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本日からパリ・サミットはじまる>今晩大規模コンサートで盛上げ

2大スター

 

日本ではほとんど報道されていませんが、本日から開発と気候変動のための資金調達に関する「新グローバル金融協定パリ・サミット」が開催されています。今夜その盛り上げのため2人のビッグ・スターが出演する大規模コンサートが行われます。主催するのは、#PowerOurPlanet と題したNGOグローバル・シチズン。コンサート内容は下記の“フィガロ”紙をご覧ください。

 

とくに21歳のビリー・アイリッシュはグラミー賞を7回も受賞しているスーパースターのようですね。なお、今晩の深夜3時からこのコンサートを聴くことができます。FB、Twitter、インスタグラム、YouTubeなどで視聴できます。視聴方法は以下のglobalcitizenのwebサイトから選んでください。

 

ところで、本番の方のパリサミットですが、革新的資金調達メカニズムとして多くの国際(的な)連帯税が提案されています。詳細は、次のお知らせで。

 

Billie Eilish et Lenny Kravitz au Champ-de-Mars, à l’affiche d’un grand concert pour la planète

ビリー・アイリッシュとレニー・クラヴィッツ、シャン・ド・マルスで地球のための大規模コンサートを開催

 

※写真は左上がサミットの主会場となるブロンニュー宮殿。真ん中が左ビリー・アイリッシュ、右レニー・クラヴィッツ、フィガロ紙より。

6月のパリ・サミットにイエレン米財務長官、李強中国首相出席

バナー

 

昨日の報道によれば、6月22,23日パリで開催される「新グローバル金融協定のためのサミット」(以下、パリサミット)にイエレン米財務長官や李強中国首相も出席するとのことです(注)。これで主要な国の元首や閣僚としては、主催者としてマクロン仏首相、同シタラン印財務大臣、そしてモトリー・バルバドス首相、ラマポーザ南ア大統領、ルーラ伯大統領、フォン・デア・ライエン欧州委委員長など、また国際機関からはグテーレス国連事務総長ほかが参加します。

 

●日本でも財務大臣クラスを参加させるべき

 

では、G7議長国としての日本からは誰が出席するのでしょうか。5月24日にパリ・サミットに関する日本政府の窓口となっている外務省・松本地球課題総括課長とお会いした時にこのことを聞いたところ、その時分には決まっていないとのことでした。が、米国がイエレン長官を出すなら、日本も鈴木財務大臣を派遣しないとならないでしょう。もっともイエレン長官はこのところ世界銀行改革に熱心ですが、鈴木大臣ならびに日本財務省は世界銀行など国際開発金融機関(MDBs)改革にどれほどの方針を持ってるのでしょうか? ぜひ知りたいものです。

 

●パリ・サミットのWebサイト、ようやく公開される

 

どういう訳かこれだけのサミットを開催するというのに専用のWebサイトがなかなか構築されず、ようやく1か月前の開設となりました。

 

International solidarity ? Website for the Summit on a New Global Financing Pact goes live (25 May 2023)
 

<サミットへの訴え>
このサミット…の目的は、貧困との闘い、気候変動、多様性の保護という私たちが共有するグローバルな課題に対応するため、より公平で連帯感のある新しい金融システムの基礎を築くことにあります。

 

…サミットは、インド議長国でのG20サミット、マラケシュでの世界銀行・IMF年次総会、ニューヨークでの持続可能な開発目標に関する国連事務総長サミット、ドバイでの国連気候変動会議(COP28)など、2023年後半に開かれる多くの国際会議と一致しています。

 

会議では、今後の改革の基本原則を明確にし、南と北のバランスのとれた新たな金融パートナーシップに向けた道筋をつけることができるでしょう。また、過剰債務と闘い、より多くの国が持続可能な開発への投資、より良い環境保護、温室効果ガス排出量の削減、生態系の危機から最大のリスクを抱える人々の保護に必要な資金を利用できるようにするための将来の合意への道筋をつけることができるでしょう。

 

 

(注)
イエレン長官、世界的な債務と気候改革を求めるパリ・サミットに向かう
Yellen Headed to Paris Summit in Push for Global Debt, Climate Reforms
-新たな世界金融協定のためのサミットは6月22日~23日に開催される。
-中国の李強首相も出席する予定。

 

米国は、貧しい国々をよりよく支援し、気候変動や将来のパンデミックといった世界的な脅威に対処するために、世界的な融資構造を改革する機運を高めようとしています。

 

フランスのエマニュエル・マクロン大統領が主催する「新しい世界金融協定のためのサミット」は、多国間開発銀行の改革や債務超過への対応から、グリーンインフラへの融資、気候変動に脆弱な国への資金動員まで、幅広い問題に取り組むことを目指しています。(以下、有料のため省略)

ジョセフ・スティグリッツなど国際的経済学者がFTTとパリ・サミットを応援

写真:スティグリッツなど

 

「金融取引に関する国際課税への一歩は、歴史的な第一歩となる」と題した書簡がフランスのルモンドに掲載されました。この書簡はノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツやCOP21でパリ協定を設計したローレンス・トゥビアナなど70人以上の国際的な経済学者が、貧困と地球温暖化との闘いのための資金調達に向け、株式市場取引に対する国際的な課税(FTT:金融取引税)を求める内容のものです。

 

こうした国際経済学者からの書簡は、今月パリで22日からはじまる「新グローバル金融協定のためのサミット」の盛り上がりと革新的資金調達の実現に向けた機運を高めていくことになるでしょう。書簡に署名した主な経済学者の名前とルモンドの記事の一部を紹介します。

 

【書簡に名を連ねた主な経済学者】

 

ジョセフ・スティグリッツ(Joseph E. Stiglitz)ノーベル経済学賞受賞者 
ジャヤティ・ゴーシュ (Jayati Ghosh)ジャワハルラール・ネルー大学教授、開発経済学
ローレンス・トゥビアナ(Laurence Tubiana)パリ政学院教授、気候変動パリ会議(COP21)元特別代表. 元フランス気候変動交渉担当大使。
ダニ・ロドリック(Dani Rodrik)プリンストン高等研究所教治授、国際経済学・開発経済学、邦訳書『貿易戦争の政治経済学:資本主義を再構築する』(2019)など
マリアナ・マズカート(Mariana Mazzucato)ロンドン大学教授、公共経済学
ブランコ・ミラノヴィッチ(Branko Milanovic)ニューヨーク市立大学大学院センター客員大学院教授、邦訳書『資本主義だけ残った』(2021)など
アナト・アドマティ(Anat Admati)スタンフォード大学経営大学院ジョージ G. C. パーカー記念講座教授 
スティーブ・キーン(Steve Keen)ロンドン・キングストン大学経済学教授

 

【ルモンドの記事】

 

≪ Un pas vers une taxe internationale sur les transactions financieres serait une premiere historique ≫
金融取引に関する国際課税への一歩は、歴史的な第一歩となる

 

ジョセフ・スティグリッツ、ジャヤティ・ゴーシュ、ローレンス・トゥビアナなど70人以上の国際的な経済学者が、貧困と地球温暖化との闘いのための資金調達のために、株式市場取引に対する国際的な課税を求める文書をルモンドに寄せた。彼らは、6月22日と23日にパリで開催される「新しい世界金融協定のための国際サミット」を理想的な機会として捉えている。

 

「ロビン・フッド税、トービン税、FTTなど、どのように呼ぼうと、グローバル化の悪影響を相殺するために金融取引に課税するというアイデアは、新たな経済危機のたびに人気が高まっています。原理は単純で、金融市場の取引規模を考えれば、極めて低い税率を適用するだけで、市場の運営方法に影響を与えることなく、多額の税収を上げることができるからだ。

 

FTTは、歪みが少なく、再分配効果が高く、税収が潜在的に高く、徴収コストが最小であるなど、優れた税となる資質をすべて備えています。FTTの人気が高いもう一つの理由は、市場の規制緩和と高頻度取引の発達に伴い、取引量が爆発的に増加していることに対応するためである。1970年代以降、世界の株式市場の取引額は500倍以上に膨れ上がり、フランスでもパリ証券取引所の年間取引額は1970年に35億ユーロ、1980年に90億ユーロ、1990年に1000億ユーロ、2000年に1兆ユーロ、そして現在は2兆ユーロ以上となっている。

 

現在、30カ国以上でさまざまな形で印紙税が適用されているのは、こうした理由があるからに違いない: 例えば、フランス、イタリア、スペイン、スイス、香港、台湾、そして英国では3世紀以上もの間、途切れることなく印紙税が適用されており、英国で最も古い税である。金融取引税が適用されている金融センターは、世界でも有数の金融センターであり、その発展を妨げていないことは明らかである。

 

市場への影響はほとんどない

 

FTTをめぐる議論では、必ずと言っていいほどその影響に焦点が当てられる。投機を抑制することで市場の不安定さを軽減することを期待する人もいれば、流動性の欠如によるボラティリティの上昇を恐れて、その原理そのものを否定する人もいる。実証研究は、前者も後者も間違いであることを証明している。現在の形では、FTTは市場にほとんど影響を与えない。一部の人が恐れる黙示録でも、他の人が期待する万能薬でもない。ポイントは銀行家に対する罰でも市場に対する罰でもなく、幅広い裾野と低い税率を持つ税は実質的に歪みを生じさせず、高い歳入をもたらすからである。

 

以下、省略

 

※写真は、左からジョセフ・スティグリッツ、ジャヤティ・ゴーシュ、ローレンス・トゥビアナ、ダニ・ロドリック

新グローバル金融協定サミットWGに、金融取引税が提案される

今月22-23日パリで開催される新グローバル金融協定サミット(以下、協定サミットと略)を前に、Gunther Capelle-Blancardパリ第1大学教授が金融取引税に関して最新情報を含む「The taxation of financial transactions: An estimate of global tax revenues 金融取引への課税: 世界の税収の試算」(注1)という論文を発表しました。また、この論考が協定サミットのワーキンググループ(4つのグループのうちの革新的資金調達グループ)にも提案されたとのことです。

 

さてこの論文はソルボンヌ経済センターのWebサイトに掲載されていますが、マスメディアではリベラシオン紙に「Taxer les transactions financières, le retour d’une idée qui pourrait rapporter gros         金融取引への課税:多額の資金をもたらす可能性のあるアイデアの復活」と題して掲載されています(注2)。以下、簡単に紹介します。

 

●最大4000億ユーロをもたらすが、まずは既存の金融取引税からはじめる?

 

1)G20諸国で(株式交換または取引に)金融取引税(FTT)を導入した場合、年間1620億ユーロから2700億ユーロをもたらし、さらに日中取引や高頻度取引に拡大すると4000億ユーロ以上の税収となる。

 

2)従って、気候変動対策や貧困対策で莫大な資金需要がある現在、FTTはこれに応えることに役立つ。「この制度は、ケインズが最初に考え、トービンが開発したもので、2012年からフランスを含む約30カ国ですでに存在している」。

 

3)FTT推進派は、6月22-23日にパリでの新しい金融協定に関するサミットで政治的なチャンスを見出すだろう。「金融取引に対する国際課税への一歩は、何よりも、気候変動の影響を最も受けている国、つまり、気候変動の責任を最も負わない国にとっての貴重な勝利になるだろう」(NGOグローバル・シチズン副代表 Friederike Röder)。

 

4)税収だが、G20に導入した場合、フランス並みの税率0.3%で年間1620億ユーロ、英国並みの税率0.5%で2700億ユーロをもたらすと推定。が、日中取引や高頻度取引に拡大すれば、4000億ユーロ以上の税収になる。「貧しい国のために年間1000億ドルの気候変動資金を動員するという公約の達成と、豊かな国の国民総所得の0.7%を開発援助に割り当てるという集団的公約の達成に大きく貢献できる」(NGO ONEアドボカシー担当 Maé Kurkjian)。

 

5)【以下、編集者注】フランスも英国も株式の日中取引には課税していない。課税は、同一営業日において同一顧客によって執行されたすべての購入と売却をネットした(相殺した)額に行っている。つまり、ひとつひとつの取引(グロス)に課税していないので高頻度取引にあっても課税額はたいしたことはない(逆にグロス課税だと莫大な納税になる)。英国は株「取引税」ではなく「印紙税」として執行されてきている。また、フランスの場合には株取引税と言っているが、正確には株「譲渡税」と呼んだ方がよいのではないか。実際、「フランスでは60%から70%の取引がFTTの対象外になっているようだ」。

 

6)【本題に戻り】Capelle-Blancard教授は「FTTはよい税金」だと言います。それは「実証研究によると、導入時に取引量はわずかに減少するが、流動性や市場のボラティリティにはほとんど影響がない」「広範なベースと低い税率で、歪みを生じさせず、低い徴収コストで高い歳入をもたらし、高い再分配性を持つ税」なのだから、と。FTTが協定サミットでぐっと盛り上がり、協定内容に組み入れられるとよいですね。すると、その内容が9月のG20サミットに、同月の国連SDGsサミットに、そして11月のCOP28に繋がり、FTTが世界規模で実現していくと期待されます。

 

(注1)

Gunther Capelle-Blancard, The taxation of financial transactions: An estimate of global tax revenues

(注2)

Taxer les transactions financières, le retour d’une idée qui pourrait rapporter gros

 

 

【邦訳全文】

Taxer les transactions financières, le retour d’une idée qui pourrait rapporter gros

金融取引への課税:多額の資金をもたらす可能性のあるアイデアの復活
2023年5月15日発行

 

ある調査によると、このようなシステムを導入すれば、税率にもよるが、年間1620億から2700億ユーロをもたらすことができるという。しかし、ヨーロッパ全体への適用はまだ計画段階である。



カムバックである。各国政府がパンデミックから多額の負債を抱え、気候変動対策であれ貧困対策であれ、資金の必要性が莫大である現在、大規模な金融取引税(FTT)の導入は、この方程式を解決するのに役立つだろう。この制度は、ケインズが最初に考え、トービンが開発したもので、2012年からフランスを含む約30カ国ですでに存在している。

 

欧州規模での創設というアイデアは欧州議会で再燃し、先週水曜日(5月7日)に採択された決議で、欧州予算の新たな収入源の候補に挙げられている。2月に欧州議会は、「欧州委員会と強化協力交渉に参加している加盟国(フランスやドイツを含む11カ国【正しくは10か国】)に対し、2023年6月末までに金融取引税に関する合意に達するよう最大限の努力をするよう要請した」ところだ。この意図は新しいものではない。2011年9月以来、欧州金融取引税の指令案が欧州委員会の棚に眠っているのだ。

 

最大4,000億ユーロ

 

トービン税の推進派は、6月22日と23日にパリで開催される新しい金融協定に関するサミットに政治的なチャンスを見いだすだろう。「金融取引に対する国際課税への一歩は、歴史的な第一歩であり、エマニュエル・マクロンとナレンドラ・モディのサミットにとっての真の成功であり、何よりも、気候変動の影響を最も受けている国、つまり、気候変動の責任を最も負わない国にとっての貴重な勝利になるだろう」と、NGOグローバル・シチズンの副代表、Friederike Röderは述べている。

 

どれくらいの金額が期待できるのか? 経済学者のGunther Capelle-Blancard氏(パリ第1大学教授)が月曜日にNGO Oneから発表した研究は、いくつかの明確な根拠を示している。それによると、G20諸国にFTTを適用した場合、名目税率0.3%(フランスで選択された税率)で年間1620億ユーロ、0.5%(英国で選択された税率)で2700億ユーロをもたらすと推定しています。この税金を日中取引や高頻度取引に拡大することで、4000億ユーロ以上を回収することができる。「これは、2022年に1940億ユーロに達した世界の開発援助総額の2倍以上です」と、Oneのアドボカシー責任者であるMaé Kurkjianは比較する。そして彼女は、これが「貧しい国のために年間1000億ドルの気候変動資金を動員するという公約の達成と、豊かな国の国民総所得の0.7%を開発援助に割り当てるという集団的公約の達成」に大きく貢献すると計算する。

 

10年以上前に初めてスケッチされたとき、欧州のプロジェクト(想定されていた率は0.1%【編集者注:正確には、株と債券取引に0.1%、デリバティブ取引に0.01%】)は年間600億ユーロ近くと評価されていた。報告書は、現在の取引数で利回りを更新していない。Gunther Capelle-Blancard氏は、「欧州プロジェクトは素晴らしいが、非常に野心的である。2000年代前半に比べ、市場の状況ははるかに透明性が低くなっているため、収益については非常に不透明な部分がある。しかし、それ以降、取引が増えていることは確かです」と説明している。また、すべては課税ベースとその設計方法によって決まる、とも。

 

「良い税金とは」

 

エコノミストはまた、この税制を導入した国々で観察された効果を引き合いに出し、定期的に指摘される多くの批判に反論している。「実証研究によると、実際にはFTTの効果は控えめで、導入時に取引量はわずかに減少するが、流動性や市場のボラティリティにはほとんど影響がない」と説明し、「よく戯画的に言われることとは異なり、FTTは良い税金になる資産を持っている」と考えている。実際、「広範なベースと低い税率で、歪みを生じさせず、低い徴収コストで高い歳入をもたらし、高い再分配性を持つ税」なのだ、とも。

 

欧州やその他の国々でFTTが導入されれば、フランスの収入も増加する可能性がある。現行の課税は、主にフランスに登記上の事務所があり、時価総額が10億ユーロを超える企業の株式交換に関するものだ。「フランスでは60%から70%の取引がFTTの対象外になっているようだ」と報告書は述べている。昨年、FTTは約19億ユーロをもたらした。2016年、フランス議会はこれを日中取引に拡大することを決議した。エマニュエル・マクロンは大統領に選出されるや否やこの決定を覆し、その理由の1つとしてブレグジットを挙げています。彼はOuest-Franceのインタビューでこのように説明した:「欧州レベルでは、私はすべての道を行くと言ってきた。…私はFTTを望んでいる。私は、一貫した領域で適用され、理にかなっていて、効果的なFTTを望んでいます」。それが、約6年前のことです。■■

 

※写真は、Gunther Capelle-Blancardパリ第1大学教授

6月パリ「新グローバル金融協定サミット」近づく、その意義と課題

既報通り、欧州では欧州議会で見られるように、再び金融取引税の議論が活発化してきました。一方、6月22-23日パリで開催される「新グローバル金融協定のためのサミット」(SUMMIT FOR A NEW GLOBAL FINANCIAL PACT、以下パリ・サミットと略)でも金融取引税が議論されています。日本ではこのサミットについてまったく報道されていませんが、ここでの議論や合意は9月のG20サミットや11月のCOP28(国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議)に大きな影響を及ぼすことが予想されます。パリ・サミットの概要ならびにNGO等の動きについて報告します。

 

 COP27の振り返り>気候資金についてのグローバル・タックスなどの提案

 

ご承知のように、昨年11月に開催されたCOP27において、気候変動の悪化に起因する災害等による「損失と損害(ロス&ダメージ:L&D)」を支援する基金創設が合意されました。これは島が侵食されていく小島しょ諸国など気候脆弱国が30年来訴えてきたものですから、歴史的な合意がなされたと言ってよいでしょう。とはいえ、L&D基金の中身(拠出額・方法や運用など)については、今年アラブ首長国連邦で開催されるCOP28で決めることになり、今後の議論が重要となってきます。

 

ところで、このCOP27を前にして、気候資金調達に向け、島しょ国等脆弱国のリーダーから様々な提案が出されました。グローバル炭素税、航空券税、化石燃料採掘税そして金融取引税などの国際連帯税(注1)、さらに国際エネルギー企業への課税そしてIMF・SDR(特別引出権)の増強など。一方、フランスにおいては、COP21でのパリ協定を設計した経済学者のローレンス・トゥビアナや欧州議会議員のピエール・ラルートゥルーなどの国際的な専門家や欧州議会議員が「(気候資金調達のために)金融取引税を創設することが、今までになく急務である」と仏紙『ルモンド』に発表するなど(注2)、議論が大きく盛り上がっていました。

 

こうした流れの中で、COP27においてL&D基金の創設が決まるとともに、マクロン仏大統領が「最も脆弱な国との新しい金融協定が必要」(ツイッターより)と提案。同大統領は、同年9月の国連総会で「世界金融の構造改革のための「2022年ブリッジタウン・アジェンダ」(注3)を提唱したカリブ海の小島バルバドスのミア・モトリー首相と共に、2023年6月にパリ・サミットを開催することになったのです。

 

●パリ・サミット(開催日:6月22-23日)について

 

以下、パリ・サミットの概要につき、簡単に説明します。

 

1)目的

気候変動と世界的危機に対処するために南北諸国の間で新たな協定を構築すること、とりわけ最も脆弱な国々が最も緊急かつ重要なニーズに対処するための支援を行うこと、そのために多国間開発銀行の改革、債務危機、革新的な融資と国際税、特別引出権(SDR)などの重要な問題に取り組む。

 

2)主な4つの課題とそれぞれのワーキンググループ

・WG1:最も影響を受ける国に対する財政スペースの確保

⇒債務の脆弱性に直面している国に対して、どのように資金へのアクセスを増やすか

・WG2:低所得国での民間セクターへの融資

⇒脆弱な国における民間セクター、とくに小規模企業をどのように支援するか

・WG3:新興国・途上国における「グリーン」インフラへの投資拡大

⇒グリーンインフラへの民間投資を加速させる方法

・WG4:気候変動に脆弱な国に対する革新的な資金調達の動員

⇒新たな資金源をいかに引き出すか、国際税務アジェンダ、インパクト・ファイナンス、気候変動に強い商品、債務スワップ、債務契約における災害関連停止条項、保険スキーム、その他のタイプのメカニズムについて

 

3)運営方法と参加国・国際機関(主催:フランスとG20サミット議長国のインド)

・運営方法:COP28、G20、G7など多くのパートナーからの提案とコミットメントを得る

・参加:フランス、バルバドス、インド、日本、UAE、米国、中国、EU委員会、ドイツ、英国、ブラジル、セネガル、南アフリカ、国連事務局、IMF、世界銀行、OECD

 

●パリ・サミットの課題とNGOの活動

 

パリ・サミットの焦点のひとつは、WG4にある「新しい資金源の創出」です。先進国によるODA(政府開発援助)拠出は限界にきており、先進国(ドナー国側)や国際機関は盛んに民間資金の動員(活用)を宣伝してきました。しかし、そうした国・機関が最も期待していた「ブレンドファイナンス」は減少に転じ(注4)、気候変動の支援資金の核となる2020年までに1000億ドル拠出公約も果たせませんでした。

 

確かにこれほどの地球規模課題対策に巨額の資金ニーズが高まっている現在、各国のODAも民間資金の動員も、さらに世界銀行・MDBs改革やIMF・SDRの増強も必要ですが、まったく間に合いません(OECDやUNDPは年間4兆ドルの資金ギャップを挙げている)。従って、これに加えて新しい方式による新しい資金調達がぜひとも必要となっています。その調達のためツールが国際連帯税(グローバルタックス)です。

 

パリ・サミットでは、市民参加も呼びかけられ、各WGにNGO代表が参加していますが、WG4では専門家やNGOは金融取引(FTT)を提案しています。また、WG4の共同議長は、モトリー首相の顧問でブリッジタウン・アジェンダ提案に関わったAvinash Persaud氏(英グレシャム大学名誉教授)が務めており、彼はこれまで欧州FTT活動に対して助言的立場を取ってきた人です。よって、ここにおいては新しい資金調達スキームとしてFTT実施案が勧告される可能性が大いにあると言えます。

 

ところで、日本政府も国際運営委員会に参加していますが、特段積極的な提案はされていないようで残念です。

 

ともあれ、パリ・サミットでの議論や合意が、次のG20サミットやCOP28の議論に、また9月の国連SDGsサミットに影響してくることは間違いありません。注目していきましょう。

 

(注1)

Vulnerable countries demand global tax to pay for climate-led loss and damage

(注2)

‘It is now more urgent than ever to reach an agreement to create a tax on financial transactions’

https://www.lemonde.fr/en/opinion/article/2022/11/16/it-is-now-more-urgent-than-ever-to-reach-an-agreement-to-create-a-tax-on-financial-transactions_6004481_23.html

(注3)

The 2022 Bridgetown Agenda for the Reform of the Global Financial Architecture

(注4)

SUMMIT FOR A NEW GLOBAL FINANCING PACT: TOWARDS MORE COMMITMENTS TO MEET THE 2030 AGENDA?

(注5)

【日経新聞】途上国に民間資金呼ぶ COP27、政府保証・無料データ活用

「…民間資金の動員は、ほとんどが中所得国で、銀行・金融サービス、エネルギー・産業、鉱業、建設など、収益源が明確なセクターで行われている」

 

※写真は、マクロン大統領とモトリー首相

 

G7広島コミュニケと資金動員>寺島実郎氏、国際連帯税を提案(#サンモニ)

G7広島サミットは21日に閉幕しましたが、首脳コミュニケが前日に出されるという異例の事態でした。サミットは、最後に来て「ゼレンスキー・サミット」と呼ばれるほどの演出が際立ちましたが、日本政府が事前に目玉として宣伝していた「グローバルサウスとの連携」はどうだったのでしょうか?

 

●民間資金及び公的資金の動員を謳っているが…

 

「グローバルサウスとの連携」を言うなら、まずは途上国支援のための資金が求められています。実際コミュニケでも「我々は、2030年までの持続可能な開発目標の達成、貧困の削減、気候危機を含むグローバルな課題への対応及び低・中所得国における債務脆弱性への対処は、緊急であり…」と認識し、「これらの課題に対処し、公正な移行を支援するために必要な民間資金及び公的資金を動員する…」(以上、第10パラグラフ)と謳っています。

 

しかし、途上国のSDGs達成のための資金ギャップが年間4兆ドルを超えるという現状に対して、まずはG7が公的資金を十分に拠出し、その上で民間資金の動員があって、そのギャップは埋められていきます(第10パラでは逆の表現に)。その公的資金については、ODAのGNI比0.7%目標の重要性の認識、ならびに「革新的資金調達メカニズム」の必要性ということで記述されていますが(第11パラ)、その具体性については依然として語られていません。

 

例えば、0.7%目標については毎回毎回「重要性の認識」にとどまり、目標を達成するための工程がネグレクトされています。また、革新的資金調達メカニズムの方も具体的提案がありません。

 

もうひとつ。気候変動問題で言いますと、COP27で合意され、今年のCOP28でも最大の議題となる「損害と損失」基金問題が、第18パラから21パラまでの『気候』記述の中で一番最後に「世界的な気候変動の悪影響を警戒し、特に最も脆弱な国々に対して、損失と損害を回避し…これらに対処するための行動と支援を増加させる(COP27等の決定)」とさらっと記しているだけです。そこには先進国としての責任を果たすという意欲が見られないのです。

 

●グローバルサウスへの支援、国際連帯税構想で>寺島実郎氏

 

「グローバルサウスを惹きつけるようなクリエイティブな発想がG7にはまったくない」というのが、21日TBSで放映されたサンデーモーニングでの寺島実郎氏のコメントです。

 

寺島氏の発言を追ってみます。「今度のサミットでグローバルサウスに対して何ができるのか。例えばG7が豊かな国というのなら、そこでのマネーゲームに税金をかけてアフリカやアジアの貧しい国々に対して、こういう仕組みでもって、これ国際連帯税構想というものがあるのですが、そういうものに踏み込んだとなれば、グローバルサウスの方はG7はたいしたものだなとなる」。しかし、そうではない、ということで上のような結論になりました。

 

テレビでの発言は時間的制約があるため、論理が短絡していますが、G7は国の財政が厳しくなると公的資金ではなく盛んに民間資金の利用を言い出し、先進国としての責任を放棄してきたのです。一般財政からの拠出が厳しいのであれば、革新的資金メカニズムを構想し実行しなければならないのです。それが国際連帯税だと寺島氏は主張します。

 

●6月新国際金融サミット、9月G20サミット、11月COP28へ

 

首脳コミュニケは、気候変動や貧困削減のための「開発資金ツールキットを強化」するため、「6月…パリで開催される国際開発金融の再活性化のためのサミットに始まり、(9月)ニューデリーでのG20サミット、ニューヨークでのSDGsサミット…(11月)アラブ首長国連邦での…COP28を通じてこのモメンタムを維持し…具体的な進展を得るために協働する」と謳っています(第10パラ)。

 

私たちもG7サミットに引き続き、6月パリサミットからCOP28まで、今度こそ運動をまき起こし国際連帯税や金融取引税をアピールしていきたいと考えています。

 

※写真は、NHKテレビより

欧州議会、新財源として金融取引税などを決議!6月パリサミットでも議論!

写真は欧州議会より

 

欧州議会は5月10日、欧州委員会が今年後半の域内予算の新たな財源を提案する際に、コロナ復興基金の借入金を返済し、様々な新規ニーズに対応できるよう金融取引税(FTT)や暗号通貨課税、デジタル課税等を含めるべきとの決議を、賛成356、反対199、棄権65で承認しました(注1)。

 

一方、6月22-23日パリで「Summit for a New Global Financial Pact」が開催されますが、ここでもFTTが議論の中心の一つになりそうです(詳細は後日)。これらの動きに比して、日本政府は国内の諸政策において、また19日から開催されるG7広島サミットにおいて、FTT等の新財源にイニシアティブを発揮できずにいます。まずは、欧州議会の動きを見てみます。

 

●コロナ復興基金等での新財源が望まれる背景

 

EUは2020年新型コロナ危機からの復興計画である「次世代EU」計画を決め、総額9000億ユーロの共同借入を決定しました。この返済のための財源として、「排出量取引制度(ETS)」、「炭素国境調整メカニズム(CBAM)」、「OECD/G20が合意した巨大多国籍企業に対するグローバル税」によって収入を得ることにしています。

 

しかし、これらの財源だけでは返済資金が圧倒的に足りないことが明らかになりました。償還を行うには、返済がはじまる2028年から30年間にわたり毎年約150から200億ユーロという多額の資金を必要とします。当初見込では上記3税制により年間最大170億ユーロの収入になるはずでしたが(注2)、実際は約65億ユーロ程度の収入にしかならないからです。

 

また、共同債の利回りが大幅に上がり、借入コストがかさんでくることも明らかになりました。その原因は投資家にとってこの共同債に対するEU側の本気度が見られないこと、つまりしっかりした返済のための自主財源の姿が見えないからです(注3)。

 

●金融取引税から公正国境税まで多様な新財源メニュー

 

危機感を持った欧州議会は、欧州委員会に対して「できるだけ早く、遅くとも2023年の第3四半期までに」新しい財源を提示することを求めました。

 

その新しい財源については、FTTから公正な国境税(世界銀行が定義する貧困から脱出するのに十分な賃金を労働者に支払っていない企業が支払う)まで具体的に挙げています。

 

また域内加盟国に対しても男女の賃金格差、食品廃棄物、生物廃棄物で最も悪い結果を出している国に対するより多くの拠出要請など、実に多様多種類の新しいリソースを挙げています(注4)。

 

●FTTの潜在的収入高を期待、10か国から全加盟国に拡大を

 

決議の報告書を見ますと、FTTについては「自主財源としてのFTTは潜在的な収入が高く、次世代EU(復興計画)の債務返済を促進し、EUの優先事項に資金を供給するための手段を増やすことができると考える」と期待されています。一方、(これまでの10か国による)協力方式で交渉している加盟国に対し「2023年6月末までにFTTに関する合意に達するよう最大限の努力をするよう求める」とも述べ、然る後に全加盟国でFTT導入を検討すべきとしています。

 

従って、FTTにつき2011年に欧州委員会が指令を出してから12年たちますが、早ければ来月中には一定の合意がなされる可能性も出てきました。

 

●6月22-23日(パリ)で「SUMMIT FOR A NEW GLOBAL FINANCIAL PACT」

 

この決議案を提案したのは、議会第一会派の欧州人民党グループ (EPP)と第三会派の欧州刷新 (Renew)が行ったものですが、先の10か国によるFTT交渉でブレーキになっているのがフランス、特にルメール経済・財務相と言われています。しかし、決議を提案したRenewの主要政党はマクロン政権与党のルネッサンス(再生)であり、与党に属しているルメール大臣の宗旨替えが必要になっています。

 

加えて、来月22・23日にはパリでフランスとインド共催で地球規模課題への対策資金を話しあう「Summit for a New Global Financial Pact」が開かれますが、そこでも金融取引税が気候変動対策資金として検討されると思います。(FTTを気候変動資金対策の手段として取り上げる動きは今年G20が開かれるインドでも盛り上がっています。注5)

 

●欧州議会・欧州委員会でのFTT議論に注視し、日本政府も政策化を!

 

実は、このサミットには日本も運営委員会(Steering Committee)のメンバーとして入っており、新協定に向けての議論に加わっています。日本においては気候変動及び人道支援のような地球規模課題へ向けた対策資金と同時に、国内諸政策で赤字国債を膨大に積み上げ財政の持続可能性を失っている現状を打破するために、欧州でのFTTを含む自主財源議論やパリ新協定議論を注視し、政策化していく必要があります。

 

(注1)

EU lawmakers propose transactions tax among new sources of cash to repay joint debt

(注2)

【日経新聞】欧州委、新型コロナ復興基金の「財源」に炭素税など3案

(注3)

【ロイター】コラム:EU、共同債利回り上昇で問われる統合への本気度

(注4)

REPORT on own resources: a new start for EU finances, a new start for Europe 

(注5)

Levy a tobin tax for the climate loss and damage fund

Consider transaction tax for climate financing: Experts to G20

 

※写真は、決議案を提案する欧州議会議員

 

 

世界の金融セクターの新次元のルールを>金融取引税をテコに=寺島実郎氏

報告が遅れましたが、去る4月23日TOKYO MXテレビで放映された「寺島実郎の世界を知る力 対談編~時代との対話~#25」で寺島氏が金融取引税を力説していましたので紹介します。番組は、ゲストに白井さゆり・慶應義塾大学教授、真壁昭夫・多摩大学招聘教授を迎え、米国銀行やクレディ・スイス銀行など相次ぐ経営破綻により急速に広がりを見せている金融不安の構造と本質的な課題についての議論が中心となります。

 

●金融不安の背景に、超低金利と超金余り

 

その構造ですが、真壁氏は「いつか来た道にまた戻りつつあるということだ」と明言。今回の場合は、超低金利が長く続く中お金がジャブジャブの状態で余っており、(預金では儲からないため)お金が株式や不動産、コモディディ(商品)に向かい、暗号資産など怪しい金融商品でも金利の高いものに向かいバブル状態になっていること、そしてこれが破綻しつつあり、銀行にとって不良債権となる。これは古典的な状況ですね、と【感想:リーマンショック前と同じということでしょう。以下、個々の銀行の経営破綻の要因は略】。

 

一方、日本では「内需があまりにも弱いので政府の支出が必要となっているが、その支出を増税で賄えないために国債発行となり、今は90%が国内で消化できているがそれが今後どうなるか(実際、10年物国債が消化できずらくなりつつある)」、と白井氏。加えて、寺島氏が黒田日銀が果たしてきた負の役割(異次元金融緩和によるお金ジャブジャブ状態、赤字国債の引き受けによる発行している国債の半分以上の所有、あげくには中央銀行にあるまじき株式の直接購入など)を報告。

 

これらを受けて、寺島氏は日本が典型のような「どんどんはまっていくぬかるみ状況」からどう脱却するのかを考えるが、それは「資本主義社会をどう見るのかにさえ行き着く問題ではないか」、と指摘。

 

●SDGs的世界観が必要で、新しいグローバルなルールづくりの段階に

 

その脱却の方法として、寺島氏はSDGs的世界観が必要であること【感想:そう断定的な言い方ではなかったが】、そして金融の分野においては「世界の新しい次元のルールづくり」を挙げます。「米国の金融規制という次元を超えて、もう一次元ギアアップして、ルールをつくり、その下で世界の先進国のみならずすべての国々がそのために金融取引や為替取引、つまりマネーゲームで儲けた利益に広く薄く税金をかけ、その財源をもって国際社会の安定のために図っていくなど新しい次元のルール形成が必要になってくるのではないか」、と。

 

番組の最後の方で、再び寺島氏は「今日コモンズということが大きな流れとなってきており、グローバルサウスもまきこんだコモンズの仕組みづくり、ルールづくりが必要で、例えば(金融取引に)広く薄く課税しマネーゲームで利益を上げた人は責任を共有してもらう。…世界はこれからこのような金融セクターの新しい仕組みづくりの議論に向かわざるを得なくなってきているのではないか」と話を結びました。

 

【エコノミスト鼎談】寺島実郎の世界を知る力対談篇~時代との対話~#25

経済専門家と鼎談!世界・日本の未来と課題

 

◎以下の、ユーチューブでご覧出来ます

https://www.youtube.com/watch?v=V8t-hbqq094

北海道新聞「巨額資金要する温暖化対策 新基金に国際連帯税を」

3月24日付北海道新聞の「各自核論」という論説に、上村雄彦・横浜市大教授が気候危機の「損失と被害」と国際連帯税について執筆された記事が掲載されましたので、紹介します。タイトルは「巨額資金要する温暖化対策 新基金に国際連帯税を」です。

 

 新基金①新基金②

※クリックすると画面が大きくなります

【ご案内】C7「公正な経済への移行」WG 国内立上げイベント

県の写真

 

C7「公正な経済への移行」ワーキンググループ立上げのご案内です。上記の広島県のサミット案内写真はクリックすると全景が現れます。

 

   ◆G7 広島サミット 首脳に向けての市民社会からの提言

C7「公正な経済への移行」ワーキンググループ 国内キックオフイベント

 

2023年5月、G7広島サミットが開催されます。国内外の市民社会は、これまでのG7、G20等と同様に、G7の公式なエンゲージメントグループ(各セクターからG7に政策提言を行うための公式グループ)として「C7(Civil 7)」を構成します。C7は、G7首脳会議や閣僚会議への政策提言を行なう他、2023年4月、G7に並行して市民社会による国際会議「C7サミット」を開催します。C7は政策分野によって6つのワーキンググループ(WG)に分かれています。「気候危機」「公正な経済への移行」「国際保健」「開かれた社会」「紛争と人道支援」そして「核のない世界へ」です。

 

従来から存在する貧困や格差に加え、コロナ禍やウクライナ戦争によって多くの人々の生活や命が脅かされています。そのほとんどが、これまで構築されてきた「経済システムとルール」に起因するものです。一握りの富裕層やグローバル企業に富が集中する一方、グローバル・サウスには富の分配はなされず、今や先進国(グローバル・ノース)においても格差が拡大しています。

 

経済という幅広い領域には多くのイシュー(課題)が含まれます。貿易、金融、税、ビジネスと人権、デジタル経済、債務、開発資金・・・それらを包括的に分析し、公正な移行・変革への提言を行なうのが「公正な経済への移行」ワーキング・グループです。G7の国だけでなく、途上国・新興国の市民社会、そして日本全国の市民団体・NGOの皆さんとともに、よりよい経済のあり方を議論し、G7の後の活動にも寄与するような取り組みを目指しています。本イベントは、日本国内の参加者に向けたキックオフです。ぜひ多くの方のご参加をお待ちしております。

 

【日 時】2023年2月3日(金)18:30~20:30

【方 式】オンライン(Zoomウェビナー形式)

【対 象】G7広島サミットや、G7の市民社会によるエンゲージメントグループ「C7」による政策提言活動に関心がある方を含む市民社会関係者の皆さん

【主 催】G7市民社会コアリション2023

 

【参加お申込み】

以下フォームよりお申込ください。お申込み後、Zoomウェビナーリンクをお送りします。

https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_8K91ZZsWTTuolP0qGCxn3w 

 

【プログラム内容】

 

1、イントロダクション

 G7広島サミット、C7および「開かれた社会」WGの概要説明

 

2、公正な経済への移行ーー各分野からの問題提起

1)自由貿易が世界の人々の食、医療に与える影響

 内田聖子(アジア太平洋資料センター〈PARC〉共同代表/C7「公正な経済への移行」WG国内コーディネーター)

 

2)ビジネスと人権

 若林秀樹(JANIC理事/THINK Lobby所長、ビジネスと人権市民社会プラットフォーム代表幹事)

 

3)デジタル化でかわる働き方・暮らし方ーウーバリゼーションから考える

 浦田誠(ITF 国際運輸労連 政策部長)

 

4)多国籍企業への課税をめぐる問題の展開

 青葉博雄(PSI(国際公務労連)東アジア事務所 所長)

 

5)新しい開発資金をどう確保するか 国際連帯税としての金融取引税

 田中徹二(グローバル連帯税フォーラム 代表理事)

 

3、ディスカッション、質疑応答 約50分

 

4、C7への参加の呼びかけ〉

 WG国内コーディネーターもしくはC7事務局より今後の活動への呼びかけをいたします。

 

※写真の左はCivil7のロゴ、右は広島県のHPより