)            

        衛藤征士郎(国際連帯税創設を求める議員連盟会長衆議院議員)

        外務省(調整中)

・コメント   金子 宏(東京大学名誉教授)  要請中

        広中和歌子(元環境庁長官・参議院議員)

        寺島 実郎(日本総合研究所 会長、多摩大学学長)

                  稲場 雅紀(SDGs市民社会ネットワーク事務局長) ほか

・宣言文提案  白須 紀子(日本リザルツ代表)

 

★写真は、2006年2月28日「国際連帯税に関するパリ閣僚会議」のオープニングセレモニーで演説するシラク仏大統領(当時)。場所はエリゼ宮(大統領府)で、日本からもNGOのオルタモンドが招待された。

6.6国際連帯税議連総会報告:モメンタムが大事、今がその時!

 議連総会;石橋ブログ 

             【クリックすると拡大します】

 

昨日(6月6日)の昼時間、「国際連帯税創設を求める議員連盟」の今年度第1回総会が開催されました。今回は先のG20外相会合で国際連帯税を提起した河野太郎外務大臣、また毎年度の税制改正の権限を持つ宮沢洋一自民党税制調査会会長も出席するということで大いに注目された総会となりました。以下、メッセージや発言の要旨を送ります。

 

●河野外務大臣のメッセージ「 SDGs推進の機運と行動を盛り上げつつ」

(急きょ日米外相会合が入り、堀井巌外務大臣政務官が河野大臣のメッセージを代読することになった)

 

現在、持続可能な開発目標(SDGs)の実現向け、各国が取組みを強化している中、日本政府も総理が本部長、官房長官と私が副本部長を務めるSDGs推進本部が司令塔となり、推進している。一方で、国際社会はSDGs実現に必要な資金の不足に直面しており、先進国の援助疲れも指摘されているが、世界の開発需要に対応するためには、伝統的なODAだけでは資金量は十分ではない。従って、新たな資金調達方法として国際連帯税は有効な手段となるものであり、国際社会が知恵を寄せ合って取り組まなければならないと考え、去る5月21日のG20ブエノスアイレス外相会合では、こうした考えに基づき各国の外相に提起をした。

 

外務省としてもまずは本年8月の平成31年度税制改正要望に向け、課税方式、使途などについて幅広く検討を進める。来年のG20、TICAD VII、国連ハイレベル政治フォーラムなどの国際会議の機会をとらえて、SDGs推進の機運と行動を盛り上げながら、国際連帯税導入に向けた、一層の環境整備を図っていきたい。

 

●宮沢自民党税調会長の話「厳しいが国際的な機運を高めて」

 

…新しい政策ニーズといったものが出てきている。またそれに合わせてその関係者達が汗をかいて増税のスキームといったものを作っていく。国際連帯税について言えば、私自身も、SDGsというのは大変大事な政策目的だが、しかし予算が足りないということも事実なのだと思う。では、どういう財源があるかだ。これまで議論されてきた国際的な航空運賃に上乗せするという公式があったが、国際観光旅客税が創設されており合意を得るのは時間がかかりそうだ。

 

もう一つがいわゆる国際金融の取引に薄く負荷をかける税制、いわゆるトービン・タックスが昔から言われている。個人的にはトービン・タックスというのは必要だろうと思う。今の国際金融を見ていると過剰にお金が動き過ぎそれが金融不安を高めているという状況があるので、お金の流れに負荷をかけるのは必要だろう。ただ、問題はこれが一国だけではできないということだ。

 

ともあれ、河野大臣も(国際連帯税に)大変熱心だし、ここには国際的な場で活躍される先生方もたくさんいらっしゃるわけだから、国際的な機運を高めて行くということをぜひやっていただきたいというのが、税制をあずかるものとしての願いだ。

 

●モメンタムを!7.26「国際連帯税に関するシンポジウム」開催へ

 

この後、石橋通宏事務局長(参議院議員)から、2018年度役員体制と活動方針が提起されました(議連会員は68人となる)。

 

方針として石橋事務局長は、「外務大臣のイニシアチブも重要だが、国際連帯税が税の負担者と受益者が異なる税制度となることから世論の一層の盛り上がりが必要だ。7月26日に『国際連帯税に関するシンポジウム』を開催し、国際機関やNGO・市民社会、企業、有識者、在京欧州大使といった各界の代表者にお集まりいただき、最後に『国際連帯税を実現するための決議文(宣言文)』を採択し、それを河野外務大臣にその場で手渡し、来年度の税制改正要望につなげていく」、と提起し承認されました。

 

続いて、意見交換の場で、猪口邦子参議院議員から次のような発言がありました。「やはり新たな財源を実現するにはモメンタムというのがすごく影響するが、今こそ本当に重要なタイミングなのだ。というのは、来年G20ほか国際会議が目白押しだから、このモメンタムを大事にして国際連帯税を考えていくことが必要だ」。

 

最後に、来年6月大阪でのサミットを見据えつつ、議長国として日本がSDGsの実現に向けてリーダーシップを発揮する絶好の機会となることを踏まえ、外務大臣と議連との意見交換の機会を別途持っていくこと、このことを全体で確認し、総会は終了しました。

 

★ワイドな写真は、石橋事務所からお借りしました。

 

……インフォメーション……
【◆g-tax講演会「多国籍企業とグローバル・タックス」】
 ・日時:6月17日(日)午後2時30分~午後4時
 ・会場:東京医科歯科大学 歯科棟南【歯科外来事務棟】4F 演習室
 (キャンパスマップの6番の建物、JR・地下鉄「御茶ノ水駅」下車)

 ・講師:金子 文夫(横浜市立大学名誉教授)
 ・資料代:800円(会員、学生は無料)
 ・申込み:「g-tax講演会参加希望」とお書きのうえ、Eメールで申込みください。  

    Eメール:gtaxftt@gmail.com  

【明日注目!】国際連帯税議連総会に河野外相、宮沢自民税調会長が出席

国際連帯税創設を求める議員連盟(会長・衛藤征士郎衆議院議員)の2018年度第1回総会が下記のとおり開催されます。この総会には河野太郎外務大臣や宮沢洋一自民党税調会長も出席されます。

 

ご承知のように、先のG20ブエノスアイレス外相会合において、河野大臣は「SDGs達成のためには金融取引税を含む国際連帯税の活用も一案である」と発言されました。今総会では、どのような思いで提案されたのか直接お話を伺える機会となります。考えてみますと、2008年に議員連盟が創設されてから、現職の外務大臣が議連総会に参加されるのは、これが初めてのことです。

 

一方、毎年度の税制改正を決定する実力者の宮沢自民党税調会長からも国際連帯税に対する考えを聞くことになりました。同会長がぜひ国際連帯税に前向きとなり、調査会をリードしていただくことを期待したいと思います。

 

●今回の議員連盟総会は傍聴できませんが、ご注目を!

 

残念ながら、会場が議員専用の会議室ということもあり、市民側の一般傍聴はできません。後日総会のもようを報告しますので、ご注目くださるようお願いいたします。

 

          記
・日 時:2018年6月6日(水) 12:15~ 
・場 所:参議院議員会館特別会議室
・議 題:1.河野太郎外務大臣よりご挨拶
     2.宮沢洋一自民党税調会長よりご挨拶
     3. 2018年度役員体制、2018年活動方針等について、ほか

 

★写真は、2010年11月8日の総会のもよう。当時は日本政府が国際連帯税に関する(国際)リーディング・グループの議長国になるなど盛り上がりを見せていました。再び盛り上げていきたいですね。

【速報】 河野外相 G20外相会合で「国際連帯税」を提案!!

河野太郎

 

現地21日、アルゼンチンのブエノスアイレスで開催されたG20外相会合で、河野外務大臣は金融取引税など国際連帯税を提案しました。これは画期的なことですね。振り返れば、日本の閣僚クラスが公式の国際会議で国際連帯税に言及・提案したのは、2009年の世界銀行・国際通貨基金(IMF)の合同開発委員会での峰崎直樹財務副大臣以来です。大臣ともども日本での国際連帯税実現に向けがんばっていきたいと思います。

 

以下は、河野外務大臣の発言に関するマスコミ報道です。そして、その下に外務省の報道があります。

 

【毎日新聞】 河野外相 G20に「国際連帯税」提案

 アルゼンチンのブエノスアイレスで開催された主要20カ国・地域(G20)外相会合で、来年の議長国、日本の河野太郎外相は21日、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の達成に必要な資金を確保するため、人や企業のグローバルな活動に課税する「国際連帯税」を提案した。

 

 今年の議長国アルゼンチン政府は11月の首脳会議のテーマに、…以下、省略。

 

【共同通信】G20に「国際連帯税」提案 持続可能な開発目標の資金確保で

 【ブエノスアイレス共同】アルゼンチンのブエノスアイレスで開催された20カ国・地域(G20)外相会合で、来年の議長国、日本の河野太郎外相は21日、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の達成に必要な資金を確保するため、人や企業のグローバルな活動に課税する「国際連帯税」を提案した。

 

 今年の議長国アルゼンチン政府は11月の首脳会議のテーマに、公正で持続可能な開発を掲げている。SDGsなど「公正な開発」は、引き続きG20が取り組む重要な課題となりそうだ。

 

 SDGsは貧困や飢餓の撲滅から教育の確保、インフラ整備など幅広い分野で野心的な目標を掲げる。

 

外務省の報道によれば、外相会合では「G20の貢献,期待及び性質(ワーキングディナー)」,「マルチラテラリズムとグローバルガバナンス(第1セッション)」,及び「公正で持続可能な開発のための行動(第2セッション)」の議題のもと議論が行われたとのことですが、河野外務大臣は第2セッションで、次のように述べたとのことです。

 

「河野大臣からは,会議の締めくくりに,G20では,持続可能な未来の創出に向けた方策につき議論すべきである旨強調した上で,高齢化問題解決のための鍵となる要素は革新及び開放性である,公平な社会のためには民主主義を伴った開発が必要,SDGs達成のためには金融取引税を含む国際連帯税の活用も一案である,インフラについては開放性や平和利用を含む質が極めて重要である等の点についても指摘した。また,G20において,経済だけでは解決できない問題等についても議論することは重要である旨強調した。…以下、省略」

 

【外務省】G20ブエノスアイレス外相会合

 

(写真は、ブエノスアイレスの五月広場)

 

<インフォメーション:まだ席あります>

セミナー「国連SDGs採択から3年:世界をつづく社会に向かわせるには?
*講師:稲場雅紀・一社 SDGs市民社会ネットワーク専務理事

◎日時:5月26日(土) 18時30分~20時30分  
◎会場:アカデミー文京「学習室」(文京シビックセンター内地下1階)     
◎申込み:acist.japan@gmail.com から、お名前、所属(あれば)ならびに「g-taxセミナー参加希望」とお書きの上、お申込みください。
※詳細は、http://isl-forum.jp/archives/2224 参照。

巨大IT企業による錬金術と巨大化・寡占化>格差拡大そして次の危機

1990年代よりグローバリゼーションが進展してきたのですが、やがて金融セクターの比重が圧倒的に増大し、金融のグローバル化といってもよい状況へと推移してきました。モノやサービスという実物経済の成長より金融経済の成長の方のスピードがぐっと速まったからです。

 

●実物経済、金融経済そしてデジタル経済

 

実際、世界のGDP(年間)と外国為替取引(1日)の2001年から2016年までの推移を見ますと、前者で2.2倍、後者で4.3倍というように、金融経済の一部門(*)である外国為替取引はGDP(実物経済)2倍のスピードで成長してきたのです。
 *GDP(年間)     *外国為替取引(1日)
   01年33.6兆ドル     01年1.2兆ドル 
   16年74.7兆ドル     16年5.1兆ドル(年間約1250兆ドル)

 

(*)金融市場には、外国為替取引、株式取引、債券取引そしてデリバティブ取引の各市場があるので(今や原油・穀物市場も金融市場といってよい)、金額的に見れば桁違いのお金がグローバルに飛び交い、金融経済を構成している。

 

ところが、今日このグローバリゼーションの性格について大きな転換を迎えているようです。それは米国の巨大IT企業の躍進です。現在の世界の企業の株式時価総額を見ると1位から5位まで、アップル、アマゾン、マイクロソフト、アルファベット(グーグル)、フェイスブックのIT企業5社で占められています。かつては金融セクターや原油・資源セクターの会社によって占められていましたが。

 

ちなみに、2007年の段階ではマイクロソフトだけが上位10位中6位に入っているだけでしたし、グーグルやフェイスブック、アマゾンは2010年の段階でも上位20にすら入っていません。つまり、いかに急速に投資資金を集め時価総額を増やしてきたかが分かります。

 

このように巨大化し寡占化したIT企業は短期間のうちにプラットフォーマーとして君臨し、社会全体を覆ってきました。そして経済システムもデジタル化が主流となってきました。

 

●今日の経済の象徴的存在としてのアップル>5つの重要な傾向

 

こうした巨大IT企業の現出が何をもたらしているか--このことについて、とても分かりやすく分析しているのが、フィナンシャル・タイムズのグローバル・ビズネス・コラムニストのラナ・フォール―ハーの『次の危機は種はアップル』(5月27日付日経新聞)と題した論考です。

 

【日経新聞】[FT]次の危機の種はアップル

 

 

「…アップルは今の経済を象徴する存在だ。同社を研究すれば、今の経済の5つの重要な傾向を理解できる」と言っています。

 

その5つの傾向とは、次の通り。第一、金融手法に関してだが(これは他の多くの多国籍企業が取っている手法)、巨額な現金を持ちつつも同時に巨額の債務も持っており、(その債務の要因である)低利の社債を発行し記録的な自社株買いと株主配当を行ってきたこと。この結果、利益を得てきたのは米国の全株式の84%を保有する上位10%の富裕層であり、格差拡大につながっていること。

 

「多くの経済学者は、成長率が過去のトレンドに届かない最大の要因はこの格差にあり、しかも格差の拡大は政治のポピュリズム(大衆迎合主義)を招き、ひいては市場というシステムそのものを脅かしつつあると考えている」と筆者は言っています。

 

第二は、これらIT企業はソフトウェアやネットサービスにより一気に規模を拡大でき巨大企業を生み、しかも寡占化しやすいこと。このことが雇用や需要の縮小傾向を招いていること。第三は、寡占化は同時に記録的なM&A(合併・買収)を生じさせていること。それは巨大IT企業に対抗するため大企業が打たざるを得ない方法となっていること。第四に、このM&Aのために大企業が多額の借金を行っているが、問題は一部の企業が高利回り債の(大量の)発行で行っており、いまその市場が危うい様相を呈していること。

 

この結果、「次の大きな危機は恐らく、金融機関方ではなく産業界から生ずるということだ」。そして第五に、超低金利が続いてきてアップルなどは借り入れと株高という事業環境の恩恵を受けてきたが、「金利が急上昇すれば(そうした環境も消え)損失と二次的影響は深刻になりかねない」と筆者は警告しています。

 

●現代の錬金術をやめさせるには>金利の正常化と金融取引税など

 

巨大IT企業のみならず、利益をすごく上げている大企業は、(手持ち資金を使わず)超低金利をよいことに多額の借金をして自社株を買い、かくして株主と経営陣に多大な金銭的プレゼントを行うという、現代の錬金術を駆使していることが分かりました。このことがとくに米国で格差拡大を助長し、政治的にはポピュリストを招いていることも。

 

こうした現代の錬金術をやめさせるには、超低金利政策を1日でも早く止めさせることが必要で、同時に行き過ぎた金融取引にブレーキをかける金融取引税とIT企業が現金を貯め込んでいるオフショア・タックスヘイブンを廃止させていく活動が必要です。確かにデジタル経済が社会を覆いその独占化・寡占化も大問題ですが、まず錬金術そ可能とする現在の金融システムの抜本的的改革が求められています。

 

ところで、この金融取引税ですが、今週先行実施で(大枠)合意している欧州10カ国財務相が久しぶりに集まり、議論を再開していきます。一つの議題として、英国のEUからの離脱がFTTにどのような影響を及ぼすかを探ることにあるようです。要、注目ですね。

 

【bloomberg】EU Sees $23.5 Billion in Revenue From Financial-Transaction Tax

 

●インフォメーション
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  国連SDGs採択から3年:世界をつづく社会に向かわせるには?
    ~2019年G20大阪サミットと市民社会の果たす役割~
  *講師:稲場雅紀・一社 SDGs市民社会ネットワーク専務理事
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◎日時:5月26日(土) 18時30分~20時30分  
◎会場:アカデミー文京「学習室」(文京シビックセンター内地下1階)     
◎申込み:acist.japan@gmail.com から、お名前、所属(あれば)ならびに「g-taxセミナー参加希望」とお書きの上、お申込みください。

※詳細は、こちらから。 

巨大IT企業への課税は日和見でよいのか>森信教授の米国との合意論

本日の日経新聞の『経済教室/巨大IT企業と税制』に、森信茂樹・中央大学特任教授の「課税へ当局の知恵問われる」と題した所論が載っており、いわゆるデジタル課税問題につきどのように解決していくべきか、一定の方向性を示しています。

 

デジタル課税問題を一言でいえば、アップルやアマゾンなど巨大IT企業が実際にビジネスを展開している国(消費国・源泉国)からその利益を低税率国やタックスヘイブンに移転し、極端な節税を図っていること。このため、消費国に入るべき税金が入らず(逆にこれらIT企業は消費国の様々なインフラへのフリーライダーとなっている)、また自国競合企業との競争を阻害するという問題を生じさせています。

 

これはよくない、ということで、OECDやG20財務相・中央銀行総裁会議等で国際ルールをきちんと決めようとしていますが、本格的課税案は2020年まで延ばされました。が、これではたまらんということで、EUは根本的課税案に至るまで暫定案を提示し、これを実施しようとしています。それは「IT企業の売上高に3%の間接税を課する」、というものです(が、米国は大反対し全面対決も辞さないと言明)。

 

当然、EUと同じく巨大IT企業の節(脱)税被害にあっている我が国も、EUと連動し、まずは売上高税を実施すべきだと思うのですが、森信教授は「米国の反発を招けば、根本的改革案の合意は不可能となる」ので、米国の賛同を得るように努力すべきと言い、「安易な(EU暫定案への)同調は避けるべきだ」とまで言っています。

 

しかし、米国の一方的な鉄鋼・アルミ輸入関税の引上げに見られるように、今の米国政権は自国産業擁護で凝り固まっていますので、根本的改革案に至るのはほとんど無理です。この際EUががんばろうとしているのですから同調して連動すべきです。そもそもアマゾン・ドットコムは我が国で1.6兆円もの売上を誇っていますが、税金はほとんど払っていないのですから。

 

【日経新聞】巨大IT企業と税制(上)  課税へ当局の知恵問われる

 

 

●インフォメーション

 

国連SDGs採択から3年:世界をつづく社会に向かわせるには?
 ~2019年G20大阪サミットと市民社会の果たす役割~
*講師:稲場雅紀・一社 SDGs市民社会ネットワーク専務理事

 

◎日時:5月26日(土) 18時30分~20時30分  
◎会場:アカデミー文京「学習室」(文京シビックセンター内地下1階)     
◎申込み:acist.japan@gmail.com から、お名前、所属(あれば)ならびに「g-taxセミナー参加希望」とお書きの上、お申込みください。
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セミナー「国連SDGs採択から3年:世界をつづく社会に向かわせるには?」

2018g-taxセミナーを下記の通り開催します。ふるってご参加ください。

 

    国連SDGs採択から3年:世界をつづく社会に向かわせるには?
     ~2019年G20大阪サミットと市民社会の果たす役割~
       *講師:稲場雅紀・一社 SDGs市民社会ネットワーク専務理事

 

  ◎日 時:2018年5月26日(土) 18時30分~20時30分  
  ◎会 場:アカデミー文京「学習室」(文京シビックセンター内地下1階)
                ・地下鉄丸ノ内線「後楽園駅」、三田線「春日駅」徒歩1分
                ・アクセス、案内図

  ◎資料代:800円(学生500円、会員は無料)
  ◎主 催:グローバル連帯税フォーラム(g-tax)
  ◎申込み:acist.japan@gmail.com から、お名前、所属(あれば)ならびに「g-taxセミナー参加希望」とお書きの上、お申込みください。

 

国連SDGs(持続可能な開発目標(*))採択から3年が経過し、来年には国連「持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)」首脳会議が開催されます。日本でも2016年に内閣総理大臣を本部長とするSDGs推進本部が立ち上がり、その後ガイドラインやアクションプランが策定されてきました。

 

SDGsは、「誰一人取り残さない」社会の実現、「貧しい人々や脆弱な状況下にある人々に対する連帯の精神」に基づくグローバル・パートナーシップの推進という崇高な理念の下、2030年を期限とする包括的な17の目標を掲げています。しかし、この間目指すべき社会とは裏腹に、国際社会では排外主義的なポピュリズムを掲げる政治勢力が伸長しています。

 

21世紀国際社会の特徴のひとつは、格差・不平等の拡大です。トマ・ピケティ教授は「資本収益率(r)>経済成長率(g)」の図式を用いて格差拡大の歴史的検証を行いました。また元世界銀行エコノミストのブランコ・ミラノビッチ氏は全世界での所得増加率を「エレファント・カーブ」(通称)で示し、先進国で拡大する貧富の格差を明示的に明らかにしました。こうした格差・不平等の拡大が野蛮なポピュリズムを生み出しているといっても過言ではありません。

 

もとより現代社会の矛盾は格差・不平等問題だけではありません。貧困・感染症や地球環境問題、そして世界の難民・避難民は過去最高の6560万人にも上っています(2016年末)。このような現実を前に私たちは、「誰一人取り残さない」「脆弱な状況下にある人々への連帯」を掲げるSDGsについてどのように理解し、つづく社会へと進むことができるのでしょうか(そのひとつの重要なツールがグローバル連帯税です)。

 

折しも来年は、重要な国連イベントもありますが、日本が議長国となり6月大阪でG20サミットが開催されます。持続可能な社会に向けて私たちが声を上げる絶好の機会です。G20に対する市民社会側のプラットフォームを準備しているSDGs市民社会ネットワークの稲場雅紀専務理事から、SDGsならびにG20サミットの課題について縦横無尽に語っていただきます。

 

(*)SDGs(持続可能な開発目標) 持続可能な開発のための2030アジェンダ

 

◎稲場雅紀氏プロフィール:

 

1969年生まれ。90年代初頭から横浜市寿町の日雇労働者の保健・医療の問題に取り組んだ後、94年から「動くゲイとレズビアンの会」のアドボカシー部門ディレクターとして性的少数者の人権問題や国内外のエイズ問題などに取り組む。2002年より、「アフリカ日本協議会」の国際保健部門ディレクターとして主に調査や政策提言に従事。2009年、MDGs達成のためのNGOネットワーク「動く→動かす」(GCAP Japan)を設立し、事務局長を務める。2016年SDGs市民社会ネットワークを設立し、翌年社団法人化し専務理事に就任。(国連広報センター資料等から作成)

EU長期財政計画でのFTTと10カ国FTT、日本での国際連帯税

EU(欧州連合)では再び金融取引税(FTT)の議論が活発になってきたようです。この議論は二つの方面で行われています。ひとつは英国離脱後の備えてのEU財政に関しての議論、もうひとつはEU10カ国での先行導入問題に関しての議論です。このような欧州情勢と日本での国際連帯税について報告します。

 

1、欧州連合(EU)での長期財政計画案議論

 

前者につき、2021年からはじまる7年間の次期長期財政(多年次財政枠組み)に関して、欧州議会はすでに1月の段階で「自主財源による欧州連合システム改革(on reform of the European Union’s system of own resources」という報告書を出しています[1]。同報告書では、VAT制度改革、共通連結法人税課税ベース(CCCTB)導入等の法人税改正、欧州レベルでの金融取引税、デジタル分野の企業に対する特別課税、環境税など、EUの新たな税収源を提案しています。

 

また、草案を提出する欧州委員会も、実は昨年6月の段階で、独自財源のオプションのひとつとして金融取引税を挙げていました[2]。ところが、去る52日に「未来のための欧州財政」[3]と題して欧州委員会草案が出されましたが、そこには金融取引税が入っていません。上記CCCTBと環境税(排出権取引への課税)が入っており、加えて非再生プラスチック包装廃棄物への課税が入っています[4]

 

どうして金融取引税が抜けたのかは提案内容を読み込まないとなりません。またデジタル分野の企業に対する特別課税についても。ともあれ、この2021年からの長期財源については2019年いっぱい議論されていくことになりますので、欧州議会の議論との関係など事態の推移を見守っていきたいと思います。

 

[1]EUReporter#Long-Term Budget: MEPs want EU to have more own resources 

[2]commissionEU財務の将来に関するリサーチ・ペーパー(2017628日)

[3]commissionEU Budget for the future

[4]commissionMODERNISING THE EU BUDGET’S REVENUE SIDE

 

2、欧州10カ国FTT議論>今月末から再交渉

 

後者(EU10カ国FTTについては、201610月以降交渉が止まっていましたが、Bloomberg Taxの報道によれば今月末から交渉を再開するようです。  

 

問題は、「新ドイツ連立政権がFTTへの強いコミットメントがあるかどうか、あれば確実に前進できる」と見られており、とりわけ新財務相となったオーラフ・ショルツ氏の手腕によるところが大きいようです。が、同報道ではショルツ氏はSPD(社会民主党)でも保守的でありあまり熱心ではないようだ、と研究者の話を紹介しています[5]

 

そのショルツ氏ですが、財務相就任直後、次のようにFTTに関する意欲を述べていました。「欧州での金融取引税キャンペーンを再び行うが、これは(そもそも)過去の大連立政権の合意であった。が、一部のユーロ圏の意欲の欠如とドイツ財務相(ショイブレ前財務相のこと)のおかげで失敗してしまった」、と[6]。南ドイツ新聞報道の通りであれば、政治信条が保守的であってもFTTには前向きであるようにも思えますが、いかがなものでしょうか。

 

[5]BloombergEU to Restart Financial Transactions Tax Negotiations

[6]【南ドイツ新聞】Scholz: Deutschland muss mehr zahlen 

 

3、FTTSDGs財源のための有力なツールに>フランスの事例を見る

 

以上のように、ドイツで新連立政権が誕生してから欧州でようやくFTTの議論が活発化しそうな事態になってきました。現在、グローバル連帯税フォーラム(以下、フォーラムと略)で欧州FTTに関するセミナー等を行ってくれている津田久美子氏(北海道大学大学院)が調査研究でベルギーに滞在していますので、ブリュッセルやドイツ、フランスなどの最新情報について、帰国され次第報告していただく予定になっています。

 

ところで、フォーラムがFTTに拘るのは、その税収が世界の貧困や気候変動対策など地球規模課題解決のための資金として、今日的に言えば持続可能な開発目標(SDGs)の達成のための資金として役立つからです。

 

昨年末フランスで気候変動サミットが開催されましたが、開催に先立ち、フランスのルメール財務相など同国の閣僚4人が「金融取引税を導入すれば、2020年までに年間最大50億ユーロ(59億ドル=6300億円)を調達でき、それを気候変動対策の原資できる」としてFTT推進を訴えました[7]。 

 

そのフランスですが、航空券連帯税に続いて、2012年独自のFTTを導入しました。具体的には、「時価総額10億ユーロ以上の国内株式の購入に0.2%を課税する」というものですが、昨年1月より0.3%に引き上げられました(本年よりデイトレーディングにまで拡大する予定でしたが断念した)。2017年の税収は14億ユーロ(1800億円)で、その半分ほどがアフリカ支援等地球規模課題に使われているようです。

 

[7]【ロイター】フランス、欧州の金融取引税導入を推進へ

 

4、日本では国際連帯税を>航空券連帯税や独自FTTなどの実施が可能

 

日本では、2009年より外務省が税制改正要望として国際連帯税の新設を要望してきました。20128月にはいわゆる「税制抜本改革法」[8]が国会で成立し、その中で「…国際連帯税について国際的な取組の進展状況を踏まえつつ、検討すること」ということが法律として決められました(第7条第7号)。

 

しかし、これ以降政府はまったく検討を怠たり、毎年度の税制改正大綱から国際連帯税に関する文言を盛り込んでいません。そして前年度には、国民的議論はもとより自民党内ですら十分な議論もなく、大急ぎで国際観光旅客税(出国税、以下旅客税と略)を国会で成立させてしまいました(十分な国民的議論を行い、また特定財源化=財政の硬直化を防ぎ、かつ税収を連帯税的要素にも拠出するものであれば出国税に反対するものではないが)。

 

当然国際連帯税のうちの航空券連帯税は旅客税と同じく国際線の飛行機が出国するときに課すものですから、旅客税が導入されてしまえば、さらにその上に連帯税を加えるというのは厳しいと言えるでしょう。しかし、お隣韓国では観光のための出国税(出国納付金)も連帯税(国際疾病撲滅基金)も徴収していますし、主要国の空港税・料金はおしなべて高いので、旅客税1000円を加えても日本の空港税・料金はまだまだ安いのです。従って、旅客税プラス連帯税という選択肢は十分ありえると言えます。

 

また、連帯税は経済のグローバル化により国境を越えて活動している経済主体に課税するという性格上、航空券(運賃)への課税だけではなく、航空や船舶の輸送(燃料)への課税

についても国際的に議論されており、上記のように金融取引への課税もあります。まだ検討の段階ですが、当然ながら電子商取引への課税も考えることができます。

 

このような中で、去る425日、河野太郎外務大臣がシリア支援国会合で「国際的な税」の必要性を訴えました[9]。が、その必要な税につき直ちに実現するというのではなく、「いつかの時点で国際社会は作り上げる必要があります」というもの。確かに国際協定で決められるような(共通)税制はいまだ実現していませんが、その萌芽は至る所にあります。航空券税は14カ国で実施され、欧州FTT10カ国で実施方を交渉しています。何よりも気候変動対策のとくに適応資金については、まだ実現されていませんが、共通税制の可能性を探ってきた経緯があります(炭素税やFTT)。またフランスは独自FTTを実施し税収の相当部分を地球規模課題に使用しています。

 

日本でも(当面一国でも)航空券税や独自FTTを実施することは可能ですので、未来の国際社会に期待するのではなく、河野外務大臣は国際的な税に関しての国際的イニシアティブを発揮していただきたいものです。

 

[8]正式名:「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律」

[9]【外務省】シリア及び地域の支援に関するブリュッセル会合河野外務大臣ステートメント

 

 

河野外相、資金調達へ「国際的な税」も提案>シリア支援国会合で

シリア支援会合(河野外相)

 

25日の欧州と国連との主催によるシリア支援国会合で河野太郎外相は、「支援のための資金をどうひねり出すかという新しいメカニズムが必要になる」という問題提起を行い、さらに演説後記者団に「国際的な税を考えていく必要がある」と語ったということです。

 

この「国際的な税」が何税であるのかは語っていませんが、国際連帯税のような税構想を考えているのかどうか、非常に楽しみですね。

 

 

【日経新聞】シリア支援国会合、日本は約15億円の協力を表明

 

  【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)と国連が25日にブリュッセルのEU本部で開いたシリア支援国会合で、河野太郎外相はシリア人道支援へ新たに約1400万ドル(約156800万円)の緊急無償資金協力を表明した。河野氏は、今後の支援の資金調達の手法として、国際的な税の創設も検討していくべきだと訴えた。

 

 支援会合での演説で支援を表明した。シリアのほか、同国から難民が流入するヨルダン、レバノンを支援の対象とする。

 

 シリア内戦が長期化するなか、各国の予算から拠出する支援に頼る現状は「いずれ行き詰まる」と強調。「支援のための資金をどうひねり出すかという新しいメカニズムが必要になる」という問題提起もした。演説終了後、記者団に「国際的な税を考えていく必要がある」と語った。

 

 河野氏は演説で、シリアのアサド政権による化学兵器使用疑惑を巡って、「使用者を処罰するための国際的な恒常的メカニズムが必要だ」とも参加国に呼び掛けた。

 

 

(*)昨年4月支援国会合に際しての外務省の説明:

シリア危機が7年目に入り,約1300万人を超える難民・国内避難民の発生を含む深刻な人道危機が継続している状況を踏まえ,国際社会に対して新たな支援拠出を呼びかけるべく本会合が開催された。昨年2月にロンドンで開催された「シリア危機に関する支援会合」のフォローアップ会合としての位置付けもあった。

 

★写真は、シリア支援国会合の「ファミリーフォト」(河野外相のツイッターより)

【傍聴可】4.25タックスヘイブン問題と調査報道を考える勉強会

来る4月25日、共同通信の澤康臣記者をお招きし、下記の通り国会議員向けの勉強会を開催しますが、これには市民も参加(傍聴)できますので、参加希望者は次の注意事項を確認の上ご連絡ください。

 

     ・15分前までに参議院会館にお越しくださり、通行証を受け取り下さい。

     ・この勉強会は国会議員向けのものですので発言機会はないかもしれません。

 

●参加申込み:「勉強会参加希望」とお書きの上、info@isl-forum.jp から申込みください。

 

 

                    タックスヘイブン問題と調査報道を考える勉強会

 

日頃からのご活躍に心から敬意を表します。

 

この間パナマ文書やパラダイス文書が流出し、世界の一部大企業や富裕層のみならず有名な政治家などが、タックスヘイブン(租税回避地)を利用して税金逃れや財産隠しを行っている実態が明らかにされました。こうした税逃れは、国家財政を脆弱化させるとともに、何よりも公正であるべき税制を著しく歪めてしまい、民主主義国家の根幹を崩すことになります。

 

一方、OECD(経済協力開発機構)やG20は、BEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトを開始し、昨年にはBEPS防止のための多数国間条約の署名や共通報告基準(CRS)に基づく金融口座情報の自動交換も始まりました。また、アマゾンやフェイスブックなど巨大IT企業への「デジタル課税」問題なども議論が進んでいます。

 

しかし、税逃れの実態は底知れず、国際的にも国内的にも一丸となってタックスヘイブン対策を進めていくことが求められています。それとともに、タックスヘイブンに関する調査報道を進めるうえで、諸外国に比べて情報開示に消極的な「日本の壁」の存在が明らかになってきており、この点の改革も必要とされます。

 

この度、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)の一員として、パナマ文書やパラダイス文書解明のチームのメンバーである気鋭のジャーナリスト、澤 康臣(共同通信)記者をお招きし、下記の通りタックスヘイブンと調査報道の問題についての勉強会を持ち、国会議員のみなさまとともに考えていきたいと思います。ご多忙とは存じますがぜひご参加くださるよう願います。

 

【呼びかけ人】
  衛藤征士郎(衆議院議員・自民党)    斉藤 鉄夫(衆議院議員・公明党)
  末松 義規(衆議院議員・立憲党)     古川 元久(衆議院議員・希望党)
  石橋 通宏(参議院議員・民進党)     大門実紀史(参議院議員・共産党)
  福島みずほ(参議院議員・社民党)
    

                                         記

・日 時:2018年4月25日(水) 17:00-18:00
・場 所:参議院議員会館 B106
・講 演:「タックスヘイブン報道から見えてきた税逃れの実態と調査報道の壁」
     講師:澤 康臣 氏 (共同通信社東京支社編集部次長)

     <プロフィール>社会部、外信部、ニューヨーク支局勤務、英オックスフォード大学ロイタージャーナリズム研究所客員研究員などを経て、2014年5月から特別報道室で調査報道や深掘りニュースを担当する。また、ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)のメンバーとしてパナマ文書、パラダイス文書の解明・報道に携わってきた。著書に『英国式事件報道 なぜ実名にこだわるのか』(文藝春秋)、『グローバル・ジャーナリズム 国際スクープの舞台裏』(岩波新書)などがある。

 

 ◎連絡先:090-3598-3251(担当:田中/タックス・ジャステス・ネットワーク・ジャパン)