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民間税調設立へ「主権者たる国民が税制にもの申す」シンポジウム

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東京新聞や日経新聞で税金問題(税制)につき分かりやすくかつ鋭く問題提起している三木義一教授(青山学院大学)と『資本主義の終焉と歴史の危機』 (集英社新書)の著者である水野和夫教授(日本大学)を共同座長として、いよいよ民間税調が立ち上がります。そしてその旗揚げとして下記の要項でシンポジウムを開催します。国際連帯税や金融取引税について、またグローバル富裕税についても議論されるとよいですね。ふるってご参加ください。
 
 
    シンポジウム「主権者たる国民が、税制にもの申す」
          ―民間税調設立宣言―
 

 昨年末、密室で決められた税制改革大綱が示されましたが、私たちが安心して生活できる社会にするための税制改革なのか、きわめて疑問の多い内容でした。そこで、主権者である国民の目線から税制改革のあり方を議論してみたいと思います。

 ところで、麻生財務相は今月14日、税制の抜本的改革に向け中長期的な視点で取り組み今年夏までに「一定の方向性を示したい」と表明しましたが、これを機会に民間税調としてしっかりとした対案を示していきたいと思います。そのために民間税調は主権者としての国民の要望を取り入れて行くチャンネルを開拓していきます。2月8日はその旗上げです。

 

◎日 時:2015年2月8日(日)午後1時~ (12時半開場)
◎会 場:青山学院大学第18会議室(青山学院渋谷キャンパス総研ビ
ル10階)
     *キャンパスマップ:  
      http://www.aoyama.ac.jp/outline/campus/aoyama.html
◎参加費:無料
◎申込み:下記のアドレスにお名前、所属(あれば)をお書きの上、
     シンポ参加希望としてお送りください。
     *アドレス: yoshimikimiki@gmail.com
 
 

●シンポジウム出演者
 ・共同座長 三木義一(青山学院大学教授)
 ・共同座長 水野和夫 (日本大学教授)
 ・峰崎直樹 (東京工業大学非常勤講師)
 ・志賀 櫻( 日弁連税制委員会)
 ・田中秀明( 明治大学教授)

 

◆写真は、フェイスブック“主権者として税を考えよう”より

 

【投稿】途上国の現場から見えてきたもの:フォーラムへの参加にあたり

昨年国際連帯税フォーラムの会員となった田中健一さんからの投稿です。田中さんは多くの途上国の現場を見てきましたが「政府の意思が反映されるODAとは異なり、地域の安定を主目的とする基金のアイデア」を温めて来たところにフォーラムと出会い、国際連帯税について知ったとのことです。翻って、ODAはもともと(ドナー国の)国益に絡めとられ易い性格を有していますが、近年またぞろ日本を含めてその傾向が強まりつつあります。以下の朝日新聞に記事と併せて田中さんの投稿をお読みください。

 

【朝日新聞】(インタビュー)変貌する途上国援助 エリック・ソールハイムさん

 

【投稿】

 私は中国・北京市にある日中合弁の病院に歯科医師として勤務している田中健一といいます。振り返れば、1997年に内科医、看護師とともに編成された海外巡回医療チームの1人としてナイジェリア、コートジボワール、ガーナの西アフリカを回ったことが国による違いを考える契機でした。その後、JICA専門家としてブラジルで公衆衛生を担当したことで電気もない町にもいました。

 

 アフリカや南米では広大な国土・膨大な人口に埋もれる形で、下痢などで多くの乳幼児が死んでしまう実際があります。この現実に対し、私は傍観者もしくは翻弄されるだけの人間だったと自戒しながら日本に戻りました。すでに20年近く前の話といえないところに現在がかかえている問題があります。

 

 当初、私は生死に関係しないため国際支援と歯科は接点が少ないように思っていました。しかし、注意深く観察すると、どこの国でもアメリカ型のジャンクフードの流入により伝統的な食生活が減り、それにつれて虫歯が爆発的に増えました。マンパワー不足もあり、この疾病構造の変化に多くの国は付いていけないのが実際であり、支援が求められる所以です。こうして、海外との接点を有していくうち、現地に多くの知己を有するようになり、議論の場に入れるようになったのです。

 

 そんな経緯から、私は自分の専門をこえて、関係した国々がかかえる問題を垣間見る機会をえました。同じ国の中にあっても、地域毎に振り分けられる予算に違いがあるのは、政権党ではない地盤だから、反政府の拠点だから、異民族だから、などそれぞれ理由はあります。途上国といわれる国ではBHN(Basic Human Needs)など本来、国民として享受できる公衆衛生サービスが得られる仕組みができていない、往々にしてこれは国の悪いガバナンスによるものとされますが、政府予算に目を転じれば国が抱える膨大な対外債務など、その国に課せられた制度的なものも大きく関係していることが見えてきました。

 

 また、グローバリゼーションによりもたらされた負の側面として、国をまたぐ感染症に対して各国協調だけでは立ち行かないこと、新自由主義的な風潮の流れに伴う規制緩和により、本来、政府が担うべき防疫の機能が縮小したこと、もあることがわかりました。いみじくも2003年、北京で発生したSARSはまさに現場の1人として対応にあたりましたので、その思いを強くしました。

 

 そんな経験から、政府の意思が反映されるODAとは異なり、地域の安定を主目的とする基金のアイデアが浮かびました。各国が資金を持ち寄り、一国をこえ域内の安全のために共同資金として、使うことができる、そんな仕組みが求められると考えたのです。さらに集めた共同資金は自国政府ではなく、域内の元首を経験したものらにより構成されるある専門の会(元老院や顧問委員会というイメージ)で管理され、大所高所からその資金の使途を決定できれば良いと考えている人間です。

 

 でも具体的にその財源はどこに求めればよいのだろうと考えてきました。税なのか保険なのか、さらには篤志家によるものなかです。フィリピン、マレーシア、ベトナム、タイ、インドネシア、ドイツ、フランスにある日本人学校や幼稚園での保健指導、各日本人会との健康相談会で私の問いを日本大使館、在外企業、現地の団体などで発してきました。そんな時に出会ったのが貴会でした。

 

金融取引に課税する、航空券に課税するというのは私にとって斬新なアイデアでした(さらにアジアでいえばクルージングなど遠洋航海で国をまたぐ場合も候補として良いと思います)。その後、自治労会館でのピケティの勉強会、青山学院大学での金融取引税シンポジウムに参加させていただき、金融取引税の制度的・法的な創設にむけ私もその一員になり、専門の方々と意見交換をしたいと考えました。こんな想いから、貴会への参加を希望させていただいた次第です。

 

★写真は、フィリピン・マニラの幼稚園で保健指導を行う筆者・前列右(14年6月 歯科巡回指導)

グローバル富裕税(ピケティ)か奢侈税(ゲイツ)か、2段階課税か

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日本でも「君は“21世紀の資本”を読んだか?」が日常の合言葉となりそうなほどに、トマ・ピケティ旋風が吹き荒れつつありますが、ハフィントンポストで下記のような興味深い記事が載っていましたので紹介します。

 

それは、米の大富豪ビル・ゲイツ氏のピケティ『21世紀の資本』への感想で、以下のポスト記事のタイトルにあるようなものです。

 

ビル・ゲイツ、トマ・ピケティの『21世紀の資本』に共感するも「富裕税への増税には賛成できない」

 

【本文の一部】
ゲイツ氏はピケティ氏が、…富裕層をひとまとめにしている点は間違っていると主張した。そして、例えとして「ひとりは企業に投資し、ひとりは慈善活動に充て、ひとりは贅沢な生活に使っている」3人の富豪を挙げ、「最後のひとりの生活に問題はないが、しかし他の2人より多くの税金を払うべきだと思う」と書いている。

 

つまり、ゲイツ氏は贅沢な生活をしている富裕層に奢侈税(日本でかつてあった物品税)を課せというものです。そのことには全面的に賛成ですが、企業投資や慈善活動についてどうも節税対策に使われている形跡があり、その線引きが難しいですね。

 

日経ビズネスの載った岡直樹さんの『ピケティと同じ手法で「日本の富」を分析してみた! 日本でも納税者の0.1%に富が集中する傾向が顕著』というレポートによれば、ゲイツ氏のような米国のTop400(Top0.1%を含むウルトラリッチ)の全体の所得からの控除を見ると、1)グローバルな経済活動からの控除、2)寄付金控除が、日本のTop400より断然大きいとのこと。

 

日本でも納税者の0.1%に富が集中する傾向が顕著

 

米国の場合、こうした控除に加えて自分の事業(パートナーシップ及びS法人)を大きく赤字申告して節税しているとのことです(日本の場合は、主な所得は株式からの譲渡益とのことで、その分節税がやりにくいと言えるか?)。

 

ちなみに、米国のTop400とは一人平均3億4000万ドル=413億円の所得のある人で、日本ではその10分の1程度(2007年)。さらに、実効税率はここ数年日米ともざっくり15~20%程度です(日本の場合、課税所得が5000万円を越える人には45%の所得税がかかるはずだが、株の譲渡益への課税20%が分離課税となっているため実効税率が落ちるのでしょうね)。

 

ついでに、ウォールストリート・ジャーナルでは上位1%富裕層はどんな資産を持っているのか 米調査」というレポートが載っています。これも興味深いですね。

 

米国民の富裕層上位1%(純資産額780万ドル=約9億4000万円以上)の総資産の約半分は、法人化されていない企業の資産や自宅以外の不動産が占める。さらに27%は株式や投資信託などの有価証券で保有されている。自宅関連資産の割合はわずか9%だ。

 

ところで、このメールのタイトルを「グローバル富裕税か奢侈税か、2段階課税か」と書きましたが、この2段階課税とは次のような諸富先生の提案からのものです。

 

【朝日新聞】(2014衆院選)税に思想はあるか 諸富徹さん

 

 ――国境を越えて所得税や法人税を把握することが難しくなるなか、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏らは、国際的な資産課税による格差是正を提案しています。

 

 「確かに格差拡大は問題ですが、短期間でピケティ氏のプランが実現することはないでしょう。私は二段構えでいくべきだと考えています。まずは、国内の税制を極力公平なものにする努力をし、税収はきちんと人への投資と再配分に充てる。その上で、グローバルに活動する企業や金融所得に対して、グローバルな課税の枠組みをつくっていくのです」

 

 「欧州連合(EU)が始めようとしている金融取引税はその一歩です。利益ではなく取引額に税を課すものですが、銀行や証券会社の取引記録を把握することから、将来、所得や利潤をつかむ第一歩になる。日本もこうした動きと無縁ではいられませんが、まずはEU加盟国並みの付加価値税率を備えた税制を組み立てることが課題です」

 

◆写真は、ハフィントンポストより

パリからうれしい便り:オランド大統領、広範なベースの金融取引税を指示

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国際FTT(金融取引税)電話会議の連絡・まとめ役である米国・IPSのサラ・アンダーセンから以下のようなメールが届きました(1月5日付)。このメールにもありますように、パリからの報告によれば、欧州11カ国FTT実施につきブレーキとなっていたフランスが、キャンペーン側の熱心な取組みもあり、ようやくデリバティブ取引を含む広範な(課税)ベースのFTTに向けて動き出そうとしているようです。

 

【サラ・アンダーセンからのメール】

 

新年おめでとうございます。スケジュールが立て込んでいるため、次回の国際FTT電話会議は1月8日ではなく、東部時間1月15日(木)午前9時から行われます。

 

 フランスのキャンペーン推進者であるPLUS連合のハリル・エルアルディギから送られてきた下記の励みとなる情報を皆さんと共有したいと思います。たぶん皆さんもご存じのように、世界初の地域版FTTについて交渉しているEU11ヶ国の政府は税の設計について2014年末の締め切りまでに合意できませんでした。道をふさいだ主要な問題は、少なくとも最初の段階では株取引への課税に限定したいという政府と、デリバティブのほとんどを含むより広範なベースのものを支持する政府との間の意見の相違でした。ドイツと他のいくつかの政府はより広範なベースの税を強く主張しましたが、フランスはより限定的なモデルを強く要求しました。

 

下記のハリルの報告にあるように、広範なベースの税を支持する120人の社会党の国会議員による署名だけでなく、主要メディアの報道につながった熱心な取り組みのおかげで、フランス側で新しい動きが見られるようです。2015年のスタートを飾るよいニュースです!                                                                                                        

                                  敬具

サラ・アンダーソン(IPS:政策研究協会)

 

●ハリルより:

フランス大統領は今朝のラジオ・インタビューで次のように述べました。

 

- フランスは、自国の銀行のためにFTTに例外を持ち込もうと試みている国の一つだと非難されてきました。

- 大統領はミッシェル・サパン財務大臣に、EC(そこでは敏感な市場を引きつけるために税率を低くすることが必要)によって提案されたものよりさらに低い税率の非常に広範なベースのFTTをめざして骨を折るよう要請した。

 - 大統領はミッシェル・サパン財務大臣に、交渉を再開し道をふさがないことについて、FTTの強化された協力枠組みに加わる国々の財務大臣会合を準備するよう要請した。

 

この大統領から財務大臣への働きかけは、昨年の夏以前からフランスのキャンペーン・グループが求めてきたもので、私たちのメッセージがメディアに伝わる中で、私たちの過去数週間/数ヶ月間の成功が引き出したものです。(ゾフィーとマガリに特別の感謝の気持ちを込めて)

 

 ハリル

Khalil Elouardighi

Responsable du Plaidoyer

PLUS, Coalition Internationale Sida

 

ここにフランス語でのインタビューのリンクがあります。FTTものは6分40秒あたりからはじまります(すべてフランス語でゴメン)。

 

                         (翻訳:PSI事務局)

 

◆写真は、左上がPLUS連合のロビンフッド・タックス(FTT)キャンペーンのロゴ、中がラジオ局のインタビューに答えるオランド大統領

 

【原文】

Happy New Year! Because of a scheduling conflict, the next international FTT call will be Thursday, Jan. 15 at 9 am Eastern instead of Jan. 8.

 

I also wanted to share the encouraging note below from French campaigner Khalil Elouardighi of Coalition PLUS. As you likely know, the 11 EU governments that are negotiating the world’s first regional FTT missed an end-of-2014 deadline to agree on the design of the tax. The main roadblocks were differences between those that wish to limit the tax to shares transactions at least at a first stage, and those that support a broader base covering most derivatives. Germany and several other governments have advocated strongly for a broad-based tax, while France has pushed for a more limited model.

 

As Khalil reports below, there appears to be some movement now on the French side, thanks to hard work that has resulted in great media coverage, as well as a letter signed by 120 socialists MPs in support of a broad-based tax. Great news to start out 2015!  

 

Best, Sarah Anderson, Institute for Policy Studies

 

 

  • From Khalil:

The French President said this morning in a radio interview that :

 

- France has been one of the countries guilty of trying to carve out exceptions to the FTT in order to favour its national banks ;

 

- he has now asked French Finance Minister Michel Sapin to shoot for a very broad FTT, with lower rates than proposed by the EC where lowering the rates is necessary in order to capture sensitive markets ;

 

- he has asked Sapin to organise a meeting of the Finance Minister from the FTT ECP countries, about re-starting/unblocking the negotiations ;

 

This intervention from the President upon the Finance Minister is what the French campaign has been asking for since before the summer, and derives from our successes these past few weeks/months in getting our messages out in the media (big thanks to Sophie and Magali especially).

 

Khalil Elouardighi

Responsable du Plaidoyer

PLUS, Coalition Internationale Sida

27年度税制改正大綱>三たび国際連帯税盛り込まれず

みなさま、新年明けましておめでとうございます。

 

さて、12月30日(与党の)平成27年度税制改正大綱が発表されましたが、残念ながら今回も大綱に国際連帯税が盛り込まれませんでした。これで平成25年度より3年連続して大綱から外されたことになります。

 

ところで、昨年の大綱では、12年8月に国会で成立したいわゆる「税制抜本改革法」を取り上げ「(この法に示されている中長期的な)課題について検討を進め、所要の措置を講ずる。また、今後、内外の社会情勢の変化を踏まえつつ、担税力に応じた新たな課税について検討を進める」と記述し、国際連帯税についての“とっかかり”を残していました。なぜなら、「税制抜本改革法」の中に検討課題として国際連帯税も含まれていたからです。

 

しかし、今年はその“とっかかり”もかなり影の薄いものになっています。というのは、今回の大綱では特段の脈略もなく(「税制抜本改革法」の記述もなく)「また、わが国の経済社会の変化や国際的な取組みの進展状況等を踏まえつつ、担税力に応じた新たな課税について検討を進めていく」という記述だけとなっているからです。

 

翻って、昨年10月14日国際連帯税創設を求める議員連盟は、安倍総理にあてた『平成27年度税制改正に向けた「国際連帯税」に関する要請書』を提出しました。この申し入れには高村自民党副総裁や谷垣同党幹事長など自民党の実力者も多く参加していましたが、党側の意向より官邸側(総理&官房長官)の無関心が勝ったのでしょうか。

 

ともあれ今大綱は昨年よりさらに後退してしまったと言えますが、全般的に与党のみならず各政党において国際連帯税に関する関心が後退していることも否めません。実際、先の衆院選挙での各政党の公約・マニフェストを見ますと、国際連帯税を打ち出していたのは共産党だけでした。2年前の衆院選挙では、自民、公明、共産、社民が打ち出していましたが。

 

国際連帯税フォーラムとしてはこうした動向を踏まえつつ、「グローバル連帯税推進協議会(第2次寺島委員会)」を盛り上げつつ理論的諸問題に取り組むとともに、あらためて市民的世論を高めていく活動に力点を置いていきたいと考えています。今年もどうぞよろしくお願いします。

欧州11カ国金融取引税、実施要綱の合意は越年へ!

オランド

 

ご案内のように、欧州11カ国金融取引税は「本年末までに制度設計と立法化を終了する」予定でしたが、12月8-9日のECOFIN(欧州財務相理事会)で最終合意が図られず、合意が先送りとなりました。

 

この背景には、「株式にのみ課税することを進めるべき(従って、デリバティブ取引への課税は当面考えない)」というフランスと「デリバティブ取引への課税を含む野心的で広範な課税を求める」というドイツならびにオーストリアとの対立があるようです。そもそも5月6日ユーロ圏財務相会合で「株取引と一部デリバティブ取引への課税からはじめる」と合意したはずですが、フランスが後退しました。

 

世界に先駆け航空券連帯税を導入し、さらに2012年には(ミニ)金融取引税を導入して途上国支援を行ってきた「革新的資金調達のためのリーディング・グループ」のチャンピオンであるフランスが、今回の11カ国金融取引税導入問題でブレーキ役になっていることは何とも残念です。

 

ところで、ロイター通信は、年末までの合意ができなくなったので「2016年初めの導入計画が予定通りに実行できない可能性が出てきた」と報道していますが(A)、フランスは「2015年の早期に合意に達したい」と言明しています(ロイター通信B・C)。また、「(その合意は)金融取引税への第一歩」であると述べ、更なるステージを認めています。ですから、「2016年初めの導入」が不可能ということではありません。

 

 12月8日、欧州の市民4カ国の首都でいっせいアクションを行う

 

 8-9日のECOFINに向け、8日欧州の市民・社会運動団体は4カ国の首都(Paris,Berlin, Rome and Madrid)でいっせいにアクションとメディアワークを行いました。そのもようについては以下をご覧ください。

写真を見る:ここ

 

こうした市民・社会運動団体からの圧力もあり、11カ国は「野心的ではないFTT」での合意を取らなかった、とも言えます。

 

本日(10日)欧州の市民・社会運動団体は現状分析と今後について電話会議を行っています。その報告が週末には届くと思いますので、あらためて欧州11カ国FTTの展望について探ってみます。

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【A】ユーロ圏の金融取引税導入計画、年末までの合意困難に=外交筋 

 

 [ブリュッセル 8日 ロイター] – 外交筋が8日明らかにしたところによると、ユーロ圏11カ国は他の加盟国に先行して導入を検討している金融取引税(FTT)について、年末までに合意できない見通しとなり、2016年初めの導入計画が予定通りに実行できない可能性が出てきた。

 

 この計画は9日の財務相会合で承認される予定だったが、法案の準備を進めている外交筋によると、課税方法をめぐる見解の溝が埋まっていないという。

 

 外交筋の1人は「年末までの合意は不可能だ」と指摘した。また、2016年の導入計画にどのような影響を及ぼすかとの質問に、別の外交筋は「かなりの政治的意志が必要になるだろう」と語った。

 

【B】France seeks to keep EU ‘Robin Hood tax’ plan despite missed deadline

 

【C】Eleven euro zone countries want financial tax deal in early 2015 -France 

 

◆写真は左がベルリンでのイメージクリエイト&メディアワーク(首相府へ投影)。画面は、金融取引税:どちら側を選びますか? (天使)貧困と気候保護のために何とかしてください! (悪魔)銀行で聞いてください!  右はパリでのアクション。

気候変動・温暖化対策「適応資金」、途上国に最大年間60兆円必要

 

現在ペルーのリマで第20回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP20)が開催されていますが(12月1日~10日)、国連環境計画(UNEP)は5日気候変動・温暖化による途上国の被害への対策である「適応」のための資金について、2050年までに2500~5000億ドル(約30~60兆円)に達する恐れがあるとの報告書を公表しました。

 

ところで、2009年に開催されたCOP15で、長期(適応)資金として2020年までに1000億ドルを先進国は拠出することを決めていますが、この1000億ドルすら目途
が立っていません。そういう中での、いっそうの増額が求められていますので、先進国はあらゆる方法で拠出額を増加させていかなければなりません。

 

ODAの対GNI比0.7%拠出という国際目標の達成はもとより、金融取引税や国際炭素税などの革新的資金メカニズム、その他によって。ちなみに世界のODA拠出はGNI比0.29%で1254億ドルですから(2012年)、0.7%拠出となれば3028億ドルの拠出となります。従って、ODAから半分の1500億ドル、革新的資金メカニズムから1000億ドル拠出できれば、最低の2500億ドルをクリアーできるでしょう。

 

ともあれ、UNEP報告につき毎日新聞の報道とリマに行っているWWFジャパンの小西雅子さんの報告を送ります。

 

【毎日】温暖化被害:気温2度未満抑制達成でも途上国に年60兆円
…前略
 (適応のための対策として)例えば、バングラデシュなど南アジアでは食料確保や洪水対策などの費用で、10~50年の年平均で400億ドルかかるという。また、マダガスカルでは、巨大化するサイクロンに備え、襲来する季節の前に収穫できるイネの開発費が多額に上る。コロンビアでは、被害軽減策の基礎データとなる環境異変を評価するための人材育成への投資も必要と指摘している。
…後略

 

【WWFブログ】気候変動への「適応」にかかるコストは?
…前略
その(UNEPレポート)内容は、世界の国々が「適応」のため必要とする資金額は、これまでの想定を大きく上回るという衝撃的なものです。
…中略
この規模は、これまでIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の評価に基づき「2050年までに毎年700~1,000億ドル(85~120兆円)」と予測されていた金額の、4~5倍に相当します。
…後略

 

増大する円安倒産:急激な為替変動には金融取引税が有効だ

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10月末に突如行われた日銀の追加金融緩和などにより急激に円安が進行し、わずか1カ月の間に10円強も円安になっています。その結果、円安倒産が急に増えてきており、来年以降倒産が本格化するのではないか、と言われています(ロイター通信…【1】)。

 

もとより、苦しいのは輸入関係の企業だけではなく、今回の円安により輸入物価が上昇し、消費税増税と相まって我々庶民の生活も苦しくなっています。賃金が多少上がってもそれ以上に物価が上昇していますので、15カ月連続して実質賃金が下がってきています。

 

では、今後この円安の傾向はどうなっていくのかといいますと、「『歴史的円安』を招く」だろうというのが、みずほ銀行チーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔氏です(ロイター通信…【2】)。

 

唐鎌氏は、その理由として、これまでの円安局面時期とは異なり、「巨大な貿易赤字と大幅なマイナス金利」が定着しつつあるから、と言っています(これに今後開くであろう米国と日本の金利差も強力に影響していくるでしょう)。

 

とするなら、もうひとつの為替相場を動かしているアクターのヘッジファンドなどの投機筋がどう動いてくるかですが、当然趨勢として円安が進行するとの予測が立つなら、徹底して空売りを仕掛けてくるでしょう。実際、1か月足らずで10円も円安になっている背後にはすでに投機筋が動いていることには間違いありません(唐鎌氏のみならずいわゆる金融系エコノミストたちの分析には投機筋の動向がネグレクトされることが多い)。

 

ところで、円とドルの取引は1日当たり100兆円にも上っています(東京市場での取引は世界全体の2割)。そのうちのどれだけが空売りでの取引を行っているか分かりませんが、ヘッジファンド等が一斉かつ一方的に円売り・ドル買いを行えば、円安(ドル高)はとめどなく進行していくでしょう。

 

これを止めていくためには、まず日銀の異次元緩和なる劇薬政策をストップさせるともに、投機を抑制するツールとして金融取引税を実施すべきだと思います。

 

なお、東京外国為替市場での外資系金融機関と日系金融機関との取引高は、2013年で3:1となっています<日銀:外国為替およびデリバティブに関する中央銀行サーベイ (2013年4月中取引高調査)について:日本分集計結果>。従って、日本で金融取引税(為替=通貨取引税)を導入した場合、東京市場だけでも課税全体の4分の1が日系金融機関の取引に、4分の3が外資系金融機関の取引に課せられることになります。

 

他の為替市場(ニューヨークやロンドンなど)での日系金融機関の(円ドル、円ユーロほか)取引割合は分かりませんが、例えばドル/円取引だけでも1日80兆円もの取引があり、それへの課税対象の多くは外資系金融機関になるものと思われます。

 

【1】2倍の速度で進む円安、前回円高時に比べ関連倒産件数は3倍超

 円安が猛スピードで進んでいる。2007年からの円高は4年かけて40円の円高が進んだが、今回は2年で40円の円安となった。倒産は円高、円安どちらでも発生するが、企業が対応に困るのは為替変動のスピードが速い場合だ。

 

 円安倒産は中小・零細の輸入企業が多いため1件当たりの負債総額は小さいが、件数は円高倒産に比べ3倍以上。足元の急速な円安による倒産増加が警戒されている。

 

【2】コラム:「歴史的円安」を招く2つの増幅装置=唐鎌大輔氏

 

◆ポスターはオーストラリアのロビンフッド・タックス(金融取引税)キャンペーンより

 

 

グローバル連帯税推進協議会(第2次寺島委員会)立ち上がる!

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第2次寺島委員会の第1回会合は、17日午後3時30分より参議院議員会館会議室で開催されました。出席者は、委員側が寺島実郎座長以下9人、オブザーバーは外務省以下5人、でした(出席者は下記をご覧ください)。また、国会議員は藤田幸久・議連会長代行、石橋通宏・議連事務局長が、そして特別に津島雄二先生(初代議連会長)が出席されました。以下、会合のもようを簡単に報告します。

 

1、あいさつ

 

会合は、金子文夫委員の司会の下、議連を代表して石橋通宏事務局長と委員会を代表して寺島座長が次のようにあいさつされました。

 

・石橋議員: 議連として何としても国際連帯税を税制大綱に書き込ませようと活動してきている。あらためて国際連帯税の目的と具体的な税制について考えたい(併せて、名称問題についても)。

 

・寺島座長: 前回の委員会より話が一巡し、新しい状況に。グローバル化という状況で、とくに影の部分へのガバナンスの問題が問われている。その証左がエボラ熱問題。私自身海外への出張が多くいつウィルスを運ぶ主体となるかもしれない。これらの問題に政策科学として対処していくことが必要。フランスが主導する航空券税は時宜に叶っている。…国境を越える移動や取引に広く薄く課税しその責任を負担してもらう。世界の動きをにらみながら、とくに欧州のFTT(金融取引税)と連携することも必要。現在議連は実に豪華なメンバーで構成されているが、今回の委員会としてリアリティーのある議論を行い、その成果を議連に提示していく。

 

2、第1回会合の議事議事次第はこちら )

 

1)【提案】委員会の名称と検討内容の確認、グローバル連帯税の定義について

2)欧州金融取引税(FTT)についての調査報告

 

<決定したこと>

委員会の名称については、「グローバル連帯税推進協議会(第2次寺島委員会)」とする。理由としては(定義に関わることですが)、資金調達の性格につき、「(チャリティーを含む)自主ファンドとかではなく、基本的に強制力を持った枠組みを作るべき」(寺島座長)。もちろん、例えば航空券税に関し名称として「タックス」を使用しない形での柔軟性は考えられる。

 

「具体的検討内容」と「検討期間と報告書づくり」「次回以降の会合の検討テーマ」等については、「議事次第」と「提案」を参照ください。次回は1月とし、日程は今後決めていきます。なお、「グローバル連帯税の定義」については、今後の具体的テーマの検討の中で引き続き議論していくことになりました。

 

3、津島雄二先生の提案

 

先生は、危機感をもって航空券税の導入を訴えました。それはエボラ熱問題で「これが中国に入ってくるようであれば、日本も危ない。航空業界や観光業界はもっと危機感を持ち、真剣に対応すべきだ」、と。これに対し、内海孚先生が、「津島先生の意見に同感である。すぐにアクションを取るべき」とコメントされました。

 

《国際連帯税フォーラムは両先生の提起を受けて、20日に全国会議員を対象に「総選挙公約に『エボラ出血熱に対応するために航空券連帯税を導入します』を入れ、パンデミックを食い止めよう!」などのニュースレターを発行します》

 

【委員側出席者:敬称略】

・寺島実郎(日本総合研究所理事長、多摩大学学長)〔座長〕

・石橋通宏(参議院議員/国際連帯税創設を求める議員連盟事務局長)

・稲場雅紀(「動く→動かす(GCAP-Japan)」事務局長)

・上村雄彦(横浜市立大学国際総合科学群 教授)

・内海 孚(元財務官)

・金子文夫(横浜市立大学名誉教授)

・木村瑞穂(未来バンク事業組合事務局長)

・小西雅子(WWF ジャパン気候変動・エネルギープロジェクトリーダー)

・佐藤克彦(国際公務労連日本協議会事務局長)

・田中徹二(国際連帯税フォーラム代表理事)

 

【オブザーバー出席者:敬称略】

・外務省 国際協力局地球規模課題総括課 首席事務官 高田勝信

・財務省 国際局開発政策課 課長 武藤功哉

     主税局調査課 外国調査第一係長 辰己智人

・金融庁 総務企画局 参事官 齋藤通雄

・環境省 地球環境局国際連携課 課長 瀬川恵子

 

◆写真は、冒頭あいさつする寺島座長と第1回会合の風景

欧州の金融取引税 日本も導入急ぐべき 横浜市大・上村雄彦教授

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11月5日付神奈川新聞の「論説・特報」欄に『注目される国際連帯税・欧州金融取引税 日本も導入を急ぎたい』と題して、上村雄彦・横浜市立大学教授へのインタビュー記事が掲載されています。どうぞご覧ください。

 

注目される国際連帯税・欧州金融取引税 日本も導入を急ぎたい

 

 貧困、格差、温暖化、感染症など地球規模の課題の解決のため、安定した資金を確保する国際連帯税の必要性が指摘されている。欧州11カ国は5月、国際連
帯税の一手法として金融取引税を2016年1月までに導入することを決めた。

 

 ギャンブル(マネーゲーム)経済を抑制しつつ、大きな税収を上げようという歴史的な試みだ。8月から9月にフランス外務省、欧州委員会などを訪問し、最新の動向を調査してきた横浜市立大学・学術院国際総合科学群の上村雄彦教授(49)に国際連帯税、金融取引税の意義と課題を聞いた。
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◆写真は、国際連帯税を提唱し航空券連帯税の導入など大きな役割を果たしたシラク元フランス大統領(手前)と上村雄彦横浜市大教授(左)