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【ご案内】コロナ時代の国際保健への日本の取り組みに関する院内集会

WHO(世界保健機関)が新型コロナウイルスの緊急事態宣言を出してから本年1月で2年目を迎えましたが、いぜんとしてパンデミックは収まりそうにありません。

 

●WHOの活動予算は「先進国の中規模病院ほどの額」(テドロスWHO事務局長)

 

パンデミックが収まらない要因のひとつがグローバルヘルス(国際保健)への圧倒的資金不足です。感染症との戦いの中核を担うはずのWHOすら「予算は22~23年の2カ年に61億ドル(約7千億円)と『先進国の中規模病院ほどの額』(テドロス氏)」という有様。しかも「加盟国による拠出金は全体の2割弱にすぎず、残りは民間の慈善団体などからの寄付に頼る」(1月30日付日経新聞)という状況【注】。

 

このこと一つとっても5億人を超えて今なお拡大し続ける感染症を克服できないことは明らかです。資金の抜本的拡充、パンデミックへの途上国支援を含む公正なルールを求めて超党派の国会議員とともに緊急院内集会を開催します。

 

●基調講演は國井修さん(ローバルヘルス技術振興基金(GHITファンド)CEO)

國井修氏

 詳細は以下をご覧ください。前グローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)戦略投資効果局長で現グローバルヘルス技術振興基金(GHITファンド)CEOの國井修さんが基調講演を行います。

 

【注】WHO改革、資金不足が足かせ コロナ緊急事態2年

 

 

      (ご案内)2022年5月12日 午前10-11時

   コロナ時代のグローバル・ヘルス(国際保健)への    

     日本の取り組みに関する緊急院内集会

 

◎日時:2022年5月12日(木) 午前10時~11時
◎会場:参議院議員会館1階102会議室(オンラインでの中継実施)
◎主催:緊急院内集会 実行委員会
※参加団体(50音順):アジア太平洋資料センター(PARC)、アフリカ日本協議会、グローバル連帯税フォーラム、新型コロナに対する公正な医療アクセスをすべての人に!連絡会、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、日本リザルツ

 

◎定員:会場直接参加については、感染症対策上、15名とします。
    (※オンライン参加については、特段、定員は設けません)
◎申込:次のリンクからご登録ください。 http://ow.ly/3Ieo30sht1B 
◎問合せ:(特活)アフリカ日本協議会(担当:稲場・小泉)
     電話:03-3834-6902、Fax:03-3834-6903
     メール:ajf.globalhealth@gmail.com 

 

★新型コロナウイルス感染症(以下「コロナ」)で、グローバル・ヘルス(国際保健)は新たな時代を迎えました。世界で、日本で、コロナはまだ終わっていません!

 

★パンデミックにより、グローバル・ヘルスは世界の安全保障上の重要課題となりました。また、富裕国と貧困国の「ワクチン・医薬品格差」が明らかになりました。格差を放置すれば、その悪影響が「変異株の蔓延」などの形で全世界に及ぶこともわかりました。

 

★パンデミックにより、エイズ・結核・マラリア、母子保健などへの取り組みが後退しています。パンデミック下で保健の取組が成果を上げるには、より多くの費用がかかることもわかりました。

 

★コロナの収束や新たなパンデミックへの備えに向けて、超党派にて、グローバル・ヘルスへの取り組みを強化し、資金を増やし、日本と世界で「いのちを大事にするしくみと文化」を育むため、院内集会を開催します。

 

★集会では、グローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)の戦略投資効果局長を務め、本年から日本の「グローバルヘルス技術振興基金」(GHITファンド)のCEOを務める國井修氏が基調講演を行います。

 

★本集会の開催にあたって、実行委員会に集まる市民社会は、コロナ時代のグローバルヘルスの重要性に鑑み、国際保健分野へのODAの増額や「国際連帯税」等の導入も含め、国際保健への資金を倍増すること、世界の医療アクセスの格差をなくし、途上国への技術移転の促進や緊急時の知的財産の共有をルール化して、世界全体で必要な医薬品を製造できるようにしていくこと、そのための世界のルール・メイキングに日本政府も積極的にかかわること、を求めます。

 

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◎集会呼びかけ人(4月14日現在)

  • 自由民主党  衛藤征士郎衆議院議員、武見敬三参議院議員
  • 立憲民主党  石橋通宏参議院議員、田島麻衣子参議院議員
  • 公 明 党  古屋範子衆議院議員
  • 国民民主党  古川元久衆議院議員

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◎プログラム
・基調講演:國井修 GHITファンド(グローバルヘルス技術振興基金)最高経営責任者(元グローバルファンド戦略投資効果局長)
・国際保健に関わるNGO/NPOや政府からのコメント
・国会議員や参加者によるディスカッション等

※國井修さんの写真はGHITファンドのwebサイトより

 

毎日新聞『余録』で国際連帯税、「富の再分配と投機抑制」で連帯を

昨日(3月7日)の毎日新聞朝刊一面のコラム『余録』にトービン税や国際連帯税の記述がなされ、上村雄彦横浜市大教授のコメントも載っています【注】。タイトルが「所得税の確定申告手続きがたけなわだ…」となっているので、見逃された方も多いと思います。以下、簡単にまとめます。

 

▲効果が見えやすい税のアイデアが生まれたのは、今から50年前の1972年だった。外国為替市場の取引に各国が共同で課税し、投機マネーの流入を抑えるものだ。…ノーベル賞を受賞した経済学者トービンが唱えた。

 

▲この案をベースにした「国際連帯税」構想がコロナ下で注目されている。株や為替などの取引に各国が課税し、税収を途上国支援に充てる。先進国の金融緩和でマネーゲームの様相が色濃くなった一方、途上国では貧困層の暮らしが悪化したためだ。

 

▲日本でも導入を求めて活動しているNGOがある。メンバーの横浜市立大教授、上村雄彦(うえむら・たけひこ)さん(56)は国連職員としてパキスタンの農村支援に携わった経験が忘れられない。…上村さんは「格差が広がる今こそ先進国は世界の富の再分配を主導すべきだ」と語る。

 

▲ロシアのウクライナ侵攻で原油価格が急騰し、途上国には物価高ものしかかる。世界が連帯する必要性は一段と高まっている

 

<原油価格急騰と投機マネー>

 

ところで、この原油価格の急騰ですが、本日1バレル140ドル近くまで急伸し、「2008年7月以来、約13年8カ月ぶりの高値を付け」(3月7日付日経新聞電子版)ました。その背景として欧米がロシアからの原油輸入の禁止を検討しているからとのことです。しかし、実際のところ投機マネーが少々の需給ひっ迫を最大限利用してどんどん原油先物市場に入り込んでいるからです。

 

かつて原油トレーダーでもあった豊島逸夫氏は次のように述べています。「市場が恐れていた事態が起こりつつある。百戦錬磨であるニューヨーク市場参加者の顔が昨晩は青ざめた。原油先物価格が1日で11%も暴騰し、もはや投機マネーの空中戦と化している」(3月2日付日経新聞電子版「核とスタグフレーション懸念の共振」豊島逸夫)。市場参加者が青ざめた3月1日のWTIでの原油先物価格は約109ドル。もはや原油先物市場は(小麦を含む他の国際商品も)ウクライナ危機を奇貨として投機筋のマネーゲームの修羅場(というより鉄火場)となっているのです。

 

マネーゲームを抑制するには、トービン税はじめさまざまな規制が必要となっています。他方そうした税制が実現されればばく大な税収をもたらします。これをコロナ・ワクチンほかの国際公共財のための資金調達として途上国支援を行うことができます。

 

【注】

(余録)所得税の確定申告手続きがたけなわだ…

https://mainichi.jp/articles/20220307/ddm/001/070/145000c 

 

J・トービン

経済学者のジェームズ・トービン(右)、岩井克人氏(左)と並ぶ宇沢弘文氏(1985年ころ、東京)
<2014年9月26日付 日経新聞電子版より>

寺島実郎氏「国際連帯税からグローバル・タックスへ」(『世界』誌より)

すでにお知らせしていますように、このところ著名な経済学者・専門家などが国際連帯税や金融取引税について発言するようになりました(以前はそうでもなかったのですが)。慶応大学・政府コロナ分科会の小林慶一郎氏、一橋大学・政府税調委員の佐藤主光氏、元日銀理事の早川英男氏、アライアンス・フォーラム財団・元内閣府参与の原丈人氏など。
 
 
そういう中で、いち早く(2008年G8洞爺湖サミットの頃から)国際連帯税に賛同し、これを広めてくれたのが(財)日本総合研究所会長の寺島実郎氏です。
 
 
●新局面の資本主義に新しいルールを
 
 
その寺島氏が、月刊誌『世界』3月号の連載コラム「脳力のレッスン」であらためて国際連帯税について発言しています。コラムのタイトルは「『新しい資本主義』への視界を拓く」。今月号はその4回目とのこと。内容を簡単に見てみましょう。
 
 
まず資本主義の歴史的な経緯について。寺島氏はこれまで「資本主義の歴史とその現代的変質を考察してきた」と述べ、冷戦の終焉を境に資本主義は次のように局面を転換した、と。それは「新自由主義」を通奏低音として情報技術革命と金融技術革命を経てきて、「途方もないエネルギーが蓄積しつつある」と見る。
 
 
金融の方は行き過ぎたマネーゲームを常態化し、情報の方はデジタル資本主義の様相を示し、しかし資本主義社会の光となるか影となるか分からない状況となっている、と。このことから、寺島氏は「新局面に入った資本主義には、新しいルールが必要なのである」と述べています。
 
 
●国際連帯税からグローバル・タックスへ
 
 
さて、金融の方のルールとしては、「国境を越えた金融取引の制御という」トービン税構想があり、これがさらに国際連帯税へと進化してきたこと。2008年には日本でも「国際連帯税創設を求める議員連盟」が設立され、その下に2回にわたり(2009年と2014年)有識者会議が設けられ、寺島氏が座長を務め報告書を作成し【注1】、国際連帯税実現に向け奮闘してきたことが述べられています。しかし、国際連帯税が日本で実現せず、世界的にも一部の国でしか実現してきませんでした。
 
 
ところが、寺島氏は今日「国際連帯税は『グローバル・タックス』というべき方向へ進化し始めている」と、つまり「国家間の連帯で実現する税制度という次元から一歩踏み出し、地球全体を一体として認識し、その秩序を制御するという視界が拓け始めてきた」と見ています。
 
 
実際、昨年10月、国際的な法人税の最低税率(並びにデジタル課税)という国際課税ルールについてG20で合意されましたが、これこそニュールールとしてのグローバル・タックスの姿である、と。従って、寺島氏は国際連帯税も「国民国家を超えた新しい資本主義のルールとして形成」する可能性が拓けてきたと見ています。
 
 
以下、「デジタル資本主義の制御」については省略。
 
 
【注1】
グローバル連帯税推進協議会「最終報告書」(2015年12月1日):
 
 
 
TOKYO MX1テレビ「寺島実郎の世界を知る力」は、毎週第3日曜日と第4日曜日(どちらも午前11時~ 第4日曜日は対談編)に放映  MX1は地上デジタル9ch
 
 
TOKYO-MX
 

「斎藤幸平&上村雄彦対談」をYouTubeにアップ!

 とびら

 

遅れましたが、1月28日に開催された「斎藤幸平&上村雄彦対談/『人新世』を生き延びるために何ができるのか~新しい資本主義とグローバルタックス~」の集いの全編を、YouTubeにアップしました。以下のリンクからご覧ください(ダイジェスト版は作成中)。

 

*斎藤幸平&上村雄彦対談  ⇒  こちらからご覧ください

 

お時間のない方は、国会議員のみなさんと議論をしている箇所(43分25秒あたり)からご覧いただくと、課題点がはっきりと見えてきて、よいのではないかと思います。

 

また、よろしくければ動画を視聴いただいて、その感想をお寄せくださればうれしいです。

 

なお、上村雄彦教授の当日のパワーポイント資料は、下記のグローバル連帯税フォーラムのwebサイトに掲載されていますのでご利用ください。

 

 *上村先生のパワーポイント資料 ⅰ)ⅱ)ⅲ)⇒  こちらからご覧ください

 

※対談の司会は、田島麻衣子参議院議員です

 

岸田首相の経済ブレインの原丈人氏、金融取引税を提言

岸田文雄首相の「新しい資本主義」など経済政策についてのブレインとなっているのが「公益資本主義」論で著名な原丈人氏(アライアンス・フォーラム財団代表理事、元内閣府参与)です。原氏がブルームバーグのインタビューを受け、その内容が2月10日付電子版に掲載されていますが、その中で氏が「金融取引税」について実施すべきと提案していますので、紹介します【注1】。

 

まず原氏は、以下の4項目につき詳しく述べています。

 

1)四半期開示の見直し

⇒短期経営になればなるほど投機的傾向を強め、ヘッジファンド等の餌食となる(注:田中まとめ、以下同じ)

2)自社株買い

⇒自社株買いは資本主義の大原則に反し、もっぱら株主と経営者が受益している

3)金融取引への課税

⇒有価証券取引税の復活

4)公益資本主義

⇒これまでの英米流の株主資本主義からの転換、ダボス会議でステークホルダー資本主義が提唱されるようになった

 

さて、金融取引への課税ですが、原氏は「(東京証券取引所でのHFT=高頻度取引)のようなものは、本来金融市場にとって良いのか…。(スーパーコンピューターを使っている人たちと普通の人たちの株取引につき)フェアという観点からは枠組みを変える必要がある」と述べています。金融取引への課税は金融規制ならびに税収増というふたつの面があると思いますが、原氏は主にHFTなど投機マネーの規制にあるようです。

 

ところで、原氏のこれまでの発言につき調べてみましたが(ネット上だけの検索)、とくに税財政や社会保障問題についての発言が見当たりません。もしこちらについても発言があれば、金融取引税が税収増という面からして重要な提案になると思います。

 

実際、欧州は8000億ユーロ(約100兆円)に上るコロナ復興基金の財源のひとつとして金融取引税を充てようとしています。日本でも莫大なコロナ対策資金を赤字国債で発行していますので、今後財政立て直しの重要な財源になると思われます。これに投機マネーの元になっている外国為替(通貨)取引に課税できれば、国際連帯税として実現できます。

 

ともあれ、首相の経済ブレインが金融取引税を提言していることは、今後の政治展開に一定の希望を持つことができます。

 

(追記)原氏は別のメディアで「小泉政権時代に構造改革が唱えられ、成長戦略がもてはやされて民営化も進みました。しかし、国民の所得は増えませんでした。増えたのは、配当と自社株買いによる株主還元だけです」【注2】と述べ、「(岸田氏に)方針を変えるべきです。国民が豊かにならなければ、市場が重要であるとする主張に意味はないでしょう」と伝えたとのことです。

 

インタビュアーは「(16年に公益資本主義が国会でも話題になったが脚光を浴びなかった。しかし)長引くコロナ禍により日本経済が打撃を受ける中、原氏の持論は政策を左右するほどになっている」と結んでいます。

 

【注1】

分配の次は財政出動強化、首相に助言の原氏が分析-新しい資本主義

四半期開示が企業の成長阻害、自社株買い規制の議論を-原氏一問一答

 

【注2】 

岸田版・新しい資本主義の元ネタ?「公益資本主義」提唱者が語る“分配の理想形”

 

株主の配当は顕著

 

斎藤・上村対談のパワポ資料&小林慶一郎・佐藤主光共著の新刊

1月28日に開催された「斎藤幸平&上村雄彦対談 『人新世』を生き延びるために何ができるのか」集いのパワーポイント(パワポ)資料をアップしました。上村先生のパワポの分量が多すぎたため3分割しています。また、斎藤先生のパワポ資料の説明は、後ほどアップするユーチューブでご覧ください。

 

  ・上村先生のパワポ資料  こちらからお入りください

 

●新刊『ポストコロナの政策構想』の紹介

 

ところで、上村先生のパワポ資料の(ⅲ)で、以下のように、政府のコロナ分科会の委員でもある著名な経済学者の小林慶一郎先生もトービン税導入を提案していることを紹介しています。

 

【上村先生のパワポ】
まだ希望はある!(注:国際連帯税実現に向けて)
……………
小林慶一郎(東京財団政策研究所研究主幹、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会委員)トービン税や「世界財政機関」を提案
 ◎「トービン税(通貨取引税)」の導入を提案
 ◎各国で協調して導入すれば逃げ道がふさがり、税金を分け合うことができる
 ◎各国が協力して財政再建するためには、「世界財政機関」のような新しい国際機関を作り、世界銀行、IMFと並んで財政政策の国際的な調整を行っていくという発想が必要

   (出典:『現代ビジネス』2020年7月12日;『日本経済新聞』2020年7月28日)

 

その小林先生ですが、政府税制 調査会の委員を務める一橋大学の佐藤主光先生と共著で、下記のような新著を現わしています。

 

『ポストコロナの政策構想~医療・財政・社会保障・産業~』(日本経済新聞出版)

 

その「第6章 ポストコロナに向けた税財政の国際協調」で、トービン税、国際連帯税そして「世界財政機関」などが語られています。実は、ここの文章は、東京財団政策研究所のWebサイトでの「ポストコロナの政策構想:税制の国際協調による財政再建を」でも読むことができます。 (上)  (下)

 

斎藤先生の脱成長論と小林・佐藤先生のいわば(日本)経済の健全な発展論とは本質的には異にしますが、様々な政策面でシンクロナイズさせることは可能です。とくに上記の第6章などはそうです。

 

Pコロナの政策構想

「斎藤幸平&上村雄彦対談…」集い報告>グローバルタックスと若者世代

1.28の4

 

一昨日(1月28日)参議院議員会館会議室で「斎藤幸平&上村雄彦対談から 国会議員・市民と共に考える 『人新世』を生き延びるために何ができるのか」の集いが、国会議員8人(Zoom含む)、市民80人(Zoom含む)が参加し、開催されました。

 

主催はグローバル連帯税フォーラムで、国際連帯税創設を求める議員連盟が後援してくれました。

 

集いは、田島麻衣子参議院議員の司会の下、斎藤、上村両先生のミニ講演と対談、そして質疑や意見交換が熱心に行われました。

 

主催者側として印象を一言。斎藤さんは、「SDGsをアヘンにせず」そして「潤沢な社会形成」のために、金融取引税や炭素税などグローバルタックス(国際連帯税)の必要性を主張していたこと、この点20年後には社会の主役になる「ジェネレーション・レフト」(ミレニアム、Z世代)の運動とシンクロしていくことができればと思いました。

 

◎当日の資料です。

・上村先生のパワーポイント資料 ⅰ) ⅱ) ⅲ)

 

◎集いのもようはユーチューブにUPしますので、参加できなかった人はお楽しみに。

 

◎1月29日付東京新聞に集いの記事が掲載されています。下記をご覧ください。国際連帯税の意義、斎藤先生や上村先生のエッセンスを実に簡略にかつ的確にまとめています。

 

【お詫び】Zoom参加で申込んだ人のうち、11人が「迷惑メール」ということで弾かれていました。主催者として迷惑メールBOXをチェックしていなかったためです。この点大変申し訳なくお詫びします。

 

 

【東京新聞】国際連帯税導入で「公正で持続可能な社会を」 斎藤幸平・大阪市立大准教授が講演 国会内で集会

 

 地球規模の課題を解決する資金源として注目される「国際連帯税」を考える集会が28日、国会内であった。著書『人新世の「資本論」』で経済成長からの脱却を訴える斎藤幸平・大阪市立大准教授が講演し、新型コロナウイルス禍で先進国と途上国のワクチン格差などが問題になる中、富の偏在是正や気候変動対策の手段となる国際連帯税の意義を訴えた。

(…中略…)

 斎藤氏は、環境活動家のグレタ・トゥンベリさんら若い世代から、脱成長を求める声が欧州で高まっていると紹介。「日本でもコロナ禍で資本主義を一時的に止めることができた。無限の経済成長を求める資本主義にブレーキをかける必要がある」と指摘した。

 

 その方策として、金融取引や二酸化炭素(CO2)排出への課税を強化し、医療や介護などに従事する「エッセンシャルワーカー」への課税はやめるよう提案。「人間が利己的だという発想を変えれば、公正で持続可能な社会をつくれるのでは」と訴えた。

 

 国際連帯税に詳しい横浜市立大の上村雄彦教授も講演し「(岸田文雄首相が主張する)新しい資本主義は一国だけでできるものではない」などとして、国際連帯税導入を訴えた。

(以下、省略)

1.28の2 1.28の3

 

  斎藤幸平さん      上村雄彦さん

『資本主義・社会主義・権威主義』(日経記事)>1.28集いの議論に資するか?

2020年、「政治潮流」が長期投資の焦点に

 

さて、日経新聞の投資情報欄に「一目均衡」というコラム欄があり、1月18日付に『資本主義・社会主義・権威主義』[注1]と題した記事がありました。それで今度の「斎藤幸平&上村雄彦対談から 国会議員と共に考える」集いに資する議論があるかなと思い、読んでみました。

 

まずコラムの結論。2020年は株式市場にとって「政治潮流」が長期投資の焦点になる、というもの(通常は企業業績や金融政策が投資の焦点=目安になる)。その政治潮流とは(欧米での)「やがて現役世代の多数派となる」「左傾化した『ジェネレーション・レフト』」[注1]のこと。

 

英米の若者層の「資本主義離れ」と日本の若者層

 

英米の若者層の「資本主義離れ」は次の通り(記事から)。

・英国の若者層(10代~30代半ば):資本主義に批判的約70%、社会主義が望ましい67%

・米国の若者層(18~34歳):「資本主義に否定的46%」「肯定的49%」(3年前38%対58%)「社会主義に肯定的」は全世代でも4割超

 

それでは日本ではどうか? 欧米とは違い、日本の若者は衆院選挙の投票結果からもわかるようにとても左傾化しているとは言えない。実際、「日本では(若者は)今の社会システムにどう適応していくかを考える傾向が強く…」[注3]という状況です。

 

しかし、コラムでは「『左からの風』は日本にも吹いている」と主張します。その根拠は?ということで、現在決して若者たちの運動は大きくないが、今後の可能性として斎藤幸平氏の『人新世の「資本論」』がベストセラーになっていることなどを挙げるのかと思いました。

 

左からの風をふかしているのは岸田首相!?

 

が、何と!左からの風をふかしているのは岸田首相だとコラム子は言うのです。

 

「市場に依存しすぎたことで格差や貧困が拡大した」「市場の失敗を是正する」「新しい資本主義は市場任せでは実現しません」(「文芸春秋」誌よりコラム子引用)との首相の主張は、これだけ見れば新自由主義の弊害を認識し、それからの転換を図っているのだなと思われなくもありません。コラム氏にとってはそれが「左傾化」の証と見えるようです。

 

ところが、新自由主義への批判はバイデン米政権も行っていますし、欧州各国の政権も濃淡はあれ批判的でしょう。実際コロナ禍中にあって国家による国民や企業への支援の重要性が高まっている今日、各国は軒並み「大きな政府」となっています。とうてい新自由主義の「小さな政府」では未曾有の危機に立ち向かえないからです。従って、これだけで左傾化というのは早すぎます。コラム子はもともと市場万能の新自由主義者だったのでしょうか。

 

グローバルな再分配政策が必要>国際連帯税の創設を

 

さらに問題は、国内の分配を公平化したとしても、コロナ禍に見られるようにこれだけでは不十分で、グローバルな再分配政策が必要です。というのは、グローバル化された世界にとってコロナ感染を国境内で封じ込めることは不可能だからです。先進国・途上国を超えてワクチンをはじめとした医療体制が必要で、そのための資金調達は緊喫の課題です。国際連帯税のグローバルな創設が今こそ求められています。

 

ともあれ、日本の若者たちがマスとしてジェネレーション・レフトとなるかどうかの前に、きちんと社会に物申せる主体になってくれればよいですね。

 

 

【ご案内】斎藤幸平&上村雄彦対談から 国会議員と共に考える

 ~「人新世」を生き延びるために何ができるのか~

 [日時]1月28日(金)午前11時~12時30分

 [会場]参議院議員会館B104会議室

     ⇒Zoomでの参加をお勧めします

 ◎申込み:gtaxftt@gmail.com までに、お名前と所属、並びにZoom参加希望者はその旨をお書きの上申込みください。

 

[注1]

【日経】資本主義・社会主義・権威主義 一目均衡

[注2]

【朝日】海外で広がる「ジェネレーション・レフト」 日本での可能性は

[注3]

【朝日】「ジェネレーション・レフト」日本では POSSE編集長に聞く

 

世界的リスク回避の処方策>途上国への有効なワクチンの供給、そのための資金調達

ユーラシア・グループの年頭の「世界の10大リスク」を読み、そのリスク回避のための処方策を考えてみました。

 

●世界のリスクの第一位は「No zero Covid(ゼロコロナ政策の失敗)」

 

米政治リスクの調査会社ユーラシア・グループが毎年年頭に「世界の10大リスク」を発表しており(以下、グループ)、今年の第一位は「No zero Covid(ゼロコロナ政策の失敗)」でした[注1]。これは第一に中国のコロナ政策の失敗を意味し、第二に(グループでは明確に述べていませんが)先進国のワクチン等確保での自国優先政策による国際社会総体の失敗を意味します。

まず、中国の失敗について。中国は現在のコロナ変異種を完全に封じ込めることができず、国内での経済的な混乱が世界的に拡大していく可能性があり、というもの。

 

それはオミクロン株のような感染力の強い変異型に対して、中国製ワクチンは効果が低く[注2]、またゼロコロナを標榜している手前、封じ込めのためにはロックダウン(都市封鎖)を行うしかないことからきます。グループでは述べていませんが、来月の北京冬季オリンピックがこれに拍車をかけるのではないか。すると中国のあちこちの都市で強権的なロックダウンが行われるようになり、中国が世界的なサプライチェーンの要であることから、世界的な混乱に繋がっていくのではないかというものです(現在外資系企業の拠点となっている天津市がロックダウン手前になっている)。

 

●もっとも有効なワクチンであるmRNA型は先進国が独占

 

一方、先進国の自国優先主義からくる帰結は次のようになります。まず数あるワクチンの中でメッセンジャー(m)RNAが最も効力があり、ファイザーとモデルナがそれです。年間35.45億回分の生産を予定しているファイザーへの契約具合ですが、そのうちの75%を先進国が占めています(米、欧州、日、英、加)。これに石油産油国やイスラエルなどを加えると80%以上が高所得国によって買われようとしていますし、中国も3%ほどを契約済みです(数字は昨年9月17日現在[注3])。

 

このような状況の上に、高所得国はブースター(追加)接種をどんどん進めようとしていますからいっそうmRNAワクチンは新興国や途上国には配布されず、ワクチン格差はどんどん拡大することに。この結果どうなるかというと、「(グループは)『発展途上国が最も大きな打撃を受け、現職の政治家が国民の怒りの矛先を向けられる』と指摘し、貧困国はさらなる負債を抱えると警告する」(1月4日付日経新聞)。

 

●アダム・トゥーズ 教授の提言>グローバルワクチン対策こそ本質的経済政策

 

上記のようなグループのトップリスク論につき、ではどう対処すべきかという提言はなく、ただ指摘しているだけですが、実は中国のコロナ政策等につき同様な分析をしているのがアダム・トゥーズ コロンビア大学教授です[注4]。分析をまとめますと、コロナ危機は世界を富裕国、途上国、中国と3つ分断したこと、世界のワクチン接種推進こそ最優先課題なこと、なのに米中関係は緊張したままであり「安全保障」がトップに押し上げられていること、です。

 

ともあれ、教授はワクチン政策について次のように先進国を批判しています。「全員が安全になるまで誰も安全ではないとの教訓をオミクロン・ショックが思い出させたのに、世界のワクチン接種率は最優先課題になっていない。(コロナ政策こそ本質的な経済政策なのに)先進国はいまだに自国優先の政策の狭い枠にとらわれている」、と。

 

●グローバルワクチン対策に必要な政策>知的所有権問題、新しい資金調達問題など

 

では、グローバルワクチン対策に必要な具体的な政策は何でしょうか? 第一に、新興国も途上国もmRNAワクチンの取得などワクチン格差を是正することです。そのためには製薬会社がワクチンという「国際公共財」を提供するという立場から知的財産権を一時放棄し、新興国を含む途上国でワクチン生産を可能とすることです。その際、技術援助も欠かせません。

 
今年初めから南アフリカでファイザー製ワクチン製造が開始されるようですが、ワクチンをバイアルに入れ密封・出荷する生産の最終段階に限られるもので、知的財産の移転はないそうです。つまり、ファイザーの下請け会社が南アフリカにできるだけです。

 

第二に、途上国へのコロナ対策支援のための国際ファシリティーである「ACTアストラレータ」(以下、ACT-A)への資金援助です。ACT-Aは10月に評議会を開催し、1年間の予算額を234億ドル(約2.64兆円)と算出しました。しかし、2021年でも資金不足に見舞われているという現状にあって、上記予算額を調達し、資金ギャップを埋めることは容易ではありません。

またG20レベルで創設された「パンデミックへの備えと対応のための国際公共財への資金調達に関するG20ハイレベル独立パネル(HLIP)」では、向こう5年間、年間100億ドル(約10兆円)規模の「世界保健脅威基金」設立を提案しています。

 

こうしたコロナ・パンデミック関係の資金援助も先進国等のODA等の財源だけでは到底賄えません。それで各国の政府はさかんに民間資金の利用を打ち出しています。そのひとつがESG投資で世界的に35兆ドルもの資金が投資されています。しかし、民間資金はどうしても利潤を上げなければならないため、もっぱら気候変動関係の電力や電気自動車(EV)に集中し、ESGバブルと呼ばれる状況になっています[注6]。

 

そこで国際連帯税の出番です。グローバリゼーション構造なくして事業を展開できない国際金融や巨大ITなどのグローバル企業の、国境を超える取引等に広く薄く課税または課徴金を課し、その資金をワクチン(製造)ほかコロナ感染症ならびに地球規模課題に使用していくべきです。それをまずはG20レベルで実施していくことが求められています。

 

[注1]
【日経】22年の10大リスク、「中国のゼロコロナ失敗」が首位(2022年1月4日)
(原文)EURASIA GROUP’S TOP RISKS FOR 2022(英語日本語
[注2]
【ロイター】中国シノバック製ワクチン、オミクロンに低効果=査読前論文(2022年1月1日)
【ブルームバーグ】中国シノバック製ワクチン、オミクロン株防御効果ない-香港研究(2021/12/15)
[注3]
【日経】チャートで見るコロナワクチン世界の接種状況は 「メーカー別の契約数」
[注4]
【日経】経済より安全の保障に重点 コロナ危機を超えて(2022年1月5日)
[注5]
【ロイター】南アのバイオバック、ファイザー製ワクチン製造開始へ 年初から(2021年12月7日)
[注6] 
【朝日】(多事奏論)脱炭素マネー 高すぎる削減目標に透ける思惑