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自民党税調での橋本外交部会長の発言>国際連帯税支持して
去る11月30日自民党の税制調査会が開催されましたが、同党外交部会から上がっていた国際連帯税(航空券連帯税)新設要望も議論され、「長期検討」ということになったようです。以下の外交部会長である橋本岳議員の報告をお読みください。橋本議員がしっかりと航空券連帯税の必要性を述べていたことが分かります。
次年度より(即時)航空券連帯税実施ということにならないのは誠に残念ですが、今後橋本議員のような有能な中堅・若手議員がグローバル連帯税(国際連帯税)に取り組んでもらえるようアプローチしていきたいと思います。
【橋本岳 2015年12月1日】
党税調における外交部会長発言
11月30日における自民党税制調査会において、橋本が外交部会長として発言した内容をご紹介します。なお、その後他の方々から賛成・反対のご意見があった結果、「長期検討」という扱いにしていただきました。ご関係の方々や、納税者の皆さまにご納得いただけるように進めなければなりません。外務省にはそのように指示しました。
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いわゆる国際連帯税について、先日の部会長ヒアリングにおいて、国土交通部会長から三点の理由を挙げて反対といわれました。まずその三点について申し上げます。
一点目は、「受益者と負担者の関係が不明確」ということでした。これは全くおかしな議論です。今回は、政府開発援助、すなわちODAの財源として要望していますが、そもそもODAの直接の受益者は途上国の国民であり、それを先進国が負担して行うから意味があるものです。直接的な負担者と受益者が違うのは当然のことです。
ODAは、直接的な負担と受益の関係で考えるものではありません。我が国が途上国の開発を支援し、その国の社会が安定したり、豊かになったりすることが、まわりまわって我が国の利益にも繋がるという発想によるものです。結果として国際的な人・もの・金の移動も促進されるという効果も持つでしょう。その点に着目して、国際的なやりとりに広く薄くODAの財源を求めようとするのがこの税の発想であるということを、どうかご理解頂きたいと思います。
二点目は、「航空券への課税はインバウンドに悪影響をもたらし観光立国に反する」という点でした。まず事実から申し上げれば、2006年7月からフランスで、2007年9月に韓国で航空券連帯税が導入されましたが、両国ともその前後で観光客数や観光収入は、むしろ増加しています。仮に国際線の航空券に課税をするとしても、旅客の行動にほぼ影響を与えない広く薄い形での金額設定で課税を行い、効果をあげることは十分可能であると考えます。
三点目は、「導入している国は少数で、世界的な潮流になっていない」という点でした。確かに、アメリカやイギリス、ドイツ等は国際連帯税を導入していません。しかしこれらの国々は日本を上回るODA供与実績をあげています。日本もそこまでODA財源が豊富であれば、そもそも新税など検討する必要はありません。
残念ながら近年ODA予算は減額されています。来年度概算要求において増額要求をしておりますが、円安による目減り分も含めて極めて厳しい感触が財務当局から伝わっています。さる25日には高村副総裁を議長とする自民党外交再生戦略会議は「外交力の一層の強化を求める決議」を行い、総理に申し入れを行いました。また同日、武見敬三先生が委員長を務められる自民党国際保健医療戦略特命委員会も「国際保健に係る対策の推進に関する決議」を行って頂きました。そうした中で、財務当局を頼るばかりではなく、自分たちでも独自の財源確保の努力をしなければならないという想いから、今回の要望が上がっているのです。
AIIBを擁する中国が我々のライバルなのです。そして我が国は、来年、先進主要7か国のサミットの議長を務めるのです。世界のリーダーとしての誇りを持って、いかに外交上の重要な武器であるODAを充実させるかという観点で真摯に検討すべきものです。
以前は、世界においてODA拠出額第一位を我が国が占めておりました。今は第五位であります。本当にこのままでよいのでしょうか?むしろ我が国が先進国としてODAを通じて世界に貢献しているという事実を、もっと広く国民の皆さまに共有するべきです。それこそが安倍総理が行っている「地球儀を俯瞰する外交」への国民的理解に繋がり、民間も含めた日本の外交力の強化に繋がるのです。
途上国も含めた、他の国がやっているとかやってないとか横並びのような議論をされるような意識の低さは誠に残念であります。むしろ我が国はこんな取り組みまでしているのだ、と他国に積極的に発信できるような制度を整えることが大事であると考えます。
ただ、正直、これまで外務省の動きは極めて鈍かったと言わざるを得ません。その責任は政治にもあるでしょう。外務省には、法律に基づき主体的かつ前向きに検討や調整をしっかりと行わせる必要があります。そういう意味で、今回の税制改正では「お断りする」となっていますが「検討する」として頂きたく、ご要望申し上げます。
どうぞお聞き届け頂きますよう、よろしくお願い申し上げます。
◆橋本がく・ブログ「党税調における部会長発言」
http://ga9.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-597d.html
BLOGOS 「 〃 」
http://blogos.com/article/147452/
※写真は、14カ国で実施している航空券連帯税からの税収を主な資金とするUNITAID(ユニットエイド)のマラリア対策事業。「蚊の出る時期に集中して“季節性マラリアの化学的予防”の薬がすべてのマラリア蔓延国に低価格で十分行きわたるようにしている」(ユニットエイド・Japanより)
朝日新聞“GLOBE”、国際連帯税に関する記事掲載
報告が遅れましたが、11月15日付の朝日聞“GLOBE”(第1、第3日曜日発行)に『国際連帯税の挑戦』という記事が掲載されましたので、紹介します。
●『国際連帯税の挑戦』・・・PDF
「海外旅行をしたら、あなたも知らないうちに国境を超える税金を払っているかもしれない―。/現在、フランスや韓国など13ヵ国で実施されている航空券連帯税のことだ。…日本でこの制度の導入を推進するNGO『グローバル連帯税フォーラム』の試算では、韓国とフランスを訪れた日本人観光客だけでも年間約10億円の連帯税を払っているという。…」
この号は、「税と国境」ということで国際課税問題が特集です。記事のかなりの部分が、“GLOBE”のWEBサイトに掲載されています。また、世界各地を取材した動画もあります。イラストもふんだんにあり、全体的にとても分かりやすく国際課税問題をひも解いています。
●“GLOBE”WEBサイト…http://globe.asahi.com/
◎WEBサイトでのもくじは次の通りです。
特集記事Index
・税と国境 Top
・知恵くらべ
‐こっちの税はあまいぞ/デンマーク【動画】
‐税という名の媚薬/アイルランド
‐始まりは冷戦崩壊/ポーランド
‐「乾杯!」が経済を救う?/ベトナム
‐大人しいままでは/日本
・国境超えて
‐移民と税、福祉国家では
‐国際連帯税の挑戦
‐免税店はアジアに勢い
・ルールをつくる
‐競争は終わらない/メアリー・ベネット
‐逆進性強まる恐れ/諸富徹
‐日本の「税と国境」
資料集と録画ほか:シンポジウム:ピケティ…とグローバル・タックス
11月7日開催された≪シンポジウム:ピケティ「21世紀の資本」とグローバル・タックス≫に関して、当日資料を受け取れなかった人から、また当日参加できなかった人から、資料が求められていたことや録画についての問い合わせがありましたので、資料集と録画ほかにつき、以下の通りお知らせします。
●資料集:
11月7日当日配布した資料をPDF化しましたので、ダウンロードしてお読みください。
2、開会のあいさつ:金子文夫(グローバル連帯税フォーラム代表理事/横浜市立大学名誉教授)
3、基調講演:橘木俊詔(京都女子大学客員教授/京都大学名誉教授)
4、民間税制調査会:「民間税制調査会版税制大綱最終答申」の概要紹介
三木義一(民間税調共同代表、青山学院大学教授)
5、水野和夫(日本大学教授):テーマ「超バブル経済と資本主義の終焉」
6、上村雄彦(横浜市立大学教授):テーマ「グローバル連帯税と21世紀の資本」
7、小西雅子(WWF気候変動・エネルギー・プロジェクト・リーダー):テーマ「気候変動問題から考えるグローバル・タックスの可能性」
8、グローバル連帯税推進協議会(第2次寺島委員会):「最終報告書(案)」の要旨・目次・提言
●録画:
当日のもようは以下のURLで(超)ダイジェスト版を観ることができますが、完全版はインデペンデント・ウェッブ・ジャーナル(IWJ)の会員になっていただくことが必要です(会員になるとIWJのすべての動画サービスを受けることができます)。また、このシンポジウムだけを有料で観たいという人もOKですので、所定の手続きを行ってください。
・2015/11/07 シンポジウム:ピケティ「21世紀の資本」とグローバル・タックス 〜行き詰まる資本主義、日本の格差・貧困、国際課税への提言〜(動画)
●メーリングリスト:
グローバル連帯税フォーラムは連帯税に関する情報はもとより、主に国際・国内経済、税制問題に関する情報等を交換するメーリングリスト(ML)を開設しております。このMLへの参加資格はとくにありません。上記問題に関心のある方はどなたでも参加でき、現在450人ほどが登録されています(あまり活発なMLではありませんが)。
MLに参加されたい方は、「ML参加希望」とお書きの上、info@isl-forum.jp まで申し込んでください。
●注目!COP21:
2015年の年末、フランスのパリで「COP21(国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議)」が開催されます。この会議は、国連で続けられてきた温暖化の防止を目指す国際交渉において、近年の会議の中でも最も重要な会議です。なぜなら、2020年以降の国際的な温暖化対策の枠組みについて歴史的な合意がなされる予定だからです。
この世界195カ国が熾烈な交渉を繰り広げるCOP21について、WWFジャパン気候変動担当の小西雅子が、3分の動画で解説します。
詳しく知りたい方には、10分バージョン、18分のフルバージョンもありますのでご覧ください。
◆写真は、左:パネル討論もよう、中:熱弁する橘木先生(IWJのWEBサイトより)
録画あり>「ピケティ/グローバルタックス」シンポに190人参加
11月7日の「シンポジウム:ピケティ『21世紀の資本』とグローバル・タックス」には、190人を超えての集まりとなり、用意していた配布資料が足りなくなるほどでした。
グローバル・タックスの推進と日本の<格差型>税制の是正に向けた取り組みのコラボは結構難しかったのですが(グローバル連帯税から消費税の軽減税率問題まで)、スピーカーのみなさんの熱い問題提起と会場との討論で何とか乗り越えられたようです。
なお、インディペンデント・ウェブ・ジャーナル(略称:IWJ)でインターネット中継されましたが、以下のURLで録画を観ることができます。お時間のある方はぜひご覧ください。
(前半)http://www.ustream.tv/recorded/77151506
(動画がはじまってしばらくしてIWJのバナー画面⇒8分47秒あたりから動
画がはじまる)
(後半)http://www.ustream.tv/recorded/77159811
当日配布した資料については、このWEBサイトに掲載する予定ですので、そちらをご覧ください。
新刊案内「タックス・オブザーバー」(NP新書)
元財務省のバリバリ(と仕事をしていた)官僚でタックス・ヘイブン問題の専門家、志賀 櫻弁護士が新刊『タックス・オブザーバー――当局は税法を理解しているのか』(NP新書)を出版しましたので、(ちょっと遅れましたが)ご案内します。アマゾンランキングでもいぜんとして税制3分野で1位~一けた台を保っています。
日本の税制の問題点はもとより、タックス・ヘイブン、金融取引税(FTT)、そしてピケティ「21世紀の資本」まで論じており、たいへん興味深い内容です。
なお、志賀弁護士は11月7日の『シンポジウム:ピケティ「21世紀の資本」とグローバル・タックス』にパネリストとして参加します。ぜひ参加を。
●本の特徴:「なぜ、これだけ高い税金を払っているのに、われわれ日本人の生活水準はちっとも豊かにならないのか。その答えがこの一冊に詰まっている」(アマゾンのカスタマーレビューより⇒無断借用失礼します)
●本の内容:「…冒頭で、『現在の日本の税制は格差の是正に役立っているか』『公平・公正で正確か』『国民のために使われているか』といった質問を矢継ぎ早にぶつけてくる。突然の問いに頭の整理がつかない読者に対し、『いずれもノーという答えが頭に浮かんだろう。全く正しい』と論を進め、その理由と原因と解決策について、全9章にわたりじっくりと、しかしテンポよく解き明かしていく。/日本の税制で最大の問題点に挙げているのは『税制が所得の再分配に貢献していない』という現状だ。それは毎年の税制改正が国民の目の届かぬ〝密室〝で行われていることに由来するとし、そこには公平・公正な分配を行おうとする者は『壊滅的にいない』と指摘する」(アマゾンのカスタマーレビューより⇒無断借用失礼します)
●本のもくじ:
はじめに
第1章 国税通則法の改正と国税調査
1、国税調査の方法/2、不服申立制度/3、通則法97条改正の欠陥と今後の課題/4、税務調査と行政指導――ハイブリッド調査という名の脱法行為
第2章 租税争訟の実際
1、租税争訟あれこれ①/2、租税争訟あれこれ②/3、大島訴訟を考える①/4、大島訴訟を考える②/5、大島訴訟を考える③
第3章 課税庁は税法を理解しているのか
1、タックス・ヘイブン対策税制/2、正規の租税法教育を受けていない国税職員/3、税務大学校の罪は深い/4、瑕疵ある裁決/5、英語もろくに話せない調査官/6、ハイブリッド調査の問題
第4章 タックス・ヘイブン
1、キプロス危機/2、ICIJオフショア・データベース/3、租税立法、英国間接税不利益課税遡及立法/4、タックス・ヘイブンの資金規模/5、ピケティとタックス・ヘイブン
第5章 国際的租税回避とBEPS
1、国際的租税回避の問題と国際金融システムの問題/2、ニュー・ケインジアのモデルの限界/3、BEPSとAEOI/4、BEPSの弱点/5、自動的情報交換(AEOI)/6、FSB/7、問題の本質
第6章 ピケティの『21世紀の資本』を読む
1、ピケティ『21世紀の資本』のインプリケーション/2、ガブリエル・ズックマンの『タックス・ヘイブンの経済学』/3、ニコラス・シャクソン『タックス・ヘイブンの闇』の突きつける問題/4、ブリュノ・ジュタンのアイデア
第7章 成長政策批判
1、成長VS長期停滞論/2、アベノミクスの評価/3、クロダノミクス/4、ケインズとシュンペーター
第8章 民間税制調査会
1、民間税調の設立趣旨/2、分配の公平と公正
第9章 日本国が直面する「税」の諸論点
第1節 消費税
1、基幹税/2、消費税率の10%への引き上げ/3、軽減税率/4、逆進性対策としての社会保障給付/5、インボイス方式/6、VATナンバー制/7、国際課税問題
第2節 法人税
1、国際的動向/2、経済理論からの帰結
第3節 所得税
1、所得税についての税制固有の観点からのアプローチ/2、支出税/3、包括的所得概念/4、分配の公平と公正/5、国際的租税回避/6、失われたロウバストな中堅層/7、分配の公平・公正の観点からの所得税の検討/8、社会保険料と租税法律主義/9、納税者の権利意識
第4節 資産税・富裕税
1、資産税論点整理/2、資産税/3、相続税/4、富裕税
第5節 金融取引税(FTT)
1、トービン・タックス/2、フランスの金融取引税/3、金融取引税の問題点
第6節 二重課税
1、所得税と相続税の二重課税問題/2、所得税内部での二重課税問題/3、「金銭の時間的価値」/4、所得税と消費税の二重課税問題
あとがき
◆写真左は、タックスヘイブンの島、ケイマン島です。
【ガーディアン】ピケティ、スペイン反緊縮政党にアドバイス
このところあまり活躍が伝えられていませんが、欧州のマスコミではピケティ教授がスペインの反緊縮政党「ポデモス」の経済政策アドバイザーに就任したということで、話題を呼んでいます。英紙ガーディアンの記事を和訳してもらいましたので、送ります。なお、スペインの総選挙は12月です。
政治・政党と言いますと、すぐに左派と右派というように分けがちですが、欧州では新しい動きとして、反緊縮を掲げデモ・集会などの(直接)行動を背景とした新しい政党が生まれ、かつ急激に伸長しています。ギリシャ(SYRIZA)とスペイン(PODEMOS)がその典型です。
また、伝統的政党でも、先に英国労働党の党首選でラジカルな反緊縮政策を掲げるジェレミー・コービン氏が選出されました。欧州政治も変革期を迎えているようですね。
【ガーディアン】トマ・ピケティがスペインの反緊縮政党「ポデモス」にアドバイス
2015年9月7日
フランスのエコノミストが、総選挙に先立って経済政策を党にアドバイスする国際的な専門家委員会に加わることになった。
富と不平等に関する論争の的となった本で有名なフランスのエコノミストトマ・ピケティは、スペインの反緊縮政党ポデモスにアドバイスを行うことになった。
「21世紀の資本」の著者は、ポデモスが12月に行われる総選挙で初めて闘う準備を進めているので、その経済政策についてアドバイスする国際的な専門家委員会に加わることに同意した。
ピケティは、彼の2013年のベストセラーのテーマである不平等と闘う政策を発展させることおよびユーロ圏の民主化案に関して左翼政党と共に働くことになる、とポデモスは月曜日の声明で述べた。
経済危機、緊縮政策、高位官職者による汚職に対するフラストレーションが、「私たちはできる」という意味を持つポデモスのような新しいスペインの政党の立ち上げを促した。また、中道政党のシウダダノス(「市民」)は、与党の右翼政党「人民党(訳者注:日本のマスコミでは国民党と記述)」と野党の「社会党」に挑戦している。
ポデモスは昨年結成されたが、シウダダノスは二つの伝統的な政党、特に人民党の犠牲によって5月の地方選挙で躍進した。
しかしながら最近の世論調査は、経済の回復にともなって新しい政党への支持はピークに達したかもしれないことを示唆している。
先月の世論調査では、細分化した政治状況の中で人民党が対抗する政党を明らかにリードしているが、単独で政権を獲得するのに必要な過半数にははるかに及ばない。具体的には、人民党が28.2%、社会党が24.9%で両者とも前回の世論調査を上回っており、ポデモスとシウダダノスはそれぞれ15.7%と11.1%と後退した。
【ご案内】民間税調第8回シンポジウム「地方税を考える」
民間税調第8回シンポジウムを下記の通り行います。
◆民間税調第8回シンポジウム「地方税を考える」◆
基調報告:川村栄一・前首都大学東京法科大学院教授
・日 時:9月13日(日)午後1時~(4時半頃まで)
・会 場:青山学院大学7号館720教室
(東京都渋谷区渋谷4-4-25) キャンパスマップ
・申込み:次のアドレスにお名前、所属をお書きの上申込みください。
yoshimikimiki@gmail.com
・参加費:無料
地方税と言いますと、住民税関係と、事業税(道府県税の中心)と固定資産税・都市計画税(市町村税の中心)、ならびに法定外税があるようです。三木義一教授の『日本の納税 新版』(岩波新書)を事前に読んでくると理解しやすいですね。
11.7シンポジウムのフライヤー(チラシ)です
11.7シンポジウム:ピケティ「21世紀の資本」とグローバル・タックス
シンポジウムのご案内です。格差・不平等が世界でそして日本で拡大しています。昨年-今年と一大旋風を起こしたトマ・ピケティ教授の「21世紀の資本」は、格差・不平等との闘いの理論的支柱を提起しています。ちょっと落ち着いたところで、あらためてピケティ理論を捉え返してみたいと思います。
基調報告は、日本の貧困・格差問題の第一人者である橘木俊詔先生に行っていただきます。また、パネルディスカッションでは各分野の第一線で活躍されている専門家の先生方が問題提起を行います。
また民間税制調査会より「民間税制調査会版税制大綱最終答申」も併せて紹介します。
世界と日本の格差・不平等を解消し、かつ世界的な貧困化・温暖化等の地球規模課題に対応していくために、そしてこれらに資する税制改革はいかにあるべきか、ともに考えていきましょう。
シンポジウム:ピケティ「21世紀の資本」とグローバル・タックス ~行き詰まる資本主義、日本の格差・貧困、国際課税への提言~
◎基調講演: 橘木俊詔 (京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授)
テーマ:「『21世紀の資本』と世界的な資産税の可能性~日本の貧困・格差問題を踏まえて~」(仮題)
◎民間税制調査会:「民間税制調査会版税制大綱最終答申」の紹介
三木義一(民間税調共同代表、青山学院大学教授)
◎パネルディスカッション:「グローバル・タックス、グローバル累進的資産税の可能性を探る」
・モデレーター: 三木義一(青山学院大学教授)
・パネリスト: 水野和夫(日本大学教授)「超バブル経済と資本主義の終焉」
志賀 櫻(弁護士)「タックスヘイブン対策なくしてグローバル課税なし」
上村雄彦(横浜市立大学教授)「グローバル連帯税と21世紀の資本」
小西雅子(WWF気候変動・エネルギー・プロジェクト・ リーダー)。。。。。。。。。。。。。。。。。「気候変動とグローバル資金」
・日時11月7日(土)13:00~16:30(12:30開場)
・会場:青山学院大学9号館931教室
・定員:150名
・資料代:500円(学生は無料)
・申込み:お名前とご所属、「シンポジウム参加」と明記のうえ、Eメールまた
はFAXでお申し込みください。
Eメール:info@isl-forum.jp / Fax:03- 3834-2406
グローバル累進資産税はなぜ必要か?それは可能か? 日本の現場から、グローバル・タックスの可能性から考えてみる~日本の貧困・格差問題の第一人者を迎えて~
フランスの経済学者トマ・ピケティの著書『21 世紀の資本』が世界的にベストセラーとなる中、今年初めに本人が来日し一大旋風をまきおこしました。同書ではグローバルな規模での富(所得)の格差を歴史的に証明するとともに、格差是正に向けての処方箋を提起しています。グローバルな累進資産課税がそれです。
ピケティ教授は次のように言う。20世紀の社会(福祉)国家と累進所得税は将来的にも中心的役割を果たすが、「民主主義が21世紀のグローバル化金融資本主義に対するコントロールを取り戻すためには、…資本(注:資産)に対する世界的な累進課税」が必要であり、「それをきわめて高水準の国際金融の透明性と組み合わせなければならない」(邦訳版 539P)、と。
つまり、教授は、第2次世界大戦での富の破壊や富裕層への課税強化により格差が縮小し、その傾向が1970年代まで続いたが、21世紀資本主義は再び格差を大きく拡大しつつある、と述べています(これは私たちにとって日々肌で確認するところです)。従って、このままでは民主主義体制を危うくし、ひいては資本主義そのものが立ち行かなくなるという危険性を警告するとともに、教授は税制を通しての資本主義規制を提案しています。
一方、途上国にあっては資金の不法流出が急速に増え続け、途上国へ供与された政府開発援助(ODA)の7倍の資金が途上国から流出しているという現実があります(2011年)。
とはいえ、資産に対する累進課税は、とくに金融資産への課税は容易ではない。やすやすと国境を越えてタックスヘイブンなどへと移り課税を回避することが可能であるからです。今や同地に秘匿されている金融資産は2010年の段階で少な目に見積って21兆~32兆ドル(約2500兆~3800兆円)に達しています。
ところで、日本の格差問題は、米国型の富裕層への所得と資産の集中、つまり「1%対99%」型というよりは、「貧困者や資産ゼロの人々の存在」に負っているというのが橘木教授の所論です。「OECD諸国の中では日本は15%を超す貧困率であり、主要先進国の中ではアメリカに次ぐ第二位の貧困率の高さである」(「トマ・ピケティ著『21世紀の資本』の衝撃」現代思想1月増刊号)。貧困化する高齢者(生活保護世帯の半分を占める)や一人親世帯、そして非正規労働者の増大等、日本では低所得の分厚い層が岩盤のように存在しています。
本シンポジウムでは、日本での貧困・格差問題を踏まえつつ、国際課税(気候変動や貧困問題等の地球規模課題の財源としても使用するためのグローバル・タックス)について理解を深め、同時にピケティ教授が提起した「グローバル累進資産課税」の可能性を展望していきます。
また民間税制調査会より「民間税制調査会版税制大綱最終答申」も併せて紹介します。
共 催:グローバル連帯税フォーラム/民間税制調査会
協 賛:(特活)日本リザルツ
<橘木俊詔(たちばなき としあき)教授プロフィール>
1943年、兵庫県生まれ。専門は労働経済学、公共経済学。京都大学経済学博士(1998年)。小樽商科大学商学部卒業、大阪大学大学院、ジョンズ・ホプキンス大学大学院修了(Ph.D.取得)。仏米英独にて研究職・教育職、京都大学経済研究所教授、経済企画庁客員主任研究官、日本銀行客員研究員、日本経済学会会長、同志社大学経済学部教授を経て現在、京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授。『日本の経済格差』(岩波新書、エコノミスト賞)、『家計からみる日本経済』(岩波新書、石橋湛山賞)、『格差社会』(岩波新書)、『学歴入門』(河出書房新社)、『夫婦格差社会』(共著、中公新書)、『「幸せ」の経済学』(岩波現代全書)など。
◆写真は、橘木教授です