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参議院財政金融委員会で国際連帯税・金融取引税の質問(3月17-18日)

ryuheikawada

 

去る3月6日参議院予算委員会での石橋通宏議員(民主党)の質問に続き、今週17-18日と参議院財政金融委員会で川田龍平議員(結いの党)が国際連帯税と金融取引税について、大門実紀史議員(共産党)が金融取引税について、それぞれ質問しました。

 

◎同委員会での質疑(全文)はこちらをお読みください⇒PDF

 

さて、両議員のうち川田議員が一昨年8月に成立した「税制抜本改革法」(*)の中で『国際連帯税について国際的な取組の進展状況を踏まえつつ、検討すること』と謳っている同法第7条7項を軸に質問されました。

 

(*)正式名称:「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律」

http://www.mof.go.jp/about_mof/bills/180diet/sh20120330g.htm

 

●誰が第77項の具体的作業を進めるべきか--与党か政府か

 

「(国際連帯税に関する)国際的な取組を誰がどのように把握し、具体的検討作業をどのように進めてきたのか、また進めようとしているのか」という議員の質問に対し、愛知財務副大臣は「政府では外務省が毎年検討していて、26年度税制改正でも外務省から国際連帯税の要望が出されたが、与党(自公)税制改正大綱には記載されなかった」と回答しています。

 

しかし、これはおかしなことで、すかさず議員は「法律に検討すると書かれている以上、この主語は与党ではなく政府のはずで、政府のどこが中心となってこれを検討すべきなのか」と質問したところ、麻生財務大臣は「基本的には、税制の話になるので財務省であり政府税調であるだろう」と答えました。

 

明らかに愛知財務副大臣と麻生財務大臣の答弁は食い違っています。前者は具体的作業の結果(=最終判断)は与党にあると言わんばかりです。これに対し、後者は税制の設計を行うのは政府を構成する財務省となりますから、そこで主体的に検討し判断していくというのは有りうることです(有識者による政府税調での検討となるとより公正な判断が期待できます)。

 

しかし、国際連帯税の場合には、その税の目的(世界の貧困問題等対策のための資金調達)から所管省庁は外務省になるでしょうし、航空券税の場合には国交省、金融取引税の場合には金融庁の協力が必要となります。その意味では、まず政府としては関係省庁による省庁間会合を組織し主体的に検討を重ねるべきでしょう。一方、上述したように公正で普遍性をもった判断を行う場としては有識者による政府税調の下での検討機関がふさわしいと言えます。あと省庁や有識者を一堂に会しての検討委員会という方法もありますが、その場合総理または官房長官の下での検討機関となるでしょう。実際、国際連帯税生みの親であった「ランドー委員会」(2004年)はシラク仏大統領(当時)直属の諮問機関でしたし、メンバーも政府、有識者、経済界、NGOの代表から構成されていました。

 

●法成立から2年国際連帯税をたな晒し状態に:今年こそ本格的検討機関を

 

質疑を通して明らかになったことは、国際連帯税につき検討することが法律で明記され、2年も経つというのに、外務省以外政府の中で真剣に検討されていなかったこと、です。今回の参議院財政金融委員会で麻生財務大臣は「国際連帯税を検討すべきところは財務省もしくは政府税調」と明確に回答しましたので、今年こそ外務省任せにすることなく、<財務省が核となって>政府挙げて取り組んでいくべきです。その態勢の上で、政府税調または総理(官房長官)の下に本格的な検討機関を組織すべきです。

 

◎川田龍平オフシャルブログで財政金融委員会の質問を報告(上記写真は同議員のウェッブサイトより)

http://ameblo.jp/kawada-ryuhei/entry-11799109561.html?frm_src=thumb_module

 

 

国際連帯税を推進する市民の会(ACIST)解散のお知らせ

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国際連帯税を推進する市民の会(Association of Citizens for International Solidarity Taxes :ACIST)は2009年4月に設立され、国際連帯税に関する市民社会のより幅の広い理解と合意形成をめざし活動してきました。2011年6月に国際連帯税フォーラム(以下、フォーラム)が設立されてからは、同組織を構成する一団体となりましたが、活動目的と活動分野がほとんどフォーラムと同じであることから、組織的な整理が求められていました。

 

この度ACIST運営委員会を開催し、ACISTを発展的に解消し、(個々のメンバーは)フォーラムに参加していくことを決定しました。これまでACISTを支援してくれたみなさまにはフォーラムのウェッブサイト上からとなりますが、2014年3月31日をもって組織解散することをお知らせします(ACISTのウェッブサイトは残念ながら2012年1月にハッキングに遭い閉鎖を余儀なくされました)。4年間にわたってのご支援・ご協力に心より感謝いたします。

2014年3月31日

 

国際連帯税を推進する市民の会代表 田中徹二

 

●写真は、ACIST設立の契機となった「国際連帯税・東京シンポジウム2008」(2008年11月23日)

 

『News Letter 国際連帯税・金融取引税』第2号を発行!

今回のNews Letterは、1)航空券連帯税について:日本人は(正確には主に日本に居住する人)導入国にどのくらい納税しているか、2)逆に日本が導入した場合外国の方からどのくらい税を支払ってもらえるか、3)欧州金融取引税について:2月19日の仏独首脳会合での内容、について書かれています。

 

このNews Letterを、3月17日全国会議員に配布しております。

 

★『News Letter 国際連帯税・金融取引税』第2号を読む⇒PDF

参議院予算委員会でODA、国際連帯税の質問(3月6日)

写真: 国会議員あいさつ<br /><br /><br /><br /><br />
石橋通宏(国際連帯税創設を求める議員連盟 事務局長/参議院議員

 

3月6日の参議院予算委員会で民主党の石橋通宏議員(国際連帯税創設を求める議員連盟事務局長)がODA と国際連帯税関係の質問をしました。これは参議院のインターネット審議中継で 録画されていますので、以下のURLから見ることができます(1:14:41あたりから)。 どうぞご覧下さい。

 

参議院のインターネット審議中継  http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

3月6日(木)参議院予算委員会(カレンダーで3月6日をクリック!)

 

<質問内容>

◎ODAのあり方について(目的、拠出額など) ◎国際連帯税について(革新的資金メカニズムに関する日本政府の取り組みの現状) ◎モザンビークのプロサバンナ事業、ミャンマーのODAについて

 

なお、石橋議員の質問は、前半が雇用や労働関連問題です。詳しくは、同議員のブログを参照ください。

http://blog.goo.ne.jp/i484jp

 

●写真は、昨年12月8日国際連帯税シンポジウムで発言する石橋議員

金融取引税に関する論争:有益な論文を紹介します

フランスの有価証券取引税が市場流動性および価格変動の大きさに及ぼす影響

http://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/14e007.html

 

france2008_03

 

金融取引税(FTT)に関するちょっと興味深い論文(ディスカッション・ペーパー)が独法・経済産業研究所(RIETI)のウェッブサイトに載っていますので紹介します。

 

ディスカッション・ペーパー 14e007

by HAVRYLCHYK, Olena

 

どうして興味深いかと言いますと、FTTのひとつの論争に対して、フランスの一昨年8月から実施している独自のFTTである有価証券取引税、つまり株式取引税を材料にして、一定の結論を出しているからです。

 

その論争というのは、「投機的取引を抑制し、金融市場を安定化できるような金融取引税の仕組みを作ることは可能なのか? それとも追加的に金融取引税を導入することで市場の流動性が損なわれ、市場のボラティリティはむしろ高まってしまうのだろうか?」(本文より)というものです。

 

結論は、「調査の結果明らかになったのは、全体的に見て、…投機を抑制して市場のボラティリティを小さくすることもなかったが、悪影響をもたらしたこともない。したがって、金融取引税に関する世界的な論争の文脈においては、この検証結果は、STTは、是正目的というよりむしろ税収目的の課税手段という考え方を支持している」(本文より)としています。

 

ところで、株式取引税(有価証券取引税)については、現在英国が0.5%の課税を行っており(フランスは0.2%)、こちらもとくに投機規制が強まったとかボラティリティが高まったとかはまったく聞こえてきません。かつて日本でも1997年まで有価証券取引税がありましたが。

 

言うまでもなく、税率が高くなればなるほど投機規制の圧力は強くなるであろうし、投機にブレーキがかかれば取引量も相当減ることになるので、そうすると今度はボラティリティが高まる、という関係にあると思います。ですから、0.2~0.5%程度での税率であれば、実は金融セクターが騒ぐほどボラティリティは高まらない、つまり取引量は減らない、ということでしょう。

 

ともあれ、フランスのユニークな制度設計が上記のような実験的比較ができたということで、このディスカッション・ペーパーはたいへん有効かと思います。

欧州FTT(金融取引税):FTT導入を仏独合意へ(2月19日)

ftt[1]

 

2月19日開催された仏独首脳・合同閣僚会合( Sommet franco-allemand )で、11カ国FTT(金融取引税)について議論され、あらためてFTT導入を仏独が合意しました。

 

具体的には、1)まずFTTの早期導入を確認し、2)5月末の欧州議会選よりも前に仏独共同案を(他の9カ国に)提示する、というものです。ただし、懸案だった課税ベースの問題、とくにデリバティブ取引の課税についてどうするかは、今後の詰めになる模様です。

 

ところで、前日には11カ国財務相会議が開かれ、「段階的アプローチを取る可能性」(注1)を取るという報道がなされています。

 

一方、ドイツのNGOsから、2月14日同国の財務副大臣との話し合いをもち(注2)、「ドイツ政府としては“広範な課税ベース(段階的アプローチではない)”にこだわっていきたい」との説明を受けた、という報告が来ています。また、ドイツ政府は11カ国にプラスしてさらに多くの国を参加させるべく努力中であるようです。

 

(注1)FTT段階的アプローチ:課税対象をまず株式取引だけとし、その後債券取引、デリバティブ取引と段階的に拡大していく方法。広範な課税ベースアプローチ:欧州委員会の提案にある株・債券・デリバティブ取引へ同時に課税する方法。

 

(注2)出席者:財務副大臣のミヒャエル・マイスター氏(キリスト教民主党)、ドイツキャンペーン・グループのデトレフ・フォンラルヒャー(キャンペーン・スポークスパーソンおよびAttac)、エヴァ・ハンフシュテングル(Bread for the World)、トービアス・ハウシルト(Oxfam) 、ピーター・ヴァール(WEED)

 

参考:【日経新聞】欧州の金融取引税、5月に独仏案 首脳会談で一致

2014/2/20 9:49

 

【AFP通信】Taxe Tobin: Hollande et Merkel promettent, les ONG protestent

 

『News Letter 国際連帯税・金融取引税』第1号を発行!

『News Letter 国際連帯税・金融取引税』第1号を発行しました!  国際連帯税フォーラムからの情報発信が足りないことを反省し、今後月1回のペースで 発行していきますので、よろしくお願いします。

 

今回のNews Letterは、1)国際連帯税・金融取引税の意義と必要性、2)欧州 FTT(金融取引税)の最新動向を(2月17日現在)掲載しています。

 

欧州 FTTですが、本来ですと今年の1月1日から11カ国でFTTが実施されているはずで したが、英国の司法裁判所への提訴や金融セクターの猛烈な反対ロビイングなど で実施しきれていません。が、FTTをけん引しているフランスとドイツが2月19日 に首脳会合を開催し、今年中の実施に向けイニシアチブを取ろうとしています。

 

どうぞNews Letterをお読みくださり、感想をお寄せくださればうれしいです。

 

★『News Letter 国際連帯税・金融取引税』第1号を読む⇒PDF

国際連帯税フォーラムのウェブサイト開設にあたって

海外の金融取引税等の主要論文も和訳して掲載しています(写真は、2012年10月国際シンポジウム)

 

12.10.11国際シンポジウム

 

国際連帯税フォーラム(以下、フォーラム)は2011年6月に設立されましたが、ウェブサイト(以下、サイト)については、フォーラムの構成団体である「国際連帯税を推進する市民の会(アシスト)」のもので代行していました。しかし、アシストのサイトが昨年2月にハッキングされてしまい、閉鎖を余儀なくされました。

 

その後サイトがない状態が続きましたが、ようやく自前のサイトを開設する運びとなりました。

 

本サイトでは、フォーラムの主張や活動の案内、そして国際連帯税・金融取引税に関する最新情報等を掲載していきます。さらに1コーナーとして『ライブラリー』を開設し、内外の金融取引税(通貨取引税)や国際連帯税関係の諸論文集を掲載します。海外のものはすべて和訳してあり、このサイトでしか読めないものばかりですので、とても貴重な資料となります(下記に掲載論文の一覧)。

 

それではどうぞフォーラムのサイトをご利用ください。

 

以下の論文はライブラリーよりご覧下さい。

 

1、次の段階へ通貨取引開発税の実施 

Taking the Next Step – Implementing a Currency Transaction Development Levy

 

デービッド・ヒルマン、ソニー・カプーア、ステファン・スプラット、2006年12月

 

2、通貨取引税:税率および税収の見積

The Currency Transaction TaxRate and Revenue Estimates

 

ロドニー・シュミット、2007年10月

 

3、モンテレイ精神の維持 開発資金アジェンダと未完事項

Upholding the Spirit of Monterrey  The Financing for Development agenda and its Unfinished Business

 

CIDSE(開発と連帯のための国際協力)政策文書、2008年6月

 

4、連帯のグローバル化:金融課税のための論拠

「国際的な金融取引と開発に関するタスクフォース」専門家委員会報告書

Globalizing solidarity: The Case for Financial Levies  Report of the Committee of Experts to the Taskforce on International Financial Transactions and Development

 

5、環境・貧困・格差に立ち向かう国際連帯税の実現をめざして

地球規模課題に対する新しい政策提言

 

国際連帯税推進協議会(寺島委員会)最終報告書、2010 9

 

6、IMF中間報告書 金融取引への課税:実務上の実現可能性の評価

IMF Working Paper  Taxing Financial Transactions:An Assessment of Administrative Feasibility

 

John D. Brondolo - IMF中間報告書、2011年8月

 

、金融取引税の共通制度および指令2008/7/ECの修正に関する理事会指令案

Proposal for a COUNCIL DIRECTIVE   on a common system of financial transaction tax and amending Directive 2008/7/EC

 

欧州委員会、2011年9月28日

 

8.金融取引税を巡る12の誤解

Financial Transaction Tax: Myth-Busting

 

Stamp Out Poverty 編、2012年3月