ドイツ大連立協議>NGOが金融取引税でtwitterアクション!

ドイツのGroko( Große Koalition「大連立」の略)協議が4日までに合意を得るべく最終ラウンドに入っています。この動きに対し、オックスファム・ドイツは金融取引税を求めて、関係政党(3党)の指導者に対してtwitterアクションを行っています。

 

今回このアクションへの国際的なサポートを依頼するメールが届きましたので、紹介するとともに、ご協力をお願いします。

 

 

 

<オックスファム・ドイツからの依頼>

…前略…

大連立協議は今週末最終ラウンドに向けて行われていますが、この最終的な連立協定には野心的なFTT(金融取引税)を導入しその収入をグローバルな貧困と気候変動対策へ配分することを必ず含めること、このことを関係する政党に要求します。さらに、新政府が設置されたなら直ちにかつ確実にFTTが実施されるように力を入れてください!

 

残念ながら、それは(アクションを呼びかけているWEBサイトは)すべてドイツ語ですが、あなたがたが行動を取ってくれると私は確信しています。私たちは国際的な支援を受けることができればたいへんハッピーです!

 

PIA SCHWERTNER | Kampagnenkoordination Finanztransaktionssteuer

 

◎ツイッターの文面は、以下の通りのようですので、そのままツイートしてOKです。

 

「貧困緩和と気候変動対策のための強力な金融取引税のない新たなGrokoはない! 最初の100日間にあなたの約束を守ってください!」

 

 

ドイツ大連立に関する最新報道

【日経新聞】ドイツ大連立、協議大詰め 医療保険・雇用なお溝(2月3日朝刊)

 

★写真は、大連立協議の一方の当事者のシュルツSPD党首

 

ダボス会議:英国影の財務相、金融取引税など「不快なメッセージ」発言

世界の政治家や大企業経営者などのエリートたちが参加する世界経済フォーラム(通称、ダボス会議)が1月26日に終了しました。このフォーラムは「世界の課題の解決を目指す会議として世界に幅広く知られ」(1月22日付日経新聞)ていると言われていますが、果たしてそうでしょうか?

 

例えば、フォーラムでは毎年のように「経済格差」をグローバルリスクとして挙げています。しかし、「…ある元中銀当局者が指摘したように、『われわれは以前、格差を是正しようとしたが、うまく行かなかった』」(1月30日付ロイター通信)と報道されているように、行き過ぎたグローバル化がますます格差を拡大し、そのことが世界中でこれまでにない排外主義と分断された社会を生み出しています。

 

このダボス会議に先立ち、国際NGOのオックスファムは毎年格差問題に対する報告書を公表していますが(下記報道を参照)、この格差拡大の進行をくっきりと浮かび上がらせています。

 

 

【朝日新聞】世界の富の8割、1%の富裕層独占 NGO報告、格差対策を呼びかけ

 

【引用】

国際NGO「オックスファム」は22日、世界で1年間に生み出された富(保有資産の増加分)のうち82%を、世界で最も豊かな上位1%が独占し、経済的に恵まれない下から半分(37億人)は財産が増えなかったとする報告書を発表した。資産の偏在が格差拡大を招いているとして、世界の指導者に対策を呼びかけた。

 オックスファムは、スイス・ダボスで23日に始まる世界経済フォーラム年次総会を前に、世界の指導者にタックスヘイブン(租税回避地)への対策や富裕層への課税強化などの取り組みを求めた。

【引用了】

 

 

ところで、このダボス会議にイギリス労働党の影の財務相であるジョン・マクドネル(John McDonnell)も招待され、彼は「グローバルエリートにとって不快なメッセージを発した」ようです。日本ではまったく報道されていませんが、その「不快なメッセージ」を紹介します。

 

【bloomberg】Labour Official Tells Davos, ‘There’s an Anger Building Out There’
労働党は公的にダボスを語る、「そこには怒りが高まっている」

 

“(大意)ここダボスでは経済成長の回復が称賛され、エリートたちは陶酔感に浸っているようだが、世界の一般大衆はその恩恵に浴することなく、「雪崩のような不満と怒り」が溜まっている。「…人々が成長を共有し、富と利益を分かち合うという根本的な新しい課題」に取組まなければならない”として、以下の5項目をマクドネルは挙げています。

 

・労働者に「実際の生活賃金」を支払い、会社の利益を労働者とシェアすること
・労働組合を認知し労働者を会社役員に任命すること
・会計事務所が税の回避に取組むのではなく、納税を奨励するための新しい「ヒポクラテスの誓い」を行うこと
・富裕層と権力者は所得税申告を公表すること
・公的サービスと国際開発プログラムに資金を提供するための金融取引に対する「ロビン・フッド」税を実施すること

 

・Paying workers a “real living wage” and allowing them to share in the profits of the companies they work for
・Recognizing trade unions and appointing workers to company boards
・A new “Hippocratic oath” for accountancy firms to tackle tax avoidance rather than encourage it
・The rich and those in power should publish their income tax returns
・A “Robin Hood” tax on financial transactions that would be used to fund public services and international development programs

「『出国税』国際貢献に生かせ」>上村雄彦横浜市大教授の提言

18年度税制改正において唐突に決まってしまった感のある「出国税(国際観光旅客税)」ですが、上村雄彦横浜市大教授が「『出国税』国際貢献に生かせ」と題した論考を、113日付の北海道新聞に掲載しましたので、紹介します。

 

ところで、出国税(国際観光旅客税)は201917日から実施され(331日までで60億円の税収見込み)、本格実施は19年度から(1941日~20331日)となり400億円の税収を見込んでいます。この本格実施での使途は(基本方針はあるとはいえ)具体的に決まっていません。従って、本格実施に至る過程で、(税収の半分あるいは一部を)国際連帯税的要素へと使途を変更・修正することは十分可能です。

 

■国際観光旅客税(仮称)の使途に関する基本方針等について

(平成291222観光立国推進閣僚会議決定

 

 

 

「出国税」上村①

「出国税」上村②

 

 

 

どっこい欧州金融取引税死なず:ドイツ大連立交渉合意にFTTも

大連立に向け協議が続いていたドイツのメルケル首相側(CDU・CSU)とシュルツ党首側(SPD)とがようやく12日に「大連立政権継続のため政権協定交渉入りを目指す方針で合意」(13日付毎日新聞)しました。まだ下記のようにSPD側の組織上の理由により本格的な「政権協定交渉入り」ができるかどうかは流動的ですが。

 

ともあれ、(本格交渉入り前の)合意内容のハイライトがブルームバーグ電子版に載っていますので紹介します。米系インターネット企業への「公正な課税」を求めることや、実質的な欧州金融取引税(FTT)の導入を目指すこと等、実に興味あり、ですね。

 

欧州FTTについては、昨年9月のマクロン仏大統領の「欧州FTT再起動発言」や同12月の仏4閣僚による「気候変動対策のための資金調達として欧州FTT発言」にもあるように、FTT議論は欧州ではまだまだ健在です。1日も早い独仏連携による欧州(または10カ国)FTTの実施に向けて再度具体的に動き出すことが望まれています。

 

Agreement Highlights(合意されたうちのハイライト部分)

 

 ・Pledges not to increase overall tax burden on citizens
 (市民全体の税負担を増やさないことを約束する)

 

 ・Prepared to contribute more to EU budget
 (EUの予算にもっと貢献することを準備する)

 

 ・Calls for “fair taxation” for Internet companies such as Google,Apple and Amazon
 (グーグル、アップル、アマゾンなどのインターネット企業への「公正な課税」を求める)

 

 ・Targets introduction of substantial European financial transaction tax
 (実質的な欧州金融取引税の導入を目指す)

 

 ・Wants building of nationwide Gigabit network by 2025
 (2025年までに全国規模のギガビットネットワークの構築を望む)

 

 ・May increase clean power share to 65% from 38%
 (クリーンな電力シェアを38%から65%に増やすことができる)

 

 ・Plans to subsidize construction of 1.5 million new apartments
 (150万戸の新規アパート建設を補助する計画を立てる)

 

【bloomberg】Merkel’s Bid to End German Gridlock Hangs on Key SPD Vote

 

とはいえ、SPD(社民党)内では、党青年部や左派の大連立反対論が強く、今後政権協定交渉入りが承認されるか、されたとしても実際政権参加するかどうか、まだまだ紆余曲折がありそうな気配です。

【ご紹介】12.3シンポジウム報告:二つのメディアから

Japan Journalist Conference 

 

 昨年123日に開催されたシンポジウム「「税と正義/パラダイス文書、グローバル・タックス、税制改正」について、日本ジャーナリスト会議の機関紙や社会新報に掲載されましたので紹介します。

 

◎日本ジャーナリスト会議 「コラム 編集長EYE タックスヘイブン三つの問題点」(171225日)

⇒上の記事をクリックすると拡大してご覧いただけます。

 

◎社会新報 「グローバル・タックスは新しいガバナンス」(1811日)

 

なお、シンポジウム全体の文字起こしをしておりますが、まだたいして進んでいません。もうしばらくお待ちください。