マクロン大統領、金融取引税に向け再起動>公的援助資金として

フランスのマクロン大統領は、9月26日パリのソルボンヌ大学で「主権を有する、結束した、民主的なヨーロッパのためのイニシアティブ」と題する「欧州改革プロジェクト」を発表しました。

 

そのプロジェクトのひとつとして、欧州金融取引税(FTT)を再起動させたいと言明。しかも、これまで(欧州全体での導入が無理だったため「強化された協力」という手続きで)有志国10カ国の先行導入を目指して協議してきましたが、今回のマクロン提案はBrexitした英国を含む28カ国での導入を目指す、というものです。

 

その目的については、アフリカ開発支援など“European public aid”(欧州公的援助)のためとしています。ご承知のように、2011年の欧州委員会指令案ならびにその後の10カ国導入案での目的は、財政を増やすためでした(前者は欧州全体の財政、後者は各国財政)。

 

詳細は、EURACTIVの記事をご覧ください。同案は、しかし前途が厳しいこと(総選挙後のドイツ・メルケル政権の右傾化の可能性などから)なども書かれています。

 

【EURACTIV】Macron relaunches financial transaction tax project, including the UK

 

 

サンタマンOECD局長講演会「BEPSプロジェクト- 進捗と課題」

OECDやG20はアップルなど多国籍企業の税逃れを防止すべくBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトを開始しています。進捗状況と今後の課題について、その中心的役割を果たしているサンタマンOECD租税センター局長からじっくりお話を聞きたいと思います。

 

 

        「BEPSプロジェクト - 進捗と課題」

       講師:パスカル・サンタマン氏(OECD租税センター局長)

 

 日頃のご活躍に心より敬意を表します。パナマ文書が公開されて約1年半が経過しましたが、大企業や富裕者によるタックスヘイブン(租税回避地)を利用した税逃れの仕組みはいまも変りません。

 

 一部の大企業や富裕層が税逃れを図れば、もっぱら課税が一般市民に押し付けられることになり、公正であるべき税制を歪めてしまいます。また社会保障や教育など公共支出に必要な財源を奪い、財政の基盤を危うくしています。

 

 OECD(経済協力開発機構)やG20諸国は、アップルやスターバックスなど多国籍企業による税逃れに歯止めをかけるために、BEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトを開始し、一昨年秋に最終報告書を発表しました。現在、各国はその内容に沿って、国内法の改正や租税条約の改定に取り組んでいるところです。

 

 BEPS報告書の内容はあまり知られていませんが、私たちの生活に密接なかかわりのある問題であり、政府や企業任せにするのではなく、私たち市民がその内容や意義を理解し、監視していく必要があります。

 

 この度、講師としてお招きしたパスカル・サンタマンさんは、OECDの租税センター局長で、BEPSプロジェクトを推進してきた中心人物です。サンタマンさんはこのプロジェクトを成功させるためには市民運動の支えが不可欠と考えています。この機会にBEPSプロジェクトについて学び、ともに考えましょう。ご多忙とは存じますがぜひご参加くださるよう願います。

 

                                                  記
◎日 時: 2017年10月4日(水) 午前10時~11時30分
◎場 所: 参議院議員会館  B104会議室
◎主 催: タックス・ジャスティス・ネットワーク・ジャパン(TJN―Japan)
◎後 援: グローバル連帯税フォーラム、公正な税制を求める市民連絡会、民間税制調査会

◎申込み: info@isl-forum.jp から、お名前、所属(あれば)、ならびに「サンタマン氏講演会参加希望」とお書きの上、お申込みください。

  ※参加希望者は午前9時50分までに参議院会館ロビーにお集まり下さい。
  ※会場で通訳代として500円を徴収させていただきます(逐次通訳が入ります)。

【連絡先】 携帯電話 090-3598-3251 (田中)

 

◆講師紹介:
Pascal Saint-Amans(パスカル・サンタマン)
1996年からフランス財務省で税務畑を歩む。2007年からOECDで租税回避対策などに携わる。12年から現職、48歳。

 

◆チラシもご利用ください ⇒ PDF

15日観光庁検討委員会>出国税と航空券連帯税の「受益と負担」

観光庁(国土交通省)は15日、国内の地方の観光施設整備などに使う財源を確保するための有識者検討委員会を開催しました。検討委員会には、次の3案が提示されたようです。「▽出入国者(出国税など)▽航空機利用者(航空旅客税など)▽宿泊施設の利用者(宿泊税など)」(毎日新聞)。が、観光庁側の本心は出国税であることは間違いありません。

 

●国土交通省の二枚舌

 

これまで国交省は、外務省から新設要望として9年間出し続けている航空券連帯税(以下、連帯税)につき「観光客の減少が予想される」などとして反対してきました。出国する国際線航空から徴税するという仕組みにおいては、連帯税も出国税も変わりません(当然使い道が違ってきます)。連帯税で客が減少するなら、出国税でも減少するはずですが、そのことは不問にしています。これこそ二枚舌ではないでしょうか。

 

●出国税は受益と負担の乖離が大きすぎる

 

以前にも書きましたように、一応観光庁側は「受益と負担」との関係を気にしているようですが、受益する外国人観光客だけに課税すれば「内外無差別原則」(WTOサービス貿易など)に反しますし、出国する日本人にも課税するとすれば受益はなく負担だけとなってしまいます。また、訪日外国人もすべて観光客ではなくビジネス客もいますが、こちらも受益なしです。

 

また東京新聞では次のような指摘がなされています。

 

検討会で座長の山内弘隆・一橋大大学院教授は「財源的な裏付けが観光の持続的な発展につながる」と述べた。ただ、使途は明確に示されておらず、中部地方の観光地の自治体関係者は「もともと外国人観光客を受け入れるノウハウや人材が足りない市町村は、予算を有効に使えないのではないか」と話す。「観光立国」を名目に集めた税金が、地方の効果の薄い施策や公共事業に投じられる懸念も残っている。

 

ところで、座長の山内教授ですが、20109月に開催された政府税制調査会の国際課税小委員会において有識者として出席し、「航空券連帯税により、航空利用者の負担とすることについては、受益と負担の関係が不明確」として批判的見解を述べていました。出国税は「受益と負担の関係が明確だ」とぜひ証明していただきたいですね。

【山内教授】航空券連帯税について

 

●航空券連帯税に関する受益と負担の関係について

 

航空券連帯税に関する受益と負担の関係は、ちょうどODAのそれと同じです。ODA資金は国民からの税金から拠出されますので、負担者は日本の国民です。一方、ODA資金を受け取りそれを貧困対策や基礎教育関係などに使うのは途上国です。つまり、受益者は途上国の国民ということになります。

 

え? ではODAも受益と負担との関係が乖離しているではないか、と思われるかもしれません。しかし、「情けは人のためならず」ということわざにもあるように、それなりに裕福な国民が困窮する国民を助けることは、まわりまわってやがて逆の関係になることもあるのです。実際、先の東日本大震災で、ハイチはじめ世界の最も貧しい国々からも支援の申し込みが寄せられました。それはともかく、困っている隣人を助けることは、それが国同士の関係においても必要なことであり、(貧困国で多発している)民族対立や地域紛争を未然に防ぐことができるのです。そういう意味で、ODAは直接的には受益と負担との関係は薄いものの、間接的にその関係は濃いものとなっていきます。

 

話を航空券連帯税に戻しまして、負担するのは飛行機の国際線を利用する客で(以下、利用者と略)、受益するのは途上国の国民です。利用者には直接受益はないものの、途上国の貧困や感染症対策などグローバルな課題の解決に資することになり、上記のODAのように間接的ながら利用者にも受益が及びます。

 

さらに航空券連帯税はそれにとどまりません。利用客は地球規模の航空網の発達というグローバル化の恩恵を受けていますが、反面、航空網の発達は感染症(デング熱やジカ熱など)のパンデミック的な拡大、温室効果ガスの大量排出という負の影響をもたらしています。これを改善するにはコストがかかりますが、今日利用者はそのコストを支払っていません。この負のコストを支払ってもらうことは実に理にかなっていると思います。

 

ところで、グローバル化の恩恵を受けているのは、国境を超えて経済活動を行っている航空、船舶、電子、金融、貿易などです。ですから、国際(グローバル)連帯税は航空券のみならず、輸送税、電子商取引税、金融取引税、多国籍企業税などを射程に入れて導入を図っていきたいと考えています。

18年度税制改正要望での「出国税」と「航空券連帯税」

(1)国交省、18年度税制改正(新設)でいわゆる「出国税」を要望

 

先に外務省が18年(平成30年)度税制改正(新設)で引き続き「国際連帯(貢献)税」を要望したことをお知らせしましたが、国土交通省は『次世代の観光立国実現のための財源の検討』というきわめて漠然とした税制を要望しています(下記参照)。この財源ですが、マスコミでも報道されていますように、いわゆる「出国税」であることは間違いありません。

 

「出国税」とすれば、日本から飛行機や船舶で出国する人たちの運賃(航空券や船舶券)に税を課すことになります。飛行機ですと国際線を利用する人が税を払うことになりますが、この仕組みは航空券連帯税と同じです。

 

(2)国交省は航空券連帯税に反対していながら、出国税を要望するのはおかしくないか?

 

国交省は航空業界とともに、この間ずっと航空券連帯税に反対してきました。その理由は、「観光立国として頑張ろうとしているのに、航空券に税がかかると観光客が減少してしまう」というものでした。ところが、出国税もやはり航空券に税がかかることになりますので、本来なら反対となるはずですが。航空券連帯税だと観光客は減るが、出国税だと観光客は減らないとでもいうのでしょうか。まったくのご都合主義といえるでしょう。

 

(3)出国税は誰に課税するのか? 受益と負担の関係は?

 

この国交省の要望は、漠としていて具体的な税目も課税方法も税収もいっさい書かれていませんが、メディア報道等によれば、航空機や船で出国する旅行者をターゲットにした出国税を想定しています。

 

そこでまず課税対象の問題が起きますが、要望では「観光立国の受益者の負担による」と書かれています。しかし、「観光立国の受益者」とは誰なのか? よく分からない定義ですが、報道などを読むとどうやら訪日する外国人観光客のようです。したがって、課税対象は外国人観光客となります。

 

するといろいろな問題が起きます。ひとつは、出国日本人の扱いです。受益者定義からすれば、出国日本人は課税対象にはならないはずですが、そうなれば、①徴税システムが煩雑になる、②WTOサービス貿易に違反する、という問題が起きそうです。①ですと、例えば同じJALの飛行機に乗っても、税を払う人(外国人)と払わない人(日本人)が出てきますので、JAL側は分けて税務当局に報告し、徴税をして納入しなければなりません。また、②のWTO違反とは「運送サービスの越境取引での差別」の問題(注)につながってくると思います。したがって、外国(の政府や航空会社・旅行会社・旅行客)から相当反発されるのではないでしょうか。

 

(注)「サービスの貿易」とは何か 

 

実際、出国税のある香港やオーストラリアでは「課税対象:香港(オーストラリア)から出発する旅客」となっており、外国人と内国人を区別していません。

 

さらに、要望内容では「受益と負担の適正なあり方…を勘案しつつ」と言っていますが、次のようなフリーライダーが現われてきます。つまり、負担しないが受益する人たちです。国内の日本人旅行者や日本人相手の国内旅行業者、それと観光地の地元の土産物屋やホテル業など、です。

 

(4)観光資源だけでなく、地球規模課題を包含した「出国税」を

 

国交省が出国税を要望するということは、これまで「航空券税のような税制は観光立国を目指すという政策に逆行する、観光客が減少する」と言ってきたことを翻した、というように解釈してもよいでしょう。しかし。観光資源の財政のための出国税というだけでは、上記のような受益と負担問題もあり、きわめて課税根拠が弱いと言えます。

 

本来、出国税であろうが航空券連帯税であろうが、日本政府の課税権が及ばない(したがって、一般消費税が課せられない)国際線航空へ課税することになり、その行為は日本政府が超国家の肩代わりとして行うことになるという性格を持ちます。それ故に、税収も日本国内の政策の財源にするのではなく、超国家的(グローバルな)課題の財源にすべき、というのが「航空運賃への国際人道税」を提唱した金子宏・東京大学名誉教授でした(注)。

 

(注)「人道支援の税制創設を 国際運輸に定率で」(日本経済新聞)

 

実際、グローバルな課題は、貧困・飢餓、感染症、テロや難民、気候変動等枚挙にいとまがなく、したがってその財源もいくらあってもありすぎることはありません(というか、圧倒的に不足している)。

 

以上から、出国税もグローバルな課題の財源とすることも内包しつつ(とくに航空網など国際交通の発達は感染症のパンデミック的拡大の危険性がありそれへの対処が求められている)、観光資源のための財源としても考慮する、ということも考えられるのではないでしょうか。これを一言でいえば、「国際貢献と日本文化・観光に関する出国税」の創出となりましょうか。

 

「国際航空運賃に対する課税は国家の領土主権の外で行われる消費行為に対する課税であるから、その税収はこれを徴収した国家の歳入とされるべきではなく、国際社会のために使うべきである」(金子宏 同上)。

 

 

 

平成30年度税制改正要望(国土交通省)

 

◎制度名:次世代の観光立国実現のための財源の検討 (新設)

 

◎要望の内容:
増加する観光需要に対して高次元で観光施策を実行するために必要となる国の財源の確保策について、受益と負担の適正なあり方や訪日旅行需要への影響を勘案しつつ、諸外国の取組も参考に検討を行う。
 

以下、省略

 

18年度税制改正要望>外務省、9年連続「国際連帯税」を新設要望

2018年度(平成30年度)税制改正要望が8月31日締め切られましたが、外務省は9年連続して「国際連帯税(国際貢献税)」を新設要望しました(下記、外務省要望事項参照)。今回の特徴としては、持続可能な開発目標(SDGs)の推進という文脈の中から革新的資金メカニズムの必要が語られ、国際連帯税(国際貢献税)を要望するというもので、これまでの要望内容に太い線が入ったということで評価することができます。

 

しかし、問題は国際連帯税の中のどの税制を要求するか、です。が、外務省は事例として航空券連帯税と金融取引税を挙げているだけで、この税を新設したいという具体性に欠けており、その分迫力不足であることは否めません。

 

ともあれ、私たちは具体的に航空券連帯税の実現を第一義に(次のステップは金融取引税)、次の舞台は与党税制調査会での議論の場となりますので、ここをターゲットにロビングを強化していきます。同時に、国際連帯税創設を求める議員連盟とともに、官邸に向けての申し入れ等を行っていきたいと考えています。どうぞご支援、ご協力をお願いいたします。

 

 

◆外務省 平成 30年度税制改正 要望事項

 

[制度名]:国際協力を使途とする資金を調達するための税制度の新設
[税 目]:国際連帯税(国際貢献税)
[要望内容]:…前・中略… 以上を踏まえて,以下のとおり要望する。①と②は省略。
③ 課税方法として,我が国としてどのような方式を導入することが適当かについては,【持続可能な開発目標(SDGs)の推進等に係る我が国の取組や開発アジェンダを巡る国際潮流及び国際連帯税(国際貢献税に係る】国際的な取組の進展状況を踏まえつつ検討する。
 ※【 】内は、昨年度の要望書に加えられた文章

 

外務省「平成 30年度税制改正 要望事項」の全文

 

 

◎写真は、主に航空券連帯税からの収入で感染症の治療薬を提供しているユニットエイド(国際医薬品購入ファシリティ)による、サヘル地域での子供たちのマラリア対策への支援の動画の一部です。
……
サヘル地域では2500万人の子供たちが暮らしています。ここは季節ともなればマラリアの恐怖が押し寄せます。 世界保健機関(WHO)は効果的マラリア対策として「季節性マラリアの科学的予防(SMC)」を推奨しています。2016年には約1200万人の子供たちがSMCで守られました。そのうち640万人はユニットエイド出資のACCESS-SMCプロジェクトによるもの。プロジェクトの実施は マラリア・コンソーシアムが カトリック・リリーフ・サービスと共に担当しています。

 

https://www.facebook.com/UNITAIDJapan/?fref=ts

https://youtu.be/IWnOeK2-DKA

7.7「協同組合はだれも取り残されない社会を実現します」集会

sdgs_ロゴ

 

毎年行われている国際協同組合デーですが、今年は来る7月7日に記念中央集会が開催されます。今回のテーマは《賀川豊彦と持続可能な開発目標(SDGs)》です。

 

●協同組合とNGOとの連携・連帯を求めて

 

協同組合と言えば、日本では生活協同組合や農業協同組合などで、その組合員数は8,000万人にも上ります(世界的には94カ国10億人の組合員)。いわば日本でも世界でも最大規模の非政府・市民団体と言ってよいでしょう。その協同組合団体(日本協同組合連絡協議会)がSDGsをテーマに取組むことは実に意義深いものがあります。

 

ご承知のように、SDGs(2030アジェンダ)は「誰一人取り残さない: Leave No One Behind 」を基本理念とし、貧困や不平等の解消、持続可能な経済・社会の実現、地球環境の保全、平和と公正な社会の確立等という17の目標(ゴール)を決めました。一方、2030アジェンダでは「広範なステークホルダーの連携」ということで民間企業も主なアクターとして位置付けられていますが、とくにその資金提供のリソースとして国連側は期待しています。

 

こういう中で、権限(権力)を有する国や資金(金力)を有する大企業に対抗していくには、市民社会側の大きな連携・連帯が必要ですが、今回の集会はその第一歩になることは間違いありません。

 

●基調講演に杉浦秀典さんと稲場雅紀さん

 

集会の内容は下記をご覧いただきますが、基調講演者は賀川豊彦記念松沢資料館の杉浦秀典さん、SDGs市民社会ネットワークの稲場雅紀さん。杉浦さんは、グローバル連帯税フォーラムの前身である国際連帯税を推進する市民の会(アシスト)の事務局を務めていただきました。

 

このたび、SDGs市民社会ネットワークから参加呼びかけがなされていますので、お時間の取れる方はぜひご参加ください(下記申し込みを参照のこと)。

 

 

         第95回 国際協同組合デー記念中央集会のご案内

 

        協同組合はだれも取り残されない社会を実現します
        ~賀川豊彦から持続可能な開発目標(SDGs)へ~

 

★7月1日(土)の第95 回国際協同組合デー(注1)を記念して、日本協同組合連絡協議会(JJC)(注2)と国際協同組合年記念全国協議会(IYC記念全国協議会)(注3)の共催で、下記の通り中央集会を東京で開催いたします。

 

★本集会では、「協同組合はだれも取り残されない社会を実現します~賀川豊彦から持続可能な開発目標(SDGs)へ~」をテーマに、賀川豊彦の思想とSDGsの基本理念の共通性に焦点を当て、協同組合の原点としての賀川豊彦から、協同組合の現在、未来を考えます。

 

★ご関心がございましたら、ぜひご参加いただけますと幸いです。また、ぜひ情報を共有していただければ幸いに存じます。皆様のご参加をお待ちしております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

(注1) 国際協同組合デー:
全世界の協同組合員が心を一つにして協同組合運動の発展を祝い、平和とより良い生活を築くために運動の前進を誓いあう日で、毎年7月第1土曜日と定められています。
(注2) 日本協同組合連絡協議会(JJC):
ICA(国際協同組合同盟) (http://ica.coop/) に加盟する国内協同組合組織の全国機関16団体で組織する連絡協議体です。
(注3) 国際協同組合年記念協同組合全国協議会(IYC記念全国協議会)(http://www.iyc2012japan.coop/) :
2012年の国際協同組合年に向けて2010年から活動してきた「IYC全国実行委員会」が掲げた目的を継承した25団体で組織する協議会です。

 

【開催概要】
★日時:2017年7月7日(金)13:00~16:00  (受付開始 12:30)

 

★場所:有楽町朝日ホール
 (東京都千代田区有楽町2-5-1 有楽町マリオン11F)
  ・JR 有楽町駅、東京メトロ銀座駅・有楽町駅からいずれも徒歩1 分

 

★主催:日本協同組合連絡協議会(JJC)
国際協同組合年記念協同組合全国協議会(IYC 記念全国協議会)

★参加費:無料(事前のお申込みをお願いいたします)

 

<プログラム>
◆開会挨拶(13:00~13:05)
 JJC委員長/IYC記念全国協議会代表
◆基調講演(13:05~13:45)
 a. 基調講演Ⅰ(13:05~13:25)
  杉浦 秀典 氏(賀川豊彦記念松沢資料館 副館長)
   「賀川豊彦の遺産 -愛・協同・未来- 持続可能な社会への先駆者から学ぶ」
 b. 基調講演Ⅱ(13:25~13:45)
  稲場 雅紀 氏(一般社団法人SDGs 市民社会ネットワーク 代表理事)
   「持続可能な開発目標(SDGs)と協同組合への期待」

 

(休憩 13:45~14:00)

 

◆各協同組合から取り組み報告 及び 意見交換(14:00~15:55)
テーマ:「賀川豊彦からSDGs へ」
 各団体から、それぞれのSDGs 関連の取り組みを紹介し、協同組合の今後の取り組みを展望します。

 

・コーディネーター:杉浦 秀典 氏(賀川豊彦記念松沢資料館 副館長)
・コメンテーター:稲場 雅紀 氏(一般社団法人SDGs 市民社会ネットワーク 代表理事)

 

・報告者:
 * 菅野 孝志 氏(JAふくしま未来 代表理事組合長)
 * 〓橋 怜一 氏(株式会社地球クラブ 事業部長)
 * 木下 史郎 氏(日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会センター事業団東京中央事業本部 地域福祉事業所「WORKERS NET RINGS」所長)
 * 関山 順 氏(全国労働金庫協会 経営企画部長)

 

◆閉会挨拶(15:55~16:00)
 JJC副委員長/IYC記念全国協議会副代表

 

【お申込方法】
Eメールにお名前(ふりがな)とご所属をご記入の上、メールアドレス
「y-tomooka@roukyou.gr.jp」までお送りください。参加票などはお送りいたしませんので、ご了承ください。
締切:2017年6月30日(金)
※定員に達し次第締切とさせていただきます。お早めにお申し込み下さい。

 

【お問い合わせ先】
日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会
国際部 友岡有希
email: y-tomooka@roukyou.gr.jp

 

◎写真は、労働者救済のため設立された神戸購買組合(1921年:大正10年)⇒生活協同組合コープこうべのWEBサイトより

はじまる来年度税制改正の動き>グローバル連帯税の実現へ

通常国会が、(政府与党の「テロ等準備罪」採決ならびに「加計学園問題解明」が)「あまりに強引で説明不足ではないか」(6月16日付日経新聞社説)という状況にありながら閉幕となりました。

 

●通常国会の閉幕と(世界規模での)市民活動空間への抑圧

 

「テロ等準備罪=共謀罪」ですが、確実に市民・NGO活動を委縮させることになりそうです。映画監督の周防正行氏は(気づいたら密告社会になっていたという事態を避けるためにも)「萎縮せず発言を」と訴えています(同上日経新聞社会面)。

 

このような市民・NGO活動への抑圧・締め付けは、日本も含め(新興国等では暴力も伴って)世界規模で起きており、世界の市民社会は来る来月のG20ハンブルグ・サミットで“主要な議題”に市民社会の活動空間の保護を加えるよう議長国のメルケル首相に要請しています。

 

*G20ハンブルク・サミット議題における市民社会の取り扱いに関する要請書

 

●次年度税制改正に向けて:活動を本格化していこう

 

ともあれ、これからの国レベルでの主な作業は、次年度(2018年度)に向けた予算案づくり、税制改正案づくりとなってきます。どちらも8月末に概算要求(予算)、改正要望(税制)を各省庁から財務省に提出することになります。

 

グローバル(国際)連帯税についても、例年通り外務省が「国際連帯・貢献税」の新設要望を出す(私たちから言えば、外務省に出してもらう)ことからはじまります。今年は以下の3つの状況の変化がありますので、例年より活動がしやすいと言えます。

 

(1)岸田外務大臣が国際連帯税にとても前向きなこと

 

すでにお知らせしましたが、去る5月の参議院決算委員会で、(国際連帯税議連事務局長の)石橋通宏議員の質問に対して、岸田外務大臣は次のように答えました。

 

外務省としましても、また私自身としましても、…是非、国際連帯税に向けて前向きにしっかりと取組を続けていきたい。

 

(2)外務省の国際連帯税に関する調査委託報告書の公表

 

外務省は、昨年11月国際連帯税の制度設計に関する調査のため、寺島実郎氏を座長とし有識者による研究会を立ち上げ(正式名は、「国際連帯税を導入する場合のあり得べき制度設計及び効果・影響の試算等」調査委託)、その報告書が本年3月に公表されました。

 

*外務省の調査委託報告書

 

その報告書では、「我が国が今後さらに(SDGs実施等)積極的な国際貢献を行い、 国際的な影響力を拡大させるためにも、国際連帯税導入に向けた検討を進めていくことが必要」との立場から、航空券連帯税、金融取引税、炭素税、旅券手数料への課税を打ち出しました。

 

なお、研究会では(WEB)アンケート調査も実施しましたが、航空券連帯税につき「約 3/4 が定額税・定率税を支払ってもよいと回答(ただし国際連帯税に対する賛成は5割強)」という結果を得たことも報告されています。この「賛成」の数字はとても高く、予想をはるかに超えてのものでした。

 

また、この調査委託につき、岸田外務大臣は先の委員会で「調査に制度設計をお願いしたのだから、その答えを踏まえながら具体的取り組みを進めていきたい」と答えています。

 

(3)国連HLPFでのフランスの報告>国際連帯税の実施を報告

 

ご案内のように、2015年9月国連で「持続可能な開発目標(SDGs)/2030アジェンダ」が採択されて以降、舞台は持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラム(HLPF :High Level Political Forum)に移りました。

 

HLPFでは4年に1回首脳級の総会を開催し、SDGs実施のレビューを行いますが(第1回が2019年)、これとは別に毎年閣僚級による自国の取組に関する自発的レビューや取組につき発信することになり、昨年からはじまっています。

 

昨年22ヵ国が自発的なレビューを行いましたが、フランスの報告が注目されます。それは先進国・ドナー国としての重要な責務である開発資金の調達に関し明確に述べたことです。

 

フランスはODAのGNI比0.7%拠出の2030年までの実施(EUの共通援助目標として)を報告するとともに、革新的資金調達としての国際連帯税(航空券や金融取引への課税)を実施し、パンデミック(感染症の世界的な流行)や気候変動への対策資金として提供している、ということを報告しました。

 

*HLPFでのフランスの報告

 

今年7月には2回目のHLPFが開催され、今回は日本政府も報告します。日本政府はぜひともフランスに続いて、先進国・ドナー国の責務としてODAの0.7%拠出ならびに国際連帯税につき報告していただきたいと思っています。

 

【フランス報告での国際連帯税の部分】
FRANCE TAKES AN INNOVATIVE APPROACH TO SUSTAINABLE DEVELOPMENT TOOLS AND FINANCING

 

In 2004, France took the initiative, with Brazil and Chile, to propose putting in place international solidarity taxes on activities that benefit the most from globalisation to provide innovative development financing in addition to budget resources. It introduced these taxes on airline tickets and financial transactions, providing funding to tackle the pandemics and take climate change action.

 

★写真は、UNITAID(国際医薬品購入ファシリティ)の新ロゴ。UNITAID(ユニットエイド)はその予算の70%弱を各国の航空券連帯税による税収で賄われており、途上国の主にエイズ・結核・マラリアという3大感染症の治療薬を購入する資金を提供しています。

【資料】6.11研究会「欧州FTT(金融取引税)の現状と課題」

611日に開催される研究会「欧州FTT(金融取引税)の現状と課題」の当日講演する資料が届きましたので、事前にお知らせます。《もくじ》は以下の通りです。

 

《もくじ》                            

・はじめに:グローバル連帯税と金融取引税

・問題設定:EU金融取引税の政治過程

1.G20サミットにおける争点化:200910

2.EUにおける議題設定:201011

3.「有志連合」諸国による決定:201213

4.実施法策定の難航:2013年~

・小括:EU金融取引税の意義と課題

・最近の動向

・今後の展望

 

★「欧州FTT(金融取引税)の現状と課題」を読む

 

さて、停滞を余儀なくされている欧州FTTですが、現在の英国総選挙でトピックとなり、またこれまでこの税制を政治的に引っ張てきたオーストリア財務相のシェリング氏は、英国のEU離脱後の新たなEU予算としてのFTTを提案しています。

 

ReuterFinancial transaction tax could go into European budget: Schelling

 

 

【研究会「欧州FTT(金融取引税)の現状と課題」】

 

◎日時:611日(日)午後230分~午後4

◎場所:文京区「アカデミー茗台7F・洋室」

    地図:http://www.city.bunkyo.lg.jp/gmap/detail.php?id=1995 

◎講師:津田久美子(北海道大学法学研究科博士課程 日本学術振興会特別研究DC1             

◎資料代:500円(会員、学生は無料)

◎申込み:「6.11研究会参加希望」とお書きのうえ、Eメールで申込みください。    Eメール:info@isl-forum.jp 

 

◇欧州の図はロイター通信に掲載されたもの

   

 

政府「骨太方針」にSDGs観点なし、幼児教育の無償化が目玉?

政府は6月2日、「経済財政運営の基本方針(骨太の方針)」(以下、「骨太」と略)の素案をまとめました。この「骨太」は2018年度国家予算の原型となるもので、たいへん重要な政府の政策であることは間違いありません。

 

・「経済財政運営と改革の基本方針 2017(仮称)」素案  
 

●SDGs理念「持続可能で強靱、誰一人取り残さない…」見当たらず

 

重要な政府の政策と言えば、これが持続可能な開発目標(以下、SDGsと略)観点からの捉え返しが行われているかどうか注目する必要があります。というのは、昨年12月SDGs推進本部(本部長:安倍内閣総理大臣)は『SDGs実施指針』を策定しましたが、「政府全体及び関係府省庁における各種計画や戦略、方針の策定や改訂に当たっては、SDGs達成に向けた観点を取り入れ、その要素を最大限反映する」と記述し、“SDGsの主流化”を謳っていたからです。

 

結論から言えば、この「骨太」にはほとんどSDGs観点が入っていません。かろうじて第2章「…中長期の発展に向けた重点課題」の最後の項目である「外交・安全保障」のところで「SDGs実施指針に基づく国内施策や国際協力を含めた総合的な取組…など、グローバルな課題の解決に向けた取組を推進する」と述べています。しかし、「総合的な取組」については何も語っていませんので、SDGsが完全な付け足しになっているといっても過言ではありません。

 

また本来的な「骨太」の課題としては、「一億総活躍ができず、持続可能かつ強靭とはいえない」分野を分析し、その対策を講ずることですが、その分野とは第一に「少子(高齢)化」であることは言を俟ちません。

 

●「骨太」の目玉は「保険方式」による幼児教育の無償化か?

 

その少子化ですが、「骨太」が出された当日、「昨年の出生数 初の100万人割れ」と厚労省の統計が発表されました(出生数のピークは1949年の269万6638人)。止めどなく少子化が続いていることに対し、「今後本格化する人口減少・少子高齢化は必ずしもピンチや重荷でなく、イノベーションのチャンスとして捉えるべきである」と「骨太」では強がりを言っていますが、ちょっと認識が甘いのではないでしょうか。

 

ともあれ、その少子化問題とも絡みますが、どうやら今回の「骨太」の目玉は“幼児教育の無償化”にあり、なかでも小泉進次郎議員ほかが提唱している「こども保険」にあるようです。「骨太」では、その財源につき①新たな社会保険方式、②財政の効率化、③税の3案を含めて検討するとなっていますが、どうも「こども保険」を目玉中の目玉にしようという流れとなっています。とくに、マスメディアの日本経済新聞が「骨太」に関し、「教育財源に『保険』明記」(6月3日付朝刊)として報道するなど、すでに既定路線であるかのような報道ぶりです。

 

●教育財源は保険方式ではなく税方式で、かつ「社会連帯税」(佐藤主光一橋大学教授)で

 

この「こども保険」ですが、そもそも保険は疾病や死亡などリスクに備えるものですから、教育にはとうていなじまないという本質論はともかく、多数の識者は税方式で行うべきという主張です。では、どんな税制で行うべきか?

 

現在の日本の社会保障は、年金、介護など高齢者向けの対策が優先されており、少子対策等が立ち遅れていることは明白です。そこで高齢者対策はできる限り高齢者同士で助け合い、それで浮く分を少子対策等に回すことが必要です。高齢者同士の助け合いとは、言うまでもなく困っている高齢者につき、裕福な高齢者が税制を通じて支え合う仕組みです。

 

その税制のあり方として、佐藤一橋大学教授は「健保の保険料のうち高齢者医療支援に充てている分は、金融所得などに課税ベースを広げた社会連帯税に転換すべきだ」と、下記の日経新聞で主張しています。ここでは主に社会保険のうちの健康保険料のことを言っていますが、課税ベースをいっそう広げ社会連帯税の税収を上げることができれば、高齢者の社会保障全般の財源として使うことができると思います。

 

ちなみに、2016年末での金融資産残高は、家計で過去最高の1800兆円(ちなみに企業の金融資産残高も過去最高で1101兆円)。これに0.1%という薄い税をかけても1.8兆円の税収となります。

 

また、現在の所得税が累進性にも拘わらず所得1億円をピークに逓減していくというまことにおかしな仕組みを直す(富裕層の主な所得源である株式譲渡や配当の20%分離課税制を総合課税化するなど)等々、高齢富裕層優遇措置を抜本的に改正していく余地は十分あります。

 

さらに金融資産への課税としては、金融取引税(FTT)も当然考えられます。東証一部上場株取引で717兆円、デリバティブ取引で2293兆円が昨年取引されました。また外国為替取引を見ると1京534兆円という天文学的数字となります(2016年の営業日を240日として計算)。これらの金融取引に0.01%~0.005%という超薄い税率をかけても相当の税収になることは間違いのないところです。ちなみに、一昨年12月公表したグローバル連帯税推進協議会(第二次寺島委員会)の最終報告書では、金融取引税につき8000億円~3.0兆円まで4段階のメニューが提示されています。

 

【日経新聞】社会保険料という名の税 上級論説委員 実哲也

英国総選挙:労働党が金融取引税を公約、その影響は?

LABOUR P

 

[解説]英総選挙で労働党は金融取引税(FTT)実施を掲げ、このこともあってか支持率につき保守党との差を縮めている(22日付ロイター通信)。労働党のFTT提案の意義等について津田久美子氏に分析していただいた(なお、この原稿は1週間前のものであることに注意願います)。 

 

 先週末(513-14日)、英労働党および同党の影の財務大臣ジョン・マクドネルは、来月8日に実施される総選挙で勝利すれば、「イギリス版金融取引税(以下、英版FTT)」を実施すると発表しました(BBCFT)。構想としては、イギリスがすでに金融市場で株式の売買に貸している印紙税(Stamp Duty)を、債券やデリバティブへの課税にも拡張する形で実施する、となっています。同党の試算によれば、年間47億ポンド(約6900億円)の税収が見込まれ、これを公共サービスに活用するとのこと。具体的なマニフェストはまだ発表されていませんから(注:20日までに主要政党はマニフェストを発表した)、それに先行して労働党政策の財源が示された形になっています。

 

 このニュースのポイントは3つあると思われます。

1.     FTTの周知と議論の活性化へ(労働党敗北が濃厚だとしても)

2.     税収使途と財源論

3.     EU FTTとの関係

 

 第一に、連帯税を目指す市民社会としては、歓迎すべき動きでしょう。EUでの検討が停滞していており、仏大統領選でも争点化しなかったFTTが話題となることは、議論の活性化に向けたきっかけとして有効活用することができます。実際、Robin Hood Taxキャンペーンはを表明しています。ただし、英総選挙の世論調査(たとえばBBC)から見ても、保守党の勝利は固く、労働党の議席が減ることが予想されていますので、英版FTTの実現は難しいでしょう。それでも労働党が英版FTT構想を発表したことは前向きに捉えることができます。

 

   具体的には、英版FTTが、既存の税政策であるStamp Dutyの拡張(課税対象を株式からデリバティブなどへも広がる)で実施するという形で打ち出したため、ある面ではFTTがすでに同国には存在している、という事実を市民に広めるきっかけになると期待されます。また、BBCインビューハフポ・ブログで、労働党議員がFTTヘ賛意を表明しており、実際に議論の活性化がにわかに始まっています。

 

   第二に、留意すべき点として、労働党の英版FTT構想は、いわゆる財源論という側面があると言えます。というのは、この税収使途はNHS(国民健康サービス)や教育といった公共サービスに使うとされており、グローバルな連帯という目的は設定されていません。選挙キャンペーンでの構想ですから、国内の再分配だけに関心が向くのは当然といえば当然です。また財源論と言える背景として、少し前に労働党のマニスト案が漏洩し報道された際に、打ち出された数多くの社会政策が果たして実現可能なのか、国民にさらなる負担を強いるのではないか、といったがあがりました。それに対し、具体的な財源はある(FTTに加え、全体的な税制改革や租税回避規制の強化など)と示したという経緯があるのです。おそらく、ここから税収のグローバルな再分配という議論に向かうことは、少なくとも選挙期間中は難しいように思われます。

 

   第三に、英版FTTEU FTTとは別物として打ち出される予定のようです。にもかかわらず、その課税対象はもともとのEU FTTで検討されていたもの(株式、債券、デリバティブ)を踏襲したものとなっています。むしろ昨今EU FTTをめぐる検討では、課税対象を狭めStamp Dutyに近づいているくらいですから、労働党の構想はFTT支持者にとっては喜ばしい設定です。よって、英版FTTは明らかにEU FTTを参照して構想されていると言えます。

 

 そこで労働党は、英版FTTEU FTTと切り離して語るよりは、EUとともに協調的に実施することができる、という点を強調し、国民投票でBrexitに反対していた一定数の国民にアピールすることも可能になります。EU FTTにずっと強く反対していた英政府(保守党)は、FTTはシティ・オブ・ロンドンの競争力を削いでしまうという経済的デメリットを強調してきました。しかしEU離脱がハード・ブレグジット(EU市場へのアクセスが閉ざされること)になるのであれば、同様にロンドンから金融サービス業が流出することが恐れられているのです。つまり、シティにダメージを与える(GDP的にも雇用的にも)、というFTTへのお決まりの批判は、Brexitのリスクによって奇妙にも薄められるということになります。

 

 もちろん、労働党の勝利は難しいでしょうから、この点を訴求してもあまり意味がないことも事実です。EUとの協調をアピールするのも諸刃の剣となってしまうでしょう。ですから既に述べたとおり、英版FTTは、あくまでも選挙の文脈で、国内のアジェンダとして終始することになるように思われます。(516日 記)