isl-forum-wp-author のすべての投稿

フォーラムへの夏季資金支援のお願い>3つの国際課税問題への取組み

例年ですと、梅雨の時期のはずですが、日本列島各地で35℃を超える猛暑日=危険日の日々が続いています。温暖化は容赦なく襲ってきていますが、みなさまにおかれましてはお元気でお過ごしのことでしょうか?

 

さて、グローバル連帯税フォーラムは6月26日第14回定期総会を行い、2024年度の活動方針を決めました。つきましては、今年度の私たちの活動を支えていただけるよう、夏季資金支援(カンパ)を訴えます。

 

第14回総会の議案書はこちらからお読みください。

 

◎驚くべきことに、日本では「国際租税枠組条約」に関し報道も分析・研究もなし

 

今年度のフォーラムの活動ですが、例年通り国内で国際連帯税の実現を目指すことはもとより、主に3つの国際的な課税問題に取り組んでいきます。一つは、ケニア、フランス、バルバドスを議長国とする「開発、気候、自然のための国際課税に関するタスクフォース」、二つは、本年のG20サミットの議長国であるブラジルが提唱している持続可能な開発資金創出のための「グローバル・ミニマム富裕税」(世界の超富裕層への世界最低富裕税)、三つは「国連国際租税協力に関する枠組条約」です。

 

これらの国際課税は、G20で合意されたBEPS枠組(巨大IT企業などの市場国での課税並びに世界最低法人税)以外の新しい動きですが、日本ではメディアも専門家も(!)ほとんど取り上げていません。とくに驚くことは、3番目の国際租税枠組条約問題について報道も分析・研究文もまったく見当たらないことです。この問題が近いうちに国連気候変動枠組条約のような条約になるかもしれないというのに、です。

 

この点、私たちも取り組みが遅れていたことから、まず「経緯と現状」を知ろうということで、セミナーを行うことにしました(下記、参照)。

 

以上、今年度の活動はこれらの国際課税をウォッチしつつ(必要に応じて日本政府にロビイングしつつ)、国内で国際連帯税の実現を図っていくという構えでがんばっていきたいと思っています。そのための資金支援(カンパ)の方ぜひよろしくお願いします。なお、会員になっていただき会費を納入=支援するという形でも結構です(会費は、個人一口3,000円/年、団体一口10,000円/年 となります)。

 

※資金支援、会費納入のお振り込み先は次の通りです。振り込みにあたっては、資金支援(カンパ)か会費かをお書きの上、gtaxftt@gmail.com  までご一報くださると助かります。

 

《 お振り込み先 》

■銀行口座: みずほ銀行 築地支店(支店番号015)

       普通 2698313

■口座名義: 国際連帯税フォーラム

 

 

【インフォ:セミナー「国連国際税務協力枠組条約の設立の可能性を探る」】

◎日 時:7月29日(月)午後7時~8時30分

◎提案者:青葉博雄・国際公務労連(PSI)東アジア事務所 所長

     金子文夫・横浜市立大学名誉教授:

◎参 加:Zoomによるオンライン配信。gtaxftt@gmail.com から申し込みください。

詳細は、こちら をご覧ください。

 

6月26日 グローバル連帯税フォーラム第14回定期総会を開催

グローバル連帯税フォーラムの第14回定期総会が6月26日に開催され、5つの議案が提案され、質疑討論ののち採択されました。

 

質疑のうち2つを紹介します。

 

・情勢認識として、国際課税政策をめぐり、議案書の方では国連側にルールづくりの主導権が移ったように書かれているが、実際は国連とOECDの間でどちらが主導権を取るのかせめぎ合い状況となっていることと認識した方が良い。

(⇒了解です)

 

・会員の特典のひとつとして会員向けのニュースレター発行が考えられないか、年3-4回、PDF版でもよい。

(⇒理事の中で編集長を決め、年4回程度の発行を考えたい)

 

※第14回定期総会の議案書はこちらからご覧ください。

 

【ご案内】セミナー:国連 国際租税協力枠組条約の設立の可能性を探る

g-taxセミナーを開催します! ふるってご参加ください。

 

      ~ストップ!多国籍企業・富裕層による脱税・租税回避~
    国連 国際租税協力枠組条約の設立の可能性を探る 

 

◎日 時:2024年7月29日(月)午後7時~8時30分
◎場 所:Zoomで開催
◎参加申込:

  希望者は次のアドレスに「7.29 g-taxセミナー」と明記の上申込み下さい。

  gtaxftt@gmail.com(担当:田中)

    ⇒参加希望者に、後ほどZoomリンクを送ります。   

◎参加費:無料
◎提案者:青葉博雄・CNEO(Center for New Economic Order)代表、GATJ(Global           Alliance for Tax Justice)世界委員会アジア代表
     金子文夫・横浜市立大学名誉教授

 

■各国は世界的な税制の不正利用により、年間4,800億ドルの税金を失っています。

 

この4,800億ドル(約72兆円)損失のうち、3,110億ドルは多国籍企業による国境を越えた法人税の不正利用により、1,690億ドルは富裕層によるオフショア税(タックスヘイブンなど)の不正利用により失われています(英Tax Justice Network、2023年)。

 

国際課税ルールは、長年OECD(経済協力開発機構)が担ってきましたが、経済のデジタル化やグローバル化が進行するにしたがって、国境を越えて事業展開をする巨大IT企業などが進出先の国(市場国)に工場や子会社など恒久的施設(PE)を必要としないため、PEがなければその国で課税できないという旧来の課税ルールを逆手に取り、市場国で莫大な利益を上げていながら法人税を払わず、租税回避を行ってきました。

 

これに対し、OECDはBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトを立ち上げ、2021年にはG20の場で、①第一の柱:PEがなくても市場国で課税できるデジタル課税、②第二の柱:世界最低法人税ルール、が合意されました(BEPS包摂的枠組み)。

 

とはいえ、①については条約化が必要であり、現在その目途が立っていませんし、②についても具体的には2025年からはじまります(日本の場合)。こうして包摂的枠組みが始動してないことや、他方において依然として無課税・軽課税地であるタックスヘイブンが世界に存在していることから、上記のような巨額な税収損失を生んでいるのです。

 

■途上国の不満:「国際租税協力に関する枠組条約」を求めて

 

上記包摂的枠組みには途上国を含む140カ国余りが参加していましたが、途上国側からは議論には参加できるが意思決定過程には参加できないとの不満があり、こうした不満を背景に2023年11月22日、 国連総会第2委員会は決議「国連における包括的かつ効果的な国際租税協力の推進」を採択しました。

 

この決議には、主に途上国の125カ国が賛成し、英国、ドイツ、日本、米国を含む主に先進国約48カ国が反対し、OECD加盟国のアイスランド、メキシコ、ノルウェー、トルコを含む9カ国が棄権しました。

 

さらに、12月22日の国連総会において上記委員会決議が追認され、アドホック政府間委員会が2024年8月までに国際租税協力に関する枠組条約の草案作成し、2024年9月の国連総会で進捗状況の報告を行う、という段取りとなっています。その後条約文についての交渉が行われることになります。

 

このように国際課税ルール策定につき、途上国側は加盟国すべてが参加できる国連気候変動枠組条約のような組織を作り、国連が主導すべきという立場であり、先進国側はこれまでのようにOECD主導ということにこだわっています。

 

ともあれ、国連は草案作成に向けての委員会を設立し、草案作成に向け実質的な会合を2回行う段取りとなっています(1回目は4月26日~5月8日、2回目は7月29日~8月16日)。また、6月には委員会事務局がゼロドラフトを公表しています。

 

■「国際租税協力に関する枠組条約」作業の現在地、日本政府へのアプローチ

 

このように国際課税ルール策定を巡る状況は、現在大きく転換しようとしています。今日枠組条約を強く求めるグローバルサウスの声を先進国側はもはや押し留めることはできないことは明らかです。共に協力し合いながら本格的な租税に関する枠組条約ができることを望みます。国境を超えてビジネスを行う巨大IT企業などの多国籍企業や超富裕層が易々と租税回避できる(または過小課税で済む)体制がいつまでも許されることではありません。

 

今回のセミナーでは、以下につき報告をもらい、議論していきたいと思います。
1)国際枠組条約決議が採択されるまでの経過並びにその意義について
2)条約に関する作業委員会での議論と市民社会からの提言
3)日本政府を(真の)条約賛成派に変えるための取り組み

 

1)については、当フォーラムのもう一人の代表理事である金子先生から報告してもらいます。2)については、CNEO(Center for New Economic Order)代表/GATJ(Global Alliance for Tax Justice)世界委員会アジア代表として広く世界の市民社会・NGOと意見交換を行っている青葉さんから報告してもらいます。これらの報告を受け、セミナー参加者のみなさんとともに議論し、3)について考えていきたいと思います。ふるってご参加ください。(了)

 

 

 

ストップ 投機マネー! 財務省への質問と提案>国際課税と投機マネー対策

穀物相場

 

来る6月6日に「第82回財務省・NGO定期協議」(注1)がありますが、当フォーラムからも財務省へ質問と提案を行います。ブラジルやフランス並びにグローバル・サウスが議論している国際課税に関しての質問等が主な内容となりますが、その前に「投機マネー」について一言。

 

■穀物価格の急騰がはじまっている>投機マネーが価格上昇を増幅

 

現在投機マネーに翻弄されているのが為替相場の超円安ですが、世界の穀物相場でも投機マネーの動向で小麦など穀物価格が急騰しています。前者については、下記の財務省質問の項目に入っているのでそれを見ていただくとして、後者については5月6日付日経新聞の「穀物相場が急反騰 霜害・洪水、市場の雰囲気が一変」という記事に詳細が述べられています(注2)。

 

記事の要旨は、(コロナ禍やウクライナ戦争で)高騰していた穀物価格も過去2年間穀物生産地で豊作であったので価格が低下してきた。しかし、今日ロシア、ブラジル等大生産地での異常気象により穀物相場が反騰しており、そのため投機筋が「…買い戻しを迫られている。相場の上昇圧力は長引く恐れがある」というもの。

 

驚くべきことに、価格低下の時期にヘッジファンド(投機筋)が「穀物で過去最大規模のカラ売りを仕掛けていた」ということです。小麦で見ますと、2022年3月7日トン当たり523.7ドルを付けていましたが、24年5月3日には222.7ドルまで下落してきました(「穀物等の国際価格の動向」農水省)。すると、下落幅のかなりの部分は投機筋の仕掛けによるのではないかと思われます。ところが、今や相場が反騰してきたため、売った分を大急ぎで買い戻さなくてはならなくなり、価格急騰として現れているというわけです。

 

今や私たちの生活は、超円安によるインフレ・物価高騰に苦しんでおり、今後さらに穀物価格高騰が拍車をかけそうです。

 

■財務省への質問と意見(案)

 

1、日本円はじめアジア通貨安を止めるための投機筋への対処方法について

 

今日のドル高により日本円はじめアジア通貨安が一段と進んでいる。このため国内ではインフレ・物価値上げが進行しており、低所得国では対外債務返済額が増大し、債務リスクが進行している。為替相場を決定するのは「①貿易、②(米国との)金利差、そして③投機」(池田雄之輔「円安シナリオの落とし穴」)の三要素だが、とくに短期間の上昇・下落は投機筋の仕掛けによる。日本円についていえば、円の理論値である「日経均衡為替レート」(日経新聞)は133円であり(購買力平価では90.82円)、この値は基本的に経済のファンダメンタルズを示す上記①と②の値であり、投機筋が20数円も押し下げていることになる。

 

ところで、円安の要因を構造的問題として貿易赤字を挙げるエコノミストもいるが、前年度(年間)赤字は5.9兆円。一方、ドル円の東京市場での為替取引量は「1営業日」で67兆円なので、貿易赤字が円安に寄与する割合ははるかに小さい。

短期的に為替相場を守るには、為替介入か金利を上昇させるしかなく、日本はじめ中国、韓国、インドネシア、マレーシアが為替介入を行っている。しかし、対外債務を抱える低所得国では為替介入を行う財政的余裕はなく、また金利の上昇も困難である。

 

以上から質問: 日本政府・財務省はかかる通貨安に苦しむアジア各国を糾合し、まずは投機筋に対抗するために協調介入を行う用意はないか? また、一時を凌ぐ協調介入だけでなく、絶え間ない投機筋の圧力からアジア各国及び日本を守るために、アジア共通金融取引税(為替取引税)を実施する用意はないか? 税収については、アジアの重債務国支援のための原資とすべき。

 

2、国際的に議論が高まっている「BEPS包摂的枠組み」の第3の柱としての国際課税への対応について

 

今年のG20サミット議長国であるブラジルが、財務相・中央銀行総裁会合で、「グローバル・ミニマム富裕税」を議題に挙げ、OECD/G20で合意されたBEPS包摂的枠組み(国際課税ルール)の2つの柱に続く第3の柱として位置づけるべきと主張し、サミット本番に提案するとしている。

 

また、フランス・ケニア・バルバドスを議長国とする「開発・気候・自然のための国際課税に関するタスクフォース(以下、TFと略)」が先のIMF・世銀春季総会の期間中に始動しはじめたが、同TFは化石燃料による汚染や金融取引への課税など5つほどの国際課税オプションを検討し、2025年のブラジルでのCOP30時に公表し、やはり第3の柱としてG20レベルで実施を提案する予定である。このTFには有志国が参加することになっているが、現在OECD・DAC(開発援助委員会)に属する国の参加はフランスとスペインにとどまっている。

 

コロナ・パンデミックや気候災害、そして債務危機に見舞われている途上国では、SDGsを達成する資金として4兆ドルを超えて不足していると言われている。先進国のODAでは圧倒的に足りず、期待する民間資金も低所得国等資金が必要とするところには届いていない。従って、国際社会は世界銀行やIMFなどIFIs(国際金融機関)の改革を通して、また共通の国際課税を通して、資金調達を行おうとしている。

 

後者につき、ブラジル提案やTF提案に関して相互に議論されることになれば、開発や気候対策のための新しい資金が、BEPS包摂的枠組み(国際課税ルール)の3つ目の柱として、グローバルな規模で創出される可能性が出てくる。

 

以上から質問: 日本政府・財務省は上記ブラジル提案やTF提案に関して、どのような見解をもっているか? 並びにTF議論につき、我が国では国際連帯税議論の経緯もあるのでこれに参加する予定はないか?

 

3、国連「国際課税協力に関する枠組条約」について

 

BEPS包摂的枠組は、OECDつまり先進国主導の進め方であるとして、グローバル・サウスは不満をもっている。グローバル・サウスは気候変動問題と同じように国連の枠組条約をつくりそこで国際課税のルール形成をしたいと考えている。

 

以上から質問:こうした動きを日本政府としてどのように認識しているか?

 

(注1)

財務省・NGO定期協議(事務局:「環境・持続社会」研究センター)  h

(注2)

穀物相場が急反騰 霜害・洪水、市場の雰囲気が一変 (5月16日)

 

参議院決算委で国際連帯税を質問>外務大臣、税制改正を明言せず

石橋議員 答弁する上川大臣

 

5月20日参議院決算委員会(注1)で国際連帯税創設を求める議員連盟の幹事長でもある石橋通宏議員(立憲民主党)が、ODA(政府開発援助)と国際連帯税について、上川外務大臣に対して質問を行いました。大臣の答弁は、この間の国際連帯税議論に関する経過把握が十分ではなく(これは担当部局のレクが不十分だったと言えます)、残念ながら前向きの回答を得ることはできませんでした。まず、質疑のもようを見てみます(詳細な議事録は下記を参照ください)。

 

■石橋議員の質問と上川大臣の回答の要旨

 

石橋議員の質問:

ODA(政府開発援助)が依然として国際公約であるGNI比0.7%拠出に達していないこと、こうしたODAでの資金ギャップを埋めるには、民間資金ではなく公的な責任の下で新たな資金調達メカニズムを講じなければならないこと、その一つの手段が国際連帯税です。今こそ国際連帯税の導入、大臣の決断の下に実施するという立場から、まず外務省は25年度税制改正要望として国際連帯税を提案すべきです。

 

上川大臣の答弁:

①    ODA0.7%目標は念頭にある、新しい資金動員の在り方についても不断に模索をしている、先般超党派(議員連盟の)国際連帯税の話も聞いたが、様々なメニューを否定するわけではない、

②    国際連帯税については、「SDGsの達成のための新たな資金を考える有識者懇談会(以下、懇談会と略)」(注2)で2020年7月に提出した報告書で新税の導入には様々な課題がある旨指摘されたことを踏まえて、外務省では、同年以降、税制改正要望の提出は行ってきていない。現在民間資金動員を促す有識者会議を立ち上げ、様々検討している。

 

■懇談会「コロナ禍による危機下では税制はなじまない」>正常化したら実施可能性も

 

1)大臣は、2010年の懇談会報告書を理由に、新税の導入は厳しいので税制改正要望を提出しないことにしたとしていますが、報告書では税制そのものが困難としているのではなく、「入国税としての航空券税の導入は、コロナという地球規模課題を前にして、国民の理解を得ることができるのではないか」とし、しかし「現在航空事業は危機的であり、「国際航空事業が正常化した段階で再考すべきではないか」としています。

 

2)実際、22年5月19日の参院外交防衛委で、井上哲士議員(共産党)の国際連帯税を税制改正要望に上げるべきとの質問に対し、当時の林外相は次のように答えています。「懇談会の提言はあくまで20年での判断だ。革新的資金調達の必要性、重要性は変わっていない。状況を踏まえながらしっかり検討していきたい」(注3)と答えています。

 

3)以上から、外務省としてはあらためて国際連帯税(懇談会の指摘は入国税としての航空券税)について、コロナ後の日本の経済状況(この場合、航空業界の正常化状況)等を踏まえつつ検討し、税制改正として要望するかどうかを決めなければならないのです(当然、革新的資金調達の必要性・重要性を認識しつつ)。

 

ということで、大臣回答はまったく不十分なものでした。国際連帯税創設を求める議員連盟は引き続き外務大臣にアプローチしていくと思いますが、私たちも外務省そのものに①経過をきちんと踏まえること、②懇談会で前向きであった航空券税について検討しつつ、税制改正要望に繋げよ、と要求していきます。

 

(注1)

5月20日参議院決算委員会 (暦の5月20日をクリック、57分28秒から) 

(注2)

「SDGs の達成のための新たな資金を考える有識者懇談会」最終論点整理

(注3)

参院外交防衛委で国際連帯税質問(井上議員)、外相「革新的資金調達は重要と認識」

 

 

【決算委員会・仮議事録・全文】

 

○石橋通宏君 

…(前略)…

まず、ODA全体の話なのですが、外務大臣、言うまでもなく、御存じのとおりで、国際的に大きな資金ギャップが生じています。我が国ODAもかつての額から比較すれば残念ながら大きく減ぜられた額で、国際的にはGNI0.7%約束があるわけですけれども、今回の決算においても大きく足らない額しか措置されていないという現状が続いています。

 

外務大臣、もう諦めるんですか。諦めるなら諦めるで、国際的に、ごめんなさいと、もう言った方がいいと思いますが、諦めないのであれば、具体的な措置を講じて、やはり0.7%達成するためにきちんと外務省先頭に立って努力をすべきだと思いますが、まずこの点について、外務大臣、見解をお願いします。

 

○国務大臣(上川陽子君) 今委員御指摘のとおり、政府開発協力援助、ODAにつきましては、九〇年代には、ピーク、世界のトップの座を七、八年間維持してきたという状況から考えると、この間、今半減をしている状況でございまして、大変、日本としてのこれまでやってきた実績からすると、なかなかこの捻出が難しい状況の中を一生懸命対応しているということでございます。

 

昨年、開発協力大綱が改定をされましたけれども、まさにODAの量をGNI比で0.7%する国際目標を念頭に置くということ、その上で、我が国の極めて厳しい情勢、状況も踏まえまして、様々な形でODAを拡充をし、開発協力の実施基盤の強化のための必要な努力を行っていく旨明記されているところであります。

 

こうした開発協力大綱も踏まえまして、開発協力の実施基盤の強化のための必要な努力を行うとともに、新しい資金動員の在り方につきましても不断に模索をしている状況でございます。この新しいスキームの提案も含めまして、精力的にこの結果を出し、対応してまいりたいと考えております。

 

 ○石橋通宏君 外務大臣、念頭に置くのは、もうずっと念頭に置いて、でも、全然達成できない状況が続いているということで、今大臣、後半、後段のところでおっしゃられた具体的な措置を講じないと、気合だけじゃ達成できません、大臣。

 

我々、先般、大臣にも受けていただきましたが、超党派で国際連帯税の導入について改めて大臣に要請、要望をさせていただきました。

 

外務省、ずっとこの間、民間民間民間と言っていますけど、ODAは、公的な責任において公的な資金協力を国際的にするというのがODAです。そのODAでギャップがあるということは、やはり公的な責任の下で新たな資金調達メカニズムを講じていただかなければならない、その一つの手段として国際連帯税を是非一刻も早くという要請を、これ超党派で、自民党、公明党の皆さんとも一緒にさせていただいています。

 

大臣、今こそ国際連帯税の導入、大臣の決断の下に実施すべきだと思いますが、決断していただけないでしょうか。

 

○国務大臣(上川陽子君) 今、GNI比の0.7%とする国際目標ということでありますが、このことについても明記をされているところでございまして、今直近でいきますと0.44%、その前は0.39でありましたし、その前は0.34という状況でございますので、粘り強くこの数値につきましてはしっかりと目標に向かって推進してまいりたいと思います。

 

方法につきましては、先般、超党派で国際連帯税のお話も承っているところでありますし、あのメニューの中の資金開発の中でも様々な方法論があるというふうに思っておりますので、それを否定するわけでは全くございませんが、いろんな方法を講じてまいりたいと思っておりまして、今そのための専門家の委員会を設けながら対応していきたいと思っているところでございます。

 

○石橋通宏君 様々な様々なとずっと言われているけど、その状態でずっと、今や外務省は税制改正要望にも国際連帯税若しくは同類のものを入れていない状況が続いている、それすらできていないんです、外務省は。

 

大臣、であれば、来年度の税制改正要望に向けて、国際連帯税、若しくはきちんと様々な手段で、いろんな手段があるということであれば、その手段をきちんと、税制改正要望を外務省からしていただきたいと思いますが、それは大丈夫ですね。

 

○国務大臣(上川陽子君) まさにこの開発協力大綱、昨年六月改定のものでありますが、大変厳しい財政状況も踏まえつつ、国内資源の動員強化や、またドナーベースの拡大、あるいはMDBsの改革、新たな資金動員手法の検討等の議論、これを主導してきている旨明記をされているところであります。

 

国際連帯税につきましては、SDGsの達成のための新たな資金を考える有識者懇談会、まさに超党派の会で二〇二〇年七月に提出した報告書におきまして、新税の導入には様々な課題がある旨指摘されたことを踏まえまして、外務省では、同年以降、税制改正要望の提出は行ってきていない状況であります。

 

その上で、現在、私の下で開発のための新しい資金動員に関します有識者会議を立ち上げまして、民間資金動員を促す施策を含めまして、様々な議論、そして検討を行ってきているところであります。

 

これまでの経緯もございます開発協力の実施基盤の強化、このための必要な努力、これは引き続き行うとともに、新しい資金動員の在り方につきましても不断に検討を重ねてまいりたいと考えております。

 

○石橋通宏君 だから、大臣、言ったじゃないですか。民間資金、民間資金じゃ駄目だと、公的にいかなる責任を国際的に果たすのかと、そのためのスキームはどうなのか、それを是非有識者会議で検討いただきたい、そのことも超党派の議連で要請、要望させていただきました。

 

今後も、私たち議連の方でも、大臣、取組、応援していきますから、是非具体的なスキームを一刻も早く導入していただくように大臣のイニシアチブの下で前に進めていただきたい、今日はそのことを改めてお願いしておきたいと思います。

(以下、質問がミャンマー問題に移る)

 

※写真は、質問する石橋議員と答える上川大臣

「気候・開発・自然のための国際課税に関するタスクフォース」も始動

 国際課税TF②

 

既報通り、4月17日IMF・世銀春季総会時に、「気候・開発・自然のための国際課税に関するタスクフォース(以下、TFと略)」の第1回運営委員会(参加国のシェルパで構成)が開催されました。遅れましたが、このTF始動について報告します。

 

まず参加国を見ますと、ケニア、バルバドス、フランスの3か国が共同議長国となり、これまで参加を表明していたスペイン、アンティグア・バーブーダに加えて、アイルランド、マーシャル諸島、コロンビアが参加しました(ブラジルが参加を検討中)。当日は、これらの国に加えて欧州連合、ドイツ、IMF、国連の代表らが会議を傍聴しました。

 

この会合について、フィナンシャル・タイムズは次のように報道しました(注1)。

 

❝ …世界銀行とIMFの会議の公式アジェンダの外では、ケニア、バルバドス、フランスの3カ国政府が議長を務め、国際的な税制を通じて気候変動対策により多くの資金を集める方法を検討する新しいタスクフォースの初会合が開催された。

 

画期的なパリ協定の立役者の一人であるローレンス・トゥビアナ氏【注:TF事務局の共同リーダー】は、各国政府が「さまざまな戦争にどう対処するかにとらわれている」ため、エネルギー転換や気候変動プロジェクトの資金調達に利用できる財源は「非常に縮小している」と述べた。

 

同グループが検討している課税には、航空旅客税、富裕税、船舶燃料税、化石燃料生産者へのグローバル税が含まれる。理想的には、このような税金はG20で採択されるか、あるいは、より小規模な有志国連合で導入されることになるだろう、とトゥビアナ氏は語った。❞

 

ここで議論されたことをTFのWebサイトから抽出してみます(注2)。

 

◎目 的:途上国や気候脆弱国のエネルギーシステムの脱炭素化、気候ショックへの対応、回復力の構築のために2030年までに必要とする年間2.4兆ドル(注3) の投資に資金を供給する方法を検討する。

 

◎今回議論したこと:TFの作業計画に関しての合意を図ること、選択された税制オプションに関する影響調査を開始すること、可能性のある税制関する文献調査と分析を行うこと等を確認。

 

◎次のステップ

今後1年半にわたり、専門家グループが各税制の影響調査を開始し、実現可能性、公平性、規模拡大の可能性、消費者への負担回避策などを検討する。さらに、各国ですでに実施されている既存の税制の棚卸しや文献調査を行い、各税制の設計オプションを検討するとしている。

 

スケジュールとしては、11月にアゼルバイジャンで開催されるCOP29で最初の調査結果を発表し、2025年にブラジルで開催されるCOP30会議で、気候税制に関​​する一連の実行可能な選択肢をめぐってG20レベルもしくは有志連合を結成する。

 

●気候・開発のための国際課税議論が始まった!日本政府はTFに参加を!

 

このように新しい気候・開発資金をグローバル規模で創出しようという動きが始まりました。この動きに対し、「国際連帯税創設を求める議員連盟」(会長:衛藤征士郎衆議院議員)は3月末に上川外務大臣に「TFならびに同 専門家委員会に我が国も参加し、議論をリードすべき」を旨としての要請を行いました。しかし、大臣から前向きの回答を得ることはできませんでした。

 

翻って、今年のアゼルバイジャンでのCOP29は、「気候資金のCOP」とも言えるほど途上国・脆弱国支援のための資金問題が重要なテーマとなります。それは、国連グテーレス事務総長の次の言葉からも明らかです。「先進国は最低でも、1,000億ドルの拠出について明確にし【注:新規合同数値目標のこと】、2025年までに少なくとも年間400億ドルまで適応資金を倍増する方法を説明しなければなりません。COP29では、すべての国が、気候変動対策資金に関する野心的な新しい目標に合意しなければなりません。私たちは、革新的な気候変動対策資金源を模索すべきです」、と(「2024年の優先課題に関するアントニオ・グテーレス国連事務総長の総会発言」(注4))

 

一方、今年のG20サミットはブラジルが議長国ですが、アダジ財務相は超富裕層への課税強化をG20の枠組みで目指す考えを示し、「7月の(財務相・中央銀行総裁)会議までに国際課税に関するG20宣言作成を目指す」としています(注5)。この税制は、ブラジル・サミットの主要テーマである「貧困と飢餓との闘い」のための財源確保にあることは言うまでもありません。

 

このように世界的には気候と開発のための新しい資金創出に向けて始動しはじめています。日本政府は「グローバル・サウスとの連携強化」を謳うなら、ぜひこれらの議論に参加していくべきです。

 

(注1)

Rich nations pledge $11bn to World Bank for climate and global crises

https://www.ft.com/content/7cf9fd4c-58ca-48c9-8024-18f4c9a3892f 

(注2)

Climate and development action requires political will and financial support.

https://internationaltaxtaskforce.org/ 

(注3)

Scaling up investment for climate and development

https://www.lse.ac.uk/granthaminstitute/wp-content/uploads/2022/11/IHLEG-Finance-for-Climate-Action-1.pdf

(注4)

2024年の優先課題に関するアントニオ・グテーレス国連事務総長の総会発言

https://www.unic.or.jp/news_press/messages_speeches/sg/49902/

(注5)

G20、富裕層への最低課税案が浮上 ブラジルや仏が支持

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN28EC90Y4A220C2000000/ 

グローバル課税の議論が本格的に始動>国際課税の第3の柱としての世界最低富裕税

ニューチャレンジ

 

今月17日からワシントンでIMF・世銀春季総会やG20財務相・中央銀行総裁会合が相次いで開催されましたが、グローバル課税(Global Taxation)を巡って重要な会合がこれまた相次いで行われました。ひとつは、ブラジル・フランス・ケニアの各財務大臣とIMF専務理事がスピーカーとなって開催された“G-20 Event: New Challenges in International Taxation”(注1)、もうひとつは、ケニア、バルバドス、フランスを共同議長国とする“The Taskforce on International Taxation to Scale Up Development, Climate, and Nature Action”の第1回会合です。

 

当然両方の会合は別々に行われたものですが、実はかなり連携が取れていたと思われます。というのは、前者の会合の司会者をローレンス・トゥビアナ氏(欧州気候財団のCEO)が務めたのですが、実は彼女は後者のタスクフォースの共同事務局長です。

 

以上の取り組みに関して、日本のメディアはほとんど報道していませんので、今回はまず New Challenges の方をお知らせします。

 

■ 「世界最低富裕税は世界のマクロ経済問題の中核をなす」(ブラジル財務大臣)

 

今年のG20議長国はブラジルですが、主要テーマとして格差是正や貧困・気候変動を挙げ、そのためのキーコンセプトとして超富裕層に対する「世界最低富裕税」の導入を提案しています。

 

アダジ大臣は、「世界最低富裕税など国際課税は単に進歩的な経済学者のお気に入りのテーマではありません。世界のマクロ経済問題の中核をなす重要な関心事なのです」と会合の冒頭で述べ、「…世界的に格差は拡大しており、持続可能な開発目標はますます遠ざかっています。ブラジルがG20議長国を務めている間、私は社会的および環境的基準に基づいた新たなグローバリゼーションを提唱してきました」 (注2)と述べました。

 

ところが、実はこのブラジル提案に賛同しているのはフランスとスペインだけで(後者はG20メンバーではない)、必ずしも広がりを見せていません。これに対し、ブラジル側も織り込み済みで、「国際協力がなければ、各国の行動には限界があります。協力がなければ、トップにいる人たちは私たちの税制を逃れ続けるでしょう」と大臣は述べています。

 

■ 国際課税アジェンダの第3の柱としての「世界最低富裕税」

 

では、この富裕税をどう世界的な協力のもとに実現できるのでしょうか? 結論として、OECD/G20が決めた「BEPS(税源浸食と利益移転)の包摂的枠組み」である二本の柱にプラスして、富裕税を3本目の柱として据えて、議論していくと考えているようです。この点、フランスのル・メール経済財務大臣も同様の考えを取っています。

 

ちなみに、第一の柱はいわゆるデジタル課税で、多国籍企業に対する課税権をそのビジネスを実施している市場国に配分するもの、第二の柱はいわゆるグローバル・ミニマム課税で、多国籍企業の最低法人税率を決めるもの(当面15%)、です。前者については、条約として2025年批准・実施をめざしています。後者については、今月から日本でも導入されています。いずれにせよ140か国がこれに賛同しており、富裕税もこうした国際協力で導入したいということです。

 

もとより世界的な富裕税の導入は相当困難であると思います。ル・メール大臣は2027年を目指すとしています。ともあれ、富裕税導入はこれまでは一部学識者やNGOの要求でしたが、G20レベルで公に論議となることはかつてないことであり、進展を期待するものです。

 

■ ミニマム富裕税の税収:世界2756人で2500億ドル、日本44人5180億円?

 

さて、この世界最低富裕税の対象者と税収を見てみましょう。これはパリ経済学院のガブリエル・ズックマン教授が参加した調査機関「EUタックス・オブザーバトリー」が行っていて、「10億ドル(約1500億円)以上の資産を持つ富裕層(ビリオネア)の保有資産の2%課税」というものです。世界には2756人のビリオネアがいるので(東アジア838人、北米835人)、2500億ドルの税収となると試算しています(注3)。

 

日本はとなると、フォーブス・ジャパンの「日本長者番付 2023 トップ50」によりますと、1500億円以上のビリオネアは44人で、資産総額25兆8990億円となり(注4)、従って税収は5180億円となります。

 

ところで、フォーブス・ジャパンの国別ビリオネアを見ますと、東アジアでは中国で495人、香港66人、台湾52人、韓国41人となっています。これに日本の44人を加えても計698人ですので、上記「EU…オブザーバトリー」の838人とは若干差があるようです(シンガポールのビリオネアは推定44人)。それにしても東アジアの大富豪は中国=華僑系が圧倒的です。これらの人士に果たして「ノーブレス‐オブリージュ(社会的に地位の高いものはそれに応じて社会に貢献しなければならない)」の精神は宿るでしょうか?

 

(注1)

G-20 Event: New Challenges in International Taxation

(注2)

“Taxation is at the heart of the global macroeconomic issue,” says Brasil’s Minister of Finance

(注3)

G20、富裕層への最低課税案が浮上 ブラジルや仏が支持

(注4)

日本長者番付 2023 トップ50

 

※写真は、クリスタリナ・ゲオルギエバIMF専務理事のXより。登壇者は、左からトゥビアナ氏、ゲオルギエバ氏、フェルナンド・アダジ伯財務相、ブルーノ・ル・メール仏経済財務相。ケニアのヌジュグナ・ヌドゥング財務・計画相はまだ到着していない模様。

 

神野直彦著『財政と民主主義』(岩波新書)の紹介>元財務副大臣・峰崎直樹さん

 神野iwanami

 

峰崎直樹さんの『チャランケ通信』を送ります。峰崎さんは、このブログで何回か紹介しましたように、民主党政権時代に財務副大臣を務め(2009年~10年、12年までは内閣参与)、政府税制調査会の責任者でもありました。また、国際連帯税に関してよき理解者でもありましたので、税制調査会の専門家委員会(委員長が神野直彦先生)の下に国際連帯税を含む国際課税小委員会を設置されるなど、国際連帯税を実現すべく準備をなされました。

 

2010年9月6日に開催された小委員会の第1回目会合には租税法学会の権威である金子宏先生(当時、東京大学名誉教授)が国際人道税に関する特別報告を行うなど、連帯税実現に向けてのお膳立てが進められていました。ところが、何と!当時ナショナルフラッグである日本航空が倒産し(負債2.3兆円ほど)、さらに、全日空も史上最悪の赤字を出すなど航空業界を取り巻く環境がたいへんに厳しく、結果として航空券連帯税導入は実現に至りませんでした。以下、チャランケ通信です。

 

チャランケ通信 第515号 2024年4月8日

                               峰崎 直樹

 

■ 神野直彦著『財政と民主主義』(岩波新書2024年2月刊)を読んで

 

2月中旬の頃、神野直彦東大名誉教授から『財政と民主主義』という岩波新書を送っていただいた。この本は、最近の新書販売ランキングの中でもベストテンに入っていたようで、社会科学系の本にしては比較的多くの人に読まれている。

 

私もこの本は、是非とも多くの国民に読んで欲しいと思う好著であり、網膜剥離という眼の病に侵され、失明の危機を乗り越えられながらご家族やお弟子さんたちの温かいご支援を得、苦闘されてきた著者の憂国の思いが全面展開されていて読む者にその思いが迫ってくる。特に私が望みたいのは、財政を論議し民主主義のアリーナで日々格闘されている各級議員や首長の皆さん方には、是非とも読んで欲しいと思う。

 

■ 神野先生との出会い、「地方消費税」新設の提案に感激

 

私が最初に神野先生とお会いしたのは、1994年頃だったと記憶する。当時「自社さ連立による村山政権」の時代で、当選後2年、まだ1期生の若造でありながら与党税制決定会合の一員として消費税3%から5%への引き上げに直面していた。そんな消費税増税議論が展開されていた時、参議院議員会館の私の部屋に自治省(当時)の税制担当課長であり後に総務省事務次官から民主党政権の内閣官房副長官となられた滝野欣弥さんとご一緒に訪ねてこられ、地方消費税(新設)の必要性について熱心にお話しされたことを思い出す。

 

引き上げ分2%の内1%を新しく地方消費税にするというのはなかなか大変な事だったが、地方財政の独自財源強化は自治体労働運動に従事してきた私にとっては魅力のある提言だった。結果、この税制改正で1%が地方消費税となって実現できた事を、主として税を担当した者の一人として、一つのレガシィとして忘れることはできない。

 

■    自社さ政権時代に消費税5%への増税、村山総理、五十嵐官房長官にも恵まれ、地方消費税で何とか乗り切れたのでは

 

1989年に消費税の導入した直後の参議院選挙で、当時の社会党が大勝利し、土井たか子委員長が「山が動いた」と高らかにその勝利を宣言されてまだ5年しか経過しておらず、当時の参議院社会党の大半の議員は消費税に反対して当選してきたわけで、なかなか消費税の引き上げには抵抗が強かったことは確かであった。

 

それだけに、地方消費税の導入という提案は、地方分権・地方自治の強化という観点から何とか理解を得ることができ、総理大臣が自治労出身の村山富市さんで官房長官が元旭川市長の五十嵐広三さんであったこともあり、社会党も辛うじて消費税引き上げに賛成へと舵を切ることができたのだ。

 

■ 民主党菅総理、神野理論「強い経済、強い財政、強い社会保障」で武装

 

その時、理論的な支えとなったのが神野直彦先生であり、以降税財政問題についての導きの星として民主党政権時代には大変な役割を果たしていただいたことが忘れられない。特に民主党が政権交代を実現させた後、鳩山総理退陣を受けて成立した菅直人政権の時、「強い経済、強い財政、強い社会保障」というスローガンを打ち出した背景には、神野直彦先生が責任者となって民主党政権の税制専門家会議の座長としてリーダーシップを発揮していただいたことも忘れることはできない。

 

■ 混迷の日本財政を切り開く憂国の書、新自由主義からの脱出への道を照らす

 

さて、著書の中身について要約してみたい。日本の財政が抱える課題は深刻であり、どう改革できるのだろうか。最近の国会論議では、財政赤字をどうするのか、基礎的財政収支黒字化目標(=2025年度)も消えかかっている。そんな時、財政学の泰斗である神野直彦東大名誉教授が、渾身の力を込めて書かれたのがこの『財政と民主主義』であり、副題として「人間が信頼し合える社会へ」とある。

 

神野先生にとっては、戦後の福祉国家から1980年頃から始まる新自由主義への大転換が、「小さな政府=財政支出の削減」となってアメリカやイギリスそして日本を襲い、人々の連帯を根底から破壊し格差社会をもたらしたと批判される。その帰結がリーマンショックであり、新自由主義による小さな政府=小さな財政がもたらしたもので、再び財政の果たす役割が重要という見方が広がり始めている。

 

財政は民主主義でコントロールされるべきなのに、今や米英日といった新自由主義を取り入れた国では民主主義が機能不全に陥っていると強く警告される。さらに、地球規模でも温暖化やコロナパンデミックなど「根源的危機の時代」が襲っており、どう解決していけるのか、主権国家にとって実に深刻な課題にも直面している。

 

■ 岸田政権「新しい資本主義」、時代錯誤の重商主義、再分配に触れず

 

こうした中で、人間主体の経済システムをどう作り上げていけるのか、スウェーデンのロベーン内閣の提起した最新の高齢者ケアと育児のレベルアップした「強い社会」の提起を取り上げる。他方、これと対照的に岸田内閣の「新しい資本主義」についての批判が展開される。岸田総理の提起は、確かに新自由主義批判の言葉はあるものの、「人間」を手段化した時代錯誤の「重商主義路線」に舞い戻り、生活(社会)よりも生産(経済)を重視したものになっている。

 

また、知識社会のインフラとしての教育の重要性や地方自治体による対人社会サービスの充実が必要なのであり、そのために必要な財源の確保は再分配としての税・社会保険料の重要性を指摘されている。もはや、国会の場ではだれも税を含む公的拠出(負担)の増加が必要であるとは言わなくなっており、再分配政策の重要性の指摘は現役政治家たちにとりわけ重く突き刺さる。

 

特に、重化学工業からサービス・知識集約産業化が進む中、女性の社会進出による帰属所得(家事労働など)の喪失が起き、社会保険中心では生活保障が困難になる。かくして「社会保険国家」から「社会サービス国家」への転換が求められるのに、それを支える日本の公的負担の低さ、とりわけ租税負担は実に貧弱でしかない。ポスト福祉国家における育児や高齢者ケアといった生活保障の現物給付や、再訓練・再教育を含む教育サービスなどの充実にむけて、所得や消費といったフローの税制だけでなくストックである資産に対する富裕税の新設を提起されている。

 

■ 基礎的自治体から始まるヨーロッパや日本の新しい自治体作りとデモクラシー                                                                                  

 

さらに、大量生産・大量消費社会という「量」から、存在欲求を充足する「質」を重視した経済・社会が求められる時代になっていることを指摘され、具体的にフランスのストラスブールやドイツのルール地方の街づくり、日本での大正デモクラシー以来続いている三重県度会郡七保村や信州における教育国民運動などの基礎的自治体レベルの取り組みにも言及されている。

 

さらに、大変重要な財政の課題として、民主主義を危うくする「巨大な富の形成を阻止する」ことの重大性を指摘され、資産課税の強化を取り上げ、戦後のシャウプ税制で一度失敗した富裕税の導入の必要性にも言及されている。

 

■ 故宇沢弘文東大名誉教授の神野先生に贈られた「ことば」、根源的危機の時代とどう立ち向かうべきなのか

 

最後に、神野先生に対する故宇沢弘文名誉教授の贈られた言葉が紹介されている。神野先生は、これを「私に下された『垂訓』である」と受け止めておられる。

 

「未来へのシナリオは、単に未来を現在の延長として予測するのではなく、人間を人間として充実させるビジョンとして描かなければならない」(宇沢弘文「リベラリズムの立場に立った真の意味における経済学者――神野直彦氏の人と業績」『自由思想』2003年12月号)

 

これに対する神野先生の言葉が最後のページに次のように書かれている。

「私たちは、週末的破局を恐怖してはならない。恐怖すべきは『人間を人間として充実させる』希望のビジョンを描く意欲を阻喪してしまうことである。『人間を人間として充実させる』未来へのシナリオを描き、希望を胸に、意志の楽観主義にもとづいた努力を重ねることが、『根源的危機の時代』に生を受けた私たちの責任なのである」(244頁)

 

この本を読み終えながら、ふと神野先生が語っておられた言葉を想いだしていた。それは、東京大学経済学部の大内兵衛教授以来築かれて来た伝統あるドイツ財政学講座が、神野先生でもって終わるのだ、という趣旨の言葉だったと記憶する。この著書はそうしたドイツ財政学に命を懸けてこられた神野先生の心からの叫びが凝縮されたものになっているように思えてならない。

 

 ( この第515号は、3月24日に発刊された同人誌『メディアウオッチ100』第1778号に寄稿した「1冊の本」というコーナーに出した原文を補強して掲載したものである)

 

国際連帯税議連、上川外務大臣要請を行う>国際課税TF参加を要望

 議連要請(24.3.27)

 

去る3月27日、国際連帯税創設を求める議員連盟(以下議連)は外務省において上川外務大臣に「開発・気候のための国際課税タスクフォース並びに国際連帯税に関する要望書」を手交し、要請行動を行いました。

 

要望内容は、以下の3項目です

 

(1)「開発、気候、自然のための国際課税タスクフォース」に我が国も参加し、議論をリードすべき

 

(2)このタスクフォースの専門家委員会に我が国から参加させるべき

 

(3)2回目の有識者懇談会を設置し、国際連帯税に関して検討を行うべき

 

<要望書全文はこちらからお読みください>

 

以下、要請行動の参加者からの聞き取りです。

 

参加したのは、衛藤征士郎会長(衆議院議員)、逢沢一郎副会長(衆議院議員)、古川元久副会長(衆議院議員)、石橋通宏幹事長(参議院議員)、田島麻衣子事務局長(参議院議員)の5名でございます。

 

上川外務大臣にお迎えいただき、衛藤会長より要望内容の説明をした後、出席者と大臣で意見交換を行い、最後に衛藤会長から上川外務大臣へ要望書を手交しました。

 

意見交換は予定の時間を越えるものとなりましたが、残念ながら要望については承るということで具体的な回答はありませんでした。これを皮切りに今後とも要請を強めていきたいと思います。

 

 【解説】

国際連帯税創設を求める議員連盟は新型コロナウイルス禍もあり、この数年日本政府(外務省や官邸)に対しての要請行動を取れてきませんでした。これに合わせるように、外務省は2020年より国際連帯税に関する税制改正要望をサボタージュしてきました。

 

国際的には、昨年6月パリでの「新グローバル金融協定サミット」や9月ナイロビでの「アフリカ気候サミット」を経て、11月COP28の場で「開発、気候、自然への取組みを強化するための国際課税に関するタスクフォース」(議長国:フランス・ケニア)が設立され、もうひとつの公的資金調達を目指す動きが強まっています。

 

このことは途上国において、貧困・飢餓や気候危機、その上に債務危機が重なり、総じてSDGs達成の危機となって現れています。外務省はODA以外の資金として、国際連帯税を諦めて民間資金利用を図ろうとしていますが、民間資金は本当に援助を必要とする貧困国・(気候)脆弱国には向かいません。今こそ、日本外務省は上記タスクフォースに参加し、国際協調・協働でSDGs達成など途上国支援のための資金創出を図るべきです。

 

議員連盟におかれましても、こうした国際的な動きを理解しつつ、再度国内においてモメンタムを創出しようとしていますので、大いに期待したいと思います。

 

※写真は、田島麻衣子参議院議員事務所から提供してもらいました。

フランス:労組、市民団体並びに国会議員らが相次いで金融取引税を要求

フランスの有力紙、ル・モンドはこの間相次いで金融取引税(以下、FTTと略)に関する記事を配信していましたので、お知らせします。ひとつは、政府の100億ユーロ予算削減に関する労組・市民団体の抗議と意見の中で、もうひとつは、フランスの与党プラス中道派の国会議員の意見の中で、です。前者は、住宅やODAなど公共支出の削減ではなく、FTTによる財源確保を行うべき、と主張しています。後者は、欧州での財源不足に対し、欧州規模でのFTT導入を求めています。また、両者とも国内や欧州のみならず貧困や気候危機下にある南の国々への財政支援を訴えています(下記参照)。                 

 

■仏FTTや英印紙税をG20諸国に適用すれば1,560億€から2,600億€の税収

 

そのFTTですが、具体的には株式取引税で、パリ第一パンテオン・ソルボンヌ大学のギュンター・カペル・ブランカール教授の論文を参考にしているようです(*)。前にも紹介しましたが、教授の推定によれば、フランスのFTTや英国の印紙税と同様のFTTをG20諸国に適用した場合、年間1,560億ユーロから2,600億ユーロの税収を得られること、また、このFTTを日中取引や高頻度取引に拡大すれば、税収が年間4000億ユーロ近くまで増加する可能性があること、が分析されています。

 

■日本の東証株価の売買高1日当り4~6兆円、その内約70%は海外投資家

 

日本では、株価が史上最高値を更新するなど高騰を続け、この間の売買高は1日当たり4~6兆円にも上っています。昨年の売買高は歴代最高となりましたが、1日当りの平均3.8兆円です(年間943兆7,637億円)。また、その売買高のうち約70%は海外投資家によって行われています(日本取引所グループ・JPCXの「投資部門別売買状況」参照)。このほか株取引にはデリバティブ取引もあり、こちらも莫大なお金の取引が行われています。

 

ともあれ、もし日本でも株取引税が実施されているとすれば、大雑把に言って、1日当り4.5兆円の売買高があるとして、フランス並みに0.3%課税(日中取引含む)で3.4兆円の税収、日中取引外しで1兆円強の税収となります。しかもその税の大部分は海外投資家が払うことになります(フランスでは50%とのこと)。

 

 

【以下、ルモンドの電子版より】

 

「フランスが最終的に金融取引への課税を受け入れれば、欧州は多大な利益を手にすることができるだろう。」

 « Si la France accepte enfin la taxe sur les transactions financières, on verra que l’Europe peut rapporter gros »

2024年3月11日

 

ソフィー・ビネ、マリリーズ・レオン、メラニー・ティセラン・ベルジェ、ナジャット・ヴァロー=ベルカセムを含む市民社会のリーダーたちは、『ル・モンド』紙に掲載された記事の中で、100億ユーロの公共支出削減ではなく、金融取引税(FTT)による投機への課税を主張している。

 

(注:ビネ氏は最大労組CGTのトップ、レオン氏は有力労組CFDTのトップ、ティセラン・ベルジェ氏はCJD・若手経営者センターの会長、ヴァロー=ベルカセム氏は元教育大臣。4人とも女性)

 

他の多くのヨーロッパ諸国と同様、フランスでも、政府が電気代やディーゼル燃料の税金を引き上げると、ますます多くの市民が不快感を示すようになっている。何百万人もの人々が生活費の高騰に苦しみ、多くの農家が仕事から生計を立てられなくなっている今、このような増税は耐えることのできる限度を超えるものであり、市民はより大きな税の公正を求めるようになっている。

 

南の国々でも状況は悪化している:新型コロナのパンデミックの結果だけでも、2020年以降、特にアフリカでは1億2,400万人以上の人々が1日2.10ドル[1.92ユーロ]以下の極貧状態に置かれている。私たちは今、経済的、社会的、気候的な課題が計り知れず、その解決に必要な投資も莫大なものとなる歴史の瞬間にいる。

 

私たちは、ヨーロッパと南の国々で気候変動と戦うための資金を見つけなければならない(建物の断熱化、再生可能エネルギーの開発、公共交通機関への投資、農民への支援、洪水や干ばつ、森林火災などの災害に対する真の予防策など)。

 

劇的な結果

 

私たちはまた、貧困と不平等と闘うための国際連帯や、開発途上国が最初の犠牲者である気候変動への適応を支援するための追加的な資金を解放する必要がある。COP28では、最も大きな被害を受けた国々のための損失損害基金が設立されたが、基金が空っぽでは意味がない。

 

私たちはまた、医療制度、教育、警察、司法のための資金も必要としている…私たちは、日常生活と私たちの将来にとって基本的な公共サービスの深刻な貧困化を目の当たりにしている。私たちは最終的に、グリーン産業がヨーロッパに留まるのを助ける資金を見つけなければならない。

 

米国にグリーン投資を誘致するためにジョー・バイデンが今後10年間に提示した3,600億ドルの補助金に直面して、欧州は移転や雇用の喪失、気候変動対策の大幅な遅れを避けるために迅速かつ強力に対応しなければならない。

 

残念ながら、ブルーノ・ルメール経済大臣は、新たな財源を確保する代わりに、100億ユーロの予算削減を発表したばかりだ(省エネ住宅改修への10億ユーロの削減、国際連帯への8億ユーロの削減、地方自治体の気候変動適応基金への4億ユーロの削減など)。これらが実現すれば劇的な結果をもたらすだろう。…(以下、有料記事)

 

※全文は、https://www.lemonde.fr/idees/article/2024/03/11/si-la-france-accepte-enfin-la-taxe-sur-les-transactions-financieres-on-verra-que-l-europe-peut-rapporter-gros_6221390_3232.html

 

 

「欧州委員会が提案した金融取引税は、毎年最大570億ユーロの収入をもたらすだろう。」

≪ La taxe sur les transactions financieres proposee par la Commission europeenne rapporterait chaque annee jusqu’a 57 milliards d’euros ≫

2024年3月14日

 

危機を脱するためには、投機と闘い、金融取引に対する欧州税を導入することが急務であると、ホライゾンズ、LIOT、MoDem、ルネサンス各グループの国会議員58名が「ル・モンド」紙に寄稿した。

 

(注:各グループはLIOTを除いてマクロン大統領の与党に属します)

 

ディーゼル燃料の増税計画に対して農民が示した怒りは、広く国民が共有している苦しみを明らかにしています。支払うのは常に同じ人々でなければならないのでしょうか? 電気に対する税金は10%増税されるのに、定期的に新記録を更新する金融市場には課税されないのだろうか?

 

新しい資金源を見つける必要性に異論を唱える人はいない。ジョー・バイデンがすべてのグリーン産業を米国に誘致するために4,000億ドルを投じるとき、黙って見ているわけにはいかない。また、私たちは新型コロナウイルスの援助に返済し、気候変動との闘いに勝つための新たな手段を見つけなければなりません。公共交通機関に投資し、農業援助に資金を提供し、最終的にはすべての建物の複数年にわたる大規模な熱改修計画を実施し、COP28で創設された途上国支援基金への資金提供を行う必要があります。

 

フランスでは今年、建設業界が最大15万人の人員削減を発表しているが、もし私たちがこれらの人員削減を受け入れれば悲劇的なことになるだろう。 2007 年にジャン=ルイ・ボルロー(注:元環境・持続的開発・計画大臣)が主催した環境フォーラムでは、「 2010 年から 2017 年にかけて、エネルギー不安の深刻な状況にある 30 万人の質素な持ち家を改修する」ことに賛成する強力なコンセンサスが得られたことを私たちは覚えています

 

公平で迅速かつ効果的な対応

 

残念なことに、17年経った今でも、効率的な改修は毎年 13,000 件しか行われていません…何百万もの国民が深刻なエネルギー貧困の状況にあり、フランスの貿易収支はガスと石油の購入により巨額の赤字となっており、気候学者は現在、1960 年代や 1970 年代の 3 倍の速さで増加している大気中のCO 2濃度に唖然としている。

 

こうした人員削減を回避し、気候変動の緊急事態に対応するには、私たちは直ちに新たな財源を見つけ出さなければなりません。同時に、私たちのすべての領土から発せられている税の正義への要求に応えなければなりません。

 

公平かつ迅速で効果的な対応策は、金融取引に対する欧州税の創設です。これは欧州議会全体からの要請であり、欧州議会はこの 3 年間でこの主題に関する3つの報告書を可決しました。欧州委員会が2011年から提案している少額の税金(0.1%)は、毎年最大570億ユーロの収入をもたらすことになる。

 

経済学者のギュンター・カペル・ブランカール氏が指摘するよう に、金融取引税(TTF)には優れた税金を生み出すあらゆる利点が…(以下、有料記事)

 

※全文は、https://www.lemonde.fr/idees/article/2024/03/13/la-petite-taxe-proposee-par-la-commission-europeenne-rapporterait-chaque-annee-jusqu-a-57-milliards-d-euros_6221788_3232.html

 

 

(*)金融取引の課税: 世界の税収の推定

 

ギュンター・カペル・ブランカール(パリ第一パンテオン・ソルボンヌ大学教授)

 

<以下、ソルボンヌ・エコノミック・センターのHPの扉より>

 

経済学者ギュンター・カペル・ブランカールによる新しいノートによると、フランスのFTTや英国の印紙税と同様の金融取引税をG20諸国に適用した場合、年間1,560億ユーロから2,600億ユーロの税収が見込まれる。分析によると、この国際的な金融取引税を日中取引や高頻度取引に拡大することで、この税収は年間4000億ユーロ近くまで増加する可能性がある。

 

金融取引税(FTT)はしばしばユートピア的なアイデアと考えられ、その実施は金融市場に乗り越えがたい障害をもたらすと考えられている。しかし、英国では17世紀以来、株式市場取引に印紙税という形で課税されており、シティーの発展を妨げることなく、年間約40億ユーロを生み出している。事実上すべての先進国がどこかの時点でこの制度を採用しており、現在でもスイス、香港、台湾、フランスなど世界30カ国以上が金融取引に課税している。

 

実際、FTT は歪みが少なく、潜在的な税収が高く、徴収コストが最小限に抑えられる優れた税であるようです。再分配効果もあります。G20 諸国が適用する英国の印紙税またはフランスのFTT相当額は、多くの免除にもかかわらず、年間 1,560億ユーロから2,600億ユーロを生み出すことになります(名目税率 0.3% または 0.5% に基づく)。課税をデリバティブや日中取引に拡大すれば、金融市場の透明性を向上させながら歳入が増加するだろう。

 

※全文は、

https://centredeconomiesorbonne.cnrs.fr/en/gunther-capelle-blancard-the-taxation-of-financial-transactions-an-estimate-of-global-tax-revenues/