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『世界』11月号での寺島実郎氏の論考=米大統領選と金融取引税

世界11月号

 

米国大統領選挙も第3回目のテレビ討論会を終え、いよいよ2週間後に投票となりました。この大統領選挙のもつ今日的、あるいは時代的意義は何なのか? このことにつき月刊誌『世界』11月号(岩波書店)で、寺島実郎氏が「2016年米大統領選挙の深層課題―民主主義は資本主義を制御できるか」と題し、縦横無尽に語っています。

 

「格差と貧困」をもたらす「経済の金融化」をいかに制御するか―欧州金融取引税に注目

 

タイトルにもあるように、氏の論考は大統領選挙だけではなく今日の資本主義の本質的課題も展開しています。超簡単にまとめてみます。

 

「…この民主主義と資本主義の緊張関係のバランスが近現代史の主題であった」が、80年代から冷戦終焉以降、「新自由主義」の名のもとに、とくに金融資本が肥大化し、「…健全な経済社会へと制動をかける力(注:民主主義のこと)を失ったかに見える」。

 

ところが、「資本主義の総本山たる米国の大統領選挙」で両候補とも、今や「新自由主義からの決別を語っている」(TPP見直し・反対、グラス・スティーガル法の復活など)。両候補が「どこまで本気かは別にして」資本主義改革に触れざるをえないほど、資本主義の変質は顕著であり、これに対して米国の民主主義が機能するかどうか注目される。

 

「『経済の金融化』が進む21世紀資本主義の変質と民主政治に齟齬が生じ格差と貧困を増幅させていることは、欧州においても政治の中心課題に浮上しており、BREXIT後の英国を率いることになったメイ首相も…『資本主義改革』…を強調している」。

 

「今や実体経済の4倍を超すまでに肥大化した金融資産…、ICTで武装した金融工学の進化により制御不可能とさえ思われるマネーゲームの自己増殖をいかに人間社会のあるべき仕組みにおいてコントロールできるか、それこそが格差と貧困を克服する起点であり、新しい公正な政策科学が求められている。EU10カ国が進める金融取引税の導入など国際連帯税の動きが重要になる」。

 

「おそらく、この『資本主義改革』という世界的テーマがまったく自覚できていないのが日本であろう。…産業活動や家計消費など実体経済は動かず、(エスカレートする日銀の異次元金融緩和など)金融政策に過剰依存した経済政策が展開されているのである」。<以下、省略>

【ご案内】院内勉強会:国際的な税逃れの実態と対策を考える

来る10月27日、英国のタックス・ジャステス・ネットワーク代表のジョン・クリステンセン氏の来日を記念して、下記の通り国会議員向けの院内勉強会を開催します。これには市民も参加(傍聴)できますので、参加希望者は次の注意事項を確認の上ご連絡ください。

 

  ・15分前までに衆議院議員第一議員会館にお越しくださり、通行証を受け取り下さい。
  ・この勉強会は国会議員向けのものですので、発言の機会がない場合もあります。

 

●参加申込み:「院内勉強会参加希望」とお書きの上、info@isl-forum.jp から申込みください。

 

<院内勉強会の呼びかけ>

 

                      ジョン・クリステンセン氏来日記念・院内勉強会
           「パナマ文書問題~国際的な税逃れの実態と対策を考える」

 

日頃のご活躍に心より敬意を表します。

 

この間パナマ文書やバハマリークが流出し、世界の大企業や富裕層のみならず著名な政治家などが、タックスヘイブン(租税回避地)を利用して税金逃れや財産隠しをしている実態の一部が明らかにされました。

 

現在OECD(経済協力開発機構)やG20は、スターバックスやアップルなど世界的大企業の税逃れの発覚を機に取り組みを強め、BEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトなどの実施が始まっています(これらをOECD租税委員会議長としてけん引してきたのが浅川財務省財務官でした)。

 

一部大企業や富裕層が税逃れを図れば、もっぱら課税が一般市民に押し付けられることになり、著しい税の不公平を招くとともに公正であるべき税制を歪めてしまいます。同時に民主主義国家の根幹を崩すことになり、このような税逃れを決して許してはなりません。

 

この度、タックスヘイブン問題を先駆的に取り組んできた国際的な市民団体「タックス・ジャステス・ネットワーク」代表のジョン・クリステンセン氏が英国から来日されます。これを機会に是非とも国会議員のみなさまとともにタックスヘイブン問題についての勉強会を持ち、ともに考えていきたいと思います。ご多忙とは存じますがぜひご参加くださるよう願います。

 

【呼びかけ人】
    林  芳正(参議院議員・自民党)      古川 元久(衆議院議員・民進党)
    斉藤 鉄夫(衆議院議員・公明党)  大門実紀史(参議院議員・共産党)
    福島 瑞穂(参議院議員・社民党)  山本 太郎(参議院議員・自由党)

 

                                                  
日  時: 10月27日(木)17:00-18:00
場  所: 衆議院議員第一議員会館 第2会議室

 

共催:グローバル連帯税フォーラム、公正な税制を求める市民連絡会、PSI(国際公務労連)東京事務所 
           連絡先:090-8044-3873(担当:青葉)

タックスヘイブン研究の第一人者、J・クリステンセン氏来日!

ジョン・クリステンセン氏①

 

今日、全世界的に所得(富)の格差を拡大し、不公正な税システムを招いているタックスヘイブン(租税回避地)への取り組みを強化しよう。

 

             10月タックスヘイブン研究の第一人者、J・クリステンセン氏来日

       

       講演会等に参加を! 資金カンパをお願いします!

              

          10/27院内勉強会、10/29市民講演会 など

 

今日、「パナマ文書」や「バハマリークス」などタックスヘイブン問題、また欧州委員会によるアップル社への145億ドル(1.7兆円)という巨額の追徴課税命令問題など、世界的大企業や富裕層の税金逃れが大きくクローズアップしています。

 

こういうなかでタックスヘイブン問題を早くから専門家を軸に取り組んできたのが英国の民間団体タックス・ジャステス・ネットワーク(TJN)です。このたび同代表のジョン・クリステンセン氏が10月に来日し、市民向け講演会等を行います。

 

つきましては、講演会等へのご参加、ならびに招へいにあたっての資金カンパ(主に通訳代)を呼びかけます。世界的なタックスヘイブン問題の最新情報を知り、その対策について、そして日本市民は何ができるか、共に考えていきましょう。

 

※参加申込みは、「〇日の××」(例えば「27日の院内勉強会」)とお書きの上、

info@isl-forum.jp から申込みください。また、カンパについても同アドレス

ら「○○円を×日に送った」とお書きの上ご連絡ください。

 

10月26日(水)  18:30~20:30

<市民向け勉強会:主催「日本弁護士連合会」>

・場所:弁護士会館2階講堂クレオBC(地下鉄丸ノ内線・日比谷線・千代田線 

    「霞ヶ関駅」B1-b出口直結)

・アクセス:http://www.toben.or.jp/know/access.html 

・日本語通訳あり、参加費なし、事前申し込み不要

 

10月27日(木)〔超党派による〕院内勉強会

<国会議員・市民向け勉強会>

・時間・場所未定

・日本語通訳あり、参加費無料

 

10月28日(金)17:45~20:00

<専門家・有識者向け勉強会>

・参議院議員会館 B108会議室

・日本語通訳なし

 ⇒都合により、中止となりました。

 

10月29日(土)13:00~16:30(12:30受付開始)

<市民向け:主催は「公正な税制を求める市民連絡会」>

・場所:田町交通ビル 6階ホール(港区芝浦3-2-22 JR田町駅「芝浦口」徒歩3分)

・日本語通訳あり、資料代:1000円

・詳細はこちらのチラシから:http://tax-justice.com/ 

 

カンパ送り先

◎銀行口座: みずほ銀行 築地支店(支店番号015)

        普通 2698313

◎口座名義: 国際連帯税フォーラム

 

J・クリステンセン氏招へい実行委員会:「グローバル連帯税フォーラム」

「公正な税制を求める市民連絡会」「PSI(国際公務労連)東京事務所」の3団

体です。

 

◆写真は、J・クリステンセン氏と英国でのタックス・ジャステス運動

外務省8年連続で国際連帯税を要望: H29年度税制改正要望

NHKはしか

 

政府の2017(H29)年度予算概算要求ならびに税制改正要望が8月末で締め切られましたが、後者につき、外務省は8年連続で国際連帯税(国際貢献税) を新設要望しました(骨子は下記に)。

 

国際連帯税要望全文は、こちらからお読みください。 

 

この税制改正にあたり、グローバル連帯税フォーラムから、そして国際連帯税創設を求める議員連盟から外務省へアプローチしてきました。まず第一段階はクリアーしたところです。今後秋から冬にかけて、与党の税制調査会を巡っての攻防が第二段階となります(もちろん野党の税制調査会からの要求も重要です)。当然航空業界や金融業界からの反対ロビイングも強化されてくると思います。

 

ところで、航空券連帯税という私たちの要求は、ジカ熱やデング熱、そして麻疹(はしか)などの感染症の脅威が増す中で、その背景には航空網の発達があります。いわばグローバル化の負の影響ですが、このコストについて利用者が一定負担すべきという私たちの主張は世論も支持してくれると思います。航空業界もCSR(企業の社会的責任)の一環として連帯税に協力してくれることが期待されます(税を払うのは航空会社ではなく、国際線利用者ですし)。

 

【朝日新聞】関西空港職員ら16人、はしかに集団感染 (9月1日)

 

日テレ】ジカ熱の感染者150人超に シンガポール (9月2日)

 

 

外務省H29年度税制改正要望・骨子

 

制度名:国際協力を使途とする資金を調達するための税制度の新設

税 目:国際連帯税(国際貢献税)

 

要望内容:

…① 「持続可能な開発のための2030 アジェンダ」等にも示されている世界の開発需要に対応し貢献するため,納税者の理解と協力を得つつ,国際連帯税(国際貢献税)についての検討を進め,必要な税制上の措置を講ずる。 ② その税収の使途として,世界の開発需要への対応・貢献であることを明確に位置 づける。 ③ 課税方法として,我が国としてどのような方式を導入することが適当かについては,今後国際的な取組の進展状況を踏まえつつ検討する。

…以下、省略

 

◆写真は、8月31日放映したNHKテレビニュースより。イラストは、ユニットエイドのマラリア・コントロールの10周年のお祝いで国連デジタル大使エリックスの描いたもの。

 

 

欧州金融取引税の最終合意期限、6月から9月に延期に

欧州FTT(金融取引税)ですが、昨年12月に、実施に向けての最終合意を6月までに行うと決めていましたが、これが9月にまで延期されました。

 

この延期につき、欧州FTTをウォッチしている当フォーラムの津田久美子氏(北海道大学法学研究科博士課程)は次のように分析しています。

 

ユーロ圏10カ国、EU金融取引税の6月最終合意目標を9月に延期へ。明日(6月17日)のEU財務相会合を前に方針が固まったもよう。世界金融危機、ユーロ危機をきっかけに盛り上がったこの政策も、近年はDEAD or ALIVEの厳しい交渉が続いており、それがぎりぎり引き伸ばされた格好。これは来週のイギリス国民投票の前に決着させるのを回避したという意味もあるだろう(イギリスは実施メンバーではないがかねてより強硬な反対派で、Brexit実現してしまったら多少やり易くなるという側面がある)。

 

しかしそれ以上に、本丸の焦点は実施条件である「参加国9カ国以上」をキープできるか。これまでの報道によれば2カ国ドロップアウトする可能性があり9カ国を下回る恐れがあった。キーとなるのはこの半年間慎重な姿勢をとり続けてきたベルギー。デリバティブ課税による市場への悪影響を相当懸念しているもよう。それに対しソブリン債関連取引を課税適用外とする妥協案も出されてきたが、決着を見ず。そのベルギーが少なくとも交渉を続けることには合意したこと、また昨年から引き続きオーストリアが取りまとめ役を引き受けてくれたのが今回の合意期限延長につながったと言えるが、その裏側にどんな駆け引きがあったかはまだわからない。3カ月の延命措置は功を奏するのか、あるいは…。

https://www.facebook.com/kmktsd/posts/1215183408501500?pnref=story 

 

なお、欧州のNGO・労働組合は #TheTimeIsNow キャンペーンを行い、10カ国首脳へ「6月17日最終合意を得るよう」手紙作戦を行いましたが、いま一歩及びませんでした。

 

<参考>
Schaeuble Says EU ‘Avoids Total Failure’ With Financial Tax Plan

Ten EU States Vow to Push Ahead on Financial-Transaction Tax

Ten EU Countries Set Financial Transactions Tax Agreement Deadline

明日、参議院選挙公示>連帯税議連の立候補予定者

明日(22日)参議院選挙が公示されます。国際連帯税創設を求める議員連盟の役員で立候補を予定している方々は、以下の通りです(議連役職/政党:選挙区)。

 

みなさまにはぜひとも再選され、議連役員を続けていただくよう祈念するものです。

 

福島みずほ(顧問/社民:比例区)
猪口邦子(副会長/自民:千葉選挙区)
大門みきし(副会長/共産:比例区)
ふじすえ健三(副会長/民進:比例区)
谷あい正明(常任幹事/公明:比例区)
白しんくん(常任幹事/民進:比例区)
石橋みちひろ(事務局長/民進:比例区)

 

なお、この間の議員連盟等の動向については、石橋事務局長のWEBサイトをご覧ください

 

★写真は、フランスのアニック・ジラルダン開発担当大臣(当時)の議員連盟への表敬訪問のもよう(15年3月)
・議連側出席:衛藤会長、藤田会長代行、福島副会長、石橋事務局長

【ご案内】民間税調シンポ「投票の前に税のあり方を問い直そう!」

OECD:格差拡大

 

民間税制調査会による久しぶりのシンポジウムです。今回のテーマは7月参議院選挙を射程に入れて「投票の前に税のあり方を問い直そう!」というもの。ふるってご参加ください。

 

・日 時:6月26日(日)13時~16時半頃

・場 所:青山学院大学(青山キャンパス)5号館545号室

・参加費:無料

・申込先:参加希望者は、joe.aoki01@gmail.com から申し込みください。

 

当日のプログラムはまだ発表されていませんが、私が希望するのは「税のあり方」としてやはり「格差・貧困是正に資するための税制」を各党の選挙公約から見出していくことにあると思います。今日の日本が古き良き「一億総中流」社会から「格差・貧困」社会へと転落してきたことを踏まえると(「子ども食堂」が全国的に作られる社会なんて誰が想像したでしょう!)、何はともあれ「分配機能を強める税制」が待ち望まれます。

 

ただし、理念・理想ばかりではなく、実現可能性も配慮しないとなりません。

 

●成長なくして格差是正なしは本当か?

 

ところで、格差是正のための分配を行うにはまず経済成長が必要だ、という伝統的とも言える議論があります。一方、今日新たな経済政策・理論として、格差(つまり、分配政策の不備)こそが経済成長を阻害しているという議論が出てきました。

 

ご案内のように、後者のような議論は、ラジカルな経済学者だけではなくOECD(経済協力開発機構)やIMFというメインストリームからも出てきているというところに(今日的な)特徴があります。OECDペーパー『所得格差は経済成長を損なうか?』(14年12月)では次のような結論を導き出しています。

 

・富裕層と貧困層の格差は今や大半の OECD 諸国において過去 30 年間で最も大きくなっており、このような所得格差の趨勢的な拡大は、経済成長を大幅に抑制している。…

・ 租税政策や移転政策による格差への取り組みは、適切な政策設計の下で実施される限り、成長を阻害しない。

・特に、再分配の取り組みは、人的資本投資に関する主要な決定がなされる対象である子供のいる世帯や若年層を重視するとともに、生涯にわたる技能開発や学習を促進すべきである。

 

●「格差拡大=経済成長を阻害」論の背景

 

以上のような議論の背景はどのようなものでしょうか? このことを紹介しているのが、小林慶一郎・慶大教授の「経済教室『格差拡大、成長に悪影響?』」(日経新聞 16年2月22日)です。ここではOECDやIMFの研究者のみならず世界の経済学者の議論も紹介していて、勉強になります(電子版になし)。

 

格差拡大がなぜ経済成長を阻害するかですが、「OECDやIMFの研究では、教育や技術などの『供給能力』の低迷という要因を重視しているが、『需要』の縮小という要因も問題だと思われる。…(注:名前が長いので…大学教授2人の)共著『ハウス・オブ・デット』(14年)は、家計の債務の膨張(これは富の格差拡大の一種である)が米経済を脆弱にしていると主張している」、と小林教授は紹介しています。

 

確かに家計の縮小・貧困化が需要増を妨げており、米国や他の先進国のみならずこの間の日本社会の家計消費活動の低迷がそれを物語っています。そしてそのことが経済成長を停滞させていると言えます。

 

その日本ですが、14年4月実施の消費税アップが低迷の主要因という説もありますが、実際はもっと複雑です。実は消費税以上に社会保障関連(年金、医療・介護、雇用など)負担が毎年3%のペースで値上がりしており、国民全般が将来への不安を抱き生活防衛(貯蓄を含め)に回っています。また、高齢者や非正規雇用者など(これに比例して貯蓄率が低下)低所得と貧困の分厚い層が社会に積もり消費活動の最大のブレーキとなっています。

 

<参考>
【東洋経済】なぜ消費低迷が続くのか?社会保障の負担も重く

【日経新聞】雇用絶好調でもさえぬ消費 賃上げ力不足、貯蓄に回る

 

●格差・貧困是正に資するための税制に向けての議論を

 

以上から、所得税や法人税、資産課税や消費税そして国際課税なども、格差・貧困是正のために抜本的に改革する必要があります。参議院選挙に臨む各政党は税制をどのような理念から政策化しようとしているのか、シンポジウムの中でともに考えていきたいと思います。

日本記者クラブ「パナマ文書」第1回&財務省への質問書

●OECD租税委員会議長・浅川財務官のお話し

 

日本記者クラブ研究会は「パナマ文書」問題を連続的に取り上げるようで、その第1回がOECD租税委員会議長である浅川雅嗣財務官のお話しでした(6月6日)。

 

浅川財務官は、パナマ文書公表については「驚くことはなかったが、BEPS(税源浸食と利益移転)の方向は正しかったし、追い風になった」と感想を述べています。また、「国境を利用した多国籍企業や富裕層の租税回避により、税の公平感・信頼感を失わせしめていることはとうてい看過できない」とBEPS取り組み等の背景について語りました。

 

同財務官はBEPSプロジェクトの取り組みを紹介しつつ、差し迫った取り組みとして、次の3課題について述べています。
 〇金融口座に関する自動情報交換について
 〇自動情報交換への非協力地域のブラックリスト作りについて
 〇実質的所有者情報と交換制について

 

◎浅川財務官のお話と質疑のもようは、ここをクリックしてください

 

 

●財務省への質問文

 

来る6月24日に第62回財務省・NGO定期協議(*)が開催されますが、ここで租税回避問題も協議できるということで、さっそく質問文を書いてみました。お気付きの点がありましたら、ご指摘ください。

 

【G7サミットを受けて租税回避の取組みについての質問】

 

1、6月30日~7月1日京都で開催されるOECD租税委員会拡大会合について

 

①「パナマ文書」公表で日本と世界とでたいへんな驚きと関心をもたらした課題ですので、財務省として正直な納税者たる市民に対してOECD租税委員会拡大会合(以下、拡大会合)に関する報告会を事前または事後に開催してください。

 

②拡大会合の主要議題の一つが、「国際的な課税逃れ阻止へ対策徹底として非協力ブラックリストの作成準備」(4月G20財務相・中央銀行総裁会議での要請)にあるようです。そこで、このブラックリスト方式はかつて2009年グローバルフォーラムが作成し公表してきた経緯がありますが、今回の予定されているブラックリスト方式は前回との違いは何であり、なぜあらためて必要なのかを説明ください。

 

2、金融口座情報の自動交換制度について

 

①金融口座の自動情報交換が2017-2018年からはじまる予定で、現在100か国程度がこれに参加しようとしていますが、とくにひとつのビルに十万社ものペーパー・カンパニーが登記しているタックスヘイブン国・地域での、例えばケイマン諸島などの税務当局の情報調査・収集能力について十分あると考えているのでしょうか(ちなみに世界第6位の金融センターであるケイマン諸島では政府機能が5階建てのビルにすっぽりと収まる程度のキャパシティしかないが)。

 

②今日先進国内のタックスヘイブンとして米国のデラウェア州などがありますが、ここが今後より大きな抜け穴になるとして問題視されています。米国に対してどのように自動交換制度への参加を図る予定でしょうか。

 

3、開発途上国を含む広範な国々が参加できる国際的枠組みの構築について

 

日本の政府税制調査会も述べているように、タックスヘイブン・租税回避で最大の被害を受けるのは開発途上国です。現在この問題はG20とOECDが先導しこれに関心を持つ途上国の参加をもって取り組まれていますが、これを国連規模の途上国を含む広範な国々が参加できる国際的枠組みへと発展させるべきではないでしょうか。そうでなければG20/OECD+アルファ諸国から漏れた国・地域が「腐敗,脱税,テロリストへの資金供与及び資金洗浄」(G7伊勢志摩サミット首脳宣言)の場になっていくからです。

 

4、内部告発に依拠しない実質的所有者の透明性の確保について

 

①G20は「実質的所有者情報の透明性」を求めていますが(4月G20財務相・中央銀行総裁会合)、ペーパーカンパニーの作成(タックスプラニングの設計)の元は銀行等金融機関であり、会計・法律事務所等であるので、まずこれらの入口を規制することにより実質的所有者を特定していくべきではないでしょうか。 

 

②日本では、国外財産調書の未提出者が対象者の約90%と推定されますが、これへの対策につき数値目標を含めどのように考えていますでしょうか。

 

(*)財務省・NGO定期協議:1997年に第1回協議会が開催されました。詳しくは、こちらを参照ください

グローバル連帯税フォーラム第6回総会開催される(5月8日)

たいへん報告が遅れましたが、グローバル連帯税フォーラムの第6回総会は、5月8日文京区アカデミー湯島で開催され、団体会員5団体代表5人、個人会員16人、オブザーバー7人の28人が参加しました(フォーラムの団体会員は10団体、個人会員は21人。欠席した会員につき個人の1人を除き委任状をいただいています)。

 

総会は2015年度活動報告ならびに2016年度活動方針案を巡り、1)活動方針にある「ほかのネットワークへの参加」について、そのメンバーは?具体的な連携はどのようになるか、2)海外のFTT推進、タックス・ジャスティス市民社会などとの連携はどのようにしているのか、3) 予算を見ても事務局体制が苦しくなっているようで、意義ある活動にもかかわらずもったいない。たとえば総会を、参加している全員でフォーラムの今後の活動を議論するような場として活用できないか。4) 金融やITの観点から、フィンテックやインパクト・ファンディング、仮想通貨といった新しい金融現象について着目して活動していってはどうかなど、予定時間を超えて熱心に議論が行われました。

 

結果は、第1号議案から第5号議案まで採択されました。総会議案書はこちらからご覧ください

 

なお、2016年度の主な活動方針は下記の通りです。

 

1、「パナマ文書」とタックスヘイブンに対する闘い

2、2017年度税制改正に対して、グローバル(国際)連帯税を求める活動

3、海外のFTT推進・タックス・ジャスティス市民社会などに連携しての活動  他

 

★フォーラムの活動を支えるために、あなたも会員になってください

 

グローバル連帯税フォーラムの2016年度の予算は、主に会員からの会費で賄われることになります。そこでみなさまも会員になっていただき、フォーラムの活動を支えてくださることを訴えます。会費ですが、団体会員は年間1口10,000円、個人会員は年間1口3,000円、学生会員は年間1口500円です。

 

会員になってもよいと考えてくださる団体・個人は、info@isl-forum.jp まで連絡ください。もとより会費面からの支援のみならず、具体的な活動(事務局の実務手伝いや翻訳など)に参加していただくことも大歓迎です。

 

報道:G7サミット、有識者47人の呼びかけ/本日の朝日新聞社説

Miki's comment 

 

 

 

 

 G7サミットに向けての有識者47人の呼びかけ」について東京新聞(中日新聞)でも取り上げられました。また、それに関連しての三木義一青学学長へのインタビュー記事もあります(左記事)。さらに、本日の朝日社説ではサミットが取り組むべき課題として、SDGsと資金問題(金融取引税など)並びに租税回避問題が提案されています。これらを以下お知らせします。

 

 

【東京新聞】「租税回避地対策に積極的な役割を 経済学者ら47人共同声明」

2016年5月26日

 

主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の開幕を前に、日本の経済学者ら有識者四十七人は二十五日、タックスヘイブン(租税回避地)を利用した税金逃れ問題に関し、議長国の日本政府に対して「有効な対策に向けて、サミットの主催国として積極的な役割を担うことを呼び掛ける」との共同声明を発表した。

 

 

【朝日新聞】(にっぽんの負担)課税逃れ、可能性は ケイマンに投資マネー

2016年5月25日

 

■日本の学者らも要請

 

 岩井克人・東大名誉教授ら日本の経済学者ら47人は25日、議長国の日本に対し、タックスヘイブン対策を積極的に進めるように求める呼びかけを発表した。

 

 呼びかけに加わったのは岩井氏のほか、西川潤・早大名誉教授、三木義一・青山学院大学長、上村雄彦・横浜市立大教授、諸富徹・京都大教授ら。

 

 

 

 

【朝日新聞・社説】持続する世界 G7の決意が問われる

2016年5月26日

 

 主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)が、きょう始まる。話し合うべきテーマは、世界経済への対応など直近の問題だけにとどまらない。

 

 世界にはびこる飢餓や貧困を克服し、国や地域を問わず人間が平穏に暮らせる地球をどう築き、将来世代に引き継ぐか。それが究極の問いだろう。

 

…(中略)

 

 サミットでもこの開発目標を取り上げ、…具体的な計画のもとで、息長く取り組みを積み重ねることが重要だ。G7がしっかりと決意表明し、必要な資金をどう確保し、行動するかが問われる。

 

 G7各国が政府の途上国援助(ODA)を着実に増やすことが望ましいが、どの国も財政難に悩む。株式などの金融取引に薄く広く課税する金融取引税の導入を独仏両国などが提唱して久しいが、景気の停滞もあって作業は進んでいない。

 

 まずは国際的な大企業や富裕層の間に広がる課税逃れを封じ込めたい。それ自体が経済格差を縮める一歩となるうえ、開発目標に充てる財源の確保にもつながりうる。

 

 その意味でも「パナマ文書」が提起した世界規模の脱税・節税問題に正面から向き合わねばならない。具体策の検討は経済協力開発機構(OECD)などに委ねるとしても、中国やロシア、インドなど新興国も巻き込みながら、税逃れへの監視網を世界全体に広げていく。G7がその旗振り役を果たすべきだ。