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国際連帯税フォーラムのこれまでの歩み

●2011年国際連帯税フォーラム設立までの経緯

国際連帯税の取り組みの出発点は、2006年2月開催された国際的な旗揚げである「国際連帯税に関するパリ国際会議」でした。この会議で、フランスなど航空券連帯税実施国の発表や「開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ(以下、LG)」創設が決まりました。

 

日本での国際連帯税の取り組みは、当初NGOや研究者中心でしたが、2008年2月「国際連帯税創設を求める議員連盟」(以下、議連)が設立され、政治レベルでの取り組みにもなりました。当初日本政府は国際連帯税に対して後ろ向きでしたが、議連の強い働きかけもあり、同年9月にLGに正式加盟することになりました。

 

翌2009年には、議連よりの「国際連帯税とりわけ通貨取引税に関する実現方法等の検討」依頼を受けて、寺島実郎・日本総合研究所理事長を座長とする国際連帯税推進協議会が4月に発足しました。また同年同月、これまで国際連帯税活動を行ってきたNGO・市民、専門家が集まり、国際連帯税を推進する市民の会(アシスト:Association of Citizens for International Solidarity Taxes)が設立されました。

一方、2008年9月のリーマン・ショック以降100年に1回という世界的に深刻な金融危機が起こり、その原因となった過剰な投機マネー、強欲金融資本に対する批判がまき起こりました。欧州においてはNGOや労働組合のみならず政治指導者も金融規制の必要性、その一環として金融取引税の必要性を提案するようになってきました。2010年2月には英国では金融取引税実施を求めるロビン・フッド・タックス・キャンペーンが設立され、このキャンペーンが欧州全体に拡大してきました。

日本においても欧州等でのキャンペーンと連動しつつ、2010年9月より国際連帯税共同キャンペーン実行委員会(以下、共同キャンペーン)を立ち上げ、議連とともに日本政府へのロビー活動を行ってきました。政府側は、当初外務省が国際連帯税に積極的であったことから、22年度税制調査会の専門家委員会・国際課税小委員会で「貧困問題、環境問題等の地球規模の問題への対策のための財源確保」という観点から議論されました。しかし、結果は「今後、真摯に検討します」ということになり23年度実施は見送りとなりました(23年度税制改正大綱)。

同年12月16-17日日本政府が議長国となりLG第8回総会が東京で開催されました。この総会を盛り上げる意味もあり、前日の15日には共同キャンペーン主催で「連帯と希望:国際連帯税を実現するための国際シンポジウム」を開催し、これには内外のNGO・労組、専門家など100人近い参加がありました。また、NHKなどマスメディアも総会やシンポジウムを大きく取り上げて報道しました。

 

共同キャンペーンに参加していたNGOや労働組合は、共同キャンペーンの役割が終わったことを確認し、2011年よりあらたな運動体(広場)を目指し、国際連帯税フォーラム準備会を発足させました。

 

背景として次のことがありました。第一に、11年より金融取引税に積極的なフランスがG20議長国に就任し、G20サミットにおいて金融取引税が主要課題になる可能性が高いこと、従って、欧州や米国のNGO等もG20を射程にしてキャンペーンを活発化していること、です。第二に、国内的にも昨年の活動の経緯もあり、これまで以上の運動の広がりが期待されること、です。このようなことから4月フォーラム設立を目指し、準備会を進めてきました。

 

ところが、本年3月11日未曾有の東日本大地震が生起し、同時に福島第一原発重大事故も発生し、準備会活動の延期を余儀なくされました。この間、日本の大災害に対して世界中の国々や市民から援助が寄せられましたが、中でも昨年大地震にあい20万人以上の死者を出した中南米ハイチをはじめとする最貧国の多くからも温かい援助がありました。「苦難や痛みを共有し、国境を越えて連帯を」というグローバルな連帯の精神をもって、私たちは国際連帯税フォーラム設立に向け活動を再開します。【以上、2011年6月25日フォーラム設立総会議案書より】

 

主な活動実績:2011625日~2012331

・2011年6月25日 国際連帯税フォーラム(以下フォーラムと略)設立総会&シンポジウム

(会場:青山学院大学)-参加者:70人、

・8月2~5日 議連総会に向けて議員等へのロビー活動(国際連帯税新スキームの説明兼て)

・8月8日 議連総会

-外務省から政府税制調査会に対し国際連帯税新設要望を上げてもらうための外務大臣要請を行うことを確認

・9月29日 齊藤内閣官房副長官と玄葉外務大臣への要請行動(議連並びにフォーラムの連名で要請文提出)

・10月29日 国際連帯税2011シンポジウム(会場:東洋大学)

-参加者:70人弱、目的:市民啓蒙とG20サミットに向けての首相提言

・2012年2月6日 議連(臨時)総会&勉強会

-一部役員交代、欧州債務危機問題と金融取引税の勉強会

・2月27日 院内学習会「欧州危機から国際連帯税(金融取引税)へ」

-講師:浜矩子先生(同志社大学教授)、上村雄彦先生(横浜市立大学准教授)

-参加:議員本人7人・議員代理出席21人、市民35人

・3月15日 「国際連帯税提言書」野田総理へ手交 <主催は世界連邦国会委員会>

-出席)議連側:世界連邦国会委員会8人、国際連帯税議連2人

政府側:野田総理、本多首相補佐官、峰崎内閣官房参与

-提言)「国際連帯税(日本版FTT)実施に向けた総理直轄の検討委員会(タスクフォース)設置を」

-回答)「今後もG20など、国際連帯税が話題になる時に是非皆さんの知恵を貸してほしい」「そ

の課題はよく分かっている。また皆さんの知恵を貸してほしい」(総理)

 

●2011~2012年の情勢とフォーラムの活動>

フランスはLGのリード国でありますが、2011年はG20サミットの議長国でもありました。サルコジ大統領は年頭からサミットの主要議題のひとつとして金融取引税(以下、FTTと略)を挙げていました。さらに、ドイツもそれに同調し、欧州債務危機が進行する中、8月17日サルコジ大統領とメルケル首相が、ファンロンパイEU議長に対し、欧州においてFTT導入を求める書簡を送りました(欧州議会では決議が上がっている)。

 

そして9月28日にはついに欧州委員会がタックスベースの広いFTT、つまり株・債券・デリバティブ取引に課税を求める法案を欧州連合と加盟各国に提案しました。しかし、金融資本の牙城であるシティーを抱えている英国やスウェーデンがこれに反対しました。

 

さらに11月のG20カンヌ・サミットにおいて、サミット史上はじめてFTTが議論されましたが、ここでも英国が、そして米国やカナダが反対に回りました。

 

今年に入り、欧州では3月の財務大臣会合で本格的に欧州委員会案の議論がはじまりましたが、いぜんとして結論がでず、6月の首脳会議が次の山になる情勢となっています。2月にはフランス議会が8月からの(国内での)FTT導入を可決・成立させました(株取引への課税、高頻度取引への特別税など)。

 

米国では、昨年秋から「1%(富裕層)対99%(我ら)」をスローガンとしたオキュパイ運動が盛り上がり、その運動の象徴としてFTTの要求が掲げられました。また、米国では労働組合が熱心で、とくに看護師組合(NNU)が先頭に立っています。こうした動向から与党民主党議員を中心にウォール・ストリート税(FTT)要求がやや勢いを増しつつあります。

 

日本では、2009年に政府レベル(税制調査会)で国際連帯税議論がはじまりましたが、2年続けて検討課題として先送りされてきました。こうした事態を打破するために、私たちは国際連帯税創設を求める議員連盟(以下、連帯税議連)と連携しつつ活動してきました。しかし、11年度も国際連帯税は検討課題にとどまり、壁を打破するには至りませんでした。

 

そういう中で、本年3月15日、野田総理に対して「国際連帯税提言書」を手交することができました。これは世界連邦日本国会委員会や国際連帯税創設を求める議員連盟など主に国会議員のみなさんのがんばりによるものですが、私たちも総理要請の準備を手伝ってきました。ともあれ、今後国際連帯税に関する提言をダイレクトに総理官邸に発出できる地平を切り開いたと評価できます。【以上、2012年5月19日フォーラム第2回総会議案書より】

 

◆主な活動実績:201241日~2013331

 ・2012年5月19日 フォーラム第2回総会&水野和夫氏(内閣府官房審議官)記念講演

(会場:青山学院大学)-参加者:72人

・6月11日 駐日フランス大使館・マセ大使と議連との懇談会にオブザーバー参加

・6月15日 G20ロスカボス・サミットに向けて首相(代理・齊藤副官房長官)、外務大臣(代理・加藤大臣政務官)要請行動<議連並びにフォーラムの連名で要請文提出>

・9月3日 議連2012年度総会(議連会員67人に)

-2012年度役員改選、平成25年度税制改正に向けた提言、10月IMF・世銀総会サイドイベント「国際シンポジウム」

・9月6~7日 平成25年度税制改正に向けて首相(代理・齊藤官房副長官)、財務大臣(代理・藤田副大臣)、外務大臣(代理・加藤政務官)要請行動<議連並びにフォーラムの連名で要請文提出>

・10月11日「国際シンポジウム: 金融取引税・国際連帯税は世界を救うか?~開発のための革新的資金調達に関する世界のリーダーと市民社会の対話」(会場:青山学院大学国際会議場)

-参加者:230人

-スピーカー

<リーディング・グループ関係・閣僚>

フィンランド国際開発大臣ハイディ・ハウタラさん(リーディング・グループ議長)

駐日マリ大使マハマン・バニア・トゥーレさん(ティエーナン・クリバリー財務大臣の代理)

フランス開発大臣のパスカル・カンファンさんはビデオでの参加

<リーディング・グループ関係・政府>

フランス外務省グローバル化局副局長のジャン・マルク・シャテニエさん

日本外務省大使・地球規模課題審議官石井正文さん

<国会議員関係>

ドイツ連邦議会議員・金融委員会カーステン・ジーリングさん

日本国際連帯税創設を求める議員連盟会長(参議院)林芳正さん

日本国際連帯税創設を求める議員連盟事務局長代理(参議院)石橋通宏さん

<労働組合関係>

ITUC(国際労働組合総連合)グローバルユニオン・ワシントン事務所長ピーター・バクビスさん

国際公務労連アジア・太平洋地域事務所事務局V.ラクシミさん

<NGO関係>

英国Stamp Out Poverty事務局長デービット・ヒルマンさん

フランス国際保健活動者連合事務局長パトリック・ベルトランさん

国際連帯税フォーラム代表理事/横浜市立大学教授金子文夫さん

横浜市立大学教授上村雄彦さん

日本リザルツ事務局長白須紀子さん

「動く→動かす」(GCA-J) 事務局長稲場雅紀さん

-最後に「金融取引税など革新的資金メカニズムを実施するための国際アピール」を採択

・2013年2月6日 「開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ」第11回総会(ヘルシンキ)への参加

・2月8日 議連2013年度第1回役員会

・2月19日 リーディング・グループ総会報告会(参加者:26人)

・2月26日 議連勉強会

-講師:上村教授「リーディング・グループ総会報告」

・3月25日 議連2013年度第1回総会&勉強会

-講師:マセ駐日フランス大使「国際連帯税はなぜ必要か」

 

●2012~2013年の情勢とフォーラムの活動

前年度においては、「はじめに」で述べた「国際シンポジウム: 金融取引税・国際連帯税は世界を救うか?」の取組みもあり、久しぶりにマスメディアでこの種の問題が取り上げられました(東京新聞や共同通信など)。朝日新聞は『金融取引税―欧州の新たな挑戦』と題した社説を掲載し、「…日本も消極的だが、ここは欧州の挑戦を重く受け止め、再考の契機とすべきだろう」との主張を掲げました(10月17日付)。

前年度ではありませんが、本年5月30日横浜で「TICAD Vパートナー事業: アフリカの発展と国際連帯税・金融取引税に関するシンポジウム」を開催しましたが、神奈川新聞などのマスメディアが大きく取り上げ、なかでも朝日新聞は『国際連帯税―国を超えた絆づくり』   と題した社説を掲載し、「日本は、国連への拠出金や政府の途上国援助(ODA)に資金を出しているが、財政難から予算は伸び悩んでいる。新しい発想でお金を集め、世界との絆を強める取り組みを育てていきたい」と主張しています(6月12日付)。

 

さて、日本の政治経済情勢の最大の変化は、昨年12月衆院議員選挙の結果、与野党が逆転したことです。このことにより私たちは「国際連帯税創設を求める議員連盟」(以下、議連)の存続が心配されましたが、川口順子元外相が議連の会長に就任するなど、結果としてこれまでと変わることなく活動が進められています。しかし、私たちのロビイングの弱さもあり、新政権は2013年度税制改正大綱から国際連帯税を外してしまいました。

 

一方、世界的には欧州でのFTT導入の動きが最大の変化と言えます。2011年9月に欧州委員会が「2014年にFTTの導入を求めるEU指令案」を提出しましたが、英国等が反対しEU全体(27カ国)での導入が危ぶまれました。その後議論が進められ、昨年10月には「強化された協力」という法的手続きで11カ国が先行導入することに合意し(欧州委承認)、12月には欧州議会が圧倒的多数でFTT導入を採択しました。そして翌年1月には欧州財務相理事会が採択し、2月に欧州委がFTTの11カ国導入計画を正式に提案する運びとなりました。

 

ところが、4月に入り英国がEU司法裁判所に提訴など反対する動きも活発化しています。しかし、2014年度中には(提案内容に若干の変更があるかもしれませんが)導入されることは間違いのないところです。注目していきましょう。【以上、2013年6月23日フォーラム第3回総会議案書より】

 

◆主な活動実績:201341日~

・2013年4月16日 津島雄二先生と議連役員懇談会

・4月26日 国際連帯税政策オプション作業チームの設置

-有識者14人、議連3人で構成

・5月15日 【緊急セミナー】世界の富を吸い込み、貧困と格差を助長するタックスヘイブン

~日本の経済と途上国開発をつなぐ租税回避問題を考える~(参加者80人)

-講師:志賀 櫻(弁護士)、山田太雲(オックスファム・ジャパン)

・5月16日 国際連帯税政策オプション・第1次案まとめる

・5月22日 同1次案の議連第1回検討会

・5月30日 TICAD Vパートナー事業「アフリカの発展と国際連帯税・金融取引税に関するシンポジウム~MDGs達成とUNITAIDなど革新的資金調達に向けたグローバルリーダーからの提言~」(会場: 神奈川県民センター・ホール)

-参加者:150人

-スピーカー

<あいさつ>

白須紀子(国際連帯税フォーラム代表理事/日本リザルツ代表)

川口順子(国際連帯税創設を求める議員連盟会長/参議院議員)

<報告と討論>

上村雄彦(横浜市立大学教授):「国際連帯税・金融取引税の意義と最新動向」

イボンヌ・チャカ・チャカ(南アフリカ歌手、ロールバック・マラリア親善大使):

「アフリカの現実を知ろう」

シャムスディーン・ウスマン(ナイジェリア国家計画大臣、LG議長)【ビデオ参加】:

「MDGsの達成及びポスト2015開発アジェンダの実施における革新的資金調達の役割」

ドゥニ・ブルーン(UNITAID事務局長):

「UNITAID:国際保健のための革新的資金ファシリティ」:

石橋通宏(国際連帯税創設を求める議員連盟事務局長/参議院議員):

「国際連帯税創設を求める議員連盟(日本)の活動と国会の動向について」

<今後の活動提案>

田中徹二(国際連帯税フォーラム代表理事/アシスト代表)

・6月7日 国際連帯税政策オプション1次案の議連第2回検討会(外務省・財務省も参加し意見交換を行う)

・6月10日 国際連帯税政策オプション・第1次最終案完成

・6月12日 議連総会

-「国際連帯税政策オプション・第一次案」についての報告と意見交換(作業チームからの報告:田中徹二、上村雄彦)

・6月23日(日) フォーラム第3回総会&志賀 櫻氏(弁護士)記念講演(会場:青山学院大学)-参加者:70人

・8月7日 議連総会

-衛藤新会長就任、26年度税制改正に向けての議論

・8月29日 議連、総理官邸申し入れ(対菅官房長官)

-参加議員:衛藤会長以下8人

・10月3日 議連第2回勉強会(講師:諸富徹京大教授)

・10月8日 世界基金日本支援委主催のUNITAID報告会

-出席:ドゥニ・ブルーン事務局長、ヴァレリー・テラノバ特別顧問

-その後、衛藤会長・石橋事務局長との懇談

・11月19日 議連2013年度第4回総会

-26年度税制改正要望に向けて

・12月8日「ポストMDGsと国際連帯税・金融取引税に関する国際シンポジウム~貧困、環境破壊、格差のない次の時代をめざして~」(会場:青山学院大学)

-参加者95人

-スピーカー

<あいさつ>

金子文夫(国際連帯税フォーラム代表理事/横浜市大副学長)

石橋通宏(国際連帯税創設を求める議員連盟事務局長/参議院議員)

<報告>

クリスチャン・マセ(駐日フランス大使)

「ポストMDGsと国際連帯税~フランスの経験から~」

諸富 徹(京都大学大学院経済学研究科教授)

「国境を超える税制度:国際連帯税・金融取引税の歴史的意義」

フィリップ・ムニエ(エイズ・感染症担当大使/フランス)

「エイズ・結核・マラリアなど感染症との戦いとユニットエイド」

<今後の活動提案>

田中徹二(国際連帯税フォーラム代表理事)

国際連帯税フォーラムに参加している団体と理事

●国際連帯税フォーラムに参加している団体と理事(2013年3月31日現在)

 

<参加団体紹介>

・(特活)アジア・コミュニティ・センター21  http://www.acc21.org/

・「動く→動かす」 http://www.ugokuugokasu.jp/index2.html

・(特活)オックスファム・ジャパン  http://www.oxfam.jp/

・オルタモンド

・(特活)国際協力NGOセンター  http://www.janic.org/

・国際公務労連加盟組合日本協議会(PSI-JC) http://www.psi-jc.jp/

・国際連帯税を推進する市民の会  http://www.acist.jp/

・(公財)国際協力NGOジョイセフ  http://www.joicfp.or.jp/jp/

・世界連邦運動協会  http://www.wfmjapan.org/

・(特活)世界連邦21世紀フォーラム  http://www.wfmjapan.com/

・(特活)日本リザルツ  http://www.resultsjp.org/

 

<理事紹介>

・阿久根武志(世界連邦運動協会)

・大類 隆博(個人)

・勝見 貴弘(個人)

・金子 文夫(個人、専門家グループ)【代表理事】

・佐藤 克彦(国際公務労連加盟組合日本協議会)

・白須 紀子(日本リザルツ)【代表理事】

・田島 純一(個人)

・田中 徹二(国際連帯税を推進する市民の会)【代表理事】

・遠野はるひ(オルタモンド)

・成田 好孝(世界連邦21世紀フォーラム)

 

●参考1:「国際連帯税推進協議会」委員一覧

国際連帯税推進協議会(通称、寺島委員会)は、国際連帯税議連が日本総合研究所理事長の寺島実郎氏に「国際連帯税並びに通貨取引税の内容と方法等」についての検討が依頼され、2009 年4 月創設されました。同協議会の委員は、この分野に関心をもつ研究者、NGO、国会議員、労働組合、金融業界によって構成され、外務省、財務省、環境省、世界銀行がオブザーバーとして参加しました。協議会は以降10 回開催され、2009 年末に中間報告書を作成し、それを踏まえて2010年9月最終報告書『環境・貧困・格差に立ち向かう国際連帯税の実現をめざして―地球規模課題に対する新しい政策提言―』が完成しました。以下、委員を紹介します(団体名・役職名は当時のもの)。

 

〔座長〕

・寺島実郎(三井物産戦略研究所会長、日本総合研究所理事長、多摩大学学長)

〔委員〕

・稲場雅紀(アフリカ日本協議会/国際保健分野プログラム・ディレクター)

・植田和弘(京都大学大学院経済学研究科教授)

・上村雄彦(横浜市立大学国際総合科学部准教授)

・金子文夫(横浜市立大学国際総合科学部教授)

・小西雅子(WWF ジャパン気候変動担当オフィサー)

・斎藤 勁(衆議院議員/国際連帯税創設を求める議員連盟事務局長)

・佐藤克彦(自治労国際部長)

・白須紀子(日本リザルツ事務局長)

・田中徹二(オルタモンド事務局長)

・平田仁子(気候ネットワーク東京事務所長)

・三木義一(青山学院大学法学部教授)

・諸富 徹(京都大学大学院経済学研究科教授)

・山田晴信(HSBC 顧問)

〔オブザーバー〕

・谷口和繁(世界銀行駐日特別代表)

・外務省国際協力局

・財務省国際局

・環境省地球環境局

 

●参考2:「国際連帯税政策オプション検討のための作業チーム」委員一覧

「国際連帯税政策オプション検討のための作業チーム」は、2013年4月国際連帯税議連の決定に基づき設置され、実質的に国際連帯税フォーラムが事務方を担いました。同チームにはフォーラムに参加する専門家・有識者の多くが委員として参加していただき、集中的議論を行って、同年6月一次案を完成させました。以下、委員を紹介します(団体名・役職名は当時のもの)。

 

・稲場雅紀(「動く→動かす」(GCAP-J)事務局長)

・植田和弘(京都大学大学院経済学研究科教授)

・上村雄彦(横浜市立大学国際総合科学部教授)

・金子文夫(横浜市立大学国際総合科学部教授)

・君島東彦(立命館大学国際関係学部教授)

・小西雅子(WWF ジャパン気候変動担当オフィサー)

・佐藤克彦(国際公務労連・日本協議会(PSI-JC)事務局長)

・志賀 櫻(弁護士、日弁連税制委員会副委員長)

・田中徹二(オルタモンド事務局長)

・谷川喜美江(千葉商科大学大学院商学研究科専任講師)

・三木義一(青山学院大学法学部教授)

・望月   爾(立命館大学法学部教授)

・諸富 徹(京都大学大学院経済学研究科教授)

・鰐部行崇(日本リザルツ コミニケーション・ディレクタ)

国際連帯税とは何か?

国際連帯税とは何か?

 

●国際連帯税の基本的な考え方

世界では、貧困・感染症や気候変動・大災害の問題、さらには莫大な投機的短期資金が引き起こす金融危機の問題など、国境を超える課題が山積しています。これらのグローバルな課題に対処するためには、国際社会が協働して対応するシステムの構築が求められており、とくにそのために必要な資金の確保を可能とするメカニズムが必要です。

 

グローバルな課題のための資金は、従来、各国の政府開発援助(ODA)による資金拠出で賄われていました。しかし、ODAは2008年の金融・経済危機以降ドナー国の財政危機が重なり、その拠出総額が減少傾向となってきています。また、ODAは各国の国益に左右される性格を有しています。つまり、政権が変わるごとに援助政策が変わるという不安定性です。

 

これに対し、新たな資金メカニズムは、国益等に左右されない持続性を持ち、かつ予測可能性を備えていなければなりません。さらに一定の資金量の確保も求められます。こうした要件を満たすのは、地球規模の課税、つまり「グローバル・タック」ス方式が最もふさわしいと考えられています。その課税権は、超国家機関による徴収または複数国によるシェアなどとして検討されるべきです。しかし、現実的には複数の政府から構成される共通の「地球規模課題を扱う国際機関等」へ税収の一部または全部を拠出、という形になると思われます。また、投機マネーの抑制には金融取引税が有効であり、これは他方で、相当額の税収を生むものとして注目が集まっています。

 

グローバル・タックスの仕組みは、経済のグローバリゼーションで受益している経済主体の、国境を越えて行う経済活動に課税し、その税収でもってグローバルな課題対策のための資金源とする、というものです。課税対象としては(つまり、国境を越えて行う経済活動で恩恵を受けている経済主体)、国際航空・船舶輸送、国際金融取引(外国為替取引)、国際電子商取引、多国籍企業(貿易)、武器取引などが考えられています。

 

グローバル・タックスの萌芽は、2006年フランスが率先して導入した航空券連帯税で、現在10か国ほどが同税を導入し、その税収の一部または全部をUNITAID(ユニットエイド:国際医薬品購入機関)という国際機関に拠出しています。UNITAIDとは、途上国のエイズ・結核・マラリアという3大感染症治療のための医薬品や診断薬を購入する機関です。

 

●国際連帯税の誕生<2006年>

国際連帯税の誕生は、2002年の国連開発資金会議(モンテレイ)まで遡ります。同会議で、ミレニアム開発目標(MDGs)達成のためには、ODAだけでは不十分という認識の下、革新的資金メカニズムの必要性が議論されました。こうした議論をもとに、その翌年、フランスでランドー委員会が設置され検討されることになりました。

 

ランドー委員会は、シラク大統領の諮問機関として設置され、委員長にはジャン=ピエール・ランドー氏(会計検査院委員長)が就任し、政府、IMF、経済界、大学、NGO出身の15人で構成されました。2004年8月「ランドー・レポート」が提出され、環境税(炭素税、航空・海上輸送税)、航空券税、金融取引税、多国籍企業への課税、武器取引税など、国際課税方式による資金メカニズムを主張しました。

 

◇ランドー・レポート:

http://www.diplomatie.gouv.fr/en/IMG/pdf/LandauENG1.pdf

 

このランドー・レポートを受けてフランスはブラジルなどとともに2006年3月「革新的資金調達に関するパリ会議」を開催し、「開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ(以下、LG)」を設立しました。当時このLGには38カ国が参加しました。同年7月にフランスが航空券連帯税を導入し、9月には5カ国を設立国とするUNITAID(ユニットエイド)が創設されました。UNITAIDの予算は主に航空券連帯税で賄われます。

 

●日本:国際連帯税創設を求める議員連盟の設立<2008年>

日本では2007年頃より国際連帯税に関する関心が高まり、2008年2月、超党派の「国際連帯税創設を求める議員連盟」(以下、議連)が設立され、初代会長は津島雄二衆議院議員(当時)、幹事長は林芳正参議院議員、事務局長は犬塚直史参議院議員(当時)が就任しました。

 

議連の当初の活動目標は、①リーディンググループ(LG)のフルメンバーになること、②LGの議長国となり総会を日本で開催すること、③国際連帯税を日本で導入すること、でした。その後、①は2008年中に、②は2010年に実現しました。後は③のみです。

 

●その後の経緯と最新情報

LGとUNITAIDは大きく拡大しました。前者は65カ国に、後者は28か国に拡大。が、航空券連帯税導入国はまだそれほど増えていません。一方、LGは2010年に「国際金融取引タスクフォース」を組織し、専門家委員会からグローバル通貨取引税の答申を受けました。具体的には、主要国の通貨取引に0.005%課税し、税収をグローバル連帯基金として使用するというものです。このグローバル通貨取引税の提案が、2011年欧州委員会による金融取引税の提案につながりました。

 

日本では、2010年に政府税制調査会が専門家委員会の下に「国際課税小委員会」を組織し、本格的な検討が行われましたが、税制改正大綱では「今後とも真摯に検討を行います」との表現にとどまりました。2012年には総選挙で政権交代となり、議連の役員・会員メンバーもずいぶん変わりましたが(2008年の創設から衆参両選挙がそれぞれ2回ずつ行われる)、引き続き国際連帯税実現のため奮闘しています。

 

今、世界ではグローバルな課題がいっそう増大し、それに対応するための資金の必要性が高まっています。2015年を達成期限とするMDGsの第2ステージである「ポスト2015開発アジェンダ」の資金について、気候変動対策のための適応資金について、さらに大地震等の災害等への資金について、民族紛争や資源戦争等に対処する平和構築のための資金について等々、枚挙にいとまがないほどです。

 

しかし、それらの資金供給が先細ってきています。それは先に見たドナー国の財政危機からODA拠出が減少してきているからです。こうした状況に対し、今、世界的に革新的資金メカニズム(国際連帯税・金融取引税)への関心が高まっています。なかでも、現在欧州11カ国で導入に向けての準備が進められている金融取引税です。

 

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金融取引税とは何か?

金融取引税とは何か?

 

●概要

金融取引税(FTT:Financial Transaction Tax)とは、通貨、株式、債券、デリバティブ、一次産品など、あらゆる金融資産の取引への課税を指します。この税により、株価、為替レート、一次産品価格の乱高下という不安定さが弱められるのみならず、実施国政府に多大な税収をもたらします。

 

この税は、金融業界はじめ経済界の反対などがあり、実現はむずかしいと考えられてきました。ところが、2011年9月に、欧州委員会はEU加盟各国に対し、欧州金融取引税を2014年1月に導入するEU指令案を提示しました。これは、EU域内居住者である金融機関(またはそれに準ずるファンドや個人)の取引に対し、株式と債券取引に0.1%、デリバティブ取引に0.01%を課すものです。

 

この税制の目的・特徴について、アルジルダス・セメタ税制担当欧州委員(閣僚級)は次のように発言しています。「①FTTは金融セクターの国家財政への妥当な貢献をもたらす、②FTTは安定した金融活動をもたらし高リスクな投機を抑制する、③FTTは一般市民に負担を求めることなく大幅な税収増をもたらす、④この税収は景気対策のみならず、開発や気候変動等の地球規模課題の対応資金とすることができる」(2012年5月欧州議会での演説のまとめ)。

 

しかし、この提案に英国等が反対し、EU27国によるいっせい導入が困難になりました。それでドイツ、フランスなどの導入積極グループは、2013年1月22日、「強化された協力」という手続きで11ヵ国による先行導入を決めました(同年2月14日欧州委員会が11カ国導入に向け正式提案)。以後、英国によるEU法に反するとしての欧州司法裁判所への提訴などで紆余曲折があったものの、2014年中へのFTT導入をめざして11カ国で調整中となっています。

 

 ■金融取引税導入予定11カ国
ベルギー、ドイツ、エストニア、ギリシャ、スペイン、フランス、イタリア、オーストリア、ポルトガル、スロベニア、スロバキア

 

●導入予定のFTTの実施内容

導入予定の実施内容について、ロイター通信は以下のように報道しています(『〔情報BOX〕EU11カ国で導入する金融取引税のポイント』2013年 02月 15日)。

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK829290420130215

 

<対象>

11カ国に「経済的なつながり」がある場合、すべての金融機関によるすべての商品及び市場に関するすべての取引。

<税率>

株式や債券、短期金融資産、レポ取引、証券貸借取引は0.1%。デリバティブ(金融派生商品)取引は0.01%。取引にかかわった各金融機関が支払う。加盟国はこれより高い税率を適用することも可能。

<例外>

クレジットカード、預金、通貨のスポット取引など日常的な金融取引は課税対象とはならない。株式や債券、投資信託ユニットの資金調達を目的とした発行も対象外。

<課税逃れ防止対策>

11カ国内の金融商品に関する取引は、時期や場所を問わず課税されるとの「発行原則」を採用。課税地域からロンドンなど域外へ取引が移ることを阻止することが狙い。

<税収見込み>

年間300億─350億ユーロ  《以上がロイター通信の記事》

 

課税の目的ですが、基本的に国内財政への寄与ならびに金融規制を挙げていますが、これにグローバル公共財への資金創出が入るかどうかは、今後の協議となります。

 

●11カ国FTTは日本の金融機関にも関係してきます

ところで、課税対象ですが、加盟国の金融機関どうしの取引では両金融機関に課税されることはもちろんですが、加盟国の金融機関と取引した非加盟国の金融機関も「加盟国に設立されたものとみなされ課税対象とする」ということが欧州委員会提案に明記されていますので、非加盟国の金融機関も納税をしなければなりません。例えば、(非加盟国である)日本の金融機関が(加盟国の)フランスの金融機関と取引した場合、世界のどこで取引を行ったとしても、日本の金融機関にも課税され、フランスの税当局に納税しなければならない規定となっています。

 

また、租税回避を防ぐために、同提案では発行主義原則を取っており、加盟国で発行された金融商品に関して加盟国圏外で取引された場合にも課税されることになります。例えば、(非加盟国である)日本の金融機関が(非加盟国である)米国の金融機関との間で、(加盟国の)ドイツの金融機関が発行した株式を取引した場合、日本と米国の金融機関はそれぞれドイツの税当局に納税しなければならないのです。

 

このように欧州で実施されようとしているFTTは、日本の金融機関や金融市場には無関係どころか、大きく影響してきます。

 

●今後のスケジュールと日本での課題

11カ国FTTの導入は、本来2014年1月1日からの予定でしたが、英国の反対の立場からの欧州司法裁判所への提訴などで、大幅に遅れてしまいました。しかし、11カ国は、昨年12月の「FTT推進を合意した」ドイツ大連立政権の誕生もあり、年が明けてからようやく交渉のエンジンもかかってきたようです。スケジュール的には、11カ国は「5月6日を期限に欧州委員会提案の検討」に入っています(情報は、1月17日「開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ」第12回総会から)。

そして11カ国導入をリードずるためにフランスとドイツの首脳会議が開催され、そこで方向性が出されると思います(首脳会議は2月19日)。

 

一方、日本においてはFTTに関し政府レベルでも金融機関等の民間レベルでもまだ関心が高まっていません。従って、官民挙げて早急にFTTについて検討していくことが求められています。そしてFTTの積極的要素を踏まえ、欧州11カ国と連動しつつ導入を図っていくことが求められています。その要素とは、セメタ欧州委員(閣僚級)の言うように、①財政の安定化のために、②投機マネーを規制するために、③そして世界の貧困や気候変動対策のためのグローバル資金調達のために、です。

航空券連帯税・UNITAIDとは何か? 

航空券連帯税・UNITAIDとは何か? 

●概要

航空券連帯税(Solidarity Levy on Air Tickets)は、数ある国際連帯税構想の中で成功裡に実施されている税制です。「国際連帯税とは何か?」で述べたように、フランスが2006年7月から先頭を切って導入し、その後、韓国やチリそしてアフリカ諸国など、現在9カ国で導入されています。

 

同税は以下の特徴を有するため、国際連帯税としてもっとも導入が容易な税制です。

①    徴税のためのコストかからず--航空券購入時に空港税に上乗せする方法で行う

②    航空会社に費用発生ぜず--税を払うのは国際線を利用する乗客である(出国時のみ適用され、トランジット客には適用されない)

③    税制設計は各国で決めることができる--とくに国際条約等が存在しないため、導入国が税率含めて設計できる。

 ■航空券連帯税導入国
フランス、韓国、チリ、カメルーン、ニジェール、モーリシャス、マリ、マダガスカル、コンゴ共和国 (この他、ナイジェリア、モロッコ、スリランカ等が検討中)

 

 

●導入国での実施例(税額など)と収入

導入国のフランスと韓国の実施例を見てみましょう。

 

■フランスの実施例

国内・EU線

エコノミークラス 1 ユーロ

ビジネス・ファーストクラス 10ユーロ

国際線

エコノミークラス 4 ユーロ

ビジネス・ファーストクラス 40ユーロ

■韓国の実施例

国際線

クラス別に関係なく1律1,000ウォン

       (注・他の導入国では一部税率で行っている国もあるが、ほぼ定額税である)

 

収入については、フランスで年間約1.7億ユーロ、韓国では年間150億ウォンです。

 

●資金の使途:UNITAID(ユニットエイド)の役割

航空券連帯税で得られた税収は、その一部または全部がUNITAIDという国際機関に拠出されます。例えば、フランスは税収の90%をUNITAIDに、残りの10%をIFFIm(予防接種のための国際金融ファシリティ)に拠出しています。韓国は半分をUNITAIDに、残りの半分は独自のアフリカ支援等に充てています。その他の国はほぼ100%の拠出となっています。

 

UNITAIDは2006年9月、フランス、チリ、ブラジル、ノルウェー、イギリスの5カ国によって設立されました。目的は、「エイズ・結核・マラリアという感染症で苦しむ途上国の人々のため、それらの国々の現状では手に入れることが困難な高品質の医薬品・診断技術の価格を下げて、広く供給が行き届くようにすること」(UNITAID憲章)、です。医薬品等の価格を下げることが可能なのは、航空券連帯税による税収という持続的かつ予測可能な資金を活用し、製薬メーカーとの交渉力を強化し、価格を下げることに成功しています。

 

UNITAIDは設立から6年余りで、参加国が28か国(これに2財団も参加)へと拡大し、これまで20億ドルを超える資金調達を行いました。この資金のうち航空券連帯税による資金が70%を占めています(連帯税未実施の国はその国の財政から拠出)。この結果、①小児エイズ治療薬の80%、②マラリアの最良治療薬の80%、③エイズ第二選択薬の60%、④最新の結核診断検査費用の40%等々の価格引き下げに成功し、現在合計96か国でのプロジェクトで成果を上げています。

 

●日本人は年間約10億円国際連帯税をすでに支払っています

え? 日本では国際連帯税(航空券連帯税)を導入していないのに、どうして同税を支払っていることになるのでしょうか? それは同税を導入している国に観光旅行等をした場合、その出国便の航空券に課税されているからです。具体的には、導入国のうち、そのほとんどはフランスならびに韓国に納税していることになります。合計で年間約10億円に上ります。

 

訪問客数* 税 額 日本人の国際連帯税納入額(予想)
韓  国 352万人(2012年) 一律 1000ウォン 35.2億ウォン(2億9300億円)
フランス 62万人(2011年) エコノミー4ユーロビジネス以上40ユーロ 583万ユーロ(7億4000万円)**

*この数字は観光客としてのみの数字で、ビジネス客等は含まれていない。

**エコノミー席乗客割合を85%、ビジネス席以上乗客割合を15%として試算

 

そこでもし日本が国際連帯税(航空券連帯税)を導入していたら、外国の方からどのくらい税収を得ることになるのでしょうか? つい先日、訪日外国人が2013年に1,000万人を超えたとの報道がありました(1036.4万人)。それでこれにフランス並みの定額税がかかっていたとすれば(エコノミー500円、ビジネス以上5000円)、121.8億円となります。なお、同年の出国日本人は1747.3万人でしたので、日本の方からは205億円の税収となり、海外・国内合せて約327億円の税収となります。

 

このように国際連帯税ならびに金融取引税関係では、もっぱら日本人が他の国に税を払うという構図になっており(航空券連帯税の場合)、あるいはなりそうである(欧州FTTの場合)ということで、あらためて政府や国民が能動的・積極的に関われる国際連帯税を政策化していく必要があります。

国際連帯税フォーラムとは?

●国際連帯税フォーラムの誕生と役割

国際連帯税フォーラム(以下、フォーラム)は、日本と世界とで国際連帯税導入を求めて、2011年6月に設立された組織です。現在、市民社会の11の団体と、多くの専門家・有識者個人と市民が参加しています。フォーラムの日常活動の運営は「理事会」が行っており、10数人の理事が就任しています。フォーラムの規約は、こちらをご覧ください。

 

フォーラムは主に以下の4つの役割を担い、活動しています。

 

1)「開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ(LG)」との連携

LGは、2006年3月にパリで設立され、現在、日本を含む65カ国で構成されている国際的な有志国グループです。常設事務局はフランスが担い、毎年加盟国が順番に議長国を務めています(2014年1月まではナイジェリア)。

 

LGの目的は、開発(=世界の貧困問題解決)のため国際連帯税などの新しい資金調達メカニズムについて国際的に議論し、実現していくことです。その議論には、各国政府や国際機関のみならず世界の市民社会代表も参加しています。国際連帯税フォーラムの構成団体である「市民団体:オルタモンド」が2006年のパリLG設立総会にフランス政府から招待され、以来、連携が続いています。最近では、2012年10月に東京で開催されたIMF・世界銀行総会のサイドイベント、「国際シンポジウム: 金融取引税・国際連帯税は世界を救うか?」を共催しています。

 

 

2)「国際連帯税創設を求める議員連盟」との連携

国際連帯税創設を求める議員連盟(以下、議連)は、2008年2月に設立された超党派の議連で、津島雄二衆議院議員(当時)が初代会長を務め、当初からオルタモンドなど市民団体が事務局を手伝ってきました。その後、国際連帯税フォーラムとして、議連との連携により、勉強会の開催、国際連帯税創設を求める税制改正要望の提出、国際シンポジウムの開催などに取り組んでいます。

 

 

3)専門家・有識者の参加によるシンクタンク機能

フォーラムには、通常の理事会のほかに専門家部会があり、多くの専門家・有識者が参加しています。2009 年4月、当時の議連が日本総合研究所理事長の寺島実郎氏に「国際連帯税並びに通貨取引税の内容と方法等」について検討を依頼し、国際連帯税推進協議会(通称、寺島委員会)が創設されました。この協議会には、その後フォーラムに参加する専門家・有識者(大学教員、NGOなど)が委員として参加しました。

 

また、2013年、議連の決定に基づく「国際連帯税政策オプション検討のための作業チーム」が設置された際、実質的にフォーラムが事務方を担い、フォーラムに参加する専門家・有識者の多くがチームに参加して議論を行っています。

 

 

4)日本と世界の市民社会との連携

国際連帯税を実現するには、何と言っても国民的理解や市民社会からの支援が必要です。フォーラムはそのための啓発活動として国際シンポジウムや市民向けセミナーなどを実施してきました。また適宜海外の有用な情報をメディアに提供するなどして、これまで多くのマスコミが国際連帯税を取り上げてきました。現在欧米でも国際連帯税や金融取引税を求める運動が高まっていますが、この運動と連携してのキャンペーンを実施していきます。

朝日新聞”社説”に取り上げて頂きました。2013年6月12日

朝日新聞 2013年6月12日

 

 

【社説】国際連帯税 国を超えた絆づくり

国際社会との連帯という言葉はときおり耳にする。しかし、「国際連帯税」を知る人は少ないかもしれない。感染症や気候変動、貧困など地球規模の問題を解決するために、国境を超えた活動に薄く課税し、資金を得る。グローバル化時代ならではの「税」だ。その創設を求める提言を超党派の国会議員連盟…

 

朝日新聞デジタルURL

http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201306110655.html

 

国際連帯税_社説朝日新聞20130612

 

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12.8 ポストMDGsと国際連帯税・金融取引税に関する国際シンポジウム

極度の貧困と飢餓の根絶などをめざすミレニアム開発目標(MDGs)の達成期限まであと2年と迫るなか、去る9月25日国連総会においてMDGs特別イベントが開催されました。 このイベントでは、MDGs達成のための加速化とポストMDGs(2015開発アジェンダ)について議論されました。

しかし、目標達成のための手段である資金問題については十分議論されるには至らず、これまで通り先進国の国民総所得(GNI)の0.7%を政府開発援助(ODA)として拠出する ことを確認したにとどまりました(2012年のODAはGNI 比0.29%で、これで2年連続減少)。

一方、来年にはポストMDGs の中の、とくに「持続可能な開発のための資金問題」について国連での議論が始まります。これに向けて専門委員会がすでに発足しております。 また、気候変動枠組み条約関係でも来年には長期資金(2020年までに年間1000億ドル拠出)の戦略を提示しなければなりません。

こうした国連レベルを含む国際社会のなかにあって、ポストMDGsにおける資金問題について、フランスやLGでの経験を長く有するリスチャン・マセ駐日フランス大使に語って いただきます。同時に、革新的資金メカニズム(含む国際連帯税・金融取引税)の可能性と展望について探ります。

ひるがえって、国際連帯税や金融取引税は世界の租税史の中でどう位置付けられるべきか、そしてこれらの税制は新しい時代を画することができるか--という理論的諸問題 につき、京都大学の諸富徹教授が本年『私たちはなぜ税金を納めるのか―租税の経済思想史―』という本を出版され社会的に注目されています。教授からそのエッセンスにつ いて語っていただき、グローバルかつ現代的な課題としての国際連帯税を学びます。

日本においては、2008年に超党派の国際連帯税創設を求める議員連盟が創設されて以降、議員連盟とNGO・市民社会が、革新的資金メカニズムとりわけ国際連帯税について5年越 しの取組みを展開してきています。日本政府・外務省も2009年以来、新年度税制として国際連帯税を要望してきました。このように日本においても持続可能な開発資金として の国際連帯税実現の気運は確実に高まっています。本シンポジウムを機にいっそう国際連帯税に関する世論を高め、貧困、環境破壊、格差のない次の時代をめざしていきたい と思います。みなさまのご参加をお待ちしております。

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<プログラム(予定)>
◆あいさつ
・主催者あいさつ…金子文夫(国際連帯税フォーラム代表理事/横浜市大副学長)
・国会議員あいさつ…衛藤征士郎(国際連帯税創設を求める議員連盟会長/衆議院議員)

◆報告
・報告(1)「ポストMDGsと国際連帯税~フランスの経験から~」
クリスチャン・マセ(駐日フランス大使)
・報告(2)「国境を超える税制度:国際連帯税・金融取引税の歴史的意義」
諸富 徹(京都大学大学院経済学研究科教授)
◆パネル討論
・ファシリテーター:上村雄彦(横浜市大国際総合科学群教授)
・パネラー:上記のお二人の報告者
◆提案と閉会のあいさつ
・田中徹二(国際連帯税フォーラム代表理事)
◆総合司会:成田好孝(世界連邦21世紀フォーラム)

<メインスピーカーの紹介>

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◆クリスチャン・マセ(Christian Masset)
国立行政学院(ENA、ルイーズ・ミシェル期生)卒業後、1984年フランス外務省
に入省。2007年に外務省経済・財務局長(DAEF)、2009年にDAEFと国際協力・開
発総局が合併されたグローバル化・開発・パートナーシップ総局長に就任。この
間、LG常設事務局の総責任者を務める。2011年12月21日から駐日フランス大使を
務める。

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◆諸富 徹
京都大学大学院経済学研究科教授(専攻は財政学、環境経済学)。著書に『思考のフロンティア 環境』『ヒューマニティーズ 経済学』(岩波書店)、『環境税の理論と実際』(有斐閣)、『私たちはなぜ税金を納めるのか~租税の経済思想史』(新潮選書)があり、共著に『所得税の理論と思想』(税務経理協会)、『低炭素経済への道』(岩波新書)などがある。

◎日 時:2013年12月8日(日) 13時30分~16時30分(13時開場)
◎会 場:青山学院大学 17号館3階17310教室
(東京都渋谷区渋谷4‐4‐25)
アクセス⇒ http://www.aoyama.ac.jp/outline/campus/access.html
◎資料代:500円(ただし、学生は無料)

 

<主催・共催・後援>
◎主 催…国際連帯税フォーラム
◎共 催…国際連帯税創設を求める議員連盟
動く→動かす(GCAP Japan)
◎後 援…オープン・ソサエティ財団
ユニットエイド(UNITAID:国際医薬品購入ファシリティー)
日本生活協同組合連合会
世界連邦日本国会委員会
◎言 語…(日英)逐語通訳が入ります