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G7広島コミュニケと資金動員>寺島実郎氏、国際連帯税を提案(#サンモニ)

G7広島サミットは21日に閉幕しましたが、首脳コミュニケが前日に出されるという異例の事態でした。サミットは、最後に来て「ゼレンスキー・サミット」と呼ばれるほどの演出が際立ちましたが、日本政府が事前に目玉として宣伝していた「グローバルサウスとの連携」はどうだったのでしょうか?

 

●民間資金及び公的資金の動員を謳っているが…

 

「グローバルサウスとの連携」を言うなら、まずは途上国支援のための資金が求められています。実際コミュニケでも「我々は、2030年までの持続可能な開発目標の達成、貧困の削減、気候危機を含むグローバルな課題への対応及び低・中所得国における債務脆弱性への対処は、緊急であり…」と認識し、「これらの課題に対処し、公正な移行を支援するために必要な民間資金及び公的資金を動員する…」(以上、第10パラグラフ)と謳っています。

 

しかし、途上国のSDGs達成のための資金ギャップが年間4兆ドルを超えるという現状に対して、まずはG7が公的資金を十分に拠出し、その上で民間資金の動員があって、そのギャップは埋められていきます(第10パラでは逆の表現に)。その公的資金については、ODAのGNI比0.7%目標の重要性の認識、ならびに「革新的資金調達メカニズム」の必要性ということで記述されていますが(第11パラ)、その具体性については依然として語られていません。

 

例えば、0.7%目標については毎回毎回「重要性の認識」にとどまり、目標を達成するための工程がネグレクトされています。また、革新的資金調達メカニズムの方も具体的提案がありません。

 

もうひとつ。気候変動問題で言いますと、COP27で合意され、今年のCOP28でも最大の議題となる「損害と損失」基金問題が、第18パラから21パラまでの『気候』記述の中で一番最後に「世界的な気候変動の悪影響を警戒し、特に最も脆弱な国々に対して、損失と損害を回避し…これらに対処するための行動と支援を増加させる(COP27等の決定)」とさらっと記しているだけです。そこには先進国としての責任を果たすという意欲が見られないのです。

 

●グローバルサウスへの支援、国際連帯税構想で>寺島実郎氏

 

「グローバルサウスを惹きつけるようなクリエイティブな発想がG7にはまったくない」というのが、21日TBSで放映されたサンデーモーニングでの寺島実郎氏のコメントです。

 

寺島氏の発言を追ってみます。「今度のサミットでグローバルサウスに対して何ができるのか。例えばG7が豊かな国というのなら、そこでのマネーゲームに税金をかけてアフリカやアジアの貧しい国々に対して、こういう仕組みでもって、これ国際連帯税構想というものがあるのですが、そういうものに踏み込んだとなれば、グローバルサウスの方はG7はたいしたものだなとなる」。しかし、そうではない、ということで上のような結論になりました。

 

テレビでの発言は時間的制約があるため、論理が短絡していますが、G7は国の財政が厳しくなると公的資金ではなく盛んに民間資金の利用を言い出し、先進国としての責任を放棄してきたのです。一般財政からの拠出が厳しいのであれば、革新的資金メカニズムを構想し実行しなければならないのです。それが国際連帯税だと寺島氏は主張します。

 

●6月新国際金融サミット、9月G20サミット、11月COP28へ

 

首脳コミュニケは、気候変動や貧困削減のための「開発資金ツールキットを強化」するため、「6月…パリで開催される国際開発金融の再活性化のためのサミットに始まり、(9月)ニューデリーでのG20サミット、ニューヨークでのSDGsサミット…(11月)アラブ首長国連邦での…COP28を通じてこのモメンタムを維持し…具体的な進展を得るために協働する」と謳っています(第10パラ)。

 

私たちもG7サミットに引き続き、6月パリサミットからCOP28まで、今度こそ運動をまき起こし国際連帯税や金融取引税をアピールしていきたいと考えています。

 

※写真は、NHKテレビより

欧州議会、新財源として金融取引税などを決議!6月パリサミットでも議論!

写真は欧州議会より

 

欧州議会は5月10日、欧州委員会が今年後半の域内予算の新たな財源を提案する際に、コロナ復興基金の借入金を返済し、様々な新規ニーズに対応できるよう金融取引税(FTT)や暗号通貨課税、デジタル課税等を含めるべきとの決議を、賛成356、反対199、棄権65で承認しました(注1)。

 

一方、6月22-23日パリで「Summit for a New Global Financial Pact」が開催されますが、ここでもFTTが議論の中心の一つになりそうです(詳細は後日)。これらの動きに比して、日本政府は国内の諸政策において、また19日から開催されるG7広島サミットにおいて、FTT等の新財源にイニシアティブを発揮できずにいます。まずは、欧州議会の動きを見てみます。

 

●コロナ復興基金等での新財源が望まれる背景

 

EUは2020年新型コロナ危機からの復興計画である「次世代EU」計画を決め、総額9000億ユーロの共同借入を決定しました。この返済のための財源として、「排出量取引制度(ETS)」、「炭素国境調整メカニズム(CBAM)」、「OECD/G20が合意した巨大多国籍企業に対するグローバル税」によって収入を得ることにしています。

 

しかし、これらの財源だけでは返済資金が圧倒的に足りないことが明らかになりました。償還を行うには、返済がはじまる2028年から30年間にわたり毎年約150から200億ユーロという多額の資金を必要とします。当初見込では上記3税制により年間最大170億ユーロの収入になるはずでしたが(注2)、実際は約65億ユーロ程度の収入にしかならないからです。

 

また、共同債の利回りが大幅に上がり、借入コストがかさんでくることも明らかになりました。その原因は投資家にとってこの共同債に対するEU側の本気度が見られないこと、つまりしっかりした返済のための自主財源の姿が見えないからです(注3)。

 

●金融取引税から公正国境税まで多様な新財源メニュー

 

危機感を持った欧州議会は、欧州委員会に対して「できるだけ早く、遅くとも2023年の第3四半期までに」新しい財源を提示することを求めました。

 

その新しい財源については、FTTから公正な国境税(世界銀行が定義する貧困から脱出するのに十分な賃金を労働者に支払っていない企業が支払う)まで具体的に挙げています。

 

また域内加盟国に対しても男女の賃金格差、食品廃棄物、生物廃棄物で最も悪い結果を出している国に対するより多くの拠出要請など、実に多様多種類の新しいリソースを挙げています(注4)。

 

●FTTの潜在的収入高を期待、10か国から全加盟国に拡大を

 

決議の報告書を見ますと、FTTについては「自主財源としてのFTTは潜在的な収入が高く、次世代EU(復興計画)の債務返済を促進し、EUの優先事項に資金を供給するための手段を増やすことができると考える」と期待されています。一方、(これまでの10か国による)協力方式で交渉している加盟国に対し「2023年6月末までにFTTに関する合意に達するよう最大限の努力をするよう求める」とも述べ、然る後に全加盟国でFTT導入を検討すべきとしています。

 

従って、FTTにつき2011年に欧州委員会が指令を出してから12年たちますが、早ければ来月中には一定の合意がなされる可能性も出てきました。

 

●6月22-23日(パリ)で「SUMMIT FOR A NEW GLOBAL FINANCIAL PACT」

 

この決議案を提案したのは、議会第一会派の欧州人民党グループ (EPP)と第三会派の欧州刷新 (Renew)が行ったものですが、先の10か国によるFTT交渉でブレーキになっているのがフランス、特にルメール経済・財務相と言われています。しかし、決議を提案したRenewの主要政党はマクロン政権与党のルネッサンス(再生)であり、与党に属しているルメール大臣の宗旨替えが必要になっています。

 

加えて、来月22・23日にはパリでフランスとインド共催で地球規模課題への対策資金を話しあう「Summit for a New Global Financial Pact」が開かれますが、そこでも金融取引税が気候変動対策資金として検討されると思います。(FTTを気候変動資金対策の手段として取り上げる動きは今年G20が開かれるインドでも盛り上がっています。注5)

 

●欧州議会・欧州委員会でのFTT議論に注視し、日本政府も政策化を!

 

実は、このサミットには日本も運営委員会(Steering Committee)のメンバーとして入っており、新協定に向けての議論に加わっています。日本においては気候変動及び人道支援のような地球規模課題へ向けた対策資金と同時に、国内諸政策で赤字国債を膨大に積み上げ財政の持続可能性を失っている現状を打破するために、欧州でのFTTを含む自主財源議論やパリ新協定議論を注視し、政策化していく必要があります。

 

(注1)

EU lawmakers propose transactions tax among new sources of cash to repay joint debt

(注2)

【日経新聞】欧州委、新型コロナ復興基金の「財源」に炭素税など3案

(注3)

【ロイター】コラム:EU、共同債利回り上昇で問われる統合への本気度

(注4)

REPORT on own resources: a new start for EU finances, a new start for Europe 

(注5)

Levy a tobin tax for the climate loss and damage fund

Consider transaction tax for climate financing: Experts to G20

 

※写真は、決議案を提案する欧州議会議員

 

 

世界の金融セクターの新次元のルールを>金融取引税をテコに=寺島実郎氏

報告が遅れましたが、去る4月23日TOKYO MXテレビで放映された「寺島実郎の世界を知る力 対談編~時代との対話~#25」で寺島氏が金融取引税を力説していましたので紹介します。番組は、ゲストに白井さゆり・慶應義塾大学教授、真壁昭夫・多摩大学招聘教授を迎え、米国銀行やクレディ・スイス銀行など相次ぐ経営破綻により急速に広がりを見せている金融不安の構造と本質的な課題についての議論が中心となります。

 

●金融不安の背景に、超低金利と超金余り

 

その構造ですが、真壁氏は「いつか来た道にまた戻りつつあるということだ」と明言。今回の場合は、超低金利が長く続く中お金がジャブジャブの状態で余っており、(預金では儲からないため)お金が株式や不動産、コモディディ(商品)に向かい、暗号資産など怪しい金融商品でも金利の高いものに向かいバブル状態になっていること、そしてこれが破綻しつつあり、銀行にとって不良債権となる。これは古典的な状況ですね、と【感想:リーマンショック前と同じということでしょう。以下、個々の銀行の経営破綻の要因は略】。

 

一方、日本では「内需があまりにも弱いので政府の支出が必要となっているが、その支出を増税で賄えないために国債発行となり、今は90%が国内で消化できているがそれが今後どうなるか(実際、10年物国債が消化できずらくなりつつある)」、と白井氏。加えて、寺島氏が黒田日銀が果たしてきた負の役割(異次元金融緩和によるお金ジャブジャブ状態、赤字国債の引き受けによる発行している国債の半分以上の所有、あげくには中央銀行にあるまじき株式の直接購入など)を報告。

 

これらを受けて、寺島氏は日本が典型のような「どんどんはまっていくぬかるみ状況」からどう脱却するのかを考えるが、それは「資本主義社会をどう見るのかにさえ行き着く問題ではないか」、と指摘。

 

●SDGs的世界観が必要で、新しいグローバルなルールづくりの段階に

 

その脱却の方法として、寺島氏はSDGs的世界観が必要であること【感想:そう断定的な言い方ではなかったが】、そして金融の分野においては「世界の新しい次元のルールづくり」を挙げます。「米国の金融規制という次元を超えて、もう一次元ギアアップして、ルールをつくり、その下で世界の先進国のみならずすべての国々がそのために金融取引や為替取引、つまりマネーゲームで儲けた利益に広く薄く税金をかけ、その財源をもって国際社会の安定のために図っていくなど新しい次元のルール形成が必要になってくるのではないか」、と。

 

番組の最後の方で、再び寺島氏は「今日コモンズということが大きな流れとなってきており、グローバルサウスもまきこんだコモンズの仕組みづくり、ルールづくりが必要で、例えば(金融取引に)広く薄く課税しマネーゲームで利益を上げた人は責任を共有してもらう。…世界はこれからこのような金融セクターの新しい仕組みづくりの議論に向かわざるを得なくなってきているのではないか」と話を結びました。

 

【エコノミスト鼎談】寺島実郎の世界を知る力対談篇~時代との対話~#25

経済専門家と鼎談!世界・日本の未来と課題

 

◎以下の、ユーチューブでご覧出来ます

https://www.youtube.com/watch?v=V8t-hbqq094

北海道新聞「巨額資金要する温暖化対策 新基金に国際連帯税を」

3月24日付北海道新聞の「各自核論」という論説に、上村雄彦・横浜市大教授が気候危機の「損失と被害」と国際連帯税について執筆された記事が掲載されましたので、紹介します。タイトルは「巨額資金要する温暖化対策 新基金に国際連帯税を」です。

 

 新基金①新基金②

※クリックすると画面が大きくなります

【ご案内】C7「公正な経済への移行」WG 国内立上げイベント

県の写真

 

C7「公正な経済への移行」ワーキンググループ立上げのご案内です。上記の広島県のサミット案内写真はクリックすると全景が現れます。

 

   ◆G7 広島サミット 首脳に向けての市民社会からの提言

C7「公正な経済への移行」ワーキンググループ 国内キックオフイベント

 

2023年5月、G7広島サミットが開催されます。国内外の市民社会は、これまでのG7、G20等と同様に、G7の公式なエンゲージメントグループ(各セクターからG7に政策提言を行うための公式グループ)として「C7(Civil 7)」を構成します。C7は、G7首脳会議や閣僚会議への政策提言を行なう他、2023年4月、G7に並行して市民社会による国際会議「C7サミット」を開催します。C7は政策分野によって6つのワーキンググループ(WG)に分かれています。「気候危機」「公正な経済への移行」「国際保健」「開かれた社会」「紛争と人道支援」そして「核のない世界へ」です。

 

従来から存在する貧困や格差に加え、コロナ禍やウクライナ戦争によって多くの人々の生活や命が脅かされています。そのほとんどが、これまで構築されてきた「経済システムとルール」に起因するものです。一握りの富裕層やグローバル企業に富が集中する一方、グローバル・サウスには富の分配はなされず、今や先進国(グローバル・ノース)においても格差が拡大しています。

 

経済という幅広い領域には多くのイシュー(課題)が含まれます。貿易、金融、税、ビジネスと人権、デジタル経済、債務、開発資金・・・それらを包括的に分析し、公正な移行・変革への提言を行なうのが「公正な経済への移行」ワーキング・グループです。G7の国だけでなく、途上国・新興国の市民社会、そして日本全国の市民団体・NGOの皆さんとともに、よりよい経済のあり方を議論し、G7の後の活動にも寄与するような取り組みを目指しています。本イベントは、日本国内の参加者に向けたキックオフです。ぜひ多くの方のご参加をお待ちしております。

 

【日 時】2023年2月3日(金)18:30~20:30

【方 式】オンライン(Zoomウェビナー形式)

【対 象】G7広島サミットや、G7の市民社会によるエンゲージメントグループ「C7」による政策提言活動に関心がある方を含む市民社会関係者の皆さん

【主 催】G7市民社会コアリション2023

 

【参加お申込み】

以下フォームよりお申込ください。お申込み後、Zoomウェビナーリンクをお送りします。

https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_8K91ZZsWTTuolP0qGCxn3w 

 

【プログラム内容】

 

1、イントロダクション

 G7広島サミット、C7および「開かれた社会」WGの概要説明

 

2、公正な経済への移行ーー各分野からの問題提起

1)自由貿易が世界の人々の食、医療に与える影響

 内田聖子(アジア太平洋資料センター〈PARC〉共同代表/C7「公正な経済への移行」WG国内コーディネーター)

 

2)ビジネスと人権

 若林秀樹(JANIC理事/THINK Lobby所長、ビジネスと人権市民社会プラットフォーム代表幹事)

 

3)デジタル化でかわる働き方・暮らし方ーウーバリゼーションから考える

 浦田誠(ITF 国際運輸労連 政策部長)

 

4)多国籍企業への課税をめぐる問題の展開

 青葉博雄(PSI(国際公務労連)東アジア事務所 所長)

 

5)新しい開発資金をどう確保するか 国際連帯税としての金融取引税

 田中徹二(グローバル連帯税フォーラム 代表理事)

 

3、ディスカッション、質疑応答 約50分

 

4、C7への参加の呼びかけ〉

 WG国内コーディネーターもしくはC7事務局より今後の活動への呼びかけをいたします。

 

※写真の左はCivil7のロゴ、右は広島県のHPより

「G7市民社会コアリション2023」と国際キックイベントのお知らせ

C7引継ぎ

 

5月に広島において開催されるG7サミットに向け市民社会から提言を含むアクションのためのプラットフォームである「G7市民社会コアリション2023」の活動についての報告です。

 

グローバル連帯税フォーラムはこのコアリションに参加するとともに、C7(Civil7)の分野別ワーキンググループ(*)の「経済正義と変革(Economic Justice and Transformation)」に所属しています。日本政府はもとよりG7に対して「新しい開発資金である国際連帯税としての金融取引税を実施せよ」と要求していきます。

 

 

「G7市民社会コアリション2023」設立(昨年5月)と目的など

 

・活動目的:首脳会合および関連閣僚会合の成果文書である宣言文に、市民社会の声が反映され、2030アジェンダが掲げる「誰ひとり取り残さない社会」の実現に貢献できるよう、議長国である日本政府を含むG7各国政府に働きかけること

 

・参加:団体会員(102団体)、個人会員(56名)<23年1月12日現在>

・共同代表(2名):

  木内真理子(特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン 事務局長)

  松原裕樹(特定非営利活動法人ひろしまNPOセンター 専務理事・事務局長)

・共同事務所(2か所):

  特定非営利活動法人国際協力NGOセンター(JANIC)

  一般社団法人 SDGs市民社会ネットワーク

 

・Webサイト: https://g7-cso-coalition-japan-2023.mystrikingly.com/

 

 

1月24日 C7日本キックオフイベント 

 

G7市民社会コアリション2023は、G7の公式エンゲージメントグループ(**)の一つであるCivil7(C7)事務局として、1月24日にC7国際キックオフイベントを開催します。このイベントでは、C7運営委員会より、今年のC7についてご説明し、また6つ設置されるワーキンググループの詳細を関係者で議論します。ワーキンググループへの参加は、G7諸国の関係者に限定されず、国際的な市民社会に広く開放されています。

 

■日時:2023年1月24日 (火) 日本時間21:00-23:00

■場所:Zoomミーティング

■使用言語:英語

■Program (*Subject to change depending on the availability of speakers)

 21:00 Welcome and introductions/Speech on G7 Agenda (tbc)

 21.20 C7 process & ToR of Working Groups

 21.30 Presentation of the Working Groups by Coordinators

 22.00 Breakout Discussions among Working Groups

 22.25 Reporting back to the Plenary

 22.55 Next Steps and Closing Remarks

 23.00 End of the session

■登録フォーム:https://forms.gle/AsrgydjW5EParYmh9

 

(*)C7分野別ワーキンググループ

1)気候・エネルギー・環境正義(Climate, Energy and Environmental Justice)

2)経済正義と変革(Economic Justice and Transformation)

3)国際保健(Global Health)

4)人道支援と紛争(Humanitarian Assistance and Conflict)

5)開かれた力強い社会(Open and Resilient Societies)

6)核兵器廃絶(Nuclear Disarmament)

※    C7分野別ワーキンググループへの登録フォーム

https://civil7.org/get_involved/

 

(**)エンゲージメント・グループ

G7サミットに対して社会の様々なステークホルダーからの提言を行う「エンゲージメント・グループ」という枠組みが設置されています。ビジネス・コミュニティ(Business7)、市民社会組織(Civil7)、労働組合(Labour7)、科学(Science7)、シンクタンク(Think7)、女性(Women7)、若者(Youth7)の7つのエンゲージメント・グループが、政策提言書を作成し、独自の「サミット」を開催します。

「ワールドワイドFTTコール」イニシアチブ>金融取引に課税を!

汎アフリカ議会議長     ローレンス・津美穴

フォーチュン・チャルムビラ氏       ローレンス・トゥビアナ氏

 

●気候変動対策資金のため欧州・アフリカ等でFTT要求署名行われる

 

先にCOP27での「損失と被害(L&D)」など気候変動対策資金創設のため、ピエール・ラルートゥルー欧州議会議員、フォーチュン・チャルムビラ汎アフリカ議会議長、ローレンス・トゥビアナ欧州気候基金理事長などが金融取引税(FTT:Financial Transaction Tax)の創設を訴える書簡を仏紙『ルモンド』に発表したことをお知らせしました(注1)。

 

その後、前記の3人を含む10人による呼びかけで、「気候変動対策資金を調達するために、今こそ投機への課税を」という署名活動が行われました(注2 10人の名前は下記に)。この署名には、欧州連合11ヵ国の欧州議会議員ならびにアフリカ、アジア、ラテンアメリカの 20 カ国の国会議員の計65 人が名を連ねました。ほかに気候科学者、NGO、政治家、宗教者なども署名しています。宗教者と言えば、上智大学の副学長でもあったジャン=クロード・オロリッシュ枢機卿兼ルクセンブルク大司教も署名しています。

 

署名内容は次の通りです。

 *グローバル・サウス(南の国々)への気候変動による損失と     損害等に対処するために、圧倒的に足りない「お金」が問題の核心であること

 *その資金調達のために過剰なほどの水準にある金融取引への課税が有効であること

 *欧州レベルで0.1%という税率で570億ユーロの税収が得られ、その収益の大部分を欧州とアフリカにおける気候変動対策に直接振り向けること

 

●「ワールドワイドFTTコール」イニシアチブと6月パリ気候資金サミット

 

この署名活動は、ラルートゥルー議員を軸に始められましたが、同議員側は「ワールドワイドFTTコール」イニシアチブとして全欧州規模の取り組みにすべく、英Stamp Out Povertyのデービット・ヒルマン氏らの国際FTT会合グループと連絡を取りました。結果、同グループとしてもこのイニシアチブ(当面署名活動)を全力で推進していくことになりました。

 

次の目標は、6月仏マクロン大統領とバルバドスのミア・モトリー首相との共催によりパリで開催される「最も脆弱な国々への資金メカニズムのための気候サミット」(仮称)です。情報によれば、フランスは現在、収入源についての答えを持っておらず、マクロン大統領は資金調達方法を探しており、アイデアを受け入れる姿勢を見せているとのことで、FTTにとって重要な機会となることです。そして、同国はL&Dとエネルギー転換という課題に対応するために気候担当大使という新しい役職を設けたとのことです。

 

●トービン税をG20サミットの議題に(インドNGO)、当然G7広島サミットでも

 

今後のFTT(またはTobin Tax)実現の展望ですが、今日もっとも切実な地球規模課題としての気候変動やコロナ感染症の対策資金として国際社会が共同して拠出する仕組みを創設することが望まれます。ただその仕組みが各国の割当てで賄うというこれまでの方法では限界があります。

 

では、どうするか? 世界には手つかずの膨大なリソースが存在します。それは外国為替取引に使用されるお金で、「1日当たり」世界で7.5兆ドル(約1050兆円)もの資金が取引されています。この取引には付加価値税(所費税)が課せられていません。しかもこの取引の9割方はマネーゲーム(投機)のための取引と言われ、先日の超円安のようにヘッジファンド等の投機筋が暗躍しているのです。

 

この外国為替取引に課税するのがトービン(通貨取引)税です。私たちはまずG7広島サミットに向けて、欧州のFTTイニシアチブ運動と連携し、通貨取引税を軸とする国際連帯税の共同実施を求めて活動を強めていくことです。なお、先述した国際FTTグループには米国のパブリック・シチズンなどのNGOやシンクタンクも参加しているので、米国でも活動が展開していくことになるでしょう。

 

また9月にはインド・ニューデリーでG20サミットが開催されます。これに向けインドの有力なNGO等が気候L&D資金としての金融取引税(トービン税)をサミットの主要議題に上げよ、との主張がはじまりつつあります(注3)。

 

このように国際連帯税として金融取引税を求める声は文字通りワールドワイドで高まりつつあります。2023年を希望の年とするために、まずは一国規模で考えるのではなく、世界規模で人々の生活と命を守るために、気候変動や感染症対策のための資金創設のために奮闘していきましょう。

 

 

【10人の最初の署名者(呼びかけ人)】
 ・フォーチュン・チャルムビラ(Fortune CHARUMBIRA) – 汎アフリカ議会議長、ジンバブエ
 ・ジョゼ・ラモス=ホルタ(José Ramos-Horta) – 東ティモール民主共和国大統領
 ・ローレンス・トゥビアナ(Laurence TUBIANA) – 欧州気候基金理事長、パリ協定の交渉担当者
 ・ピエール・ラルートゥルー(Pierre LARROUTUROU) – 欧州議会議員、2021年EU予算に関する一般報告者
 ・ジャン・ジュゼル(Jean JOUZEL) – 気候学者、元IPCC副議長
 ・カコ・ヌブクポ (Kako NUBUKPO)- トーゴの元大臣、西アフリカ経済通貨同盟(WAEMU)農業・水資源・環境担当委員、トーゴ
 ・Dr. Sanjay JAISWAL – インド国会議員 (Lok Sabha)
 ・カリム・ダーウィッシュ(Karim DARWISH) – エジプト国会議員、外務委員会委員長
 ・バントゥーボンケ・ハリントン・ホロミサ(Bantu Bonke Harrington HOLOMISA I – 南アフリカ共和国国会議員、前ネルソン・マンデラ政府の大臣
 ・パトリック・テン・ブリンク(Patrick Ten BRINK) – 欧州環境局事務局長

 

(注1)欧州での金融取引税議論>「損失と被害」資金、欧州議会での「復興基金」財源

(注2)気候変動対策の資金を調達するために、今こそ投機への課税を行う時

(注3)気候「損失と被害」資金のためにトービン税を① 

 

グローバル連帯税フォーラム、Instagramを開設しました

このたび、新たにグローバル連帯税フォーラムのInstagramを開設しました。若者や連帯税を知らない一般の方々にも、当団体の活動や地球規模課題の深刻さ、グローバルタックスの重要性について知っていただきたく思います。 ぜひ、フォローをお願い致します。

 

リンク →  https://instagram.com/forumforglobaltax/

 

いんすらぐらむ

 

 

 

 

ラルートゥルー 議員の欧州議会での演説>金融投機への課税を訴える

ピエール

 

12月14日に開催された欧州議会での「2021-2027年の多年間財政枠組み[MFF]の改善(討論)」でのピエール・ラルートゥルー(Pierre Larrouturou)演説が彼のツイッターで報告されていますので、紹介します。

 

<ツイッター文章>

 

この冬、何百万人もの国民が暖房と食事のどちらかを選択しなければなりません。

インフレを抑えるために、米国は4000億ドルを投入しました。私たちはどうでしょうか?

昨日、私は欧州議会で演説をしました。

 

ヨーロッパはエネルギー危機と戦うためにどのような手段を持っているのでしょうか?

ヨーロッパは気候の危機と戦うためにどのような予算を持っているのでしょうか?

この2つの危機には、資金調達の必要性という共通点があります。

 

社会と気候の混乱を避けるために、今こそ金融市場が戦いに参加する時です。

金融投機に課税すれば毎年570億ユーロが自由に使えるようになります。

これは最初の一歩に過ぎませんが、極めて重要な一歩です。なのに、私たちはなぜ待っている必要があるのでしょうか?

 

※演説の全文については、欧州議会のWebサイトに掲載されています。

 

ピエール2

林外相に開発協力大綱改定とG7サミットでの国際連帯税提案を要請

外務省①冒頭写真

 

12月15日、グローバル連帯税フォーラムの金子文夫・田中徹二両代表理事、日本リザルツの白須紀子理事長と園田開インターン、国際連帯税創設を求める議員連盟の石橋通宏事務局長(参議院議員)、津島雄二初代議員連盟会長の代理・橋本岳議員(衆議院議員)とともに、6名で外務省に林芳正外務大臣を訪問しました。

 

記念撮影の後、林外務大臣に対して、「開発協力大綱改定並びにG7サミットでの国際連帯税導入のお願い」と題する要請書を提出。6名を代表して田中代表理事が、SDGs達成のためにはODAを補う国際連帯税が必要であり、その導入に向けて林大臣の国内外での指導性発揮を求めると発言しました。

 

 外務省②田中&白須

 

要請書の要点は、①近く改定される開発協力大綱に国際連帯税を盛り込むこと、②G7広島サミットに合わせて外務大臣会合で国際連帯税に取り組む提案をすること、③特に外国為替取引への課税をメインとすること、④新デジタル課税に連帯税を付加すること、⑤税収は国際機関管理という5項目でした。(※要請書全文はこちらから

 

●林大臣、為替取引への課税や有識者懇談会について言及

 

林外務大臣は議員連盟の前会長であったため、連帯税の意義、これまでの国内外での取組みについては十分な理解を有していました。連帯税の税目に関しては、航空券税には否定的であり、その一方、為替取引への課税についてはかねてから関心をもってみており、実需とは関係のない投機的な為替取引への課税には、それほど強い反対はないのではないか、ただし国際社会で連携して実施することがむずかしいといった発言がありました。

 

外務省③大臣&金子

 

また、過日外務省に設置された革新的資金調達に関する有識者懇談会(SDGs達成のための新たな資金を考える有識者懇談会)について、その再開を検討するかのような言及もなされました。

 

外務省④全景

 

今回の外務大臣要請をきっかけにして、コロナ禍で動きが鈍くなっていた日本での国際連帯税運動について新たな局面を切り拓いていきたいと思います。欧州でも先月エジプトで開催されたCOP27等を機に金融取引税(欧州版国際連帯税)への活動が高まってきました。国境を超えた運動として進めていきたいと考えています。