11.7『シンポジウム:ピケティ「21世紀の資本」とグローバル・タックス』のフライヤー(チラシ)を作成しました。下記のPDF版をプリントしてご利用ください。
●左の写真は、8.30反安保法制国会前10(12)万人集会のもようです。この坂をまっすぐ行くと国会正面ですが、たいへんな人混みでなかなか前に進めず
シンポジウムのご案内です。格差・不平等が世界でそして日本で拡大しています。昨年-今年と一大旋風を起こしたトマ・ピケティ教授の「21世紀の資本」は、格差・不平等との闘いの理論的支柱を提起しています。ちょっと落ち着いたところで、あらためてピケティ理論を捉え返してみたいと思います。
基調報告は、日本の貧困・格差問題の第一人者である橘木俊詔先生に行っていただきます。また、パネルディスカッションでは各分野の第一線で活躍されている専門家の先生方が問題提起を行います。
また民間税制調査会より「民間税制調査会版税制大綱最終答申」も併せて紹介します。
世界と日本の格差・不平等を解消し、かつ世界的な貧困化・温暖化等の地球規模課題に対応していくために、そしてこれらに資する税制改革はいかにあるべきか、ともに考えていきましょう。
シンポジウム:ピケティ「21世紀の資本」とグローバル・タックス ~行き詰まる資本主義、日本の格差・貧困、国際課税への提言~
◎基調講演: 橘木俊詔 (京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授)
テーマ:「『21世紀の資本』と世界的な資産税の可能性~日本の貧困・格差問題を踏まえて~」(仮題)
◎民間税制調査会:「民間税制調査会版税制大綱最終答申」の紹介
三木義一(民間税調共同代表、青山学院大学教授)
◎パネルディスカッション:「グローバル・タックス、グローバル累進的資産税の可能性を探る」
・モデレーター: 三木義一(青山学院大学教授)
・パネリスト: 水野和夫(日本大学教授)「超バブル経済と資本主義の終焉」
志賀 櫻(弁護士)「タックスヘイブン対策なくしてグローバル課税なし」
上村雄彦(横浜市立大学教授)「グローバル連帯税と21世紀の資本」
小西雅子(WWF気候変動・エネルギー・プロジェクト・ リーダー)。。。。。。。。。。。。。。。。。「気候変動とグローバル資金」
・日時11月7日(土)13:00~16:30(12:30開場)
・会場:青山学院大学9号館931教室
・定員:150名
・資料代:500円(学生は無料)
・申込み:お名前とご所属、「シンポジウム参加」と明記のうえ、Eメールまた
はFAXでお申し込みください。
Eメール:info@isl-forum.jp / Fax:03- 3834-2406
グローバル累進資産税はなぜ必要か?それは可能か? 日本の現場から、グローバル・タックスの可能性から考えてみる~日本の貧困・格差問題の第一人者を迎えて~
フランスの経済学者トマ・ピケティの著書『21 世紀の資本』が世界的にベストセラーとなる中、今年初めに本人が来日し一大旋風をまきおこしました。同書ではグローバルな規模での富(所得)の格差を歴史的に証明するとともに、格差是正に向けての処方箋を提起しています。グローバルな累進資産課税がそれです。
ピケティ教授は次のように言う。20世紀の社会(福祉)国家と累進所得税は将来的にも中心的役割を果たすが、「民主主義が21世紀のグローバル化金融資本主義に対するコントロールを取り戻すためには、…資本(注:資産)に対する世界的な累進課税」が必要であり、「それをきわめて高水準の国際金融の透明性と組み合わせなければならない」(邦訳版 539P)、と。
つまり、教授は、第2次世界大戦での富の破壊や富裕層への課税強化により格差が縮小し、その傾向が1970年代まで続いたが、21世紀資本主義は再び格差を大きく拡大しつつある、と述べています(これは私たちにとって日々肌で確認するところです)。従って、このままでは民主主義体制を危うくし、ひいては資本主義そのものが立ち行かなくなるという危険性を警告するとともに、教授は税制を通しての資本主義規制を提案しています。
一方、途上国にあっては資金の不法流出が急速に増え続け、途上国へ供与された政府開発援助(ODA)の7倍の資金が途上国から流出しているという現実があります(2011年)。
とはいえ、資産に対する累進課税は、とくに金融資産への課税は容易ではない。やすやすと国境を越えてタックスヘイブンなどへと移り課税を回避することが可能であるからです。今や同地に秘匿されている金融資産は2010年の段階で少な目に見積って21兆~32兆ドル(約2500兆~3800兆円)に達しています。
ところで、日本の格差問題は、米国型の富裕層への所得と資産の集中、つまり「1%対99%」型というよりは、「貧困者や資産ゼロの人々の存在」に負っているというのが橘木教授の所論です。「OECD諸国の中では日本は15%を超す貧困率であり、主要先進国の中ではアメリカに次ぐ第二位の貧困率の高さである」(「トマ・ピケティ著『21世紀の資本』の衝撃」現代思想1月増刊号)。貧困化する高齢者(生活保護世帯の半分を占める)や一人親世帯、そして非正規労働者の増大等、日本では低所得の分厚い層が岩盤のように存在しています。
本シンポジウムでは、日本での貧困・格差問題を踏まえつつ、国際課税(気候変動や貧困問題等の地球規模課題の財源としても使用するためのグローバル・タックス)について理解を深め、同時にピケティ教授が提起した「グローバル累進資産課税」の可能性を展望していきます。
また民間税制調査会より「民間税制調査会版税制大綱最終答申」も併せて紹介します。
共 催:グローバル連帯税フォーラム/民間税制調査会
協 賛:(特活)日本リザルツ
<橘木俊詔(たちばなき としあき)教授プロフィール>
1943年、兵庫県生まれ。専門は労働経済学、公共経済学。京都大学経済学博士(1998年)。小樽商科大学商学部卒業、大阪大学大学院、ジョンズ・ホプキンス大学大学院修了(Ph.D.取得)。仏米英独にて研究職・教育職、京都大学経済研究所教授、経済企画庁客員主任研究官、日本銀行客員研究員、日本経済学会会長、同志社大学経済学部教授を経て現在、京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授。『日本の経済格差』(岩波新書、エコノミスト賞)、『家計からみる日本経済』(岩波新書、石橋湛山賞)、『格差社会』(岩波新書)、『学歴入門』(河出書房新社)、『夫婦格差社会』(共著、中公新書)、『「幸せ」の経済学』(岩波現代全書)など。
◆写真は、橘木教授です
第6回民間税調シンポジウムのお知らせです。今回のテーマは「国際課税」です。
民間税調第6回シンポジウム「国際課税を考える」
・日 時:8月23日(日)午後1時~(4時半頃まで)
・会 場:青山学院大学7号館720教室
(東京都渋谷区渋谷4-4-25)
・申込み:次のアドレスにお名前、所属をお書きの上申込みください。
yoshimikimiki@gmail.com
・参加費:無料
日本の税制において、所得税は累進課税であるかと言えば、決してそうではありません。申告納税者の税負担率を見ると、年収1億円までは累進制になっていますが、その収入を越すと逆に税率が下がっていきます。そのからくりは、富裕層の所得の多くを占める株式の譲渡等にかかる税率が20%と低く(2003~2013年までは10%)、かつ分離課課税になっているからです。
「これはおかしい。分離ではなく総合課税にしきちっと累進制を取れ」ということに対し、税率が上げると富裕層は海外に所得を持ち出し課税逃れしようとするので、無暗に上げるわけにはいかない、というのが課税当局のみならずエコノミストほかの考えのようです。これを少しでも防止するために、森信茂樹中央大学教授は北欧諸国が取っている「二元的所得税」を紹介し、それに沿った日本版二元的所得税を提言しています(7月31日付日経新聞『経済教室』「戦後70年 税制残された課題(上)公平性と効率性の両立を」)。
しかし、森信教授のせっかくの提言も、「高率の税率を金融・資本所得に課して資本・税源が国外に逃げれば、一国の経済成長や福祉に大きな影響を与える。源泉国(所得の発生した国)で広く、確実に課税する方が、経済に良い影響を及ぼす」ということを前提にしている限り、中途半端なものに終わっています。
問題は、「資本・税源が国外に逃げ」ることを可能としている今日のタックスヘイブン(オフショア)の存在をどう防いでいくのかだと思います。こうした問題は日本や他の先進国のみならず、実は途上国でも大変な問題になっています。先月開催された第3回(国連)開発資金国際会議(FfD3)で最ももめたのが税制問題、とりわけ途上国側は租税不正(租税回避や犯罪・腐敗)に実効的な新しいルールを策定できる、実行力のある新国連機関の設置を求めて先進国側と激しく対立しました。結果は、新機関設置は否決されてしまいました。
【Thomson Reuters Foundation 】
Development finance talks in Ethiopia close to collapse – charities
◆タックスヘイブン(オフショア)に秘匿されている資金…21兆ドル~32兆ドル(タックス・ジャスティス・ネットワーク(TJN)調べ)
⇒シンポジウムで基調報告する志賀弁護士は、この数字はまだ過小推計と言っている。ちなみに、世界のGDP総額(2014年)は77兆ドルで、日本のGDPは4.6兆ドル。
◆タックスヘイブン(オフショア)問題はこれを放置しておくと、(世界の)民主主義も人権も立ちゆきません。何とかしないとなりません。が、専門的すぎて、一般市民はとっつきにくいが、何ができるだろうか?
例えば、
・毎日のようにマスコミ等で報道されているタックスヘイブンに関する情報の収集と分析…分かりやすく解説してくれる専門家がいるとよいですね。
・各産業セクターの対外投資の状況を調査する…かならずタックスヘイブンに投資しているはず(世界の対内投資の第3位は香港で第5位は英領ヴァージン諸島)
◆グラフは、日経「経済教室」に載った申告納税者の所得税負担率(2013年)
去る7月13日から16日まで、エチオピアのアディスアベバで国連の第3回開発資金国際会議(FfD3)が開催されました。この資金会議は、この9月に国連で採択される予定の「持続可能な開発目標(SDGs)」に向け、その目標を実現するための資金問題について議論する場でした(1)。
資金会議の第1回目は2002年3月モンテレーで、第2回目は2008年12月ドーハで開催されました。第1回目は前年に確定されたミレニアム開発目標(MDGs)実現に向けての議論ということで、当時の盛り上がりを反映してブッシュ米大統領、シラク仏大統領(いずれも当時)という世界的な政治リーダーが参加しました。第2回目は、このモンテレー会合のフォローアップ会議でしたが、同年9月に米リーマンショックと続く国際的な金融危機で、盛り上がりに欠けるものでした。そして、第3回目。秋にSDGsの採択、冬に(2020年からの国際的枠組みを決める)COP21開催という「時代の節目」の時であるのもかかわらず、先進国の政治リーダーの参加のない寂しい国際会合でした。
さて、この資金会議で「アディスアベバ行動目標(The Addis Ababa Action Agenda)」という成果文書が採択されました(2)。この内容は「…9月に新たな長期開発目標を策定するのを前に、2030年まで年間3兆~4兆ドルが必要とされる開発資金の調達で協力することでこのほど合意した。政府開発援助(ODA)に加え、課税逃れの防止の徹底、政府系金融や民間資金の活用を通じて実現を目指す」(7月18日付日本経済新聞 電子版)というもの(3)。今回目立ったのは、資金需要はぼう大ではあるが、先進国がODAや革新的資金メカニズムによる公的資金を増加させて途上国支援を行うというよりも、民間資金・資本の活用が前面に打ち出されていることです。民間資金・資本はもともと利潤を上げることが目的ですので、とくに貧困国には向かわないでしょう(実際、今日の途上国向け直接投資も大部分は中国やブラジル等新興国に行っている)。
ともあれ、資金会議開催中の7月14日、我が国も参加している「開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ」(常設津事務局・フランス)が「ポスト2015・持続可能な開発アジェンダにおける革新的資金調達」というサイドイベントを開催し(3)、そこで「持続可能な開発に向けた歳入を倍加するための連帯税に関する宣言」を上げました(4)。同宣言は、FfD3に参加している各国政府に対して、またCOP21(パリ)に向けて各国政府に署名を取っていきたい、との意向です。現在、フランス、チリ、韓国が署名し、さらにリーディング・グループに参加している政府が署名していくと思われます。従って、日本政府もぜひこの宣言に署名していただくことを要請していきたいと思います。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/gic/page22_002123.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000091207.pdf
(3)日経新聞「国連加盟国、開発資金の調達協力で合意 年3~4兆ドル」:
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM17H0E_Y5A710C1NNE000/
http://isl-forum.jp/wp-content/uploads/2015/07/Side-event-of-the-Leading-Group.pdf
http://isl-forum.jp/wp-content/uploads/2015/07/Declaration-on-Solidarity-Levies.pdf
◆左のロゴはリーディング・グループのロゴ、中の写真は外務省のウェッブサイトより
民間税制調査会の次のシンポジウムは「社会保障と税を考える」です。以下、「社会保障と税」問題を少々考えてみました。
まず、図1の「主要国(日、米、英、独、スウェーデン、仏)の税と社会保障費(社会保険料)による国民負担比率」<税と社会保障費/国民総所得(GNI)>を見て下さい。以下のような特徴があります。
・日本:税負担が少なく、(税に比べて)社会保障費負担が多い
・米国:税も社会保障費も少ない
・独・仏:税も社会保障費も多い
・スウェーデン:税が多く社会保障費が少ない
ここで我が国の様々な問題が起きてきます。消費税の逆進性が問題となっていますが、実は社会保障費負担の逆進性の方も大きな問題となっています。
え? 社会保障費(社会保険料)って本人負担もあるけれど、会社負担も同じくらいの比率で負担しているし、率で料金を計算するのだから、給料の高い人が負担率が多くなり、累進性となっているのではないの、と思われるかもしれません。
最新の労働・社会保険の料率表(⇒これは分かり易い)
http://www.office-i.net/insurancerate.html
しかし、問題は会社負担のない労働者です。つまり、非正規雇用の人々や年金生活者です。つまり、現役非正規雇用の支払う年金(国民年金)や健康保険(国民健康保険)等は定額制ですので、収入の少ない人ほど負担率が高く、まったくの逆進性になっています。
図2の「所得階級別に見た税・社会保険料(2010年)」を見ますと、下位所得になればなるほど保険料の負担比率は上昇し、消費税の逆進性を上回っています。この時期は消費税は5%でしたから現在はもうちょっと負担率は上がっているかもしれませんが、社会保険料(年金・保険料金等)も上がっていますから、数字的にはそう変化はないと思います。
ご承知のように、国民年金の未納率は40%を超えています。その背景には、非正規雇用労働者が増大(2014年で1,962万人、雇用者全体の37.4%)があります。つまり、低所得層が増大し、会社負担のある厚生年金(&共済年金)に入れないため、自己負担だけでしかも定額制の国民年金に入らないとならないが、それが払いきれないという現実があるからです。
とすると、解決策として次のこと(方向性)が考えられます。第一に社会保障費にも累進性を導入すること(非正規労働者の保険料をずっと安くするなど)、第二に国民負担のうち社会保障費増ではなく税金を増やす方向性に転換すること(本当の累進所得税や法人への課税ベース拡大、金融取引税などを通して)、第三に税制とは直接結びつきませんが何よりも非正規雇用を縮小させる政策を取ること(が、現在は労働者派遣法が改悪されようとしており完全に逆行しています)、ですね。
そんなことを考えましたが、ぜひ民間税調シンポジウムに参加し、大いに議論を巻き起こしていきましょう。
民間税調第6回シンポジウム「社会保障と税を考える」
・日 時:7月26日(日曜日)午後1時~(4時半頃まで)
・会 場:青山学院大学1号館123教室(東京都渋谷区渋谷4-4-25)
キャンパスマップhttp://www.aoyama.ac.jp/outline/campus/aoyama.html
・申込み:次のアドレスにお名前、所属をお書きの上申込みください。
yoshimikimiki@gmail.com
・参加費:無料
※各国の国民所得における税収の割合についての論考ですが、トマ・ピケティの
『21世紀の資本』の「第13章 21世紀の社会国家」が面白いですね。結局、税収率の低い国は社会保障・福祉政策を満足に取れないということで、我が国は米国と並んで30~35%のラインにいます。北欧・独仏は50%前後。さらに問題は途上国で10~15%でこれが年々下がっている、「実に由々しき事態」とピケティ教授は述べています。
◆図1は財務省のWEBサイトから、図2は内閣府“財政・社会保障の持続可能性に関する「経済分析ワーキング・グループ」”に提出された小塩隆士一橋大学教授の提出資料から、それぞれ取りました。
先に「米国からウェビナーのお誘い」という記事を国際連帯税メーリングリストに流しましたが(下記参照)、そこで話題となっていたローマ法王の回状(encyclical 正しくは回勅)が昨日公表されました。で、この回勅ですが、「カトリック教会の公書のひとつ。ローマ教皇から全世界のカトリック教会の司教へあてられるかたちで書かれる文書で、道徳や教えの問題についての教皇の立場を示すものである…」(Wikipediaより)とのこと。
ともあれ、気候変動=地球温暖化問題を何とか前進させようとする世界の指導者やNGOにとっては、たいへん心強い声明となったと思います。以下、マスコミ記事で貧困(国)に焦点を当てているところをピックアップしてみました。
【毎日新聞】ローマ法王:環境問題で初の「回勅」迅速な温暖化対策促す
…また、法王は「富裕国の大量消費で引き起こされた温暖化のしわ寄せを、気温上昇や干ばつに苦しむアフリカなどの貧困地域が受けている」として先進国市民に「使い捨て」の生活様式を改めるよう要請。「回勅」にはカトリック史上初の中南米(アルゼンチン)出身法王として、社会的弱者に寄り添う「貧者の教会」路線が反映されている。…
…法王は、道徳や教義への法王の立場を示す公文書「回勅」の中で、「数々の科学研究が、ここ数十年の地球温暖化の原因は主に人間活動の結果排出される温室効果ガスの濃縮によるものだと示している」と指摘。温室効果ガスを排出し続けて経済成長を遂げた先進国が、貧困の克服や社会の発展を目指す途上国の温暖化対策に技術などで協力するよう呼びかけた。…
…法王はまた、政治的・経済的な強い関心が貧困層や次世代を犠牲にして地球を略奪していると強く非難した。…
◆写真左はフランシスコ法王、中は聖フランシスコ教会のあるアッシジ(2008年撮影)
●国際連帯税メーリングリスト(6月15日付)より
米国地球の友のKaren Orensteinより、以下のような招待メールが来ていましたので紹介します。タイトルは、『ウェビナー:気候変動事項に関して―パリ、ヴァチカンそしてウォールストリート税』。
このウェビナーとはオンラインセミナーのことのようですが、タイトルにヴァチカンが入っていましたので、気候変動や金融取引税とヴァチカンがどう関係しているのかなど、ちょっと関心がありましたので見てみました。
まず原文(下記参照)の“Why”でセミナーの目的が書かれています。以下、訳してみました。
…………………………
【翻訳】
貧困国は、これまでも人間としての要件―基礎的な保健サービスや初等学校教育の提供のような―を満たすための資金に苦労しているが、現在、気候変動に起因する異常気象対策に莫大な費用をかけなければならないことに直面しています。
気候危機を引き起こすことへの責任ほとんどを負ってないにもかかわらず 、彼らは命と生活を失うことによりそれの支払いをしています 。
世界はフランシスコ法王の気候変動に関する回勅を待っており、この12月のパリでの国連サミットでグローバルな気候に関する合意を得る方向にある時、金融取引への小さな税率の課税を行う方法を学ぶウェビナーにどうぞ参加してください。一般的にはロビンフッド税/ウォールストリート税として知られていますが、途上国が気候変動に対処するために必要な資金を提供できます。
<ここまで>
…………………………
しかし、なぜフランシスコ法王(ヴァチカン)の名前が出てくるのか、まだ分かりませんでしたが、ずっと下のスピーカーや主催者を見て納得。その中に、Maryknoll Office for Global Concernsとありますが、直訳すると世界的関心のためのメリノール事務所となりますが、この団体は米国のカソリック系教会であるMaryknoll FathersのNGO部門ですね。
いずれにせよこのウェビナーは、国際環境NGO、宗教団体NGO、労働組合、シンクタンク、与党民主党の国会議員事務所等の共催で行われるようです(それに仏の環境団体、英のいつもおなじみのデービット・ヒルマン)。米国の運動のダイナミズムが伝わってきます。これに参加したい人は以下の要項でお願いします。
◎日時:6月17日(米国)東部夏時間正午
◎連絡:ウェビナー参加希望者は、korenstein@foe.org まで連絡のこと
《原文》
You’re invited!
What: Webinar -Connecting the climate change dots – Paris, the Vatican and taxing Wall Street
When: Wednesday, June 17, noon EDT (9 AM Pacific)
Why: Impoverished countries, already struggling to fund unmet human needs — like providing basic health services and primary school education — now also face the enormously expensive fallout of extreme weather caused by climate change. Though bearing little-to-no responsibility for causing the climate crisis, they are already paying for it in lives and livelihoods lost.
As the world awaits Pope Francis’s encyclical on climate change and heads toward a global climate agreement at the UN summit in Paris this December, please join us for a webinar to learn how a tiny tax on financial transactions ? popularly known as the Robin Hood Tax/Wall Street Tax — could provide the money developing countries need to address climate change.
Speakers:
Bill Gallagher, National Nurses United
David Hillman, Stamp Out Poverty (UK)
Alix Mazounie, Climate Action Network France
Chloe Schwabe, Maryknoll Office for Global Concerns
Carol Wayman, Office of Congressman Keith Ellison
The webinar will cover:
・The basics ? The “what” and “how” of the financial transactions tax (FTT)
・Trailblazing trends in Europe – How 11 nations are leading the way with the establishment of a the world’s first regional FTT
・U.S. hope – Exciting initiatives in the U.S. Congress
・The climate connection ? What does the FTT have to do with climate change and the major Paris climate summit
The webinar will take place via Go-To-Meeting. Please RSVP to korenstein@foe.org and we will send you a link to join the webinar. (If you’ve already RSVP’d, no need to do so again. We’ll be sending the link out this Thursday, June 11.)
Sponsored by Friends of the Earth US, Institute for Policy Studies, and Maryknoll Office for Global Concerns.
Karen Orenstein <KOrenstein@foe.org>
三木義一青山学院大学教授と水野和夫日本大学教授が共同を代表を務める民間税制調査会の第4回シンポジウムのご案内です。
第4回民間税調シンポジウム「所得税を考える」
・日 時:6月14日(日曜日)午後1時から~4時半頃まで
・会 場:青山学院大学7号館720号教室
(東京都渋谷区渋谷4-4-25) キャンパスマップ
・申込み:次のアドレスにお名前、所属をお書きの上申込みください。
yoshimikimiki@gmail.com
・参加費:無料
日本の大多数のサラリーマン(労働者)の所得税は、“源泉徴収と年末調整”という仕組みとなっており、ほとんど何も考える暇もなく税が徴収されてしまいます。ここから日本人の税制への無関心が形成されてきました。逆に言えば、財務省が巧妙な(モノ言わせぬ)納税システムを作った結果でもあります。日本の所得税について根本的に考えてみましょう(累進課税も含め)。
今回、以下の論点を中心に議論するとのことです。
1 税率構造
2 所得分類
3 課税単位
4 所得控除か税額控除か
5 年末調整
◆写真は、4月26日に開催された前回のシンポジウムの模様です(会場は政策研究大学院大学)
4月の電話会議報告の時、「本日欧州11カ国財務大臣会合>金融取引税実施の合意なるか?」とお知らせしましたが、結局この日にまでは合意ができず、引き続き11カ国は20もの技術的問題に関する作業部会を組織し、合意に向けての議論を行っています。
そういう中で5月14日に行われた市民社会側の国際電話会議の報告が来ましたので邦訳し、お知らせします。
要点をまとめます。1)欧州情勢は、「6月19日のECOFIN(経済・財務相理事会)時に少なくとも今後の枠組みといった、何らかの発表がある見込み」とのことです【注:この電話会議後、欧州のNGOより「公式発表は7月になされる可能性もあり」との報告が来ている】。作業部会の到達点については一覧表を参照ください。
2)米国でも、とくに来年の大統領選挙に向けてFTT推進グループが活発に動いています。ジョセフ・スティグリッツによるRoosevelt Instituteの報告書「アメリカ経済のルールを書き換える(Rewriting the Rules of the AmericanEconomy)」が興味のあるところです。
3)国連開発資金会議(FfD)プロセスについては、米国のグループがオバマ大統領へ「FTTの導入を求めつつも、少なくともグローバル・レベルでの導入に向けた動きを妨げるべきではない」とするレターを起草したとのこと。【注:この電話会議の直前に成果文書に向けた第2ドラフトが出され、やや表現が弱くなったもののパラグラフ60でFTT含む革新的資金メカニズムについて明記された⇒しかしその後の政府間交渉で米国とG77がグローバルタックス、とくにFTT記述を削除するように求めてきた】
では、5月のFTT市民社会側の国際電話会議の報告をお読みください。
※その他情報:仏独がG7で途上国の温暖化対策のための資金支援の拡充を提案か
⇒フランスのNGOによれば、金融取引税もオプションに入る可能性ありとのこと
【日経新聞】仏、途上国の温暖化対策拡充をG7に提案へ 独とともに
◆写真左は第3回開発資金国際会議の国連のロゴ、中央はドーハCOP18(2012年)でFTTを求める各国のNGO
今年2015年は、持続的な開発問題と気候変動問題できわめて重要な国際会議が開催されます。それに向け、グローバル連帯税フォーラムは「グローバル連帯税(革新的資金メカニズム)」を軸に下記のようなキャンペーンをはじめます。その第1弾が6月8日の勉強会です。
ポスト2015開発アジェンダとグローバル連帯税キャンペーン/NO.1
グローバル連帯税を知ろう!~国連での議論と意義について~
◎日 時:2015年6月8日(月)午後6時30分~8時30分
◎場 所:日本リザルツ・会議室
(東京都千代田区霞が関3-6-14 三久ビル503)
地図:http://resultsjp.org/about/access
◎講 師:田中徹二(グローバル連帯税フォーラム代表理事)
上村雄彦(横浜市立大学教授)
◎主 催:グローバル連帯税フォーラム
◎申込み:次のアドレスから、「勉強会希望」とお書きの上、お名前、所属(あれば)とともに申込みください。
info@isl-forum.jp
◎参加費:無料
今年2015年は、持続可能な開発・貧困問題や気候変動問題という地球規模課題について大きな転換点をなす年です。9月には国連において、ミレニアム開発目標(MDGs)に替わり、2030年を射程に入れたポスト2015開発アジェンダ(新目標)が採択されます。また、11月末から国連気候変動会議(COP21)が開催され、2020年以降の気候変動・温暖化対策の世界的な枠組みが決められます。
これらの会議の中心的議題の一つは資金問題です。現在、7月アジスアベバで行われる第3回開発資金国際会議に向け、国連で議論が行われています。しかし、圧倒的に資金が足りません。援助国はどの国も財政的に厳しく伝統的援助資金のODA(政府開発援助)を増やす傾向にはありません。とくに国際目標であるGNI(国民総所得)比0.7%の拠出という観点からみますと、米国や日本は0.2%を下回っており、援助国トータルでも0.29%というたいへんお寒い状況です(2014年)。
そこでもうひとつの公的援助資金として期待されているのが革新的資金メカニズムの有力スキームである「グローバル連帯税」です。すでに航空券に少額の税を課す「航空券連帯税」が10か国で実施されています。また欧州は2016年1月から11カ国で実施予定の「金融取引税」の一部を開発・気候変動資金として拠出する方向で議論が行われています。新しい公的資金としてグローバル連帯税の出番と言えます。
こうした状況から、私たちは日本政府に対して、《世界規模での新たな資金調達のために国際会議の場でグローバル連帯税を議題として提案する》ことを求めてキャンペーンを行っていきます。
このキャンペーンの第一歩として上記の通り勉強会を開催しますが、グローバル連帯税についてのABCを含む、意義と可能性について学んでいきます。また、この考え方が国際社会並びに国連レベルで議論されてきた過程についても学びます。ふるってご参加ください。
◆写真左はミャンマー・マンダレーの結核病院、真ん中はエチオピアでの結核治療中の風景(どちらもユニットエイド(*)からの医薬品提供で治療しています)
(*)ユニットエイド:各国の航空券連帯税を主な原資として、エイズ・結核・マラリア等感染症対策の治療薬や診断薬を提供する国際機関
4月21日行われたFTT(金融取引税)に関する市民社会国際電話会合の報告を送ります(日本語)。簡単なまとめと解説です。
1)欧州情勢について
(マスコミではまったく報道されていませんが)本日5月11日、FTT導入予定の欧州11カ国の財務大臣会合が行われ(明日欧州経済・財務相理事会 [ECOFIN] 開催)、実施内容の取り決め合意に至るのではないか、との感触を得ているようです。これまで11カ国で技術的内容について20ほどの技術作業部会が作られ、相当詰めてきたようです。
この電話会議報告では触れられていませんが、5月7日付ルモンド紙に、パスカル・カンファン前開発大臣への気候変動・COP21に関するインタビュー記事が載っています。ここで彼は11日の財務大臣会合でのFTT合意を期待しています。
Climat : ≪ La question du financement peut faire derailler la COP 21 ≫
「気候:資金問題がCOP21を脱線させることができる」
2)第3回(国連)開発資金国際会議(FfD3)について
同資金会議(7月、アジスアベバ)に向けての成果文書に関してですが、3月に草案(ゼロドラフト)が出されまして、そのパラグラフ62に、革新的資金メカニズムとFTTなどのグローバル・タックスについて記述されていました。
ところが、これに対し米国が反対し、IMFがこれに追随したことから(G77は支持のようです)、市民社会側は署名要請行動等を配置してアドボカシー活動を強化しようということになりました。
●以上が4月21日時点での市民社会側からの報告ですが、アジスの成果文書について、5月6日に第2(改訂版)ドラフトが出されました。これを見ますと、パラグラフ60にゼロドラフトで記述されたものと、ほぼ同じ内容で記述されています。フランスやチリなど「開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ(LG)」ががんばったのでしょうか(4月末には市民社会側へのヒアリングがありブラジルのNGOがFTTを強く主張)。
◆写真左はパスカル・カンファン前仏開発大臣(ルモンド紙より)、中は米国のロビンフッド・タックス・キャンペーンのデモ(2015年1月)