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欧州10か国FTT(金融取引税)再起動か?>独仏で作業進行中!

ドイツのメルケル首相とフランスのマクロン大統領の政治的な求心力は低下していますが、昨年6月の両首脳会合で2021年以降中期のユーロ圏財政確立のための一手段として金融取引税導入も射程に入れ合意していました。しかし、その後準備が遅れていまして、ようやくここにきて「両国はユーロ圏を強化するための努力の一環として、7年以上もの間続いてきた税の交渉に弾みをつけようとし…新しいドラフトを作成した」(下記、ブルームバーグ)ようです。

 

内容は、現在フランスが実施している株式取引税をベースに制度設計を考えているようで、具体的には「時価総額が10億ユーロ(12億ドル)を超える企業の株式」取引(購入)に0.2%課税するというもの。また税収はFTT参加国で一定程度分配し、小規模国も利益を得るようにするようです。

 

【bloomberg】Germany, France Push for 0.2% Tax on European Stock Trades

 

昨年6月の独仏首脳案では、欧州改革の一環としてのユーロ圏財源確立のためのFTTでしたが、今回の新しい案ではまず2013年にFTTが合意された10か国(当初11か国)で実施していくというもののようです。

 

欧州委員会による欧州FTT提案は最初が2011年でしたから(*)、それから時間的に8年ほども経とうとしています。また、今回の案では、取引額が最も多く、したがって税収が最も上がるはずのデリバティブ取引が外されていますので、かなり小型のFTTになろうかと思います。またFTTによる税収は財源補填が主目的ですから、国際連帯税のような役割を負ってもらうまでにはいかないいようです(各国の開発大臣クラスからそういう要望も上がっていますが)。金融セクター、とくに欧州の大銀行はどこもデリバティブ取引が最大の収入源ですから、相当の抵抗があったと思われます。

 

(*)2011年欧州委員会提案とその後:全欧州規模で、株・債券・デリバティブ取引に課税するという内容。が、英国等の反対でとん挫してしまい、2013年「強化された協力」手続きを用いて11か国で先行実施するということになった。

 

ともあれ、まずは実施することを優先して低率の株式取引税から行っていくというのが独仏当局の考えのようです。小型FTTでも各国が課税主権の壁を越え、共通の税制を敷くことになれば(しかもその税収の一部をシェアし合う)、共通予算(財政)の第一歩になるということで税収以上に意義のあるシステムになるでしょう。注目していきましょう!

 

日本政府「革新的資金調達に関するLG」議長国に就任

国際連帯税創設に意欲的な河野太郎外務大臣のイニシアチブもあり、日本政府は2019年の「開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ」(以下、LGと略)の議長国に就任しました。昨日フランス・ナントで開催された「第5回日仏外務・防衛閣僚会合」の共同声明で、次のように謳われています。

 

18. 両国は,持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて機運を高めるべく協力していくことを改めて確認し,貧困からの脱却のために必要な経済成長及び持続可能な開発を支えるために,国際開発のための革新的資金調達を支援する必要性を確認した。この文脈で,フランスは,開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループの新議長国に日本が再び就任したことを歓迎した。フランスは,UNITAIDに対する資金拠出を行う日本の意図を好意的に受け止めた。

 

◎第5回日仏外務・防衛閣僚会合 共同声明 (2019年1月11日,ブレスト)

 

LGとは、2006年国際連帯税旗揚げパリ国際会議で、国際連帯税など革新的資金調達システムに関して前向きな政府の集まりとして創設され、最盛期には65か国を数えました。常設事務局はフランス外務省が担っており、年1~2回議長国の首都で総会が開催されてきました。

 

日本は2008年にLGに参加し、2010年後期に議長国となり、東京において第8回LG総会を開催しています。この総会には「56か国の代表と世界銀行,IMF,WHO,UNICEF等の20の国際機関,更には各国のNGO等18団体の代表や有識者が参加しました」。

 

◎開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ第8回総会(概要)

 

ということで、本年は6月G20サミット、8月TICAD7、9月国連SDGsのためのHLPF首脳会合が開催されるなど、たいへん盛りだくさんのイベントが行われますが、LG総会を成功させ、国際連帯税を実現していきたいと考えています。

 

●インフォメーション
「国際連帯税をG20大阪サミットで主要議題に」キャンペーンはじまっています! 
みなさまの賛同署名をお願いします署名は、 https://bit.ly/2DmxyVa から。
・詳細は、http://isl-forum.jp/archives/2517 をご覧ください。

 

★写真は、日仏2+2会合:外務省のHPより

東京新聞『本音のコラム』で三木学長登場>出国税から見えるもの

Miki Column

 

本日の東京新聞『本音のコラム』で三木義一青山学院大学学長が「出国税から見えるもの」と題して執筆していますので、紹介します。

 

◎要旨は次の通り

 

今月7日から国際観光旅客税(出国税)が施行され、これは税の原理からすれば不合理ではない。しかし、航空機の国際線には(一般消費税等がどの国も)課税できないためフランスなど独自の課税を行い【国際連帯税のことですね】、それをユニットエイド(UNITAID)という国際機関に拠出し途上国の感染症対策に使ってきた(国際的援助への貢献)。日本でも市民団体や外務省がこうした税制を要望してきたが、航空業界の大反対で実現できていない。ところが、同じ税制で税収を国内観光のために使うとなったら、一転して賛成に。こうした豹変は国交大臣が国際線路線等への許認可権を有していることに関係ありそうだ。

国際観光旅客税(出国税)を国際連帯税へ改組を>峰崎・元財務相副大臣

本日から、27年ぶりの新税である国際観光旅客税(通称「出国税」)の徴収が行われますが、この税制につき昨年は産経新聞から東京新聞まで全マスコミが批判するなど、たいへん評判の悪いものでした。新税施行にあたり今回も日経新聞は以下のように批判的に書いています。

 

「外国人旅行者の満足度を高めるために、ある程度の財政出動は必要だろう。しかし本来なら他の公共事業などをけずって、その分を振り向けるのが筋だ。新たな税を設け、しかも特定財源としたことで、観光振興という名目のもとで無駄遣いが生じやすくなったのは、否定できない」(日経新聞1月5日付社説「出国税の使い道を注視する」)

 

マスコミの出国税批判の主な論調は、特定財源化したことで無題遣いの温床になるのではないかというものです。もちろんそういう面は確固としてありますが、私たちはむしろ国境外の領域で徴収する税は、国内的課題に使うのではなく、国際的な課題に、すなわち国際連帯税として地球規模課題に使うべきということを主張してきました。

 

今回、以前にも紹介しましたが、峰崎直樹・元財務相副大臣が本日発行の『チャランケ通信』で「27年ぶりの新税「出国税」今日施行へ、「国際連帯税」へ改組を」と題して国内観光のための出国税を批判していますので、紹介します。

 

 

【「チャランケ通信」第253号 2019年1月7日より】

 

……

27年ぶりの新税「出国税」今日施行へ、「国際連帯税」へ改組を

 

今年は、消費税の引き上げが税制問題のメイン・イッシュウとなっている。

 

あまり知られていないが「出国税」という新税が、地価税以来27年ぶりに新設され、本日1月7日から適用される。「出国税」の正式名称は「国際観光旅客税」で、日本から出国する際に一人1,000円徴収される。昨年の税制改正で法案化され、今年から適用される目的税である。

 

政府は、訪日外国人の受け入れ環境を整備することに使うとしているが、厳密な意味での目的税ではなく、一般会計に繰り入れられる。来年のオリンピックもあり、観光施設の整備が急務となっている事も導入の理由にしているようだ。今や3,000万人を突破し4,000万人を目標とする外国人観光客や出国する日本人からも徴収するわけで、税収は平年度で500~600億円に達するものと予想されている。

 

国際社会の移動から徴収する税は、国際社会に還元すべきが筋

 

問題は、かつて民主党政権時代に「国際連帯税」の一環として「航空券連帯税」の導入を提唱した経過がある。ところが、関係業界からの反対もあり外務省もODA予算が削減されるのではないか、という疑心暗鬼もあってか消極的だったため、頓挫してしまった経過がある。こちらの方は、国際社会の抱える問題に支出するための財源であり、特にフランスから始まった制度でユニット・エイドを通じてエイズやマラリア対策などへの適用が2006年度から開始され、世界13カ国にまで拡大している。

 

いまも、国際連帯税を求める国会議員連盟が活動をしているのだが、一向に進まない。航空券連帯税は、国によって違いはあるものの、ファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラスで税額が異なり、累進制が採用されている。ただ、国と国の間の徴税権は誰のものでもないのが現実で、国際社会が徴収すべきものとされている。それだけに、国際連帯税は導入した国が過渡的に徴税し、国際的な支援活動をしているNGO等に資金拠出しているわけだ。

 

今からでも遅くはない、国際連帯税への改組を提案する

 

今回日本で導入される「入国税」は、アイディアとしては航空券連帯税を剽窃したものになっているわけで、民主党政権時代に反対した業界団体はどんな理由でこの税を受け容れたのであろうか。大変疑問である。出来れば、この「入国税」を「国際連帯税」として改組し、途上国支援の目的税にしていくことを提唱したい。なんと、こうした税を最初に考えられたのは、昨年文化勲章を受章された金子宏東京大学名誉教授であり、「国際人道税」というものであった。それを、最初に作り上げたのがフランスの「国際連帯税」だったわけだ。今からでも遅くはない。「入国税」を「国際連帯税」へと改組していくべきだ。

 

さらに、今問題になっているGAFAに対するデジタル課税等も、今後国と国との間の税制として導入を検討していく必要があろう。

寺島実郎氏、国際連帯税など世界の新ルールを語る>元旦NHKラジオ

   NHKラジオ

 

元旦のNHKラジオ第1で約100分にわたり“2019巻頭言「『平成』から新時代へ~グローバル経済と民主主義の未来~」”という番組が放送され、ジャーナリストの池上彰氏と3人の専門家の討論が行われました(*)。この度オンデマンド化されWebサイトに載りましたので、それをお知らせするとともに、この番組で寺島実郎氏が国際連帯税について語っていますので、その部分を紹介します。

 

●アーカイブ:2019巻頭言「『平成』から新時代~グローバル経済と民主主義の未来~」

(⇒試聴できます。「9時台」の38:40 -11:49辺りから )

 

●寺島実郎氏の国際連帯税に関しての発言

 

※「『平成』から新時代…」の構成は、1)平成という時代を振り返りつつ、2)平成に続く新しい時代にどう向き合うか、というもの。国際連帯税発言は、2)の「今後の課題」のひとつとしての「格差・分断について」のところで行われました。

 

【鎌倉アナウンサー】今後も問われている課題としては、私たちの社会の中で拡大する格差と分断についてです。…格差が拡大する中で、進むポピュリズムは戦後世界の基軸となってきた民主主義を脅かそうとしています。ではどうすれば民主主義がこのグローバル化経済をコントロールしていくことができるのでしょうか。

 

【田中均氏】 省略

 

【寺島実郎氏】僕はやはり格差と貧困を生み出した国境を越えたマネーゲームというやつに民主主義がどういう形で新しいルール形成ができるのか、ということがこれからの時代のすごい課題だと思っています。事実世界にはその種のことの芽が動きつつあります。やはりルール形成となるとモデルになってくるのは歴史的にも欧州なんですけれど、例えばフランスなんかを中心にして、僕自身実はそれにものすごく関心をもって、日本の(各種の)委員会にかかわっているのですが、国際連帯税構想というのがあります。

 

例えば、国境を越えたマネーゲームに対して、それで恩恵を被っている人たちは広く薄く(コストを払い)責任を共有してもらおうということで、それをアフリカの熱帯感染症対策とか地球環境対策の財源を賄う。つまり、為替取引に広く薄く税金をかけて国際機関がこれを徴収する。今は税金は国家が、つまり国民国家がやることになっているのだけれど、新しい仕組みを作ろうという動きも出てきている訳です。

 

僕は日本人はもっと目線を広げて世界の新しいルール形成の流れが出てきていること(を知らなければなりません)。例えばGAFAがあまりにも力をもって来れば、デジタル課税というものが欧州で先行的に出てきています。

 

民主主義は手をこまねいてしまい、グローバル経済が抱えている問題を制御はできないのだと諦めるのではなく、知恵比べなんだと。しかも、その中で先頭に出てやろうとしている例もいっぱいあるんだ、ということを私たちはもっともっと学ばなければならない。それが僕の方向感ですね。

 

※( )内は田中が挿入

 

 

(*)2019巻頭言「『平成』から新時代~グローバル経済と民主主義の未来~」

NHKラジオ第1  1月1日(火・祝) 午前8時05分~午前9時55分

 

<番組要旨>

2019年、「平成」が終わり、新しい時代が始まる。

この30年、私たちはどんな課題に向き合い、これから、どんな道を歩もうとしているのか?

1989年に始まった「平成」では、「ベルリンの壁」が崩壊して「東西冷戦」が終結し、日本では「バブル」がはじけた。「人・モノ・金」が国境を越えて行き来する「グローバル経済」が発展する一方、「リーマン・ショック」は、金融を肥大化させる世界経済に衝撃を与えた。

「冷戦後」の世界では、同時多発テロ、イラク戦争などが相次ぎ、「テロの脅威」に直面する。さらに、イギリスの「EU離脱」や、アメリカのトランプ政権など、台頭する「ポピュリズム」は「民主主義」の理念を揺るがしている。

番組では、激動する世界と日本の歩みを踏まえ、池上彰さんと専門家たちの議論を通して、新しい時代を展望する。

 

◎出演/寺島実郎(日本総合研究所会長)、田中均(日本総研国際戦略研究所理事長)、吉見俊哉(東京大学大学院教授)、池上彰(ジャーナリスト)、進行:鎌倉千秋アナウンサー

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国際連帯税を議論し、国際的なリーダーシップを取る>河野外相

12月26日付の毎日新聞朝刊のオピニオン欄に、河野太郎外相への「(論点) 途上国支援のあり方」と題したインタビュー記事が載っており、途上国支援のあり方やODA、SDGsや国際連帯税などについて縦横無尽に語っています。SDGsと国際連帯税についての部分を紹介します。

 

 

【毎日新聞】(論点) 途上国支援のあり方 インタビュー 河野太郎・外相

 

 世界経済が減速する一方、紛争地などで人道危機が拡大する中、先進国による途上国支援のあり方が問われている。外務省の有識者懇談会は先月末、政府開発援助(ODA)の効率化のために非政府組織(NGO)の活用を盛り込んだ提言をまとめた。日本の援助外交はどうあるべきか。河野太郎外相(55)に聞く。【聞き手・福島良典】

 

◎NGO参入後押し ODAに競争原理

 

……(中略)

―貧困や飢餓の撲滅などを目指して、2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)を目標期限の30年までに達成するには資金が足りません。来年6月には大阪で主要20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれ、SDGsも議題になる見通しです。

 

[河野外相] 先進国に「援助疲れ」が見え、日本のようにODAを増やす財政上の余地がない国も多い。SDGsの達成のためには毎年約2兆5000億㌦(約280兆円)もの資金が不足すると試算されている。難民・国内避難民は第二次世界大戦後で最多の約7000万人に達し、気候変動の影響もあって自然災害も増えている。難民・避難民、被災者への人道的支援には「瞬発力」が必要だ。今までとは違う「革新的な資金調達」を行わないといけないだろう。

 

 国連総会、アジア太平洋経済協力会議(APEC)などの席上、人道支援のための「国際連帯税」を議論しようと呼びかけ、前向きな反応を得ている。グローバリゼーションの恩恵を受け「光」が当たった人たちに、それを少し「影」に分けてもらうことをお願いしてもいいのではないか、という考えだ。具体的には、世界中で行われている巨額の為替取引に対して極めて薄い税率をかけ、徴収した資金を国際機関に投入して人道支援に直接使ってもらえるようにする―などだ。為替取引に限らず、国際社会が知恵を合わせ「革新的な資金調達」のメカニズムについてさまざまなアイデアを出し合おうと提案しており、日本として国際的な議論のリーダーシップを取っていきたい。

 

◎「情け」日本のため 国民の理解求める

……(後略)

 

★写真:「外務省のODA広報ポスターの前で、途上国支援について語る河野外相=東京都千代田区で20日、藤井太郎撮影」(毎日新聞より)

 

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冨田G20サミット大使へ要請>国際連帯税を含む革新的な資金調達を議題に

去る12月21日外務省において冨田浩司G20サミット大使へのNGOによる要請行動が行われました。サミット大使とは、議長を務める首相の個人代表「シェルパ」として、成果文書取りまとめの準備等に当たる重要な役割を負っています。

 

参加したNGOは、2019 G20サミット市民社会プラットフォーム、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、日本リザルツそしてグローバル連帯税フォーラム(田中)でした。

 

冒頭、冨田大使が次のように発言されました。「G20 が直面する課題は政府だけでは解決できないもので、マルチステークホルダーで取り組む必要がある。今回は短期決戦であるので、各関係者の間で相互にやり取りしながら進めていただきたい」。

 

田中からは以下のように要請しました。「G20において開発分野で様々な政策が打ち出されるが、それらは資金問題を抜きにして実現できない。安倍首相も河野外相もSDGsの達成が重要課題であると言っている。とりわけ河野大臣においてはSDGs達成に係る資金ギャップについて発言し、それを埋めるため国際連帯税を含めた革新的資金の調達の必要性を国際社会で訴えている。振り返ると、2011年のカンヌ・サミットではビル・ゲイツ氏を呼んで首脳同士で議論し合うなどかなり盛り上がったが、それ以降低調である。大阪サミットで今一度国際連帯税の議論を復活させることで、日本政府が開発資金問題におけるイニシアリブ発揮できると思う。ぜひ国際連帯税を含む革新的資金調達をサミットの主要議題としていただきたい」。

 

これに対し、冨田大使は次のように答えました。「国際連帯税については河野大臣が非常に熱心に取り組んでいるし、外務省としても国際的な議論を考える中で、G20にどう生かすか考えたい。また、外務大臣会合が11月に名古屋で開催される。これは河野大臣が主催するものであるからいっそうの議論深化を期待したい」。

 

なお、要請文も冨田大使に手交しましたので、こちらも参照願います。

 

★写真は、冨田G20サミット大使です。

 

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河野太郎外相(引続き)日本記者クラブやT20会合で国際連帯税を披瀝

mainchi News Paper

 

河野太郎外相は、去る12月19日日本記者クラブで会見し、国際連帯税についても言及しました。毎日地新聞は、そのもようを次のように報じています。

 

「河野太郎外相は…難民や災害被災者らの支援を目的とする『国際連帯税』の導入に意欲を示した。世界の為替取引などに低率の税をかけ国際機関の財源とする構想。河野氏は来年大阪で開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議で取り上げる考えも示した。…」(上の新聞記事参照) 

 

この会見については、日本記者クラブのYouTube会見動画で見ることができます。22分20秒頃から国際連帯税の話に入ります。

 

河野外相はまた、12月4日にG20サミットのエンゲージメント・グループ(*)の一つであるT20(Think20)に出席し、あいさつされました。T20とはG20各国のシンクタンク関係者等から構成されるグループです。

 

このあいさつは、次のようなもので、国際連帯税に関しての部分が約3分の1を占めました。その部分を紹介します。

 

 

T20キックオフ会合(12月4日) 河野大臣主催レセプション 冒頭挨拶

 

…前略…
 国際社会は,政府のみでは解決できない課題に直面しています。学術界,ビジネス界,市民社会の知恵と知見がこれまで以上に必要とされています。

 

 本日は,G20 大阪サミット及び G20 外相会合に向けて,日本が議論を主導していく課題のいくつかについてお話させていただきます。

 

 今日の世界では,専制政治や政権崩壊,自然災害から逃れてきた難民の数が増加しています。約 7000 万人の難民・国内避難民が支援を必要としています。
 持続可能な開発目標(SDGs)の目的は,「誰ひとり取り残さない」社会の実現であり,日本が長年に渡り推進してきた「人間の安全保障」の考え方と大きく共通します。
 日本は,SDGs と「人間の安全保障」の達成のため,来年の G20 大阪サミット及び 8 月に横浜で開催される TICAD7 を通じ,保健や教育等の幅広い分野において取組を加速化する考えです。また,来年 9 月にニューヨークで開催される SDGs 首脳級会合において,これらの取組を通じた具体的な成果を示したいと考えています。

 

(気候変動問題…省略)

 

 国際社会は,2030 年までに SDGs を達成するために埋めなければならない年間 2.5 兆ドルの資金ギャップへの対策を真剣に考える必要があります。官民連携の力を借りたとしても,政府開発援助を通じてこのギャップに対応することは容易ではありません。
 我々は,グローバリゼーションの恩恵を享受している人々に何かを還元するよう要請してもいいかもしれません。為替取引に対し広く薄く課税し,国際機関による人道支援に充てられる国際連帯税の導入は,実現可能な長期的解決策の一つの案です。
 私は,国連総会や APEC など最近の国際会議において,地球規模課題の推進への取組に必要な資金を確保するため,人道支援のための革新的な資金調達の重要性を強調してきました。これに対し,複数の参加者から前向きな反応を得ています。
 日本は,革新的な資金調達に関する国際的な議論に向け貢献し,機運を高めていく考えです。T20 を含め世界の専門家の意見を求めていきたいと考えています。
…後略…

 

全文は、こちらから 

 
(*)エンゲージメント(つながり)・グループとは
G20は当然首脳会合がメインですが、外相会合とか財務相会合など関係閣僚会合も1年かけて開催されます。また「エンゲージメント・グループ」という国際社会におけるステークホルダーにより形成された政府とは独立した団体も関連行事を主催します。これらのグループは、経済団体(B20)、市民社会(C20)、労働組合(L20)、科学者(S20)、シンクタンク(T20)、都市(U20)、女性(W20)、ユース(Y20)などの各国団体の代表から構成され、G20で議論される各関心分野について、提言を発表するなどの貢献を行っています。

 

 

●インフォメーション
「国際連帯税をG20大阪サミットで主要議題に」キャンペーンはじまっています! 

⇒みなさまの賛同署名をお願いします。署名は、こちらから

・詳細は、当WEBサイトをご覧ください

 

31年度税制改正大綱:国際連帯税盛り込まれず!>7年連続

政府・与党は本日、平成31年度の税制改正大綱を決定しましたが、国際連帯税については残念ながら今回も盛り込まれませんでした。これで、政権が交代した25年度大綱から7年連続して国際連帯税の文言が外されたことになります。

 

◎平成31年度税制改正大綱を読む ⇒ こちら

 

ただし、国際連帯税に繋がる関連部分として(*)、毎年のことですが、次のような記述がなされています。「また、わが国の経済社会の変化や国際的な取組の進展状況等を踏まえつつ、担税力に応じた新たな課題について検討を進めていく」(第一 平成31年度税制改正の基本的考え方)。

 

今年度の国際連帯税に関する税制改正要望は、例年になく盛り上がったと言えます。何といっても河野太郎外務大臣がG20外相会合等で国際連帯税導入の検討を提案したり、7月にはグローバル連帯税フォーラムと国際連帯税創設を求める議員連盟との共催、そして外務省と日本リザルツ、日本国際交流センターによる後援で国際連帯税シンポジウムが行われました。その後の具体的な税制改正作業において、外務省や自民党外交部会もがんばってくださいましたが、自民党税制調査会の壁を崩すことができませんでした。

 

私たちは引き続き、来年6月開催のG20大阪サミットをターゲットにして、「“国際連帯税をG20大阪サミットで主要議題に”キャンペーン」を行っています。ぜひあなたのキャンペーンへの賛同署名をお願います。

 

●ネットからの署名はこちらから 

 

 

(*)国際連帯税に繋がる関連部分について:
 平成26年度税制改正大綱では、「(税制抜本改革法)においても示されているこうした課題について検討を進め、所要の措置を講ずる。また、今後、内外の社会情勢の変化を踏まえつつ、担税力に応じた新たな課税について検討を進める」と記述されましたが、この税制抜本改革法が連帯税に繋がる根拠です。
 つまり、この「税制抜本改革法」(2012年8月国会で成立)では、その第7条の7で「国際連帯税について国際的な取組の進展状況を踏まえつつ、検討すること」と謳っています。ですから、「こうした課題について検討を進め、所要の措置を講ずる」という中に国際連帯税も含まれることにもなります。
     注)「税制抜本改革法」の正式名は「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」

【ご案内】12月16日「国民のための2019年度税制改正大勉強会」

民間税制調査会が2019年度税制改正に関して、下記のように大勉強会を開催します。グローバル連帯税フォーラムからも金子文夫先生(横浜市立大学名誉教授)がパネリストとして参加します。ご関心のある方はどうぞ申込みください。

 

   ◆◇「国民のための2019年度税制改正大勉強会」◆◇
      ・日時:2018年12月16日(日曜日) )13時~17時
        ・会場:青山学院大学14号館14509号室
            キャンパスマップはこちら

 

       <プログラム(敬称略)>
  ・司会進行:青木 丈(香川大学教授)
  ・開会あいさつ:水野和夫(法政大学教授)
  ・【基調講演】「税制改革の在り方」元財務副大臣 峰崎直樹
  ・「過去の大綱において、2019年度に実施が予定されていた項目の確認」  青木丈

  ・【パネルディスカッション】「2019年度税制改正大綱の評価と課題」
   ◎コーディネーター:三木義一(青山学院大学学長)
   ◎パネリスト:
    民間税調メンバー;

    峰崎直樹,田中秀明(明治大学教授),金子文夫(横浜市立大学名誉教授),戸田智彦(弁護士)と会場参加者
  ※申込み:お名前と所属等をお書きの上、次のアドレスに送ってください。         joe.aoki01@gmail.com (青木丈)

 

《簡単な解説》2019年度税制改正も最終局面となり13日にも税制改正大綱をまとめる、と報道されています。主な内容は、住宅ローン減税や中小企業向け減税などで「増税前に統一地方選や参院選が続く情勢を映し、財政再建よりも景気対策を優先する内容だ」(東京新聞)。未婚のひとり親に対する税優遇の是非などが残っているようです。

 

【東京新聞】住宅購入、増税分2%還元 20年末まで、税制改正案固まる

 

一方、国際連帯税については、外務省や自民党外交部会ががんばってくれていますが、自民党税制調査会ではなかなか厳しい扱いのようです。